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■アスベストで中皮腫発症、鉄が体内で過剰状態 名古屋大が解明 [健康ダイジェスト]

 アスベスト(石綿)によって中皮腫を発症する過程で、体内で鉄が過剰な状態になっていることを、名古屋大学大学院医学系研究科の豊国伸哉教授(生体反応病理学)らの研究チームが、ラットを使った実験で発見しました。
 建材などに含まれるアスベストは劣化しにくいため、長期間に渡って空気中や水中に存在し、人間の体内に入るとほとんど分解されず、肺などに蓄積して、がん化します。大量のアスベストを日常的に吸った際に起こる石綿肺、より少ない曝露でも起きる肺がん、肺を取り囲む胸膜などに悪性の腫瘍ができる中皮腫が、主な病気です。
 中皮腫の治療法は確立されておらず、早期発見でなければ治癒は難しいと見なされています。
 豊国教授は、「中皮腫になると平均で7カ月余りで死亡するといわれているが、将来的には、何らかの方法で鉄分を取り除くことできれば、新たな予防や治療につながると期待できる」と話しています。
 鉄は成人1人の体内に4グラムほどあり、うち60パーセントは赤血球で酸素を運ぶ役割があるタンパク質「ヘモグロビン」の構成成分で、量が過剰になるとがん細胞や細菌などを攻撃する「活性酸素」を発生する化学反応の触媒になるといいます。
 研究チームは、商業用に使われた3種類のアスベストを腹腔内に投与したラットに、触媒作用を強める薬剤をさらに投与。その結果、どのアスベストでも中皮腫の発生が何もしない時より約2カ月早くなりました。
 この中皮腫を特殊な方法で解析すると、ほとんどの腫瘍で人間の中皮腫でも60パーセントの頻度でみられるがん抑制遺伝子の欠損がみられました。この欠損は、鉄が過剰にある状態による発がんとの関連が指摘されているといいます。さらに周辺の臓器に含まれる鉄の量を測定すると、3種類のアスベストすべてで鉄が沈着していることを確認しました。
 アスベストは2006年に使用が全面的に禁止されたものの、健康被害が現れるまでに長期間に渡る潜伏期間があるとされていることから、日本では今後40年で10万人以上の人が中皮腫で死亡するという専門家の試算もあります。
 研究成果は4日、英科学誌「ジャーナル・オブ・パソロジー」の電子版に掲載されました。

 2012年8月4日(土)




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