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■国立がん研究センター、希少がんの治療薬を開発へ 中外製薬など製薬11社と共同で [健康ダイジェスト]

 国立がん研究センター中央病院(東京都中央区)は中外製薬や小野薬品工業など製薬11社と共同で、脳腫瘍の一種を始めとして有効な薬がない希少がんの治療薬を開発します。
 今秋から患者のゲノム(全遺伝情報)を網羅的に解析し、遺伝子などの異常に合わせて最適な薬を探ります。患者数が極端に少ないといった理由で新薬の開発が遅れていますが、遺伝子変異が多くのがんで共通するとの見方があります。幅広く使える新薬の実現も見据えて、産学が連携します。
 新薬の開発には、アステラス製薬や武田薬品工業、エーザイ、杏林製薬、第一三共、大鵬薬品工業、ノバルティスファーマ、ファイザー、ブリストル・マイヤーズスクイブも加わります。
 希少がんは脳腫瘍の一種のグリオーマや軟部肉腫のほか、肺がんや乳がんなどのうち特殊な組織のタイプ、原因不明がんを含み、約200種類あります。それぞれ年間の発症者数が10万人当たり6人未満といいます。
 国立がん研究センター中央病院は今秋から、年間100人の希少がん患者の遺伝子を調査。特定の遺伝子やタンパク質に異常がある人を対象に、10種類程度の治療薬候補をもとに臨床試験(治験)を始めます。今年度内に、西日本の研究施設として京都大学医学部附属病院も参加する予定です。
 希少がんの治療薬は開発に力を入れるだけの市場がないとされ、製薬会社も積極的ではありませんでしたが、ゲノム解析の技術が進歩し、がんの種類にかかわらず、その原因となる遺伝子変異が見付かる例も出てきました。
 複数の希少がんに共通する遺伝子変異に効く薬ができれば、対象の患者数は増えます。すべての希少がんを合わせると、患者数はがん全体の約15%を占めるといいます。希少がん以外のがんにも有効ならば、市場はさらに広がります。
 こうしたことから、製薬各社は国立がん研究センター中央病院と前向きに連携します。同センターは2014年、「希少がんセンター」を立ち上げ、年間1000~1500人の希少がん患者を診ています。2015年からは遺伝子検査室を設け、ゲノムをもとに患者一人ひとりに合う医療に取り組んでいます。
 同センターの中釜斉理事長は、「希少がん患者の全体的把握は困難を極め、薬の開発も遅れている。積極的に新しい薬を開発していきたい」としています。

 2017年7月31日(月)

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■乳がん検診、高濃度乳房の見逃しリスク通知へ 厚労省が体制整備 [健康ダイジェスト]

 厚生労働省は乳がん検診で異常を見付けにくい「高濃度乳房」と判定された場合、受診者に知らせる体制を整備する方針を決めました。病気ではないが、がんの見逃しリスクが高くなることを伝え、注意を促すのがねらいい。
 本年度中にも通知方法を定めた指針をまとめ、自治体が行う乳がん検診で活用してもらいます。
 高濃度乳房は、日本人女性の約4割を占めるとされ、特に30~40歳代の若い女性に多くみられます。乳がんが検診で見逃される一因となっているため、患者団体から通知するよう要望が出ていました。
 乳房は乳腺濃度が高い順に、「高濃度」「不均一高濃度」「乳腺散在」「脂肪性」の4タイプに分けられます。乳がん検診で標準的に使われているマンモグラフィー検査(乳房エックス線撮影検査)では、乳腺もがんも白く写るため、高濃度だと見分けにくくなります。
 国の現在の乳がん検診指針は、本人に知らせるのは「要精密検査」か「異常なし」という結果のみで、乳房タイプの通知までは求めていません。一部市町村は独自に、乳がん検診の受診者に高濃度など乳房タイプを通知しています。

 2017年7月31日(月)

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■メタボ検診、初めて受診率が50%を超す 約2706万人が2015年度に受診 [健康ダイジェスト]

 40~74歳を対象とした特定健康診査(メタボ健診)の2015年度の受診率が50・1%となり、2008年度の開始以来、初めて50%を超えたことが30日、厚生労働省のまとめで明らかになりました。
 ただ、国は生活習慣病の予防に向け受診率70%を目標に掲げており、達成にはなお遠い状況です。
 メタボ健診では腹囲が男性なら85センチ、女性なら90センチ以上で、血圧や血糖などの値が基準を超えるとメタボリック症候群と判定します。2015年度の対象者は約5396万人で、このうち受診したのは約2706万人。受診率は前年度の48・6%から1・5ポイント増えました。
 公務員らが加入する共済組合では75・8%、大企業の社員ら向けの健康保険組合では73・9%と、目標の受診率70%を超えました。
 一方で、中小企業の従業員らが加入する協会けんぽは45.6%、市町村が運営し自営業や無職の人らが入る国民健康保険は36・3%で、いずれも前年度より上昇したものの、低迷しています。
 受診率の高い共済組合や健保組合でも、加入者のうち配偶者ら家族の受診率は40%台にとどまっています。
 健診の結果、心筋梗塞や脳卒中の危険性が高まるとされるメタボリック症候群やメタボ予備軍と指摘され、特定保健指導が必要となったのは約453万人。このうち実際に指導を受けたのは約79万人の17・5%で、こちらも目標の45%に届きませんでした。

 2017年7月31日(月)

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■用語 心室頻拍 [用語(さ行)]

[バー]心室の一部から連続して起こる電気刺激によって頻脈が現れる病態
 心室頻拍とは、心室内で電気刺激が連続して発生したり、電気刺激が回る回路ができたりすることによって、心臓の拍動が異常に速くなる頻脈を起こす不整脈の一種。
 正常な心臓では、右心房付近にある洞結節(どうけっせつ)から1分間に60~100回の電気刺激が発生して、心臓内部の上半分である右心房、左心房、心臓内部の下半分である右心室、左心室を規則正しく収縮させることで拍動を起こし、心臓は絶え間なく全身に血液を送り出しています。
 驚いた時などには一時的に拍動数は跳ね上がりますが、高くても1分間に140〜160回くらいの数値からゆっくりと下がっていき、正常値に収まっていくのが普通の状態です。
 心室頻拍は、1分間当たりの拍動が100~250回という非常に速い発作性の頻脈を示します。
 発作性の頻脈の持続時間が30秒以内か否かで、非持続性心室頻拍と持続性心室頻拍とに分類されます。もともと心臓に疾患がなく、30秒以内に自然停止する非持続性心室頻拍なら、心配ないこともあります。
 しかし、心臓に疾患があったり、30秒以上持続する場合は、頻脈が遅ければ症状が少ないこともある一方で、頻脈が速いと送り出される血液量が少なくなって血圧の低下を招き、さまざまな症状が現れます。また、心室頻拍からさらに悪性度が高く、1分間当たりの拍動が300~600回と極端に速くなる心室細動に移行することもあります。
 心室頻拍には、もともと心臓疾患があって起こる場合と、心臓にはっきりした疾患がなくても起こる場合とがあります。心室頻拍を引き起こす可能性のある代表的な心臓病としては、心筋梗塞(こうそく)、拡張型心筋症、催不整脈性右室心筋症、QT延長症候群(家族性突然死症候群)、心臓サルコイドーシスなどがあります。一方、はっきりした心臓の疾患がないのに起こる心室頻拍のことを、特に特発(突発)性心室頻拍といいます。
 心室の筋肉が変性し、異常に速い電気刺激が連続して発生するようになったり、心室の筋肉内に電気刺激が比較的大きく旋回する異常な電気回路ができたりすることが、心室頻拍が起こる仕組みです。
 非持続性心室頻拍の代表的な症状は、脈が飛ぶような感じや、脈が早いタイミングで打つような感じなどです。持続性心室頻拍では、心臓がドキドキする動悸(どうき)感などの症状を自覚します。動悸は突然始まり、停止する時も突然なことが特徴です。動悸とともに、胸痛や胸部不快感を感じることもあります。
 持続性心室頻拍で頻脈が速いと、送り出される血液量が少なくなって血圧が低下するため、めまい、ふらつき、失神などの脳虚血症状が現れます。極端に血圧が低下するとショックの状態に陥り、心臓突然死に至る確率が高くなるので、救急外来を受診し、緊急の治療を受けるべきです。
 心室頻拍は命にかかわるものなので、まずは毎年の健康診断をきちんと受けること、そして健康診断の心電図などで、無症状あるいは軽度の症状の非持続性心室頻拍を指摘されたり、胸の自覚症状があった際には、悪性度の判定のため専門医の診察を受けることが勧められます。
[バー]心室頻拍の検査と診断と治療
 循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による診断では、定期的に心電図をとって経過を観察するだけでよい心室頻拍から、厳重な緊急治療を要する心室頻拍まで幅広いので、検査によってその悪性度を特定し、治療の必要性を決定します。
 普通の心電図検査を中心に、胸部X線検査、血液検査、さらにホルター心電図、運動負荷検査、心臓超音波検査などを行い、場合によっては心臓カテーテル検査や心臓電気生理学検査を行います。
 ホルター心電図は、携帯式の小型の心電計を付けたまま帰宅してもらい、体を動かしている時や、寝ている時に心電図がどう変化するかをみる検査。長時間の記録ができ、不整脈の数がどれくらいあるか、危険な不整脈はないか、症状との関係はどうか、心臓疾患は出ていないかなどがわかります。とりわけ、日中に発作が起こりにくい不整脈を発見するのに効果を発揮します。
 運動負荷検査は、階段を上り下りしたり、ベルトの上を歩いたり、自転車をこいでもらったりする検査。運動によって不整脈がどのように変わるか、心臓疾患が出るかどうかをチェックします。
 心臓超音波検査は、心臓の形態や動きをみるもので、心臓に疾患があるかどうかが診断できます。
 循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による内科治療では、自然停止しない持続性心室頻拍に対して、抗不整脈薬という拍動を正常化する働きのある薬を中心に行います。ただし、不整脈そのものを緩和、停止、予防する抗不整脈薬での治療は、症状を悪化させたり、別の不整脈を誘発したりする場合があり、慎重を要する治療法であるといえます。
 抗不整脈薬のほかに、抗血栓薬など不整脈の合併症を予防する薬なども用います。
 循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による外科治療では、自然停止しない持続性心室頻拍や、原因となるはっきりした心臓疾患のない特発(突発)性心室頻拍に対して、体内に挿入したカテーテル(細い管)の先端から高周波を流し、心臓の過電流になっている部位を焼灼(しょうしゃく)して正常化する、カテーテル・アブレーション法(経皮的カテーテル心筋焼灼術)という新しい治療法を行います。この治療法は、心臓の電位を測って映像化する技術が確立したことで実現しました。
 薬物療法に応じず、血行動態の急激な悪化を伴う持続性心室頻拍に対しては、直流通電(DCショック)を行います。また、慢性的に重症心室頻拍の危険が持続する症状に対しては、植え込み型除細動器(ICD)の埋め込み手術も考慮されます。植え込み型除細動器は、致命的な不整脈が起きても、それを自動的に感知して止めてしまう装置です。
 原因となる心臓疾患がある場合は、それに対する根本的な治療も行います。
 一般的な心室頻拍の予防には、規則正しい生活とバランスのとれた食事を心掛け、ストレスの低減、睡眠不足を避けることなどが大切です。喫煙や過度の飲酒も控えます。

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