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■百日ぜきを早期診断する新しい検査法が登場 10歳代以上の患者増に対応 [健康ダイジェスト]

 急性の呼吸器系の感染症で、1カ月近く激しいせきが続く百日ぜきは予防ワクチンで乳幼児の患者は減りましたが、免疫効果の弱まる10歳代から上の世代で増えており、厚生労働省は来年から、全医療機関に患者の届け出を義務付ける予定です。
 百日ぜきを早期診断できる新しい検査法が昨年11月、保険適用され、流行の防止が期待されています。
 百日ぜきは、百日ぜき菌の感染によって起こり、症状は鼻水、くしゃみ、せき、微熱など。発症から1~2週間でせきが徐々にひどくなり、「コンコンコンコン」と連続する短いせきと、息を吸い込む時の「ヒューッ」と笛のような音が特徴です。
 感染症の中でも伝染率は高く、1人の患者が感染期間中に病気を移す平均患者数をみると、百日ぜきは12~21人。インフルエンザの1~3人、ノロウイルスの3~4人、風疹の6~9人より高く、麻疹(はしか)と同レベル。
 予防ワクチンは、4種混合ワクチンとして生後3カ月から接種できます。その免疫効果は一生続くと思われがちですが、中学生までに約半数で効果がなくなるという研究報告もあり、10歳代から上の世代になってかかる人が出てくるわけです。
 初めての感染なら、連続する短いせきなど特徴的な症状からわかりやすいものの、2回目の感染ではその特徴がなく発熱もないため、感染の自覚がない人が周囲に移す恐れもあります。
 感染しても、マクロライド系抗生物質で治せます。ただし、乳児では、手足のまひなど後遺症や死亡の恐れもあります。
 川崎医科大学小児科教授の尾内一信さんは、「成人の場合は長引くせきですむが、ワクチン接種前の乳幼児がかかると重症化の危険がある。保菌者として無意識に病原菌を拡散させないよう注意が必要だ」と話しています。
 感染拡大を食い止めると期待されているのが、最近、登場した新しい検査法です。これまでの診断は主に、症状から医師の主観で判定していたのに対し、新しい検査法は症状がはっきりする前に客観的データから診断でき、正確な患者数をつかむのに役立ち、潜在的な流行を防げるといいます。
 この新しい検査法は、感染後に体の中で増える百日ぜき菌の遺伝子(DNA)や、菌に対抗して体の中に作られる抗体の量を調べるもの。それぞれ発症後、増加のピークを迎える時期が違うので、検査を組み合わせて患者の状態を推測できます。
 発症初期に有効なLAMP法は、鼻の奥の粘膜に百日ぜき菌のDNAがあるか調べます。このほか、百日ぜき菌の増殖時期より遅れて増加する抗体量を調べる血液検査があります。最近、百日ぜき菌自体に反応する抗体IgMとIgAを調べるキットが登場。抗体量のピークは、IgMが発症から約2週間後、IgAが約3週間後となります。
 抗体を使う検査法は、百日ぜき菌の毒素に反応するIgGを調べる方法が一部で行われてきたが、増加ピークが発症後3~4週間なので、初期診断には使えませんでした。
 新しい検査キットの実用化に伴い、日本小児感染症学会、日本小児呼吸器学会は、百日ぜきの診断基準や検査の手順について診療指針の見直しを行いました。

 2017年7月14日(金)

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