■わきがの原因菌だけを死滅させる酵素の合成に成功 大阪公立大学など

　大阪公立大学などは汗をかいた時に強いにおいが出る「腋臭症（えきしゅうしょう）」、いわゆる「わきが」の原因になる菌を特定し、ピンポイントに死滅させる酵素を合成しました。従来の抗菌剤は有用な菌まで殺菌する問題がありました。腋臭症を治療する塗り薬やデオドラントの開発につなげます。
　日本人の１割が患う腋臭症は、わきの下などにあるアポクリン腺という汗腺が固有の物質を分泌するのが原因です。分泌物自体は無臭ですが、皮膚にいる菌が分解して揮発性の臭い物質に変えます。原因の菌はある程度特定されていたものの、詳しい仕組みは不明でした。
　研究チームは20人のわきの下からサンプルを採取し、そこにいる細菌の遺伝情報を調べました。その結果、臭い物質の生成に複数の菌がかかわることや、「S．ホミニス」というブドウ球菌の仲間が主要な役割を果たすことがわかりました。
　S．ホミニスを死滅させる酵素も合成しました。一般的な抗菌剤は人の皮膚を湿潤に保つ菌なども殺菌しますが、この酵素はS．ホミニスだけに働くために腋臭症の塗り薬に使えます。今後は効率的な合成方法を開発します。
　東京大学やマンダムとの共同研究で、成果をまとめた論文をオランダの学術情報大手エルゼビアの科学誌「ジャーナル・オブ・インベスティゲイティブ・ダーマトロジー」に掲載しました。

　２０２４年５月１０日（金）

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