■用語 乳腺葉状腫瘍 [用語(な行)]
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乳腺葉状腫瘍(にゅうせんようじょうしゅよう)とは、女性の乳房内の乳腺が増殖することで形成される腫瘍。急速に増大することが、特徴です。
組織学的には乳腺線維腺腫(せんいせんしゅ)に類似していますが、主に乳腺の小葉(しょうよう)内の結合組織が増殖する線維腺腫に対し、乳腺葉状腫瘍では線維性間質(かんしつ)と乳管上皮が急速に増殖し、生物学的には血液や骨などの腫瘍に近い性質のものです。
短期間のうちに増大して、巨大な腫瘤(しゅりゅう)をつくるのが特徴で、7割は5センチを超え、わずか数カ月で10センチ以上になることも珍しくありません。中には、30センチ以上になることもあります。
大きさや増大速度、そして組織学的所見から良性、境界病変、悪性の3段階に分類され、悪性の場合は肉腫に分類されます。
乳腺葉状腫瘍にかかりやすい年齢は、30歳~55歳。しかし、10歳~20歳の非常に若い人にも発症することもあります。原因などは、不明とされています。
初めのうちは、乳腺線維腺腫に似たしこり、すなわち腫瘤ができ、形は分葉状です。しこりの中に液状成分を持つ嚢胞(のうほう)ができるので、硬いところと弾力のある部分とが入り交じっている感じで、しこりと周囲の境界ははっきりしています。
しこりができてから数カ月で大きくなり、握りこぶし大や、それ以上になり、左右の乳房のバランスが著しく違ってきて気付くこともあります。
時には、自発痛、圧迫感、皮膚の発赤、皮下静脈の怒張(どちょう)による血管の盛り上がりなどの症状がみられます。
しこりに気が付いた場合は、乳腺科、乳腺外科を受診します。
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乳腺科、乳腺外科の医師による診断では、視診、触診で乳房の形の変化や皮膚の色の変化などをみてかなり判断できますが、乳腺線維腺腫や炎症性乳がんとの鑑別が必要ですので、マンモグラフィー(乳腺X線検査)と超音波(エコー)検査を行います。
そこで疑わしい場合は、乳腺のしこりに針を刺し、しこりの細胞を微量採取して病理学的に細胞を調べる穿刺(せんし)細胞診や、局所麻酔をしてからしこりの一部を切り取り、顕微鏡で調べる針生検を行います。悪性の場合は、転移していないか調べるため、CT(コンピュータ断層撮影法)検査やPET(陽電子放射断層撮影)検査などを行います。
乳腺科、乳腺外科の医師による治療では、手術による切除を行います。良性とされる乳腺葉状腫瘍でも、周囲の健常な乳腺組織を含めて切除しないと、同じ部位に再発を起こしやすいためです。
小さな腫瘍は、外来で局所麻酔のもとで手術できますが、大きな腫瘍になると、入院して全身麻酔のもとで切除します。切除直後はかなり乳房の変形が著しくても、圧迫されていた乳腺が次第に元通りになることが多く、人工乳腺などで形成を要することはあまりありません。
腫瘍が大きく、境界病変や悪性の場合には、乳房切除術が必要となります。
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