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■骨の形成を促すたんぱく質を発見 骨粗鬆症治療に期待 [健康ダイジェスト]

 骨の中が空洞化する「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」など骨量が減る病気について、その減少をくい止めるたんぱく質を、東京医科歯科大の高柳広教授(骨免疫学)らが見付けました。国内に患者が1300万人いるとされる骨粗鬆症や関節リウマチなど、骨の病気への治療の応用が期待されます。
 骨は硬く安定した組織に見えますが、実際には皮膚などと同じように新陳代謝を繰り返しており、古くなった骨が破骨細胞により破壊(骨吸収)され、新たな骨が骨芽細胞によって作製(骨形成)されるサイクルが繰り返されることで、丈夫さやしなやかさが維持されています。
 健康な状態ではこのバランスは均衡しており、骨の量は一定に保たれていますが、加齢や閉経などの要因でこのバランスが崩れ、骨吸収が骨形成を上回ると骨が空洞化して骨粗鬆症になったり、逆の場合は骨が密になる「大理石骨病」などを引き起こします。
 現在、骨粗鬆症の治療では骨吸収を抑える薬剤が主に使用されていますが、この場合、骨形成も同時に抑制されてしまうことがあり、骨吸収と骨形成の双方を制御し、骨量を回復させる薬剤、治療法の開発が望まれています。
 高柳教授らは、神経細胞が回路を作る過程を制御することや、免疫細胞であるT細胞の抑制にかかわることが知られていた「セマフォリン3A」(セマ3A)というたんぱく質が骨芽細胞から産生され、骨芽細胞自身と破骨細胞の両者に働き掛けることにより、骨吸収の抑制と骨形成の促進という2つの作用を同時に持ち合わせることをマウスにおいて明らかにしました。
 セマフォリン3Aの機能を失ったマウスでは、骨吸収が促進し骨形成が低下した結果、骨量の異常な低下がみとめられました。また、骨に穴を開けてその再生過程を検証する骨再生モデルマウスや、骨粗鬆症モデルマウスにセマフォリン3Aを投与すると、骨の再生を促進し、骨の減少を食い止めることができました。
 さらに、老化するにつれて、骨量が減っているマウスの血液を調べたところ、セマフォリン3Aの濃度が比例して減っていました。
 今回の発見により、骨粗鬆症や関節リウマチ、骨折などの新しい治療法の開発つながることが期待され、臨床診断の指標として利用できる可能性もあるといいます。

 2012年4月27日(金)




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