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■大規模なオゾンホール、北極にも 今春観測、紫外線増加の恐れ [健康ダイジェスト]

 北極の上空で今春、南極のオゾンホールに匹敵する大規模なオゾン層の破壊が起きたことが、国立環境研究所(茨城県つくば市)や米航空宇宙局(NASA)ジェット推進研究所など9カ国の国際研究チームの調査で判明しました。
 オゾンホールは紫外線を食い止める成層圏のオゾン層が破壊された領域で、北極で観測されたのは2005年以来6年ぶり。
 北半球は緯度が高い地域にも人口が多く、生物に有害な紫外線の増加が懸念されます。英科学誌ネイチャー(電子版)に、2日付で論文が掲載されました。
 国際研究チームは、測定機器を積んだ気球や人工衛星を使って観測。その結果、北極圏上空18~29キロの成層圏で3月下旬から4月上旬、もともとあったオゾンのうち最大で80パーセントが失われました。南極ほど濃度は薄くなっていませんでしたが、北極はもとの濃度が高いため、破壊された量は南極のオゾンホールに匹敵しました。
 範囲は長軸約3000キロ、短軸約1000キロの楕円形で、3~4月にスカンジナビア半島やロシア北部で成層圏のオゾンの濃度が低くなった領域が広がり、人の居住する地域でも紫外線が増加したとみられます。オゾンが薄い領域は4月下旬、破片のようにちぎれて日本の本州付近上空も通過しました。
 オゾンの破壊は、氷点下78度以下で爆発的に進行するのが特徴。冬期に極寒になる南極ではオゾンホールが毎年出現するのに対して、それほど寒くはならない北極では数年に1度の出現にとどまり、南極に匹敵する大規模なオゾンホールはできないと考えられていましたが、今年は北極圏上空の成層圏に、過去30年間で最強の低気圧性の極渦(きょくうず)が発生し、氷点下80度以下の低温状態が長期に渡って続いたことが原因とされます。
 オゾン破壊の元凶は、冷蔵庫やエアコンの冷媒に使われていたフロン類の分解で生じる塩素化合物。1989年に発効したモントリオール議定書によってフロン類の利用は厳しく規制され、極域上空の塩素の総量は2000年以降減少に転じました。今では、オゾンホールの規模は成層圏の気温に左右されることが知られています。
 もう1つの原因と考えられているのが、温暖化ガスの増加。温暖化ガスでもあるフロンは減っていますが、それ以上に二酸化炭素などの温暖化ガスが増えています。地表から上空約1万メートルまでの対流圏で温暖化ガスの濃度が高まると、その上にある成層圏は逆に寒冷化する傾向があり、高層気象観測でもこの現象は確かめられています。
 20世紀後半からの温暖化ガスの急増と歩調を合わせるように、北極のオゾンホールの規模は次第に大きくなっています。
 国立環境研究所の中島英彰室長は、「増減の周期は一定ではないが、何年後かに出現するオゾンホールは今年以上に広がり、オゾンホールの破片が日本にもたらす影響も大きくなるだろう。紫外線を遮るオゾン層がなくなると健康影響も懸念される。今後も監視が必要だ」と警戒しています。

 2011年10月3日(月)




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