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■用語 温熱性紅斑 [用語(あ行)]



[いい気分(温泉)]比較的低い温熱刺激が皮膚表面に作用して生ずる紫紅色の色素沈着
 温熱性紅斑(こうはん)とは、温風ヒーターや赤外線電気こたつなどからの44度以下の比較的低温の温熱刺激が長時間、あるいは繰り返し皮膚表面に作用することで生じる紫紅色の網目状、あるいは斑(まだら)状の色素沈着。火だことも呼ばれます。
 暖房器具で至近距離から、火傷(やけど)を起こさない程度の温熱で温めた場合に、皮膚と毛細血管周囲の線維組織が温熱刺激で炎症を起こして、色素沈着ができます。毛細血管の走行に沿って、最初は赤くなり、次第に紫がかった紅色になってゆきます。
 触っても、しこりなどはなく、かゆみも痛みもないのが一般的ですが、痂皮(かひ)や潰瘍(かいよう)、痛み、かゆみも伴うこともあります。
 皮膚の深い部分に損傷がおよんでいると、低温火傷になり、水疱(すいほう)ができたりします。
 温風ヒーターやハロゲンヒーター、ストーブの熱い空気の噴き出し口に当てていた皮膚や、赤外線電気こたつ、電気毛布、あんか、懐炉、火鉢、湯たんぽなどに長時間接していた皮膚などに、温熱性紅斑ができます。
 エアコンが普及した現代では減りましたが、生活習慣がもたらした意外な原因の温熱性紅斑もみられるようになりました。例えば、ホットカーペットの上でいつも同じ体位で寝ていたため、温熱刺激を受けていた側の胸から腹部に生じた例などです。最近では、自動車のヒーターや加温装置付きの椅子が原因となった例もあります。
 中年から高齢の人に多く、また女性の下腿部分に多くみられます。
 冬場にもスカートをはいて、机の足元に暖房器具を置いて仕事をしたりする女性では、温熱刺激がじかに下肢に作用して、太もも、ひざから下の下腿などに温熱性紅斑を生じやすく、時に皮膚がんの発生素地になり、角化性小結節と呼ばれる、がん前駆症や有棘(ゆうきょく)細胞がんが発生することもあります。
 通常は夏になると、色素沈着は薄くなったり消えたりしますが、原因に気付かず温熱刺激を長期間にわたって続けると色素沈着が取れにくくなります。
[いい気分(温泉)]温熱性紅斑の検査と診断と治療
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、特徴的な色素沈着とその分布、経過より判断します。
 似た症状があり鑑別すべき疾患としては、血の巡りに問題があって網目のように主に下肢の皮膚が赤紫色に変わるリベドー疾患(網状皮斑〔もうじょうひはん〕)があります。 
 治療の効果がみられない場合や経過の長い場合は、皮膚の一部を採取して顕微鏡で調べる組織検査を行うこともあります。また、皮膚以外にも症状が現れていないかどうかを確認するため、血液検査、尿検査、レントゲン写真など、必要に応じて検査が追加されます。
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、赤みが強く、炎症を起こしている場合、ステロイド剤の塗り薬を処方します。潰瘍もあれば、潰瘍治療も併用します。
 色素沈着を防ぐために、ビタミンCなどの内服薬を処方することもあります。色素沈着が残ってしまった場合は、ビタミンCなどの内服薬やハイドロキノンなどの美白作用のある外用剤を使用して、改善するようにします。
 人目が気になる場合は、カバー用化粧品やファンデーションなどで目立たなくするのも一つの方法です。
 温熱性紅斑を予防するには。暖房器具で暖を取る際に、長時間同じ皮膚の部位が当たらないようにすること、暖房器具を皮膚の至近距離に設置しないこと、暖房器具の温度をあまり上げないこと、暖房器具に当たりながら入眠しないことなどに気を付けます。エアコンを使って、部屋全体を加温、加湿するのも有効です。
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■用語 イールズ病 [用語(あ行)]



[目]網膜や眼球内に出血を起こす、若い人に多い眼病
 イールズ病とは、網膜血管に血管炎が起こって血管が詰まったり、新生血管が生えてきて、網膜や眼球内に出血を起こす眼病。眼球内出血のことを硝子体(しょうしたい)出血といいますが、この眼病は若い人によく出る疾患で硝子体出血を何度も起こしますので、若年性再発性網膜硝子体出血とも呼ばれます。
 若年者、ことに男子に多くみられ、突然の網膜硝子体の出血による視力低下で最初に気 が付くケースが多く認められます。
 網膜硝子体の出血が起こると、光が網膜に届かなくなって、ひどい場合は急に何も見えなくなります。しかし、この硝子体出血は1~2週間でひき始めて、見え出すことが多いようです。出血を繰り返しているうちに、眼底に白い繊維のような組織の増殖が進み、この繊維が網膜を引っ張って、破ったりする網膜裂孔形成により、網膜剥離(はくり)や大出血を起こして、著しい視力の低下を来し、最悪の場合失明することがあります。また、出血がひどくなってしまうと、感染症も引き起こされることがあります。
 大出血を起こす原因としては、網膜静脈壁の炎症を起こす網膜静脈周囲炎による静脈壁の破裂によるとする説が有力で、事実、イールズ病の病勢の盛んな時には網膜静脈に広範に白鞘(しろさや)をかぶったような変化がみられ、これは網膜静脈周囲炎によって起こると考えられます。また、まれに同様の変化が動脈壁にもみられることがあります。
 網膜静脈周囲炎は通常、網膜周辺部に初発し、広範な領域に毛細血管網の閉塞(へいそく)した無血管領域が見られ、毛細血管網の閉塞は徐々に網膜中心部におよびます。こうした血管変化を起こす原因は、無血管領域の低酸素状態に陥った網膜からの影響と考えられます。
 イールズ病の90%が両側性であるといわれるものの、必ずしも両眼同時に進行するものではなく、程度の差、発病と進行の時期的なずれはかなり著しい場合があります。
 その病因に関しては、結核、その他細菌アレルギー説などが有力でしたが、イールズ病は病因にも不明な点が多く、結核アレルギー説、病巣感染説なども必ずしも信頼性が高いとはいえません。
 しかし、日本において明治時代から昭和20年代にかけて、長らく死因のトップで国民病、亡国病とも呼ばれていた結核が、国を挙げて予防や治療に取り組んだため死亡者が激減したことと軌を一にするように、太平洋戦争の終戦前には相当多数起こっていたイールズ病も、戦後は著しく減少しました。
[目]イールズ病の検査と診断と治療
 眼科、あるいは小児眼科の医師によるイールズ病の検査は、視力検査、眼底検査や蛍光眼底検査、視野検査を行い、網膜の状態を調べます。これらの検査の結果、さらなる精密検査が必要であると判断された場合には、網膜電図検査や暗順応の検査が行うことがありますが、ほとんどの場合は眼底検査の段階で診断は可能です。そのほかの検査は、ほかの眼病を併発していないかなどを調べるために行います。
 眼科、あるいは小児眼科の医師によるイールズ病の治療としては、糖尿病と同様の治療を行うことで血液成分を改善していくことで、傷害を受けた毛細血管を消滅させることがあります。
 眼科的な治療としては、レーザー光線やキセノン光線を照射することで、網膜周辺部無血管領域の低酸素状態に陥った毛細血管を消滅させ、破壊する光凝固と呼ばれるものがあります。低酸素状態を緩和、ないしは消失できれば、病勢の進行に好影響を与え、場合によっては治癒に導けます。
 また、病勢そのものが一段落した後に網膜硝子体中に生じた新生血管網のみが出血を繰り返す場合は、光凝固によりその閉塞を図る治療が成果を上げています。
 網膜硝子体手術によって、治癒を図ることもあります。
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■用語 異所性妊娠 [用語(あ行)]



[ビール]受精卵が子宮内膜以外の異常な部位に着床した状態
 異所性妊娠とは、受精卵が子宮の内膜以外の異常な部位に着床した状態。かつては子宮外妊娠とも呼んでいましたが、現在では異所性妊娠が正式な名称となっています。
 正常の妊娠では、精子と卵子が結合した受精卵は6〜7日かけて、卵管から子宮、さらに子宮内膜へと移動して、子宮内膜に着床します。しかし、まれに子宮内膜までたどり着かない場合や行きすぎてしまう場合があり、受精卵が子宮内膜以外の部位に着床し、発育します。
 異所性妊娠は、全妊娠の約1%を占めており、決して珍しい状態ではありません。その上、近年は異所性妊娠が増加傾向にあります。
 原因はクラミジア・トラコマーティスという微生物を原因とする性感染症の流行で、今日の性感染症のうち、日本においても、世界においても最も多い疾患として人々の間で流行しています。女性がクラミジア感染症になると、卵管が痛み、異所性妊娠が起こりやすくなります。
 従来は異所性妊娠を早期に診断することは難しく、その結果、受精卵が着床した部位が破裂し腹腔(ふくくう)内に大出血することで生命に影響を与えていました。しかし、現在では妊娠反応検査や超音波検査が発達し、診断方法が進歩したため、症状が出る前の早期に診断できることも多くなり、従来に比べて危険度が下がりました。
 異所性妊娠は、受精卵の着床部位によって卵管妊娠、腹膜妊娠、卵巣妊娠、子宮頸管(けいかん)妊娠の4つに分けられます。このうち98%を占めるのが、卵管妊娠です。
 卵管が傷んで詰まっていたり細くなっていたりして、受精卵が卵管を通過できなかったり、子宮内膜にたどり着く前にどこかで着床してしまうものと考えられています。
 妊娠初期では、異所性妊娠の特別な症状というものはなく、通常の妊娠とあまり変わりがありません。そのため、妊娠していることに女性本人が気付いてない場合もあります。子宮内膜以外の部位に着床した場合、4カ月以内には受精卵の成長が限界に達し、下腹部痛や性器出血がみられるようになります。卵管妊娠の状態で放置すると、受精卵が成長し卵管破裂が起こる危険もあります。着床した部位によっては、出血量がかなり多いこともあり、命を落とす可能性もあります。
[ビール]異所性妊娠の検査と診断と治療
 産婦人科、婦人科、産科などの医師による異所性妊娠の検査は、経膣(けいちつ)超音波検査によって子宮内の状態を確認し、流産していないかどうかを調べた後、尿検査などで調べます。
 症状がない場合や妊娠初期である場合、非常に判断がしづらいものですが、超音波検査などの精度が上がっているため、複数の検査で異所性妊娠と認められることが多くなってきています。症状が軽く判断が難しい場合は、さらに細胞の検査や腹腔鏡で確認することもあります。
 異所性妊娠の典型的なケースとしては、妊娠可能な年齢の女性が無月経、少量の性器出血、下腹部痛、下腹部の筋けいれんなどを訴え、産婦人科などを受診します。そこで妊娠反応検査を行うと妊娠が確認され、経膣超音波検査が行われます。この時に、妊娠初期に胎児が入っている袋である胎嚢(たいのう)が子宮内部に認められず、子宮内膜以外の領域に胎嚢が認められることになります。
 ただし、妊娠初期には正常妊娠でも子宮内膜に胎嚢が認められない時期があるので、胎嚢がないからといって直ちに異所性妊娠と診断することはできません。加えて、妊娠初期の流産の場合も、妊娠反応が陽性であるにもかかわらず胎嚢が認められないことがあります。
 産婦人科、婦人科、産科などの医師による治療では、原則として手術を行います。以前は、腹部に切開を施して行う開腹手術がほとんどでしたが、現在では腹腔鏡下手術で行われることが多くなってきました。
 ただし、腹腔内で多量に出血している場合や、施設の設備によっては開腹手術が優先されることもあります。
 卵管妊娠の場合、胎児と胎盤を含む卵管全体を摘出する手術を行うことが一般的です。
 一方、卵管を開いて胎児と胎盤を除去し、卵管を摘出しない卵管温存手術も考慮されるようになってきました。ただし、安全に温存できる状態であるか十分に検討する必要があり、手術中の状態にもよるため、最終的に主治医が判断することになります。
 卵管妊娠は、胎児が生存し胎嚢が発育していることを指します。これに対し、卵管妊娠流産というケースもあります。卵管妊娠流産で多いのは、比較的初期に胎児が死亡し、流産が卵管内で起こるケースで、卵管妊娠に比べて出血や下腹部痛などの症状が軽く、手術をせず経過をみることもあり、手術をする場合も卵管を切り取らずに温存することもできるようになってきていますので、将来子供が欲しい人には朗報といえるでしょう。
 まれに損傷がひどい場合や、子宮頸管妊娠の場合に、子宮の摘出手術が必要になることもあります。手術後は、病理学検査で摘出した組織を詳しく調べ、問題がないか確認します。
 また、程度が軽い状態ならば、手術ではなく化学療法を行うケースもあります。手術の代わりに抗がん剤でもあるメトトレキサートという薬剤の全身投与、または局所投与を行います。このメトトレキサートによって、異所性妊娠の組織が縮小して消失します。メトトレキサートに手術を併用しなければならないケースもあります。


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■用語 異常分娩 [用語(あ行)]



[病院]正常の経過をたどらず、通常以上の人工介助を必要としたり、母体や胎児に障害を生ずる出産
 異常分娩(ぶんべん)とは、正常の経過をたどらず、通常以上の人工介助を必要としたり、母体や胎児に障害を生ずるような出産の総称。
 娩出力、娩出物、産道の3つを分娩の3要素といい、それらがいずれも正常で、釣り合いがとれている場合には、分娩は正常の経過をたどります。従って、3要素のうちのどれかに異常があればすべて異常分娩となるわけですが、それにも程度があって、多少の異常があっても釣り合いのとれた範囲内であり、結果的に母体や胎児の状態に何らの異常もなく安全に分娩が終了すれば異常分娩とは呼びません。
 異常分娩には、流産、早産、微弱陣痛、過強陣痛、児頭骨盤不均衡、多胎分娩、前期破水、胎位や胎勢の異常、癒着胎盤、分娩時異常出血などがあります。
 異常分娩の場合は、鉗子(かんし)分娩、吸引分娩、帝王切開などの産科手術や、新生児の仮死蘇生(そせい)、未熟児の保育を必要とすることが多くなります。
 一方、分娩が正常の経過をたどる正常分娩は、自然に陣痛が始まり、妊娠満37週以降から満42週未満の正期に、順調に経膣(けいちつ)分娩が進行して、正常な頭位(前方後頭位)で新生児が生まれてくることを指します。また、正常分娩の定義には、母体や胎児に障害や合併症などが残らないということも含まれます。
 なお、分娩中に通常の範囲内で会陰(えいん)切開を行ったり、子宮収縮薬(陣痛促進剤)を使用したりした場合でも、その後の経過に異常がみられなければ正常分娩に分類されます。
 分娩の経過中に会陰切開以外の手術的な処置を加える必要があったり、子宮収縮薬の使用後も、初産婦で30時間未満、経産婦で15時間未満の所要時間内に分娩が進まなかったりした場合などには、異常分娩と見なされます。
 分娩後、母体や胎児に何らかの障害や合併症が残った場合は異常分娩と見なしますが、順調な経膣分娩には該当しない帝王切開などの異常分娩の場合に、必ずしも何らかの障害が残るというわけではありません。このように、異常分娩は広い意味や状態を含んだ医学用語として用いられています。
 異常分娩の原因は、分娩の3要素である娩出力、娩出物、産道の問題に大別できます。
 娩出力は、分娩時に胎児を押し出そうとする力のことです。娩出力は、陣痛、子宮の収縮、意識的な腹圧により成り立ちます。異常分娩の原因となる娩出力の問題としては、子宮の収縮が不十分な微弱陣痛、陣痛が強くなりすぎて胎児に過度の負担がかかる過強陣痛などが挙げられます。
 陣痛は多くの場合、最初は弱く、次の痛みまでの間隔が長く、それが徐々に強く、間隔が短くなってくるものです。長時間にわたり間隔が長かったり、痛みが弱かったりするままなのが微弱陣痛です。分娩進行の途中から微弱陣痛になってしまうこともあります。微弱陣痛が原因で分娩が長時間にわたる場合には、母体の全身疲労や子宮筋の疲労が生じることがあります。
 また、子宮の収縮が非常に強く起こる過強陣痛が起こり、なおかつ産道の抵抗力が強い場合には、母体の痛みや不安などが引き起こされることがあります。
 胎児への影響が大きい例としては、分娩が長引くことで状態が悪化し、胎児機能不全と呼ばれる危険な状態に陥るケースが挙げられます。胎児機能不全は、子宮の中の胎児が低酸素状態になることで起こります。異常分娩が胎児機能不全の原因になることもあれば、胎児機能不全が異常分娩の原因になることもあります。
 異常分娩の原因となる娩出物の問題としては、胎児が正常な範囲を超えて大きい巨大児である、形態異常がある、低体重である、水頭症や無脳症などの病気がみられるといった場合が挙げられます。
 通常、胎児は少しずつ姿勢を変えながら産道を通って出生しますが、上記のような問題がみられる場合には、姿勢をうまく変えることができず、分娩がスムーズに進まないことがあります。これを胎児の回旋異常といいます。
 このほか、子宮の中の胎児の頭が上になっている骨盤位(逆子)や斜位、横位であるなど、子宮の中の胎児の頭が下にある頭位(前方後頭位)ではない場合も異常分娩に分類されます。正常な頭位ではない場合、予定帝王切開が選択されることも多くなります。
 頭位で児頭が娩出された後に、肩が恥骨に引っ掛かる肩甲難産といった状態も異常分娩として分類されます。
 また、胎児の娩出後に胎盤が出てこない癒着胎盤も娩出物の問題です。このような胎盤を無理に出そうとすると、子宮壁が裏返って内面が子宮口から外に出てくる子宮内反という重篤な状態になるので注意が必要といわれています。
 胎児の通り道である産道は、子宮頸部(けいぶ)や膣などで構成されている軟産道と、骨盤など骨で構成されている骨産道により成り立ちます。異常分娩の原因となる産道の問題としては、軟産道が硬く、胎児がスムーズに通過できないほど抵抗力が強い場合や、骨盤が小さく胎児が骨盤内へと進んでいけない場合には、帝王切開が検討されることがあります。
 このほか、産道が傷付く産道裂傷や、新生児の出生後に子宮筋が収縮しないことによる弛緩(しかん)出血が起こることもあります。双子、巨大児、羊水過多など子宮壁が引き延ばされすぎた時は、弛緩出血が起こりやすくなります。微弱陣痛や分娩が長引くなどで子宮筋が疲労して収縮不全となる場合にも起こりやすくなり、陣痛開始から2、3時間で産まれてしまう急産でも、弛緩出血が起こりやすいことが知られています。
 出血量が増えると、輸血が必要となる場合が増えます。どうしても子宮からの出血が止まらない場合は、最終手段として開腹手術で子宮を摘出することで止血させることがあります。
[病院]異常分娩の検査と診断と治療
 異常分娩となる可能性があるかどうかを見極めるための産科、産婦人科の医師による検査には、妊婦に対する身体診察やX線(レントゲン)検査、超音波検査などがあります。
 検査では、妊婦の体格や骨盤の大きさ、胎児の大きさと予想される体重、子宮内の胎位(胎児の向き)、双子や三つ子などの多胎分娩の可能性、羊水の量、胎児の健康状態と障害や合併症の有無、胎児心拍数陣痛図による胎児機能不全の有無、などの項目を確認します。
 検査の結果、産科、産婦人科の医師が正常分娩は難しいとあらかじめ予測し、安全な出産に向けて準備を進められる異常分娩のケースも多くあります。例えば、胎児の体が大きく、母体の骨盤が小さい児頭骨盤不均衡と診断できる場合などが、予測可能な異常分娩に該当します。
 また、妊娠中の検査では問題が認められない異常分娩も多くあります。このような場合は、母体や胎児の状態、分娩の進行状態に応じて、例えば緊急帝王切開など適切な治療と処置への移行を検討します。
 妊娠中の検査で安全な分娩が難しいと判断できる場合、予定帝王切開となることがあります。また、経膣分娩がスムーズに進行せず、母体や胎児に影響がおよぶ可能性がある場合には、緊急帝王切開に移行することもあります。
 帝王切開は、経膣分娩が不可能な時に、母体の腹部と子宮を切開して、胎児を取り出す手術です。手術の対象は多岐にわたりますが、主に胎児機能不全、児頭高位の分娩停止、骨盤位(逆子)、子宮内感染、帝王切開の既往歴がある場合などです。
 帝王切開には、深部帝王切開と古典的帝王切開とがあります。現在、大半の症例に行われるのは深部帝王切開であり、子宮下部の下節部分に小切開を加えた後、その部位を拡大して胎児を取り出します。子宮下節は、妊娠していない時には子宮頸部の一部を形成し、子宮体部と違って筋線維が輪状に走っているため、ここを横に裂いても筋線維を傷付けないので出血は少なく、傷跡の回復も良好です。さらに、次回の妊娠時の分娩でも、子宮下節は収縮する部分ではないために力があまり加わらず、破裂が少ないという利点があります。
 これに対して、古典的帝王切開は子宮体部を縦に切開する方法です。子宮体部は筋線維が網目状に走っているため、鋭く切開する必要があります。出血は多くなり、また子宮下節に比べて組織が厚いので、縫合にもより注意が必要です。さらに、筋線維を切断するため傷跡がうまく治らないこともあります。次回の妊娠時の分娩では、収縮する部分であることも加わって、破裂が起こりやすいという欠点があります。
 古典的帝王切開は現在、胎児が横位であったり、子宮下節の前壁に大きな筋腫(きんしゅ)があったり、未熟児の帝王切開で子宮下節の形成が不十分であったりして、切開が不可能な場合などだけに行われます。
 頭位の分娩で、子宮口が全開し破水もしていて、胎児の頭が子宮口付近へと降りてきているものの、微弱陣痛などによって分娩が滞っている場合や、胎児機能不全に陥り生命が危うい場合、陣痛が十分に強いのに分娩が止まってしまった場合、心臓病などの合併症のため母体が意識的に腹圧をかけることができない場合などに、頭部に吸引カップを装着して出産を手助けする吸引分娩、あるいは鉗子と呼ばれる大きなスプーンのような医療器具で両側頬部(きょうぶ)を把持し胎児を娩出させる鉗子分娩が選択されることがあります。
 いずれも経験を積んだ医師が行わなければなりませんが、鉗子分娩は吸引分娩に比べ胎児に与える損傷は少なくなっています。ただし母体に対する損傷は鉗子分娩で多いことが、臨床試験で明らかになっています。
 吸引分娩を行う時には、母体の子宮底部を圧迫する胎児圧出法を併せて行うこともあります。
 分娩に時間がかかり、母体の疲労によって陣痛が弱くなっている場合などには、子宮収縮薬(陣痛促進剤)を点滴投与して、陣痛を強めることがあります。子宮収縮薬を使用する時には、子宮の収縮が強くなりすぎないよう少量の投与から始めます。また、点滴中は胎児が健康な状態を保っているかどうか、陣痛の間隔や強さは順調かどうか、常にモニタリングが行われます。
 このほか、異常分娩に伴う激しい痛みや苦痛を軽減するため、脊髄(せきずい)を覆っている硬膜という膜の外側に硬膜外麻酔を注射針で注入したり、鎮痛薬を点滴投与することもあります。


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