■病気 胆石症 [病気(た行)]
激痛、発熱、黄疸が主症状
胆石症とは、胆道内に胆汁の成分が固まって、結石ができる疾患です。
胆汁を生成するのは肝臓で、胆汁を濃縮して貯蔵する胆嚢(たんのう)から胆管を通して、十二指腸に分泌して腸の消化吸収を助け、不用な脂溶性の老廃物を体外に排出します。胆嚢と胆管を合わせて胆道といい、この胆道に胆汁中の成分が結晶となり、固体化し、やがて結石ができるのが胆石症で、胆嚢内にできたものを胆嚢胆石、 胆管にできたものを胆管胆石といいます。
胆石症の典型的な症状は、上腹部から右脇(わき)腹にかけて突然、激痛が襲う疝痛(せんつう)発作。疝痛とは腹部内臓の疾患に伴う症候で、痛みは背中や胸に広がることもあり、発作の多くは数分から数十分間隔で、波状的に襲ってきます。しかし、人によっては軽い上腹部痛だけのことも、まれではありません。
また、胆石がありますと、細菌の感染が起こりやすくなります。胆石の種類は主成分によってコレステロール系結石と、ビリルビン系結石に大きく分けられていますが、特にビリルビン系結石では細菌感染がその原因となっているので、炎症が加わって発熱を伴うことが少なくありません。
この場合、胆石胆嚢炎と呼ばれています。発熱も典型的な場合には、38℃以上の高い熱が突然現れ、全身に震えがくることがあります。しかし、微熱程度のこともまれではなく、腹痛を伴わない場合には、発熱の原因をはっきりさせることが困難な場合もあります。
胆管の結石では、細い胆管が結石によって閉塞(へいそく)されて、胆汁の流れが障害されるため、黄疸(おうだん)が出て皮膚などが黄色になります。
増加傾向にある胆石保有者
日本人の胆石保有率は、食生活の欧米化による脂肪の摂取量の増加 とともに、年々増える傾向にあります。しかも、加齢とともに胆石を持っている人は増え、40~50歳代で4パーセント前後、70歳代では10~20パーセント、全人口の15~20パーセントの人に胆石があると、現在、推測されています。
ちなみに、胆石のうちコレステロール系結石が80パーセント、ビリルビン系結石が10パーセント前後の割合を示しており、コレステロール系結石の場合は1対2の割合で、男性より女性に多い傾向が見られます。
以前には、コレステロール系結石よりもビリルビン系結石が多く見られ、現在でも、高齢者や地方に住む人の結石はなお、ビリルビン結石が多いといわれています。
コレステロール系結石は、胆汁中のコレステロールが結晶になったものなので、肥満や過食、アンバランスな食生活、ホルモンや薬の作用、ストレスなどの生活習慣が影響しています。
胆汁中のコレステロールは通常、胆汁酸や、りん脂質(特にレシチン)など、ほかの胆汁成分が溶け込んだ状態で存在しており、固形状になっていません。しかしながら、胆汁中のコレステロールの量が異常に多くなると、その一部が結晶となり、それを核としてコレステロールが次々と凝集し、結石を作ります。胆汁中の胆汁酸やレシチンの割合が少なくなっても、全体のバランスが崩れて結石ができやすくなります。
ビリルビン系結石は、黄褐色や黒っぽい色の色素結石で、胆汁の成分であるビリルビン(胆汁色素)に細菌などが作用してできたものです。
胆汁中のビリルビンは通常、水に溶けやすい状態で存在しています。しかしながら、胆道などに細菌感染が起こると、細菌の持っている特殊な酵素によってビリルビンが水に溶けにくい状態となり、カルシウムなどと結合して結晶を作り、沈殿して、結石を作ります。
食生活などの改善で予防する
胆石症では、早期発見が重要となってきます。胆管にできた結石の場合、石が小さくても胆汁の流れを妨げるので、症状が出やすくなります。胆嚢にできた結石の場合、症状が出ないこともあります。胆石を大きくせずに疝痛発作を未然に防ぐには、早めに発見して、薬などの治療を受けることが大切です。
この点、健康診断では、肝臓の検査や超音波検査、CT検査で、胆石を見付けることができるので、年に一度は、生活習慣病予防健診を受けるように心掛けたいものです。
医師による胆石症の治療では、内科的な方法と胆嚢を切除する外科手術があります。
胆嚢内に1・5~2センチ以内で、数個程度のコレステロール系結石が存在しているような場合には、胆石溶解作用のあるウルソデオキシコール酸(胆汁酸成分の一つ)を服用していると、溶けて消失することもあります。ただし、6カ月から1年くらいの期間、服用しなければなりません。
胆嚢内に大きな胆石や、多数の胆石がある場合には、体の外から特殊な衝撃波を胆嚢に当て、胆石を小さく壊し、その後に胆石溶解薬を服用して治す方法もあります。
二つの方法は、コレステロール系結石には有効ですが、ビリルビン系結石の場合には効果は上がりにくく、外科手術が必要となります。最近では、開腹をしないで、腹腔(ふくくう)鏡下に胆嚢を切除する方法が、多くの病院で行われています。胆管結石もあまり大きくないものは、内視鏡とともに十二指腸から胆管に破砕管を挿入し、胆石を小さく壊して除去する方法も行われています。
胆石症は、生活習慣の改善によって予防することができます。以下の項目に気を付けることが、お勧めです。
○食べ過ぎ、飲み過ぎを避ける。
○食事は規則的にとる。
○ゆっくりと、よくかんで食べる。
○栄養のバランスに気を付ける。
○脂肪分を控える。
○食物繊維を十分にとる。
○精神的ストレスをためない。
○十分に休養をとる。
詳しい病気の解説は四百四病の事典(http://ksjuku.com/jiten.html)へどうぞ
胆石症とは、胆道内に胆汁の成分が固まって、結石ができる疾患です。
胆汁を生成するのは肝臓で、胆汁を濃縮して貯蔵する胆嚢(たんのう)から胆管を通して、十二指腸に分泌して腸の消化吸収を助け、不用な脂溶性の老廃物を体外に排出します。胆嚢と胆管を合わせて胆道といい、この胆道に胆汁中の成分が結晶となり、固体化し、やがて結石ができるのが胆石症で、胆嚢内にできたものを胆嚢胆石、 胆管にできたものを胆管胆石といいます。
胆石症の典型的な症状は、上腹部から右脇(わき)腹にかけて突然、激痛が襲う疝痛(せんつう)発作。疝痛とは腹部内臓の疾患に伴う症候で、痛みは背中や胸に広がることもあり、発作の多くは数分から数十分間隔で、波状的に襲ってきます。しかし、人によっては軽い上腹部痛だけのことも、まれではありません。
また、胆石がありますと、細菌の感染が起こりやすくなります。胆石の種類は主成分によってコレステロール系結石と、ビリルビン系結石に大きく分けられていますが、特にビリルビン系結石では細菌感染がその原因となっているので、炎症が加わって発熱を伴うことが少なくありません。
この場合、胆石胆嚢炎と呼ばれています。発熱も典型的な場合には、38℃以上の高い熱が突然現れ、全身に震えがくることがあります。しかし、微熱程度のこともまれではなく、腹痛を伴わない場合には、発熱の原因をはっきりさせることが困難な場合もあります。
胆管の結石では、細い胆管が結石によって閉塞(へいそく)されて、胆汁の流れが障害されるため、黄疸(おうだん)が出て皮膚などが黄色になります。
増加傾向にある胆石保有者
日本人の胆石保有率は、食生活の欧米化による脂肪の摂取量の増加 とともに、年々増える傾向にあります。しかも、加齢とともに胆石を持っている人は増え、40~50歳代で4パーセント前後、70歳代では10~20パーセント、全人口の15~20パーセントの人に胆石があると、現在、推測されています。
ちなみに、胆石のうちコレステロール系結石が80パーセント、ビリルビン系結石が10パーセント前後の割合を示しており、コレステロール系結石の場合は1対2の割合で、男性より女性に多い傾向が見られます。
以前には、コレステロール系結石よりもビリルビン系結石が多く見られ、現在でも、高齢者や地方に住む人の結石はなお、ビリルビン結石が多いといわれています。
コレステロール系結石は、胆汁中のコレステロールが結晶になったものなので、肥満や過食、アンバランスな食生活、ホルモンや薬の作用、ストレスなどの生活習慣が影響しています。
胆汁中のコレステロールは通常、胆汁酸や、りん脂質(特にレシチン)など、ほかの胆汁成分が溶け込んだ状態で存在しており、固形状になっていません。しかしながら、胆汁中のコレステロールの量が異常に多くなると、その一部が結晶となり、それを核としてコレステロールが次々と凝集し、結石を作ります。胆汁中の胆汁酸やレシチンの割合が少なくなっても、全体のバランスが崩れて結石ができやすくなります。
ビリルビン系結石は、黄褐色や黒っぽい色の色素結石で、胆汁の成分であるビリルビン(胆汁色素)に細菌などが作用してできたものです。
胆汁中のビリルビンは通常、水に溶けやすい状態で存在しています。しかしながら、胆道などに細菌感染が起こると、細菌の持っている特殊な酵素によってビリルビンが水に溶けにくい状態となり、カルシウムなどと結合して結晶を作り、沈殿して、結石を作ります。
食生活などの改善で予防する
胆石症では、早期発見が重要となってきます。胆管にできた結石の場合、石が小さくても胆汁の流れを妨げるので、症状が出やすくなります。胆嚢にできた結石の場合、症状が出ないこともあります。胆石を大きくせずに疝痛発作を未然に防ぐには、早めに発見して、薬などの治療を受けることが大切です。
この点、健康診断では、肝臓の検査や超音波検査、CT検査で、胆石を見付けることができるので、年に一度は、生活習慣病予防健診を受けるように心掛けたいものです。
医師による胆石症の治療では、内科的な方法と胆嚢を切除する外科手術があります。
胆嚢内に1・5~2センチ以内で、数個程度のコレステロール系結石が存在しているような場合には、胆石溶解作用のあるウルソデオキシコール酸(胆汁酸成分の一つ)を服用していると、溶けて消失することもあります。ただし、6カ月から1年くらいの期間、服用しなければなりません。
胆嚢内に大きな胆石や、多数の胆石がある場合には、体の外から特殊な衝撃波を胆嚢に当て、胆石を小さく壊し、その後に胆石溶解薬を服用して治す方法もあります。
二つの方法は、コレステロール系結石には有効ですが、ビリルビン系結石の場合には効果は上がりにくく、外科手術が必要となります。最近では、開腹をしないで、腹腔(ふくくう)鏡下に胆嚢を切除する方法が、多くの病院で行われています。胆管結石もあまり大きくないものは、内視鏡とともに十二指腸から胆管に破砕管を挿入し、胆石を小さく壊して除去する方法も行われています。
胆石症は、生活習慣の改善によって予防することができます。以下の項目に気を付けることが、お勧めです。
○食べ過ぎ、飲み過ぎを避ける。
○食事は規則的にとる。
○ゆっくりと、よくかんで食べる。
○栄養のバランスに気を付ける。
○脂肪分を控える。
○食物繊維を十分にとる。
○精神的ストレスをためない。
○十分に休養をとる。
詳しい病気の解説は四百四病の事典(http://ksjuku.com/jiten.html)へどうぞ
タグ:胆石症 肝臓、胆道、膵臓の病気 病気 健康創造塾 病気(た行) 体質性黄疸 特発性門脈圧高進症 脾臓破裂 BCS(バッド・キアリ症候群) バッド・キアリ症候群 病気(た) 肝硬変 アルコール依存症 C型肝炎 B型肝炎 黄疸 急性膵炎 慢性膵炎 肝臓がん A型肝炎 膵臓がん 門脈血栓症 門脈圧高進症 劇症肝炎 急性腹膜炎 急性肝炎 アルコール性肝障害 NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患) ジルベール症候群 先天性銅代謝異常症 胆道閉鎖症 肝レンズ核変性症 胆囊炎、胆管炎 ウイルソン病 E型肝炎 異所性脂肪 肝吸虫症 先天性胆道閉鎖症 胆道がん 脾腫 脾機能高進症 肝外門脈閉塞症 EHO(肝外門脈閉塞症) ガラクトース血症 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD) NASH(非アルコール性脂肪性肝炎) 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH) 脂肪肝
コメント 0