■用語 慢性関節リウマチ [用語(ま行)]
手足を始めとする全身の関節に慢性的な炎症を生じる全身性疾患
慢性関節リウマチとは、手足を始めとする全身の関節に激しい痛みや腫(は)れを起こす疾患。単に関節リウマチとも、リウマチ様関節炎とも呼ばれます。
医学の発展した現在でも原因は不明のため、完治することは難しく、進行すると関節が変形して日常生活にも支障を来すことがあります。さらに、心臓や消化器などで血管炎を起こしたり、心筋梗塞(こうそく)や重い肺炎を引き起こすような悪性関節リウマチへ進展することもあります。
悪性関節リウマチは厚生労働省の「特定疾患治療研究事業対象疾患」、いわゆる原因が不明で治療法が確立されていない難病に指定されており、医療費の自己負担分について公的な補助を受けることができます。
慢性関節リウマチは毎年、約1万5000人が発症し、現在の日本で約70万人の患者がいるといわれています。男女比は、女性が男性の4倍以上。女性に多い疾患です。
発病する年齢の傾向は30~50歳の働き盛りの年代であるため、症状が重い場合は日常生活に支障を来すなど、発症者にとって精神的にも、経済的にも大きな負担となっています。
前述したように、慢性関節リウマチの原因は現在も解明されていませんが、本来は自分の体を守るべき免疫機能に異常が起こり、誤って自分の体を攻撃してしまうことから起こると考えられています。免疫機能に異常を起こす要因としては、慢性関節リウマチになりやすい体質(遺伝的な素因)であることや、ウイルスや細菌の感染の関与が考えられています。
慢性関節リウマチは、関節の滑膜という組織に炎症が起こり慢性化していく疾患で、まず初めに手足の指や手首に痛みと腫れが起こることが典型的な症状とされています。慢性化して進行すると、四肢の大きな関節が腫れてくるようになります。
関節の痛みや腫れは、初めに1、2個所の関節が同時に腫れ、左右の同じ場所が腫れることも特徴的です。
腫れている部分は、滑膜の炎症が起こっているために関節液の分泌が増え、水がたまったような状態になります。その部分は軟らかく、強く圧迫すると痛みがあります。タオルを絞ったりしても痛く、時には何の動作もしていないのに激しい痛みを感じることもあります。
また、体を動かし始める際にこわばりが強く、動かしにくく感じられます。特に朝起きた際によくみられるので「朝のこわばり」と呼ばれています。曲げ伸ばしをしているとこわばりは解消されますが、炎症が重い時には、こわばりが一日中続くこともあります。
関節の痛みや腫れは放置しておくと次第に炎症が重くなり、関節軟骨の破壊から骨の破壊まで進み、関節の脱臼(だっきゅう)などによって関節の変形が始まります。そうなると、痛みが激しく曲げ伸ばしも不自由になるため、筋肉を縮めたり伸ばしたりする働きも衰えて、よりいっそう関節が動かなくなって変形の度合いが強くなります。
関節の変形には慢性関節リウマチ特有のものが、いくつかあります。手指の付け根から小指側に曲がる尺側偏位(しゃくそくへんい)、白鳥の首のように曲がるスワンネック変形、親指がヒッチハイクをする時に合図する指の形に曲がるヒッチハイカー変形などです。
足の関節でも同様の変形が起こります。歩く時に体重を支えクッションの役目をしている土踏まずのアーチがつぶれたり、歩行困難になる重大な変形もみられます。
慢性関節リウマチは関節で起こるだけでなく、全身的な症状が現れる場合もあります。脱力感、疲れやすさ、体重減少、貧血などが代表的です。また、リウマチ結節といって皮膚の下にすぐ骨があるような肘(ひじ)関節の外側や後頭部などに、こぶ状の塊ができることもあります。
重症の場合には、血管の壁に炎症が起こる血管炎によって皮膚潰瘍(かいよう)、神経炎などがみられます。
慢性関節リウマチの検査と診断と治療
内科、膠原(こうげん)病(リウマチ)内科、整形外科の医師による慢性関節リウマチの検査の主なものには、リウマトイド因子(RF)、血沈、CRP(C-反応性たんぱく)、MRI(核磁気共鳴撮像法)があります。
リウマトイド因子(RF)は、体の防御反応として作られた免疫グロブリンに対する自己抗体で、血清中のリウマトイド因子の有無を調べます。慢性関節リウマチ患者で陽性を示すのは約80パーセント陽性ですが、肝硬変でも約50パーセントが陽性を示すといわれており、必ずしも陽性だからといって慢性関節リウマチとはいえないので注意が必要とされています。
また、赤血球の沈降速度を測ることで、炎症の強さを調べます。通常は1時間に10mm以下ですが、慢性関節リウマチの場合40~100mmの異常値を示します。さらに、血清中にたんぱく質の一種が増えているかを測定することで、炎症の度合いを調べます。陽性で増えている場合は慢性関節リウマチが疑われます。初期の関節の異常を発見するには、MRIによる画像診断が有効です。
慢性関節リウマチの診断基準として、アメリカリウマチ協会(ARA)(現・アメリカリウマチ学会(ACR))の「ACR改訂診断基準」が用いられています。
1)1時間以上続く朝のこわばり(主に手指)、2)3個所以上の関節の腫れ、3)手の関節(手関節、中手指節関節、近位指節関節)の腫れ、4)対称性の関節(左右同じ関節)の腫れ、5)手のエックス線写真の異常所見、6)皮下結節、7)血液検査でリウマチ反応が陽性
上記の1)から7)のうち、4項目以上を満たせば、慢性関節リウマチと診断される。ただし、1)から4)までは、6週間以上持続することが必要。
この診断基準や検査の結果、問診、全身症状の観察などから慢性関節リウマチを診断します。また、進行度を表す基準については、アメリカのスタインブロッカーによる「進行度の病気分類」と「日常動作における機能分類」があります。
原因がまだ解明されていない慢性関節リウマチは、完治させるための治療は難しく、現在は症状を軽減したり、進行を防ぐことに重点が置かれています。特に関節の痛みや腫れを放置することは、関節の変形を引き起こすことにもなるので、早期にしっかりと治療することが大切です。
慢性関節リウマチは原因が不明の疾患ですが、恐れずに前向きに付き合うことが肝心です。わずかな変化を見逃さないことが進行を防ぎ、症状の軽減にもつながります。関節の痛みや腫れがひどい炎症の激しい時に体を動かすことは、炎症を助長させることになります。炎症が激しい時には安静が第一です。
痛みや腫れがひどくなく、炎症も治まっている時には、運動機能訓練を行います。筋肉は使わないと筋力がどんどん低下し、日常生活を不自由なく過ごすことが難しくなることもあります。プールでの水中運動訓練を始め、無理のない運動で筋力を高めます。
疾患への理解、安静と運動と同時に、医師の側では、関節の痛みや炎症を抑えるために非ステロイド性抗炎症薬や副腎(ふくじん)皮質ステロイド剤などを用います。その他、抗リウマチ薬で炎症を抑えます。また、抗リウマチ薬が効かない場合は、免疫抑制薬を用いる場合があります。
滑膜の炎症が激しい場合には、滑膜切除術が行われ、関節の骨が破壊されてしまった場合には人工関節置換術などが行われます。
関節の痛みを和らげ、筋肉の緊張をとるための温熱療法、関節の動かせる範囲をゆっくりと十分に伸ばし、筋力を強化する関節可動域体操と筋力強化や、関節の変形予防、すでに変形していても残った機能を支えるための補助具などがあります。
慢性関節リウマチとは、手足を始めとする全身の関節に激しい痛みや腫(は)れを起こす疾患。単に関節リウマチとも、リウマチ様関節炎とも呼ばれます。
医学の発展した現在でも原因は不明のため、完治することは難しく、進行すると関節が変形して日常生活にも支障を来すことがあります。さらに、心臓や消化器などで血管炎を起こしたり、心筋梗塞(こうそく)や重い肺炎を引き起こすような悪性関節リウマチへ進展することもあります。
悪性関節リウマチは厚生労働省の「特定疾患治療研究事業対象疾患」、いわゆる原因が不明で治療法が確立されていない難病に指定されており、医療費の自己負担分について公的な補助を受けることができます。
慢性関節リウマチは毎年、約1万5000人が発症し、現在の日本で約70万人の患者がいるといわれています。男女比は、女性が男性の4倍以上。女性に多い疾患です。
発病する年齢の傾向は30~50歳の働き盛りの年代であるため、症状が重い場合は日常生活に支障を来すなど、発症者にとって精神的にも、経済的にも大きな負担となっています。
前述したように、慢性関節リウマチの原因は現在も解明されていませんが、本来は自分の体を守るべき免疫機能に異常が起こり、誤って自分の体を攻撃してしまうことから起こると考えられています。免疫機能に異常を起こす要因としては、慢性関節リウマチになりやすい体質(遺伝的な素因)であることや、ウイルスや細菌の感染の関与が考えられています。
慢性関節リウマチは、関節の滑膜という組織に炎症が起こり慢性化していく疾患で、まず初めに手足の指や手首に痛みと腫れが起こることが典型的な症状とされています。慢性化して進行すると、四肢の大きな関節が腫れてくるようになります。
関節の痛みや腫れは、初めに1、2個所の関節が同時に腫れ、左右の同じ場所が腫れることも特徴的です。
腫れている部分は、滑膜の炎症が起こっているために関節液の分泌が増え、水がたまったような状態になります。その部分は軟らかく、強く圧迫すると痛みがあります。タオルを絞ったりしても痛く、時には何の動作もしていないのに激しい痛みを感じることもあります。
また、体を動かし始める際にこわばりが強く、動かしにくく感じられます。特に朝起きた際によくみられるので「朝のこわばり」と呼ばれています。曲げ伸ばしをしているとこわばりは解消されますが、炎症が重い時には、こわばりが一日中続くこともあります。
関節の痛みや腫れは放置しておくと次第に炎症が重くなり、関節軟骨の破壊から骨の破壊まで進み、関節の脱臼(だっきゅう)などによって関節の変形が始まります。そうなると、痛みが激しく曲げ伸ばしも不自由になるため、筋肉を縮めたり伸ばしたりする働きも衰えて、よりいっそう関節が動かなくなって変形の度合いが強くなります。
関節の変形には慢性関節リウマチ特有のものが、いくつかあります。手指の付け根から小指側に曲がる尺側偏位(しゃくそくへんい)、白鳥の首のように曲がるスワンネック変形、親指がヒッチハイクをする時に合図する指の形に曲がるヒッチハイカー変形などです。
足の関節でも同様の変形が起こります。歩く時に体重を支えクッションの役目をしている土踏まずのアーチがつぶれたり、歩行困難になる重大な変形もみられます。
慢性関節リウマチは関節で起こるだけでなく、全身的な症状が現れる場合もあります。脱力感、疲れやすさ、体重減少、貧血などが代表的です。また、リウマチ結節といって皮膚の下にすぐ骨があるような肘(ひじ)関節の外側や後頭部などに、こぶ状の塊ができることもあります。
重症の場合には、血管の壁に炎症が起こる血管炎によって皮膚潰瘍(かいよう)、神経炎などがみられます。
慢性関節リウマチの検査と診断と治療
内科、膠原(こうげん)病(リウマチ)内科、整形外科の医師による慢性関節リウマチの検査の主なものには、リウマトイド因子(RF)、血沈、CRP(C-反応性たんぱく)、MRI(核磁気共鳴撮像法)があります。
リウマトイド因子(RF)は、体の防御反応として作られた免疫グロブリンに対する自己抗体で、血清中のリウマトイド因子の有無を調べます。慢性関節リウマチ患者で陽性を示すのは約80パーセント陽性ですが、肝硬変でも約50パーセントが陽性を示すといわれており、必ずしも陽性だからといって慢性関節リウマチとはいえないので注意が必要とされています。
また、赤血球の沈降速度を測ることで、炎症の強さを調べます。通常は1時間に10mm以下ですが、慢性関節リウマチの場合40~100mmの異常値を示します。さらに、血清中にたんぱく質の一種が増えているかを測定することで、炎症の度合いを調べます。陽性で増えている場合は慢性関節リウマチが疑われます。初期の関節の異常を発見するには、MRIによる画像診断が有効です。
慢性関節リウマチの診断基準として、アメリカリウマチ協会(ARA)(現・アメリカリウマチ学会(ACR))の「ACR改訂診断基準」が用いられています。
1)1時間以上続く朝のこわばり(主に手指)、2)3個所以上の関節の腫れ、3)手の関節(手関節、中手指節関節、近位指節関節)の腫れ、4)対称性の関節(左右同じ関節)の腫れ、5)手のエックス線写真の異常所見、6)皮下結節、7)血液検査でリウマチ反応が陽性
上記の1)から7)のうち、4項目以上を満たせば、慢性関節リウマチと診断される。ただし、1)から4)までは、6週間以上持続することが必要。
この診断基準や検査の結果、問診、全身症状の観察などから慢性関節リウマチを診断します。また、進行度を表す基準については、アメリカのスタインブロッカーによる「進行度の病気分類」と「日常動作における機能分類」があります。
原因がまだ解明されていない慢性関節リウマチは、完治させるための治療は難しく、現在は症状を軽減したり、進行を防ぐことに重点が置かれています。特に関節の痛みや腫れを放置することは、関節の変形を引き起こすことにもなるので、早期にしっかりと治療することが大切です。
慢性関節リウマチは原因が不明の疾患ですが、恐れずに前向きに付き合うことが肝心です。わずかな変化を見逃さないことが進行を防ぎ、症状の軽減にもつながります。関節の痛みや腫れがひどい炎症の激しい時に体を動かすことは、炎症を助長させることになります。炎症が激しい時には安静が第一です。
痛みや腫れがひどくなく、炎症も治まっている時には、運動機能訓練を行います。筋肉は使わないと筋力がどんどん低下し、日常生活を不自由なく過ごすことが難しくなることもあります。プールでの水中運動訓練を始め、無理のない運動で筋力を高めます。
疾患への理解、安静と運動と同時に、医師の側では、関節の痛みや炎症を抑えるために非ステロイド性抗炎症薬や副腎(ふくじん)皮質ステロイド剤などを用います。その他、抗リウマチ薬で炎症を抑えます。また、抗リウマチ薬が効かない場合は、免疫抑制薬を用いる場合があります。
滑膜の炎症が激しい場合には、滑膜切除術が行われ、関節の骨が破壊されてしまった場合には人工関節置換術などが行われます。
関節の痛みを和らげ、筋肉の緊張をとるための温熱療法、関節の動かせる範囲をゆっくりと十分に伸ばし、筋力を強化する関節可動域体操と筋力強化や、関節の変形予防、すでに変形していても残った機能を支えるための補助具などがあります。
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