☐用語 ボレリア感染症 [用語(ほ)]
マダニなどにより媒介され、スピロヘータ科ボレリア属の細菌を病原体とする感染症
ボレリア感染症とは、野ネズミや小鳥などを保菌動物とし、野生のマダニなどによ って媒介されるスピロヘータ科ボレリア属の細菌による感染症。
このボレリア感染症として、ライム病と回帰熱が知られています。
ライム病は、ヨーロッパからアジアまでの温暖な森林地帯、北アメリカの北東部、北中央部、太平洋沿岸地域で多く見られますが、世界中で発生がみられます。ヨーロッパで感染すると皮膚症状が、北アメリカで感染すると関節炎の症状が、目立ちます。日本では年間数十件の患者の報告があり、特に北海道での報告が多く東京都内でも報告があります。
病原体は、スピロヘータ科ボレリア属のライム病ボレリアという、ひょろ長い形をした細菌です。ライム病ボレリアは数種類が確認されており、北アメリカでは主にボレリア・ブルグドルフェリ、ヨーロッパではボレリア・ブルグドルフェリのほか、ボレリア・ガリニ、ボレリア・アフゼリ、ボレリア・ババリエンシスが主な病原体となっています。日本では、ボレリア・ババリエンシス、ボレリア・ガリニが主な病原体となっています。
これらのライム病ボレリアを保有した野生のマダニ科マダニ属のダニに刺されることによって、感染します。北アメリカにおいては主にスカプラリス・マダニ、ヨーロッパにおいてはリシナス・マダニが媒介し、日本ではシュルツェ・マダニが媒介するケースがほとんど。人から人へうつることは、ありません。
潜伏期は3~32日間で、感染初期には、多くの場合、遊走性紅斑(こうはん)と呼ばれる特徴的な症状が出ます。これは、マダニに刺された部位に赤色の丘疹(きゅうしん)が生じ、次第に遠心状に、輪状の紅斑が広がっていくというものです。また、その際に、筋肉痛、関節痛、頭痛、発熱、悪寒、全身倦怠(けんたい)感などの症状を伴うことがあります。
その後、病原体が血液によって全身に運ばれるのに伴い、重度の頭痛や首筋の硬直、刺された部位以外の発疹、関節痛や関節のはれ、筋肉痛、動悸(どうき)や不整脈、めまいや息切れ、神経痛、手足のしびれや痛み、脳や脊髄(せきずい)の炎症、記憶障害など多彩な症状が現れます。
感染から数カ月ないし数年をへて重症化すると、皮膚症状や関節炎、脊髄脳炎などが悪化し死亡することがあります。また、治療が遅れると皮膚や関節などに後遺症が残ることがあります。
日本では、ライム病は感染症法で全数把握対象の4類感染症に指定されており、診断した医師は直ちに保健所に届け出ることになっています。
回帰熱は、野生のダニやシラミに媒介されることで発症する細菌感染症。再帰熱とも呼ばれます。
回帰熱を発症すると、発熱期と無熱期を数回繰り返すことから、この疾患名が付けられました。回帰熱を引き起こす病原体は、スピロヘータ科ボレリア属のボレリア・レカレンチス、ボレリア・ミヤモトイ、ボレリア・ヘルムシーなどの細菌で、回帰熱ボレリアとも呼ばれます。
回帰熱には、ダニが媒介してボレリア・レカレンチスやボレリア・ミヤモトイを病原体とするものと、シラミが媒介してボレリア・ミヤモトイやボレリア・ヘルムシーなどを病原体とするものがあります。
ダニ媒介回帰熱は、アフリカ大陸、イベリア半島(特に地中海地域)、中央アジア、中東の一部、インド、中国、アメリカ大陸など非常に広い範囲で分布します。シラミ媒介回帰熱は、エチオピア、スーダン、南スーダン、ソマリアなどアフリカ大陸の高地、インド、南米アンデス山地などでみられます。
日本では、海外で感染し帰国後に発症した数例を除き、過去数十年間、国内で回帰熱の患者の報告はありませんでしたが、近年の逆上り調査の結果、2011年以降に、北海道でボレリア・ミヤモトイ感染による回帰熱の患者2名が発生していたことが明らかになりました。
日本では、回帰熱は感染症法で全数把握対象の4類感染症に指定されており、診断した医師は直ちに保健所に届け出ることになっています。
回帰熱は、基本的にダニやシラミに刺されることを原因として発症します。人から人に直接感染することはありません。
刺されてから約1〜2週間の潜伏期間をへて、病原体が血液中に存在して40℃以上の高熱が1週間ぐらい続き、その後一時的に細菌が減少して約1週間は熱がなく、再び発熱するといった発熱期と無熱期を複数回繰り返します。
発熱期には、発熱以外に頭痛や筋肉痛、関節痛、悪寒、吐き気、結膜炎、点状出血、黄疸(おうだん)、肝臓や脾臓(ひぞう)の腫大(しゅだい)などが生じます。無熱期には、発汗、倦怠(けんたい)感がみられ、時に低血圧症や赤いぶつぶつとした発疹(はっしん)が発生することもあります。
一般的には2回目以降の発熱期は短く、熱の程度も軽くなります。これを繰り返した後、最終的に解熱します。
ただし、発熱期には、中枢神経障害として髄膜炎や脳出血、心筋炎、肺炎などを起こすこともあり、症状が重い場合には死に至ることもあります。妊婦が感染した場合は、低出生体重児や早産、自然流産のリスクが高まります。
ダニ媒介回帰熱とシラミ媒介回帰熱の症状は似ていますが、一般にシラミ媒介回帰熱のほうがより重篤な症状を示します。致死率は、ダニ媒介回帰熱では10%以下ですが、シラミ媒介回帰熱では50%にまで達することがあります。
ボレリア感染症の検査と診断と治療
内科、皮膚科、感染症科、感染症内科などの医師によるライム病の診断は、典型的な症状、感染の機会の有無、さらに病原体あるいは病原体の遺伝子の検出、抗体検査に基づいて下します。
発症の数週間前に、流行地への旅行歴、もしくは野山や河川敷などでの活動歴があればライム病が疑われます。
内科、皮膚科、感染症科、感染症内科などの医師による回帰熱の診断は、その特殊な熱型と、血液中の病原体ボレリア属の顕微鏡による検出によって、容易に回帰熱と確定できます。
血液検査では、血液中の細菌量が比較的多い発熱期に採血し、血液を染色して顕微鏡で観察して病原体の特徴的な形態が見られるか調べます。ほかにも、抗原や遺伝子などを検出する蛍光抗体法(免疫蛍光法)やPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法など別の方法を選択することもあります。
内科、皮膚科、感染症科、感染症内科などの医師によるライム病の治療は、ペニシリン系、テトラサイクリン系の抗生物質が有効で、近年はセフェム系抗生物質も用いられています。
治療が遅れると重症化や後遺症が残る場合があるので、早期発見、早期治療が重要です。
内科、皮膚科、感染症科、感染症内科などの医師による回帰熱の治療は、抗生物質を使用します。テトラサイクリン系の抗生物質が最も有効で、ストレプトマイシン、ペニシリンも効果がありますので、年齢などに応じて使用する抗生物質を決定します。
ただし、抗生物質の初回投与後数時間以内に悪寒や震えが生じ、その後ショックから死亡に至ることもあるので、注意が必要です。この反応は、ダニ媒介回帰熱の場合は30〜40%、シラミ媒介回帰熱の場合は80〜90%の症例で生じるといわれています。
ライム病、回帰熱が知られるボレリア感染症は、ワクチンによる予防対策を講じることができない疾患のため、病原体を保有するダニやシラミに刺されない対策を講じることが重要です。
そのポイントは、森林作業や農作業、レジャーなどで、草むらややぶなどダニやシラミが多く生息する場所に入る時は、肌をできるだけ出さないように、長袖(ながそで)、長ズボン、帽子、手袋、足を完全に覆う靴などを着用することです。また、肌が出る部分には、人用の防虫スプレーを噴霧し、地面に直接寝転んだり、腰を下ろしたりしないように、敷物を敷きます。
衣類にダニがついていることがあるので、森林や野山などから帰宅後は衣類を家の外で脱ぎ、すぐに入浴し体をよく洗って、新しい服に着替えます。
万が一ダニ類に刺され、皮膚に吸着された時は、つぶしたり無理に引き抜こうとせず、入浴して体をよく洗って注意深く取り除くか、医療機関で処理してもらうことです。
シラミが移ることを防ぐために、衣類や寝具、ヘアブラシなどの共有を避けます。
ボレリア感染症とは、野ネズミや小鳥などを保菌動物とし、野生のマダニなどによ って媒介されるスピロヘータ科ボレリア属の細菌による感染症。
このボレリア感染症として、ライム病と回帰熱が知られています。
ライム病は、ヨーロッパからアジアまでの温暖な森林地帯、北アメリカの北東部、北中央部、太平洋沿岸地域で多く見られますが、世界中で発生がみられます。ヨーロッパで感染すると皮膚症状が、北アメリカで感染すると関節炎の症状が、目立ちます。日本では年間数十件の患者の報告があり、特に北海道での報告が多く東京都内でも報告があります。
病原体は、スピロヘータ科ボレリア属のライム病ボレリアという、ひょろ長い形をした細菌です。ライム病ボレリアは数種類が確認されており、北アメリカでは主にボレリア・ブルグドルフェリ、ヨーロッパではボレリア・ブルグドルフェリのほか、ボレリア・ガリニ、ボレリア・アフゼリ、ボレリア・ババリエンシスが主な病原体となっています。日本では、ボレリア・ババリエンシス、ボレリア・ガリニが主な病原体となっています。
これらのライム病ボレリアを保有した野生のマダニ科マダニ属のダニに刺されることによって、感染します。北アメリカにおいては主にスカプラリス・マダニ、ヨーロッパにおいてはリシナス・マダニが媒介し、日本ではシュルツェ・マダニが媒介するケースがほとんど。人から人へうつることは、ありません。
潜伏期は3~32日間で、感染初期には、多くの場合、遊走性紅斑(こうはん)と呼ばれる特徴的な症状が出ます。これは、マダニに刺された部位に赤色の丘疹(きゅうしん)が生じ、次第に遠心状に、輪状の紅斑が広がっていくというものです。また、その際に、筋肉痛、関節痛、頭痛、発熱、悪寒、全身倦怠(けんたい)感などの症状を伴うことがあります。
その後、病原体が血液によって全身に運ばれるのに伴い、重度の頭痛や首筋の硬直、刺された部位以外の発疹、関節痛や関節のはれ、筋肉痛、動悸(どうき)や不整脈、めまいや息切れ、神経痛、手足のしびれや痛み、脳や脊髄(せきずい)の炎症、記憶障害など多彩な症状が現れます。
感染から数カ月ないし数年をへて重症化すると、皮膚症状や関節炎、脊髄脳炎などが悪化し死亡することがあります。また、治療が遅れると皮膚や関節などに後遺症が残ることがあります。
日本では、ライム病は感染症法で全数把握対象の4類感染症に指定されており、診断した医師は直ちに保健所に届け出ることになっています。
回帰熱は、野生のダニやシラミに媒介されることで発症する細菌感染症。再帰熱とも呼ばれます。
回帰熱を発症すると、発熱期と無熱期を数回繰り返すことから、この疾患名が付けられました。回帰熱を引き起こす病原体は、スピロヘータ科ボレリア属のボレリア・レカレンチス、ボレリア・ミヤモトイ、ボレリア・ヘルムシーなどの細菌で、回帰熱ボレリアとも呼ばれます。
回帰熱には、ダニが媒介してボレリア・レカレンチスやボレリア・ミヤモトイを病原体とするものと、シラミが媒介してボレリア・ミヤモトイやボレリア・ヘルムシーなどを病原体とするものがあります。
ダニ媒介回帰熱は、アフリカ大陸、イベリア半島(特に地中海地域)、中央アジア、中東の一部、インド、中国、アメリカ大陸など非常に広い範囲で分布します。シラミ媒介回帰熱は、エチオピア、スーダン、南スーダン、ソマリアなどアフリカ大陸の高地、インド、南米アンデス山地などでみられます。
日本では、海外で感染し帰国後に発症した数例を除き、過去数十年間、国内で回帰熱の患者の報告はありませんでしたが、近年の逆上り調査の結果、2011年以降に、北海道でボレリア・ミヤモトイ感染による回帰熱の患者2名が発生していたことが明らかになりました。
日本では、回帰熱は感染症法で全数把握対象の4類感染症に指定されており、診断した医師は直ちに保健所に届け出ることになっています。
回帰熱は、基本的にダニやシラミに刺されることを原因として発症します。人から人に直接感染することはありません。
刺されてから約1〜2週間の潜伏期間をへて、病原体が血液中に存在して40℃以上の高熱が1週間ぐらい続き、その後一時的に細菌が減少して約1週間は熱がなく、再び発熱するといった発熱期と無熱期を複数回繰り返します。
発熱期には、発熱以外に頭痛や筋肉痛、関節痛、悪寒、吐き気、結膜炎、点状出血、黄疸(おうだん)、肝臓や脾臓(ひぞう)の腫大(しゅだい)などが生じます。無熱期には、発汗、倦怠(けんたい)感がみられ、時に低血圧症や赤いぶつぶつとした発疹(はっしん)が発生することもあります。
一般的には2回目以降の発熱期は短く、熱の程度も軽くなります。これを繰り返した後、最終的に解熱します。
ただし、発熱期には、中枢神経障害として髄膜炎や脳出血、心筋炎、肺炎などを起こすこともあり、症状が重い場合には死に至ることもあります。妊婦が感染した場合は、低出生体重児や早産、自然流産のリスクが高まります。
ダニ媒介回帰熱とシラミ媒介回帰熱の症状は似ていますが、一般にシラミ媒介回帰熱のほうがより重篤な症状を示します。致死率は、ダニ媒介回帰熱では10%以下ですが、シラミ媒介回帰熱では50%にまで達することがあります。
ボレリア感染症の検査と診断と治療
内科、皮膚科、感染症科、感染症内科などの医師によるライム病の診断は、典型的な症状、感染の機会の有無、さらに病原体あるいは病原体の遺伝子の検出、抗体検査に基づいて下します。
発症の数週間前に、流行地への旅行歴、もしくは野山や河川敷などでの活動歴があればライム病が疑われます。
内科、皮膚科、感染症科、感染症内科などの医師による回帰熱の診断は、その特殊な熱型と、血液中の病原体ボレリア属の顕微鏡による検出によって、容易に回帰熱と確定できます。
血液検査では、血液中の細菌量が比較的多い発熱期に採血し、血液を染色して顕微鏡で観察して病原体の特徴的な形態が見られるか調べます。ほかにも、抗原や遺伝子などを検出する蛍光抗体法(免疫蛍光法)やPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法など別の方法を選択することもあります。
内科、皮膚科、感染症科、感染症内科などの医師によるライム病の治療は、ペニシリン系、テトラサイクリン系の抗生物質が有効で、近年はセフェム系抗生物質も用いられています。
治療が遅れると重症化や後遺症が残る場合があるので、早期発見、早期治療が重要です。
内科、皮膚科、感染症科、感染症内科などの医師による回帰熱の治療は、抗生物質を使用します。テトラサイクリン系の抗生物質が最も有効で、ストレプトマイシン、ペニシリンも効果がありますので、年齢などに応じて使用する抗生物質を決定します。
ただし、抗生物質の初回投与後数時間以内に悪寒や震えが生じ、その後ショックから死亡に至ることもあるので、注意が必要です。この反応は、ダニ媒介回帰熱の場合は30〜40%、シラミ媒介回帰熱の場合は80〜90%の症例で生じるといわれています。
ライム病、回帰熱が知られるボレリア感染症は、ワクチンによる予防対策を講じることができない疾患のため、病原体を保有するダニやシラミに刺されない対策を講じることが重要です。
そのポイントは、森林作業や農作業、レジャーなどで、草むらややぶなどダニやシラミが多く生息する場所に入る時は、肌をできるだけ出さないように、長袖(ながそで)、長ズボン、帽子、手袋、足を完全に覆う靴などを着用することです。また、肌が出る部分には、人用の防虫スプレーを噴霧し、地面に直接寝転んだり、腰を下ろしたりしないように、敷物を敷きます。
衣類にダニがついていることがあるので、森林や野山などから帰宅後は衣類を家の外で脱ぎ、すぐに入浴し体をよく洗って、新しい服に着替えます。
万が一ダニ類に刺され、皮膚に吸着された時は、つぶしたり無理に引き抜こうとせず、入浴して体をよく洗って注意深く取り除くか、医療機関で処理してもらうことです。
シラミが移ることを防ぐために、衣類や寝具、ヘアブラシなどの共有を避けます。
■用語 母性喪失症候群 [用語(ほ)]
子供が十分な愛情を感じられないまま育ち、精神的な発達や身体的な成長に遅れを生じる状態
母性喪失症候群とは、母子関係や家族関係の問題によって、子供が十分な愛情を感じられないまま育った結果、情緒の発達、言語や知的能力の発達、さらに身体発育の遅れと行動異常を生じる状態。愛情遮断症候群、情緒剥脱(はくだつ)症候群とも呼ばれます。
乳幼児から6歳児程度の子供に多くみられます。母親など養育者からの愛情を感じられない極度のストレスや不安から、子供は心から安らいでグッスリ眠ることができず、成長するために必要な成長ホルモンが睡眠時に脳下垂体から十分に分泌されなくなる結果、身体的な成長に遅れが出るほか、精神的な発達にも遅れが出ると考えられています。
子供は愛情ばかりでなく、十分な栄養を与えられていないこともあります。入院、死亡、離婚などによる母親不在の環境が原因となったり、母親など養育者が深い悩みを抱えていたり、うつ状態であったり、薬物依存や知的障害、精神的な病気を持っていたりして、適切な子育てができないことが原因となったりします。
母親など養育者自身が子供時代に十分な愛情を受けて育っていない場合に、世代を超えて子育てに影響する世代間伝達、愛情不足の連鎖もあります。
栄養障害によって現れる症状として、身長が低い、体重の増えが悪い、腕や脚が細い、やせている、肋骨(ろっこつ)が目立つ、お尻がへこんでいるなどがあります。不適切な養育の結果として観察される症状としては、おむつかぶれがひどい、皮膚が汚い、汚い服を着ているなどがあります。子供の心理的な変化や行動異常によって現れる症状としては、目を合わせない、表情が乏しい、感情表現が乏しい、動作が緩慢、抱きついたり寄り添ったりしない、親に抱かれるのを嫌がる、異様な食欲増進、尿や便をもらす、寝付きが悪い、かんしゃくを起こすなどがあります。
愛情不足の養育が生後1年以内に始まり、3年以上続く時は、情緒や知能の障害が永久に回復しないといわれています。
養育者が子供の母性喪失症候群に気付いたら、母子手帳の成長曲線をつけてみたり、子供らしい豊かな表情をしているかどうか、気を配りましょう。心配なことがあれば、小児科医や保健師に相談しましょう。
母性喪失症候群の検査と診断と治療
小児科の医師による診断では、身長、体重、頭囲の計測値から成長曲線をつくり、子供の成長を評価します。食事の内容から、栄養学的な分析をします。また、養育環境についての情報を集めます。
小児科の医師による治療では、食事の内容について養育者に栄養指導を行い、子供の年齢に見合った十分な食事を与えるようにします。
また、子供と養育者にとって、ストレスの少ない環境になるように調整をします。母親など養育者に対する心理カウンセリングが必要な場合もあります。子供にとってストレスの少ない環境で、年齢に見合った十分な栄養を与えると体重が増加し、成長ホルモンの反応も回復して身長の伸びが促進されなど、成長の遅れは取り戻されます。
しかし、虐待やネグレクト(育児放棄)など養育者の子育てに重大な問題がある場合、ケースによっては養育者と子供を遠ざけることも必要です。入院で治療を受けさせたり、乳児院など保護観察施設で養育したりすることで遅れていた成長が改善されることもあります。
母親が不在の場合、あるいは母親がいても子供に愛情を十分に与えることができない場合には、母親に代わって父親や親に代わる養育者が十分な愛情を注ぐことで防ぐことは可能です。
母性喪失症候群とは、母子関係や家族関係の問題によって、子供が十分な愛情を感じられないまま育った結果、情緒の発達、言語や知的能力の発達、さらに身体発育の遅れと行動異常を生じる状態。愛情遮断症候群、情緒剥脱(はくだつ)症候群とも呼ばれます。
乳幼児から6歳児程度の子供に多くみられます。母親など養育者からの愛情を感じられない極度のストレスや不安から、子供は心から安らいでグッスリ眠ることができず、成長するために必要な成長ホルモンが睡眠時に脳下垂体から十分に分泌されなくなる結果、身体的な成長に遅れが出るほか、精神的な発達にも遅れが出ると考えられています。
子供は愛情ばかりでなく、十分な栄養を与えられていないこともあります。入院、死亡、離婚などによる母親不在の環境が原因となったり、母親など養育者が深い悩みを抱えていたり、うつ状態であったり、薬物依存や知的障害、精神的な病気を持っていたりして、適切な子育てができないことが原因となったりします。
母親など養育者自身が子供時代に十分な愛情を受けて育っていない場合に、世代を超えて子育てに影響する世代間伝達、愛情不足の連鎖もあります。
栄養障害によって現れる症状として、身長が低い、体重の増えが悪い、腕や脚が細い、やせている、肋骨(ろっこつ)が目立つ、お尻がへこんでいるなどがあります。不適切な養育の結果として観察される症状としては、おむつかぶれがひどい、皮膚が汚い、汚い服を着ているなどがあります。子供の心理的な変化や行動異常によって現れる症状としては、目を合わせない、表情が乏しい、感情表現が乏しい、動作が緩慢、抱きついたり寄り添ったりしない、親に抱かれるのを嫌がる、異様な食欲増進、尿や便をもらす、寝付きが悪い、かんしゃくを起こすなどがあります。
愛情不足の養育が生後1年以内に始まり、3年以上続く時は、情緒や知能の障害が永久に回復しないといわれています。
養育者が子供の母性喪失症候群に気付いたら、母子手帳の成長曲線をつけてみたり、子供らしい豊かな表情をしているかどうか、気を配りましょう。心配なことがあれば、小児科医や保健師に相談しましょう。
母性喪失症候群の検査と診断と治療
小児科の医師による診断では、身長、体重、頭囲の計測値から成長曲線をつくり、子供の成長を評価します。食事の内容から、栄養学的な分析をします。また、養育環境についての情報を集めます。
小児科の医師による治療では、食事の内容について養育者に栄養指導を行い、子供の年齢に見合った十分な食事を与えるようにします。
また、子供と養育者にとって、ストレスの少ない環境になるように調整をします。母親など養育者に対する心理カウンセリングが必要な場合もあります。子供にとってストレスの少ない環境で、年齢に見合った十分な栄養を与えると体重が増加し、成長ホルモンの反応も回復して身長の伸びが促進されなど、成長の遅れは取り戻されます。
しかし、虐待やネグレクト(育児放棄)など養育者の子育てに重大な問題がある場合、ケースによっては養育者と子供を遠ざけることも必要です。入院で治療を受けさせたり、乳児院など保護観察施設で養育したりすることで遅れていた成長が改善されることもあります。
母親が不在の場合、あるいは母親がいても子供に愛情を十分に与えることができない場合には、母親に代わって父親や親に代わる養育者が十分な愛情を注ぐことで防ぐことは可能です。
■用語 発作性上室性頻拍 [用語(ほ)]
突然に脈拍が速くなり、突然に元に戻るのを特徴として、動悸を感じる不整脈
発作性上室性頻拍とは、突然に脈拍が速くなり、しばらく続いた後に突然止まる不整脈。
正常な状態では、右心房の上部にあって、心臓が鼓動するリズムを作っている洞結節から発生した電気信号は一方通行で、心臓の隅々まで伝わって消えてゆきます。次の脈は、新たに洞結節から発生した電気信号によって生じます。
ところが、何らかの原因で異常な電気回路ができたり、先天的に余分な電気回路があったりすると、突発的に電気信号の旋回(空回り)が始まることがあります。
原因となる電気回路がある場所は、大きく分けて3つあります。心房と心室をつなぐ結び目に当たる房室結節付近に電気回路がある房室結節回帰性頻拍が、最も多いものです。
また、正常な状態では、心房と心室をつなぐ電気回路は1本だけですが、それ以外に先天的に電気回路が別にできている場合があります。頻脈発作が出ていない時に特徴的な心電図の波形が出るWPW症候群と呼ばれるものも、その1つです。この場合、正常な電気回路と異常な電気回路を使って、心房と心室の間を電気信号が大きく回る房室回帰性頻拍というものが起こります。これが、2番目に多いものです。
それ以外の部位で電気信号が小さく回るものや、異常な電気信号を一部の心筋細胞が発生させる心房頻拍というものがありますが、発作性上室性頻拍の1割程度を占めるのみです。
発作性上室性頻拍が起こると、動悸(どうき)がして息苦しくなります。脈拍数は大抵1分間に150回以上になり、タッタッタッと規則的な動悸が起こります。
多くの病的な頻脈は、徐々に脈が速くなるのではなく、頻脈発作の開始と同時に一瞬で脈が速くなり、止まる際も一瞬のうちに止まるという特徴があります。発作が起こると、急に激しい勢いで心臓が動き始めるため、血流に十分な圧力をかけられなくなって血圧が下がります。そして、冷や汗やめまい、息切れ、失神を起こしたりします。動悸は、めまいの後で自覚することが多いようです。
発作性上室性頻拍は、普段規則正しく打っている脈が不規則なリズムになる期外収縮を切っ掛けにして、電気信号の旋回が始まります。そのため、期外収縮の少ない若年者には頻脈発作が起こりにくいのですが、中年以降になると頻脈発作が起こりやすくなります。
重症な心臓の病気がなく、頻脈発作の頻度が多くない場合には、息をこらえて強く胸と腹に力を入れる、冷たい水を飲む、冷たい水に顔をつける、くしゃみやあくびを繰り返すなどの迷走神経の刺激で頻脈発作を止める処置が、自宅で可能で安全に行えるものです。
繰り返し症状が現れる場合や、生活に支障が出るほど強い動悸や不快感が現れる場合は、循環器科、循環器内科、もしくは不整脈専門の不整脈科、不整脈内科を受診することが勧められます。
発作性上室性頻拍の検査と診断と治療
循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科の医師による診断では、頻脈発作時の心電図検査で発作性上室性頻拍と確定できます。頻脈発作時の心電図がない場合は、24時間ホルター心電図で検査することがあります。
いずれの場合も、検査中に頻脈発作が起こってないと診断できません。そこで、症状が非常に疑わしい場合は、電気生理検査を行うことがあります。鼠径(そけい)部などから細いカテーテルと呼ばれる電極を心臓に挿入し、電気の通り道を調べるもので、発作性上室性頻拍の原因を探索できます。
循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科の医師による治療では、あまり発作が起こらず、発作時の症状も軽い人の場合、抗不整脈薬で予防します。
いったん発作が起こり始めると、内服剤では発作を停止できず、発作が長く続く場合は、注射による治療を行います。
よく発作が起こり、発作時間が長く、発作時の症状も強い人の場合、経皮的カテーテル心筋焼灼(しょうしゃく)術(カテーテル・アブレーション法)を行い、病気そのものを根本的に治療することもあります。鼠径部などから体内に挿入した細いカテーテルの先端から高周波電流を流し、心筋の原因組織を焼き切って正常化します。この治療法は、心臓の電位を測って映像化する技術が確立したことで実現しました。
発作性上室性頻拍とは、突然に脈拍が速くなり、しばらく続いた後に突然止まる不整脈。
正常な状態では、右心房の上部にあって、心臓が鼓動するリズムを作っている洞結節から発生した電気信号は一方通行で、心臓の隅々まで伝わって消えてゆきます。次の脈は、新たに洞結節から発生した電気信号によって生じます。
ところが、何らかの原因で異常な電気回路ができたり、先天的に余分な電気回路があったりすると、突発的に電気信号の旋回(空回り)が始まることがあります。
原因となる電気回路がある場所は、大きく分けて3つあります。心房と心室をつなぐ結び目に当たる房室結節付近に電気回路がある房室結節回帰性頻拍が、最も多いものです。
また、正常な状態では、心房と心室をつなぐ電気回路は1本だけですが、それ以外に先天的に電気回路が別にできている場合があります。頻脈発作が出ていない時に特徴的な心電図の波形が出るWPW症候群と呼ばれるものも、その1つです。この場合、正常な電気回路と異常な電気回路を使って、心房と心室の間を電気信号が大きく回る房室回帰性頻拍というものが起こります。これが、2番目に多いものです。
それ以外の部位で電気信号が小さく回るものや、異常な電気信号を一部の心筋細胞が発生させる心房頻拍というものがありますが、発作性上室性頻拍の1割程度を占めるのみです。
発作性上室性頻拍が起こると、動悸(どうき)がして息苦しくなります。脈拍数は大抵1分間に150回以上になり、タッタッタッと規則的な動悸が起こります。
多くの病的な頻脈は、徐々に脈が速くなるのではなく、頻脈発作の開始と同時に一瞬で脈が速くなり、止まる際も一瞬のうちに止まるという特徴があります。発作が起こると、急に激しい勢いで心臓が動き始めるため、血流に十分な圧力をかけられなくなって血圧が下がります。そして、冷や汗やめまい、息切れ、失神を起こしたりします。動悸は、めまいの後で自覚することが多いようです。
発作性上室性頻拍は、普段規則正しく打っている脈が不規則なリズムになる期外収縮を切っ掛けにして、電気信号の旋回が始まります。そのため、期外収縮の少ない若年者には頻脈発作が起こりにくいのですが、中年以降になると頻脈発作が起こりやすくなります。
重症な心臓の病気がなく、頻脈発作の頻度が多くない場合には、息をこらえて強く胸と腹に力を入れる、冷たい水を飲む、冷たい水に顔をつける、くしゃみやあくびを繰り返すなどの迷走神経の刺激で頻脈発作を止める処置が、自宅で可能で安全に行えるものです。
繰り返し症状が現れる場合や、生活に支障が出るほど強い動悸や不快感が現れる場合は、循環器科、循環器内科、もしくは不整脈専門の不整脈科、不整脈内科を受診することが勧められます。
発作性上室性頻拍の検査と診断と治療
循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科の医師による診断では、頻脈発作時の心電図検査で発作性上室性頻拍と確定できます。頻脈発作時の心電図がない場合は、24時間ホルター心電図で検査することがあります。
いずれの場合も、検査中に頻脈発作が起こってないと診断できません。そこで、症状が非常に疑わしい場合は、電気生理検査を行うことがあります。鼠径(そけい)部などから細いカテーテルと呼ばれる電極を心臓に挿入し、電気の通り道を調べるもので、発作性上室性頻拍の原因を探索できます。
循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科の医師による治療では、あまり発作が起こらず、発作時の症状も軽い人の場合、抗不整脈薬で予防します。
いったん発作が起こり始めると、内服剤では発作を停止できず、発作が長く続く場合は、注射による治療を行います。
よく発作が起こり、発作時間が長く、発作時の症状も強い人の場合、経皮的カテーテル心筋焼灼(しょうしゃく)術(カテーテル・アブレーション法)を行い、病気そのものを根本的に治療することもあります。鼠径部などから体内に挿入した細いカテーテルの先端から高周波電流を流し、心筋の原因組織を焼き切って正常化します。この治療法は、心臓の電位を測って映像化する技術が確立したことで実現しました。
■用語 房室回帰性頻拍 [用語(ほ)]
発作があると危険な頻脈性の不整脈
房室回帰性頻拍とは、脈拍が速くなる頻脈性の不整脈を生じる疾患の一つ。WPW症候群(Wolff-Parkinson-White syndrome)とも呼ばれます。
不整脈は、一定感覚で行われている心臓の拍動のリズムに、何らかの原因によって乱れが生じる疾患です。
1915年ころから房室回帰性頻拍の存在が知られ始め、1930年に多くの症例についての詳しい報告がなされ、世に知られるようになりました。この際の3人の研究者であるウォルフ、パーキンソン、ホワイト各博士の頭文字から、WPW症候群とも名付けられました。
血管系統の中心器官である心臓には、4つの部屋があります。上側の右心房と左心房が、血液を受け入れる部屋です。下側の右心室と左心室が、血液を送り出す部屋です。4つの部屋がリズミカルに収縮することで、筋肉でできている心臓は絶え間なく全身に血液を送り出すことができるのです。このリズムを作っているのが心臓の上部にある洞結節(どうけっせつ)と呼ばれる部分で、1分間に60~80回の電気刺激を発生させて、心臓を規則正しく収縮させています。この電気刺激が正常に働かなくことによって、拍動のリズムが乱れる不整脈が生じます。
房室回帰性頻拍の多くの原因としては、右心房と右心室、左心房と左心室の間にケント(Kent)束と呼ばれるバイパス(副伝導路)が存在することによって、電気刺激の旋回(空回り、リエントリー)が起こることが挙げられます。
通常は洞結節から発した電気信号は心房を経由して心室へと伝達されますが、この疾患では電気信号が通常のルートのほかケント束を経由する2つのバイパスを伝わるため、一度心室に伝わった電気刺激がバイパスを伝わって再び心房に戻ってしまう時に頻拍が起こります。電気刺激が回路を旋回し続けてしまい、心房と心室が絶え間なく拍動し、頻脈性の不整脈となってしまいます。
主な症状は、脈が突然速くなったり、動悸(どうき)が突然生じたり消えたりします。さらに、胸部に違和感があります。頻拍が長時間続くと、心機能が低下してうっ血性心不全になる場合もあります。
しかし、バイパスがあっても症状が出る人は一部で、多くは健康診断などで発見されるまで、自覚症状がないため気付かずにいます。
従来は危険性のそれほどない疾患として高血圧、高脂血症、肥満、喫煙等の生活習慣をコントロールすることで改善されることがあるとだけされてきましたが、1980年代からの研究により、心房細動から心室細動に移行したケースがあることが判明し、危険な不整脈であると位置づけられたため、発作がみられた場合は即座に循環器科、内科循環器科、内科などの医師に診察してもらう必要があります。
房室回帰性頻拍の検査と診断と治療
循環器科、内科循環器科、内科などの医師による診断では、心電図検査で房室回帰性頻拍が見付かり、危険度の高いタイプかどうかもわかります。
循環器科、内科循環器科、内科などの医師による治療では、動悸がない場合は、治療は必要ありません。
脈拍数が150回以上で、突然始まって突然止まる動悸、あるいは全く不規則に脈が打つ動悸がある危険度の高い場合は、不整脈を抑える薬を飲み続けて発作を抑えます。カテーテル焼灼法(カテーテルアブレーション)といって、鼠径(そけい)部などから管を挿入し、バイパス部分を焼いてしまう根治療法も行われています。
危険度の高いタイプでなければ、経過をみていけばいいのですが、禁煙と肥満解消を心掛け、食事などによる高血圧や高脂血症の予防と改善が大切です。過激な運動、過労や睡眠不足、不摂生、強いストレスなどは発作の引き金になるので注意が必要です。
房室回帰性頻拍とは、脈拍が速くなる頻脈性の不整脈を生じる疾患の一つ。WPW症候群(Wolff-Parkinson-White syndrome)とも呼ばれます。
不整脈は、一定感覚で行われている心臓の拍動のリズムに、何らかの原因によって乱れが生じる疾患です。
1915年ころから房室回帰性頻拍の存在が知られ始め、1930年に多くの症例についての詳しい報告がなされ、世に知られるようになりました。この際の3人の研究者であるウォルフ、パーキンソン、ホワイト各博士の頭文字から、WPW症候群とも名付けられました。
血管系統の中心器官である心臓には、4つの部屋があります。上側の右心房と左心房が、血液を受け入れる部屋です。下側の右心室と左心室が、血液を送り出す部屋です。4つの部屋がリズミカルに収縮することで、筋肉でできている心臓は絶え間なく全身に血液を送り出すことができるのです。このリズムを作っているのが心臓の上部にある洞結節(どうけっせつ)と呼ばれる部分で、1分間に60~80回の電気刺激を発生させて、心臓を規則正しく収縮させています。この電気刺激が正常に働かなくことによって、拍動のリズムが乱れる不整脈が生じます。
房室回帰性頻拍の多くの原因としては、右心房と右心室、左心房と左心室の間にケント(Kent)束と呼ばれるバイパス(副伝導路)が存在することによって、電気刺激の旋回(空回り、リエントリー)が起こることが挙げられます。
通常は洞結節から発した電気信号は心房を経由して心室へと伝達されますが、この疾患では電気信号が通常のルートのほかケント束を経由する2つのバイパスを伝わるため、一度心室に伝わった電気刺激がバイパスを伝わって再び心房に戻ってしまう時に頻拍が起こります。電気刺激が回路を旋回し続けてしまい、心房と心室が絶え間なく拍動し、頻脈性の不整脈となってしまいます。
主な症状は、脈が突然速くなったり、動悸(どうき)が突然生じたり消えたりします。さらに、胸部に違和感があります。頻拍が長時間続くと、心機能が低下してうっ血性心不全になる場合もあります。
しかし、バイパスがあっても症状が出る人は一部で、多くは健康診断などで発見されるまで、自覚症状がないため気付かずにいます。
従来は危険性のそれほどない疾患として高血圧、高脂血症、肥満、喫煙等の生活習慣をコントロールすることで改善されることがあるとだけされてきましたが、1980年代からの研究により、心房細動から心室細動に移行したケースがあることが判明し、危険な不整脈であると位置づけられたため、発作がみられた場合は即座に循環器科、内科循環器科、内科などの医師に診察してもらう必要があります。
房室回帰性頻拍の検査と診断と治療
循環器科、内科循環器科、内科などの医師による診断では、心電図検査で房室回帰性頻拍が見付かり、危険度の高いタイプかどうかもわかります。
循環器科、内科循環器科、内科などの医師による治療では、動悸がない場合は、治療は必要ありません。
脈拍数が150回以上で、突然始まって突然止まる動悸、あるいは全く不規則に脈が打つ動悸がある危険度の高い場合は、不整脈を抑える薬を飲み続けて発作を抑えます。カテーテル焼灼法(カテーテルアブレーション)といって、鼠径(そけい)部などから管を挿入し、バイパス部分を焼いてしまう根治療法も行われています。
危険度の高いタイプでなければ、経過をみていけばいいのですが、禁煙と肥満解消を心掛け、食事などによる高血圧や高脂血症の予防と改善が大切です。過激な運動、過労や睡眠不足、不摂生、強いストレスなどは発作の引き金になるので注意が必要です。