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☐用語 アッシャー症候群 [用語(あ)]



[耳]難聴と視力障害を合併し、常染色体劣性遺伝を示す疾患
 アッシャー症候群とは、先天的な遺伝子異常を原因として発症する難聴と、網膜色素変性症という視力障害を主要症状とする疾患。
 難聴は生まれ付きである場合がほとんどで、その程度は軽度から重度までさまざまです。網膜色素変性症は10歳ぐらいから発症し、暗い所での見え方が悪くなる夜盲に始まり、徐々に進行して視野が狭くなっていきます。難聴と視力障害は、社会生活を送る上で大きく影響をおよぼす場合もあります。
 難聴と視力障害との合併を特徴する疾患は約40種類と多岐にわたりますが、アッシャー症候群はその中でも最も頻度が高いものと考えられています。日本における調査によると、約10万人当たりにつき6・7人がアッシャー症候群に罹患しています。
 アッシャー症候群は原因遺伝子によっていくつかに分類され、発症し得る遺伝子異常は現在までのところ10個のものが同定されています。
 アッシャー症候群は3つのタイプに分類されますが、タイプ1を引き起こす原因遺伝子としてはMYO7A遺伝子異常が最も多く、次にCDH23遺伝子異常です。タイプ2を引き起こす原因遺伝子としてはUSH2A遺伝子異常が最も頻度が高く、タイプ3を引き起こす原因遺伝子としてはCLRN1遺伝子異常が最も頻度が高くなっています。
 アッシャー症候群に関与する遺伝子は、聴覚、平衡感覚、視力にかかわる蛋白(たんぱく)質の産生に深く関与しています。耳の構造は外耳、中耳、内耳と分かれていますが、アッシャー症候群に関与する遺伝子は、内耳中に存在する有毛細胞が正常に働くために重要です。有毛細胞は、音の振動を電気信号に変えて脳に情報を伝えたり、体の傾きを感知するのに重要な働きを持っています。
 また、眼球の構造の中で、網膜は視力を決定するのにとても重要なものです。網膜には光や色を感知する役割を持つ視細胞が存在しており、アッシャー症候群に関与する遺伝子は視細胞が正常に働くのに重要な役割を果たします。アッシャー症候群でみられる遺伝子異常があると、内耳の有毛細胞や網膜の視細胞が正常に機能をすることができなくなり、難聴や平衡感覚障害、網膜色素変性症が出現すると考えられています。
 アッシャー症候群の遺伝形式は、常染色体劣性遺伝と呼ばれる遺伝形式です。この遺伝形式では、両親は症状を発症していないものの遺伝子異常を有しており、異常な遺伝子がそれぞれ両親から子供に遺伝すると、子供が発症することになります。兄弟姉妹に同時に発症することもあります。
 アッシャー症候群の主要症状は、難聴と平衡感覚障害、網膜色素変性症です。遺伝子異常の違いにより、発症時期、症状の程度、症状の進行の仕方は異なることが知られており、タイプ1、タイプ2、タイプ3に分類されています。
 タイプ1は、 生まれ付き重度の感音性難聴がみられます。目の夜盲の症状は10歳前後より生じ始め、物の見える範囲が狭くなったり、光は感じられるが物が読めないなどの症状が出現します。平衡感覚の障害も伴う場合が多く、一人で座ったり歩いたりするのが正常よりも遅れます。また、自転車に乗るのに困難を覚えることもあります。
 タイプ2は、生まれ付き高音障害型難聴という高い音になるにつれて程度が重くなる難聴がみられます。目の症状は思春期以降よりみられることが多いとされています。また、平衡感覚は正常である場合が多いです。
 タイプ3は、アッシャー症候群の中では比較的まれなものであり、進行性の難聴が特徴です。平衡感覚障害と視力障害の発症時期は、さまざまです。
 タイプ1、タイプ2の場合には、生後受けることのできる新生児聴覚スクリーニング検査によって見付かることが多く、その後の精密検査で難聴の程度がわかります。難聴は基本的には進行しないとされますが、進行するケースもあります。
 難聴の診断のためには、耳鼻咽喉(いんこう)科を受診し、聴力検査と遺伝子検査を受ける必要があります。網膜色素変性症に対する診察および治療に関しては、アッシャー症候群であってもなくても特別変わりがありませんので、眼科で診察は可能です。
[耳]アッシャー症候群の検査と診断と治療
 耳鼻咽喉科、ないし眼科の医師による診断では、アッシャー症候群は遺伝子異常であり、タイプに応じた原因遺伝子が特定されているものもあり、遺伝子異常を検出するための遺伝子検査が行われることがあります。また、内耳障害(聴覚や平衡感覚障害)、視力障害(網膜色素変性症)を検出するための検査が行われます。耳の聞こえを聴力検査で行ったり、人為的にめまいが生じるかどうかを誘導することもあります。
 網膜色素変性症では眼底検査を行いますし、そのほか視野検査、網膜電図が併用されます。
 耳鼻咽喉科、ないし眼科の医師による治療では、内耳機能の保持と網膜色素変性症の治療が中心となります。これらの症状は先天的な部分もありますが、社会生活を送るにつれて徐々に困難を覚えるようにもなるため、早期の治療介入が大切です。
 難聴に対しては症状の程度に応じて、聴力を補う補聴器や人工内耳の早期からの使用、およびリハビリテーションの開始が検討されます。特にタイプ1の場合には、言葉を覚えるために早期から人工内耳を使用して聴力を補うことが重要で、場合によっては言葉のトレーニングが必要になることもあります。タイプ2の高度障害型難聴の場合には、人工内耳の使用により聴力の大幅な改善が可能であることが確かめられつつあります。
 視力障害に対しては対症療法として、遮光眼鏡の使用、ビタミンAや循環改善薬の内服、低視力者用に開発された各種補助器具の使用などが行われます。より根治的な治療方法として、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を用いた治療や人工網膜の使用なども実用段階に近付いており、予後の改善につながることが期待されています。
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☐用語 アセトン血性嘔吐症 [用語(あ)]



[喫茶店]ほかに原因となる疾患がなく、かつ周期的に嘔吐の症状を繰り返す疾患
 アセトン血性嘔吐(おうと)症とは、激しい嘔吐が数時間もしくは数日間継続し、こうした嘔吐の症状を周期的に繰り返し示す疾患。周期性嘔吐症、自家中毒とも呼ばれます。
 繰り返す間隔は人によってまちまちですが、1カ月に何度も繰り返すこともあれば、年に数回程度ということもあります。嘔吐の症状がない間は、ほかに特別な症状はなく、日常生活にも支障はありません。
 アセトン血性嘔吐症はしばしば、胃腸炎や食中毒、摂食障害などと間違われることがあり、正確な診断が遅れることも多々あります。以前は、発症ピークを5歳前後とする幼児期から学童期にかけての疾患の一種類と考えられていましたが、近年は成人でも発症する疾患であるとの認識が広まりつつあります。
 アセトン血性嘔吐症の頻度は、5~10歳の小児においては2%ほどと報告されていますが、成人においては不明です。嘔吐の症状は非常に激しく、周期的に何度も繰り返すという性質から、発症者にとっては嘔吐症状が起こる度に日常生活に支障が出ることになります。早期の段階で適切に治療を施すことができないと、脱水や低血糖を引き起こすこともあり、より重症化することもあります。
 消化管の働きは自律神経や内分泌で調節されており、通常であれば脳からの指令により適切なタイミングで適切な消化活動が行われます。しかし、アセトン血性嘔吐症においては、脳と消化管の連絡体系に異常が生じているために、嘔吐症状が引き起こされていると想定されています。
 内分泌については、視床下部ー下垂体ー副腎(ふくじん)系と呼ばれる経路に関与するホルモンが、アセトン血性嘔吐症では異常を来していると想定されています。また、発症者には、片頭痛持ちが多いことも知られており、両者の発症の仕方に共通点があることも推定されています。
 家族歴があることもあり、この場合においては遺伝的な要因が関与することも示唆されます。さらに、細胞でエネルギーを作り出すミトコンドリアの機能異常との関連性も提唱されています。
 嘔吐症状を来す切っ掛けには、さまざまなものがあり、感染症、精神的ストレス、チョコレート・チーズ・アイスクリームなど刺激の強い物の摂取、月経、乗り物酔い、飢餓状態、身体の動かしすぎなど多岐にわたります。子供であれば、風邪やインフルエンザを切っ掛けにして、アセトン血性嘔吐症を発症することが多くみられます。また、不安や緊張を伴うようなイベントの前、例えば試験や遠足、発表会、誕生日会の前などに、突然、嘔吐症状を示すことも多くみられます。
 そのほか、子供の体内には糖分の蓄えが少なく、遊びに夢中になってご飯を食べなかったり、胃腸炎などを切っ掛けにして糖分摂取ができなかった場合に、容易に糖分が不足します。体内の糖分が不足すると、脂肪がエネルギー源として使用されますが、その過程でケトン体と呼ばれる酸性の物質が体内で産生されます。ケトン体の一種類としてアセトン体も血液中にみられるようになるため、アセトン血性嘔吐症の名称がついています。血液中に増えたアセトン体の臭いを反映して、吐物(とぶつ)はリンゴの腐ったような臭いがします。
 アセトン血性嘔吐症の症状は、吐き気や顔色不良などの前兆の後に、数時間から数日持続する激しい嘔吐が特徴的です。嘔吐症状は噴水様になることも多く、胆汁や血液が少量混入することもあります。嘔吐をした後にも、吐き気は持続します。
 そのほかの消化管症状として、胃のむかつき、食欲不振、腹痛なども伴うことがあります。さらに、自律神経症状として発汗や低体温、下痢、頭痛などを認めることもあります。アセトン血性嘔吐症では、一度症状が治まった後も、時間を空けて反復することも特徴です。合併症としては、水分摂取が不十分となり脱水になることが挙げられます。
 嘔吐症状ごとの間隔は、数日のこともあれば数カ月のこともあります。人によって症状の出方は異なるのですが、個人個人をみると、症状が出た切っ掛け、嘔吐症状の強さ、嘔吐症状の持続時間などは、比較的似ることが多くなります。
 小児の嘔吐症状が何日も続き、症状が改善しない場合は、小児科を受診することが勧められます。
[喫茶店]アセトン血性嘔吐症の検査と診断と治療
 小児科の医師による診断では、ほかに原因となる疾患がなく、かつ周期的に嘔吐の症状が起こることを基準として、アセトン血性嘔吐症と判断します。
 尿検査と血液検査を行うと、ケトン体が体内で産生されていることを反映し、尿中にケトン体、血中にアセトン体を認めます。しかし、こうした検査結果は長時間の空腹や体調不良でも認めることがあり、診断の確定にはつながりません。
 また、アセトン血性嘔吐症が進行すると、低血糖をみることもあります。さらに、脱水を反映した検査結果をみることもあります。
 小児科の医師による治療では、前兆の段階での治療、嘔吐症状がある時の治療、嘔吐症状がない時の治療に大きく分けて考えることができます。前兆の段階では、吐き気や頭痛、腹痛などを感じることがあり、これらに早期介入することで、その後に引き続く嘔吐症状を予防することが期待できます。
 そのため、吐き気止めや痛み止めを処方ます。また、糖分が不足して嘔吐症状が誘発されていることもあるため、糖分を摂取することが有効な場合もあります。
 嘔吐症状が始まると、経口摂取がうまくいかないこともあります。胃腸炎の場合と同様に少量ずつ経口補液を行うことが必要であったり、症状が強い場合には点滴での水分補給も必要になります。
 症状が改善した時には、人によって片頭痛の予防のための薬を処方することもあります。嘔吐症状を引き起こす切っ掛けがわかった時には、それを避けるような生活スタイルも必要です。例えば、夕食を抜いた後、翌日に嘔吐症状を起こすことが多い場合には、しっかりと夕食を摂取するよう心掛け、長時間空腹にしないことが必要です。チョコレート・チーズ・アイスクリームなど刺激の強い物を食べることが切っ掛けになる場合には、それを避ける努力も必要です。
 心理的な要因が強い時は、心理テストやカウンセリングを行うこともあります。
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☐用語 足関節脱臼骨折 [用語(あ)]



[足]足関節を構成する骨が骨折し、靭帯も損傷を受けて関節が外れた状態
 足関節脱臼(だっきゅう)骨折とは、足関節すなわち足首の関節を構成する脛骨(けいこつ)、腓骨(ひこつ)、距骨(きょこつ)が骨折し、それぞれの骨をつなぐ靭帯(じんたい)が強く損傷を受け、足関節が外れてしまった状態。
 足関節脱臼骨折は、足関節に対しての直接的な外力や重度の捻挫(ねんざ)などを切っ掛けとして発症します。具体的には、交通事故やスポーツ外傷、足の踏み違え、道路の穴や段差による転倒、階段や高い所からの転落などに関連して生じることがあります。
 また、内側に足をひねるのか、外側に足をひねるのか、足関節に対してどの方向から衝撃が加わるかによって、骨折が生じる部位や靭帯が損傷を受ける部位は異なってきます。
 発症すると、足関節の痛みやはれ、皮下出血、変形などの症状が現れます。特に変形は見た目にもわかるほどであり、足の真っすぐさが失われてしまい、障害を受けた部位がゆがんで見えます。骨折がひどいと、骨片の端が皮膚を突き破って外に出て、出血することもあります。はれがあまりに強くなると、血の巡りが悪くなって悪循環を起こし、血の流れが止まって筋肉や神経が死んでしまうことがあります。
 足関節は体重が多くかかり、歩行に際して重要な役割を果たす関節であるため、足関節脱臼骨折を生じると、痛みや変形のために、体重をかけて歩行することができなくなってしまいます。
 後遺症を減らすためには、早期のギプス固定や手術が重要です。長期的にみると、骨折と脱臼の治癒過程においても後遺症が生じることが少なくなく、変形性関節症に至るケースもあります。その場合には、疼痛(とうつう)が持続しさらなる治療が必要になります。
 自身の症状が足関節脱臼骨折でないかと危ぶまれる際は、整形外科のクリニックか、近くの総合病院の救急外来を受診することが勧められます。痛みで全く立ち上がれない際には、救急車での受診が適切です。
 実際に整形外科のクリニックを受診した場合には、足関節脱臼骨折の診断は診察とX線(レントゲン)検査、CT(コンピュータ断層撮影)検査で行います。診断が足関節脱臼骨折で手術が必要な場合には、行われた診察、検査の結果をまとめた診療情報提供書(紹介状)とともに、手術可能な病院を紹介してくれます。結果的に足関節脱臼骨折ではなく筋肉の問題であれば、整形外科のクリニックで対応が可能です。
 総合病院の救急外来を受診した場合は、相対的に待ち時間が少ないというメリットがある一方で、専門の整形外科医ではなく広く浅く診察をする救急医が初期対応に当たることになります。総合病院の整形外科外来は、飛び込みで受診するには患者数が多くて、待ち時間が長く、また診療情報提供書を持っていないと受診ができなかったり、追加料金が必要となったりします。
[足]足関節脱臼骨折の検査と診断と治療
 整形外科、救急外来などの医師による診断では、内側に足をひねったのか、外側に足をひねったのかによっても、骨折が生じる部位や靭帯が損傷を受ける部位が異なるため、いつ、どこでどのように発生したのかなど受傷機転を含めて、詳細な身体診察をして障害部位を特定します。動脈損傷や神経損傷がないかどうかの確認も行います。(動脈が触れるか、感覚は残っているかなど)も行われます。
 また、X線(レントゲン)検査やCT(コンピュータ断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査といった画像検査も行うことで、骨や靭帯などの損傷の程度、骨のずれ具合などを評価します。
 整形外科、救急外来などの医師による治療では、骨折で生じている骨のずれ(転位)が少ない場合や、徒手整復で整復位が得られれば、ギプスによる外固定で保存的に処置します。
 整復位が得られても保持が難しく不安定性が強い例や、十分な整復位が得られない場合は、少しでも骨のずれがあれば手術を行います。骨のずれや脱臼を元の位置に戻しつつ、骨折部の固定や靭帯損傷の修復などを手術的に行います。
 骨がずれたまま固定されると、足関節のすり合わせが悪くなり、将来、関節の軟骨が片減りして、痛くて動きが悪くなり歩けなくなります。軟骨がなくなってからでは、手術で関節を固定して動かなくするしか方法がなくなるので、正確に骨を戻して整復し、早くから関節を動かす訓練ができるように、しっかりと金属のスクリュー(ネジ)や金属のプレート(板)で固定し、ギプスで外固定することになります。
 手術後には、症状や病状の回復状態をみながら、徐々に足に荷重をかけつつ運動負荷を上げていきます。この際、自己流のリハビリテーションを行うのではなく、専門的知識を持った理学療法士といった医療従事者の下で運動を行うことが重要です。
 骨が付くには6週間かかりますが、ギプスでの外固定は3週間程度にとどめ、その後は取り外しのできる固定装具に変えて、痛みに耐えられる範囲で足関節の運動を開始します。X線検査の写真で骨が付いたことを確認したら、体重をかけた運動を開始します。最初はプールの中で歩く練習から始めるのが理想的です。
 長期的後遺症として、関節の軟骨が片減りして痛くて動きが悪くなる変形性関節症を生じた場合は、症状により関節内注射や、骨切り術や関節形成術などの手術を選択することになります。
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☐用語 アイカルディ症候群 [用語(あ)]



[バー]脳梁欠損、網脈絡膜裂孔、点頭てんかんを特徴とする神経発達疾患
 アイカルディ症候群とは、背景に神経系の発達の不具合があると想定されている神経発達疾患。脳梁(のうりょう)欠損、網脈絡膜裂孔、点頭てんかんという3つの症状を特徴とし、日本では特定疾患(難病)の一つとして厚生労働省から指定されています。 
 罹患(りかん)率については正確な人数は不明ですが、およそ9万~17万人に1人の割合で発症すると見なされてます。また、発症者のほとんどは女性です。
 原因については、明らかになっていません。基本的には、突然変異と呼ばれるランダムに突然起こる遺伝子の異常が原因ではないかと想定されています。
 アイカルディ症候群が発症する仕組みや、発症者のほとんどが女性である理由についても、明らかになっていません。しかし、突然変異が原因ということを想定した上で、いくつかの仮説が立てられています。
 まず、アイカルディ症候群は、X染色体上の遺伝子の変異により発症するのではないかと推測されています。X染色体は、性別を決める役割を持つ性染色体の1つです。女性はX染色体を2本持っていますが、男性は1本しか持っていません。そのため、男性では、X染色体の異常が起こった場合にその影響を受けやすいといわれています。アイカルディ症候群を発症した男性は、1本だけ持っているX染色体に異常が起きることにより、生まれる前に命を落とすのではないかと考えられています。
 ただし、非常にまれですが男性の報告例はあります。そのメカニズムとして、男性でX染色体が2本以上あることを特徴とするクラインフェルター症候群という疾患の発症者の場合では、アイカルディ症候群を発症しても生存できるのではないかと推測されています。
 また、アイカルディ症候群は、性染色体以外の染色体である常染色体上の遺伝子の変異により発症するという仮説も立てられています。常染色体は、基本的には男女ともに22対(44本)ずつ持っている染色体のことで、常染色体上の遺伝子に変異が起こると、新生児が先天異常を持って生まれてくることがあります。アイカルディ症候群もこのような仕組みで起こるという可能性が考えられています。
 アイカルディ症候群を親子で発症した例は報告がなく、遺伝する可能性について正確なことは明らかになっていません。アイカルディ症候群の子供が生まれた場合は、基本的に突然変異により発症したと想定されます。また、兄弟姉妹で発症したという報告は今までに1姉妹例しかなく、次の子供もアイカルディ症候群を発症する確率は非常に低いと考えられています。
 アイカルディ症候群の主な症状は、脳梁欠損、網脈絡膜裂孔、点頭てんかんです。脳梁欠損は生まれ付き起こる脳の奇形の1つで、右脳と左脳をつなぐ繊維の束である脳梁が部分欠損したり、完全欠損したりした状態を指します。網脈絡膜裂孔は、網膜や脈絡膜という目の奥に広がる膜状の組織に、裂け目ができることを指します。
 点頭てんかんは、てんかんの一種で、うなずくような動作に見える首、体幹、四肢の筋肉の瞬間的な収縮を伴うスパズム発作が特徴です。アイカルディ症候群では多くの場合、生後1年ころまでに最初の発作が起こるとされています。
 そのほか、ほとんどのアイカルディ症候群の発症者に発達の遅れがみられます。発達の遅れには個人差があり、脳の奇形の程度やてんかんの重さが関係していると考えられています。
 網脈絡膜裂孔以外にも、生まれ付き眼球が小さい状態である小眼球症や、持続的な眼球運動がみられる状態である眼振などの症状がみられることもあります。小頭症、背骨や肋骨(ろっこつ)の異常、まれに口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)などの症状もみられることもあります。
 海外から報告では、生存率にはかなりばらつきがあり、平均死亡年齢は約8・3歳で、死亡年齢の中央値は約18・5歳となっています。
 アイカルディ症候群は、多くの場合は小児科で診断されます。その上で詳しい検査が必要であれば、設備が整った病院に紹介される場合もあります。
[バー]アイカルディ症候群の検査と診断と治療
 小児科の医師による診断では、脳梁欠損、網脈絡膜裂孔、点頭てんかんの症状が併発しているかどうかを調べることにより判断されます。
 ただし、脳梁欠損と点頭てんかんはそれぞれ単独で発症する場合や、ほかの疾患でもみられる場合があります。そこで、個別の症状ではなく3つの症状が併発していることに注目しなければならないため、診断されるまでに時間がかかることがあります。
 脳梁欠損を調べるためには、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査などの画像検査が検討されます。網脈絡膜裂孔を調べるためには、眼底検査などの眼科的な検査が検討されます。てんかんの有無を調べるためには、けいれん発作時の様子の確認や、頭に電極をつけて脳波を記録し脳の活動の状態を調べる脳波検査の実施も検討されます。
 小児科の医師による治療では、アイカルディ症候群の根本的な治療法がないため、てんかん発作など実際に現れた症状を緩和する対症療法が主となります。
 てんかんの治療では、抗てんかん薬の投与が検討されます。しかし、アイカルディ症候群でみられるてんかんは、治療しても治りにくい難治性といわれています。すべての発症者に効果が現れるとは限らず、発作を繰り返すケースが多くみられます。
 また、てんかんの治療として手術療法が選択されることもありますが、アイカルディ症候群の治療としてはほとんど実施されていません。
 アイカルディ症候群に共通してみられる症状そのものが命にかかわるわけではありませんが、長生きするのは難しい疾患であると考えられています。しかし、世界では、30歳代の発症者や、症状が軽度で40歳代まで生きている発症者がいるという報告があります。医療的ケアや管理が向上していることから、少しずつ生存率が改善してきているのではないかと考えられています。
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