■用語 老人性乾皮症 [用語(ら行)]
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老人性乾皮(かんぴ)症とは、加齢などが原因となって、全身の皮膚が乾燥してカサカサし、表面が細かくはがれ落ちてくる疾患。
冬の寒い時期にできることが多く、中高年者に多くみられます。女性のほうが男性よりやや早い40〜50歳代から起こってきますが、強く出るのは60歳以降の男性です。
初期の症状としては、手足、特に下肢の皮膚がカサカサして脂気がなくなり、表面にウロコ状の鱗屑(りんせつ)が付着し、はがれ落ちてきます。かゆみもわずかにあるため、何となくかかずにはいられなくなり、そのために症状が悪化するという状態になり、二次的に湿疹(しっしん)の症状がみられることも多くなります。
進行すると、 亀(かめ)の甲羅のように皮膚がひび割れて、赤みが生じ、かゆみはかなり強くなります。さらに進行すると、乾燥性湿疹になり、夜中に目覚めるほどのかゆみが出ます。
種々の環境因子が、老人性乾皮症を悪化させます。第一の因子が、日本の冬の低温、低湿という気象条件。そもそも、高齢者の皮膚は皮脂腺(せん)と汗腺の働きの低下のために、皮膚の表面の脂肪分が少なくなり、水分を保つことも困難になって乾燥を防止できず、カサカサしています。これが冬にはさらにひどくなるわけで、皮膚が非常に敏感になり、非常に弱い刺激でもかゆみの原因となってしまうのです。
老人性乾皮症は、大気が乾燥する秋から冬に始まり、真冬になると症状はひどく、多くは春先まで続きます。しかし、高温、高湿で汗をかきやすい夏は、症状が軽くなり、自然に治ったりもします。
第二の悪化因子が、入浴です。高齢者は一般的に入浴が好きで、1日2回入ったり、長湯をする人が多いようです。入浴そのものはかまわないのですが、脂肪分の少ない皮膚は入浴により、さらに皮膚の表面の脂肪分が流れ落ちてしまうのです。
第三の悪化因子は、エアコンや電気毛布、電気シーツ、ホットカーペット。これらの電熱のために皮膚の水分が蒸発し、皮膚の乾燥化が進み、加温のために皮膚の表面の血行が促進されて、かゆみが増加します。
第四の因子が、下着です。高齢者は保温のためにラクダの下着を使用している人が多いようですが、直接、下着の繊維が皮膚に触ると、その刺激でかゆみを感じることがあります。
その他の悪化因子として、精神的な不安、イライラもかゆみに影響します。
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自分でできる老人性乾皮症への対処法として、かゆみの原因が皮膚のカサカサにあるため、皮膚の表面に脂肪と水分を補って、人工の保護膜を作る必要がありますので、市販の保湿剤を使います。
保湿剤として、昔はワセリンとか硼酸(ほうさん)亜鉛華軟こうなどというベタベタした軟こうを塗ったのですが、最近は尿素軟こうを使うことが多くなっています。尿素は水分と結合する力が非常に強いので、尿素を含有した軟こうを皮膚の表面に塗っておけば、空気中の水分を吸収して皮膚の表面に薄い膜を作り、皮膚のカサカサを緩和してくれます。湯上がり、まだ肌に水気が残っているうちに塗ることが、効果的です。一日に、何回塗ってもかまいません。
それでも治まらずに、かゆみや赤みがある時は、皮膚科の専門医を受診します。医師の治療では、外用剤として保湿剤を用い、かゆみの強い時に抗ヒスタミン剤の内服を併用したり、湿疹の炎症症状の強い時に副腎(ふくじん)皮質ホルモン含有軟こうを用います。ホルモン含有軟こうの長期使用は避けるべきで、強い炎症症状が治まったら、ホルモンを含まない外用剤に変えます。
次のような工夫で、皮膚の乾燥はかなり予防することができますので、スキンケアを習慣にします。
毎日入浴する場合は、よほど脂ぎった人でもない限り、せっけんでゴシゴシ洗わないほうが、皮膚にとっては安全です。せっけんは洗浄力の強いものを避け、保湿剤入りのものを使うのが、お勧めです。保湿剤入りの入浴剤もあります。ナイロンタオル、ボディソープを使用すると、皮脂が取れ過ぎて悪化することがあるので、お勧めできません。
エアコンや電気毛布、電気シーツ、ホットカーペットなどの電気器具は、室内を乾燥させる元凶です。まず使い過ぎをセーブすることですが、加湿器、ぬれタオル、湯タンポ、観葉植物、水槽などで加湿の工夫をします。ただし、加湿器はカビが発生しやすいので手入れはまめに。
ラクダの下着を使用している人は、繊維の刺激でかゆみを感じることがありますので、肌に優しい木綿の下着を下につけることが大切です。ぴったりと長めの下着で、特にひざから下を覆えば乾燥を防ぐことができます。
できるだけ皮膚をかかないように気を付け、つめは短く切ります。精神的な不安、イライラもかゆみに影響しますので、安らかな気持ちで生活を送ることも必要です。規則正しい生活を心掛け、十分な睡眠を確保し、バランスの良い食事を取ります。刺激の強い食品、辛い食品はかゆみが増すので、避けるようにします。
■用語 涙液減少症 [用語(ら行)]
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涙液減少症とは、涙液、すなわち涙の減少によって目が乾き、表面に障害を生じる疾患。角膜乾燥症、乾性角結膜炎、ドライアイとも呼ばれます。
テレビ、パソコンなどに取り囲まれて、目が酷使されてしまう現代社会では、「目が疲れやすい」、「何となく目に不快感がある」という人が、確実に増えています。視覚を担う目に不快感や違和感が生じれば、仕事や勉強を始めとした日常生活で、大変な不便を感じてしまいます。
このような疲れ目などの原因として、注目を集めているのが、目が乾く涙液減少症です。
あなたの目の不快感も、目を使いすぎたせいばかりでなく、実は涙液減少症が原因かもしれません。涙液減少症は自分では気が付きにくく、「何となく目が疲れる」といった症状で病院や診療所に行き、医師から指摘される人が多いのです。
涙が減少すると涙の役割が低下し、黒目の表面を覆う角膜と、上下のまぶたの裏側と眼球の表面から黒目の周囲までを覆う結膜が、乾きのために傷付きます。重症になると、角膜、結膜の表面に無数の傷が付きます。左右差はもちろんありますが、通常は両眼性です。
日本では涙液減少症の疾患を持つ人が多く、潜在患者は800万人いるともいわれています。放置しておくと視力低下や眼痛のもとになるので、早めに眼科の専門医に診察してもらうのが、お勧めです。
専門医による涙液減少症の検査では、シルマー試験紙という目盛りの付いた細い紙を下まぶたに挟んで、涙の染みる量を測定するシルマーテストを行い、涙の分泌低下を調べます。このほか、蛍光色素試験で角膜の傷の状態、ローズベンガル試験で結膜の傷の状態を調べます。
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涙腺(るいせん)から分泌される涙は、泣く時以外にも少しずつ出されており、目の表面の保護や、栄養分・酸素の供給、ゴミ・細菌の侵入防止といった働きをしています。
この涙が乾いてくると、眼球の前面を覆う透明な膜である角膜、結膜の上に、涙が蒸発して乾いた穴のような部分(ドライスポット)が開いてしまいます。通常であれば、そこをすぐ涙が覆い、やがて穴はふさがっていくのですが、ある一定量以上に涙が減り続けると穴は残ったままとなり、最も傷付きやすい角膜、結膜が露出して障害が生じるのが、涙液減少症なのです。
涙の質が低下したり、涙の量が少なくなる場合は、シェーグレン症候群などの涙が減少する疾患、あるいは加齢、夜間作業、大きなストレス、降圧剤や精神安定剤などの服用の影響が、涙液減少症の原因になります。
涙が蒸発しやすかったり、まばたきが少ない場合は、エアコンなどの影響で部屋が乾燥している環境、コンタクトレンズの装着、アレルギー性結膜炎の罹患(りかん)、パソコンやテレビなどの見すぎ、目の酷使などが、涙液減少症の原因になります。
ちなみに、私たちの目全体に涙をゆき渡らせてくれるのが、まばたきなのですが、パソコンなどを凝視すると、まばたきの回数は通常の1/4にもなります。
下の項目で、長期に渡って当てはまるものが5つ以上あれば、要注意。
1.目が疲れやすい 2.目やにが多く出る 3.目がゴロゴロする 4.目が乾いた感じがする 5.重たい感じがする 6.何となく目に不快感がある 7.目が痛い 8.何もしていないのに涙が出る 9.視界がかすむ 10.何となく目がかゆい 11.光がまぶしく感じる 12.なぜか目が赤い 13.涙が出ない 14.悲しい時でも涙が出ない
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涙液減少症(ドライアイ)によって、目が疲れたりするだけでなく、肩が凝ったり、頭痛を引き起こしたりと、体に変調を来します。集中力も当然低下し、仕事や勉強の能率は落ちます。
涙液減少症を予防したり、進行させないための基本は、目を乾燥させないことです。そのためのケアの一部を紹介します。「乾いているな」と感じる方は、お試しを。
目薬を上手に使う
目を乾燥させないためには、やはり目薬が手ごろ。この目薬にもいろいろな種類がありますが、最もいいのは眼科で処方してもらう目薬です。市販されている目薬を使う場合には、防腐剤が入っていないものを選ぶよう注意しましょう。
目薬は通常、開封した後に非常に細菌感染を起こしやすい構造になっていて、カビが増殖しやすいために、防腐剤が入っていることが多いのです。目薬を使用した時に「目に染みる」と感じるのは、防腐剤のせいです。
涙液減少症の場合には、目の表面に傷が付いていることが多く、また防腐剤を洗い流すだけの涙が足りないために、悪影響を及ぼす恐れもあります。よって、防腐剤が入っていないかどうかを確認して購入し、開封後は早めに使い切るようにしましょう。
病院、診療所での治療においても目薬が有効で、涙液減少症用の防腐剤を抜いた目薬や人工涙液などを使用します。目の乾燥のひどい人に対しては、涙の排水口で、下まぶたの鼻側の端にある涙点を小さなシリコンプラグや手術でふさぐ方法もあるので、眼科の専門医に相談しましょう。
何よりリラックスを
涙腺は、リラックスした時に優位になる副交感神経によってコントロールされています。従って、くつろぐことで涙がより多く出ます。
逆に、緊張していては目が乾きます。車で出掛ける時などは、余裕あるドライビングをしたいもの。運転中は無意識に緊張が高まり、まばたきの回数も減少し、さらに目が乾きます。風が目に直接当たるのも、避けましょう。
冷暖房の効いている部屋では、エアコンの風が直接当たらないようにしましょう。目が乾きやすい人は、加湿器を使ったり、ぬれタオルを干すなどして保湿に注意すればよいでしょう。
できればコンタクトレンズの使用を避ける
涙液減少症の初期の場合、コンタクトレンズを使うこともできますが、基本的には勧められません。本来、目には常に新鮮な涙が供給されていなければならないのに、コンタクトで角膜にフタをした状態では、まばたきによる涙の交換率がハードで約20パーセント、ソフトでは2~3パーセントにも低下してしまう、と見なされています。
コンタクトレンズ使用者は、防腐剤抜きの人工涙液タイプの目薬を使うように注意しましょう。保湿成分のヒアルロン酸入りの目薬も出ています。また、目を温めることでも涙液減少症が改善します。
涙液減少症(ドライアイ)用眼鏡を使用する
顔と眼鏡の透き間を、プラスチックのカバーで覆ったものや、水を含ませるスポンジが内側についたものもあります。「たかがカバー?」と侮るなかれ、スキーのゴーグルのようなものをつけると涙が蒸発しないのでよいとされている通り、かなりの効果があります。ゴミや花粉も防ぐことができます。外出用のほか、パソコン用としてもよいでしょう。
たばこの煙を避ける
たばこの煙も涙液減少症の大敵。吸っている人がいた場合は、その煙が自分の目に入らないように気を付けましょう。目は煙の粒子を洗い流そうとしますが、涙液減少症の人には相当の負担となります。自分が吸っている人は、この際、禁煙してみてはいかがですか。
パソコン作業には工夫を
パソコンの作業では、1時間したら10分間の休憩が必要で、作業中はまばたきを意識的に増やしましょう。正常では、まばたきは1分間に20回前後です。パソコンのモニターの位置を低くして、目線を下向きにするだけでも、涙の蒸発と目の乾燥が防げます。
私たち人間は、夜になると涙の出る量が少なくなり、朝にはカラカラ状態になっています。頭や体は起きていても、「目が開けられない!」という事態もあり得ます。このような時、無理をして開けると角膜、結膜に傷が付きます。目薬をさすなどするようにしましょう。
■用語 隆起型びらん性胃炎 [用語(ら行)]
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隆起型びらん性胃炎とは、びらん性胃炎の一種で、胃の粘膜表面が隆起して、中心部にびらんと呼ばれるただれた状態を浅く認める疾患。いぼ状胃炎、ゆう状胃炎、たこいぼ胃炎とも呼ばれます。
多数の隆起が現れることが多く、胃の出口近くの幽門前庭部に主として生じるほか、胃底腺(せん)、幽門腺境界領域にも生じます。
隆起の形状から、足の裏にできるたこ、いぼのような形を示すたこいぼ型、棍棒(こんぼう)型、ポリープ型(球型)、蛇行型(数珠型)に分類されます。
また、胃の粘膜表面の隆起が低めで3カ月以内の短期間に消える消失型と、隆起が高めで長期間にわたって消えない存続型とがあります。消失型をびらん性胃炎と呼び、存続型のみを隆起型びらん性胃炎と呼ぶ場合もあります。
原因としては、アルコールの摂取などの食習慣、胃酸の過分泌、ストレスなどが考えられます。ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)が原因となることは、まれです。
症状としては、特に決まったものはなく、自覚症状がない場合もあります。一般的には、上腹部の不快感やもたれ、食後の胸焼け、胃痛、吐き気や嘔吐(おうと)がみられます。
胃・十二指腸潰瘍(かいよう)を合併することもあります。
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内科、胃腸科、消化器内科、消化器外科の医師による診断では、内視鏡検査を行い、多発性で隆起性の斑(まだら)状また点状のびらんを認めれば、隆起型びらん性胃炎と確定します。場合によっては、内視鏡観察下でびらんの一部を採取して、顕微鏡で組織を調べる生検を行います。
内科、胃腸科、消化器内科、消化器外科の医師による治療では、無症状であれば経過観察となります。
症状が強ければ、アルコールといった原因物質の除去と、胃酸の分泌を抑える胃酸分泌抑制剤であるヒスタミンH2受容体拮抗(きっこう)剤、あるいはプロトンポンプ阻害剤を投与します。
なお、存続型の隆起型びらん性胃炎では長期間その変化が見られないことが多く、ケースによっては良性有茎性ポリープへ病変することもあります。
胃炎の治療には生活習慣が密接にかかわってくるため、生活習慣の改善を心掛け、再発の予防をする必要もあります。
食事を抜くと胃腸の運動に変化が起こり、胃酸の刺激を受けやすくなったり、胃酸が出すぎたりします。きちんとした食生活に努め、刺激性の強い食べ物の摂取を控えます。塩辛い食べ物、甘すぎる食べ物、冷たすぎる飲み物、熱すぎる飲み物、炭酸飲料などは控えるようにします。コーヒー、お茶などカフェインを多く含む飲み物には、胃粘膜を刺激する働きがあり、特に空腹時には控えたほうがいいようです。
十分な睡眠時間の確保は、胃炎の再発防止に欠かせません。睡眠不足が続くと夜間に胃酸の分泌が促され、胃の粘膜に悪影響を与えます。睡眠不足自体が、ストレスの原因にもなります。
運動は血行を促進し、消化管の機能を活発にします。また、ストレスの発散にも有効です。休養や運動を含め、ゆとりあるライフスタイルを心掛けることも、再発防止には重要です。
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■用語 リンチ症候群 [用語(ら行)]
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リンチ症候群とは、大腸がんや子宮体がん、胃がん、腎盂(じんう)がん、尿管がんなど多種類のがんが異時性、あるいは同時性に発症する疾患。遺伝性非ポリポーシス大腸がんとも呼ばれます。
リンチ症候群は、遺伝性大腸がんの一つです。遺伝性大腸がんは、血縁者の中にがんにかかる人が何人もおり、遺伝的な要因が強く影響して発症したと考えられる大腸がんです。
がんなどの腫瘍(しゅよう)は、遺伝的な要因である親から受け継いだ遺伝子の情報と、環境的な要因である食生活、生活習慣、生活環境などが関係し合って発症すると考えられています。大腸がん全体の約5〜10パーセントが、遺伝性大腸がんであると見なされています。
遺伝性大腸がんの一つであるリンチ症候群は、常染色体優性遺伝し、性別に関係なく、子供(次世代)に50パーセントの確率で遺伝します。その遺伝子の変異を持つ子供(次世代)では、約80パーセントが生涯の間に大腸がんを発症します。
大腸がん全体の約2〜5パーセントが、リンチ症候群であると見なされ、最も頻度が高い遺伝性腫瘍の一つとされています。
原因としては、遺伝子を含むDNA(デオキシリボ核酸)が細胞分裂の際に複製される時に起きた間違いを見付けて、直すミスマッチ修復遺伝子(MSH2・MLH1・MSH6・PMS1・PMS2)の生殖細胞系列が変異し、その働きがうまく行われないことによります。
リンチ症候群は、比較的若年の50歳未満で発症します。平均発症年齢は43歳〜45歳と考えられ、20歳未満での発症は比較的少数です。
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消化器科などの医師によるリンチ症候群の診断では、ミスマッチ修復遺伝子の生殖細胞系列の変異が決め手となりますが、家族歴から強くリンチ症候群が疑われる場合でも必ず変異が見付かるわけではありません。
大腸がんや子宮体がんを若い年齢で発症する可能性が高いため、未発症で遺伝子変異を持つ人や、家系内でリスクが高いと考えられる人については、早い時期から大腸内視鏡検査や、婦人科の受診による定期的な検診を開始することが大切となります。また、胃がんや腎盂がん、尿管がんの検診も行います。
発症前の大腸全摘出術は一般に行われていませんが、大腸がんを発症した際には多発がんの発症を視野に入れ、大腸亜全摘出術を検討することもあります。
また、一度がんを発症して治療した後も定期検診(サーベイランス)を行い、新たに発症するかもしれないがんの早期発見に努める必要があります。