■アスベスト作業2カ月、「10年以上」の要件満たさない死亡男性に労災認定 妻「主人が少し報われた」 [健康ダイジェスト]
1970年にアスベスト(石綿)を使う作業に従事し、47年後に肺がんで死亡した男性(当時65歳)について、横須賀労働基準監督署が昨年3月に労災認定しました。国は肺がんの場合の認定要件を「石綿にさらされた期間が10年以上」などとするものの、男性の作業期間は約2カ月という異例の短さでした。妻は「一生懸命働いた主人が少しは報われた」と話しています。
男性は1970年に、神奈川県内の自動車工場で石綿の吹き付け作業に当たりました。その後、地元の茨城県で開いた小料理店を約40年営み、家計を支えました。2016年夏、せきが止まらなくなって病院に行ったところ、肺がんと診断され、2017年2月に死亡しました。
妻によると、病院側から肺がんの疑いを指摘された際、石綿が関連する可能性も示唆されたものの、最終的には「たばこが原因」と判断されたといいます。
石綿は1970~1990年にかけて多く輸入され、2006年から製造や使用が禁止されました。石綿を吸って疾病を発症するまでの潜伏期間は30~50年とされます。妻は2022年になって、石綿による健康被害の救済制度があり、労災申請をできることも知って、同年2月に手続きをとりました。
石綿にかかわる労災認定について、厚生労働省は、疾病ごとに作業期間などの要件を設定していますが、医師らによる厚労省の検討会で労災と判断されることもあります。
横須賀労働基準監督署の調査書によると、検討会が男性の胸部X線写真などを分析したところ、石綿の吸引で現れる特有の症状がみられ、「製造作業で高濃度の石綿粉じんにさらされ、肺がんのリスクが高まった」と判断。同労基署が労災認定しました。
妻は、「夫は最期まで家族の生活を心配しながら亡くなった。遺族補償年金の支給を受けられるようになり、安心してくれたと思う」と振り返り、「石綿による被害が少しでも疑われる場合、病院側が労災申請の手続きを案内するようにしてほしい」と話しています。
労基署に意見書を提出するなど妻の労災申請を支援した「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」の担当者は、「作業期間が2カ月での労災認定は聞いたことがない」とし、「『たばこが原因』といわれて労災申請をあきらめる人は多いが、石綿による労災の疑いがあれば気軽に相談してほしい」と話しています。
2024年3月9日(土)
男性は1970年に、神奈川県内の自動車工場で石綿の吹き付け作業に当たりました。その後、地元の茨城県で開いた小料理店を約40年営み、家計を支えました。2016年夏、せきが止まらなくなって病院に行ったところ、肺がんと診断され、2017年2月に死亡しました。
妻によると、病院側から肺がんの疑いを指摘された際、石綿が関連する可能性も示唆されたものの、最終的には「たばこが原因」と判断されたといいます。
石綿は1970~1990年にかけて多く輸入され、2006年から製造や使用が禁止されました。石綿を吸って疾病を発症するまでの潜伏期間は30~50年とされます。妻は2022年になって、石綿による健康被害の救済制度があり、労災申請をできることも知って、同年2月に手続きをとりました。
石綿にかかわる労災認定について、厚生労働省は、疾病ごとに作業期間などの要件を設定していますが、医師らによる厚労省の検討会で労災と判断されることもあります。
横須賀労働基準監督署の調査書によると、検討会が男性の胸部X線写真などを分析したところ、石綿の吸引で現れる特有の症状がみられ、「製造作業で高濃度の石綿粉じんにさらされ、肺がんのリスクが高まった」と判断。同労基署が労災認定しました。
妻は、「夫は最期まで家族の生活を心配しながら亡くなった。遺族補償年金の支給を受けられるようになり、安心してくれたと思う」と振り返り、「石綿による被害が少しでも疑われる場合、病院側が労災申請の手続きを案内するようにしてほしい」と話しています。
労基署に意見書を提出するなど妻の労災申請を支援した「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」の担当者は、「作業期間が2カ月での労災認定は聞いたことがない」とし、「『たばこが原因』といわれて労災申請をあきらめる人は多いが、石綿による労災の疑いがあれば気軽に相談してほしい」と話しています。
2024年3月9日(土)
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