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■多剤耐性菌の感染による死者、欧米だけで年8万人 WHOが発表 [健康ダイジェスト]

 世界保健機関(WHO)は世界保健デーの7日、ほとんどの抗生物質が効かない多剤耐性菌の感染による死者が、欧米諸国だけで少なくとも年間8万8000人に上るとの統計を発表しました。統計が得られない途上国の死者はこれをはるかに上回るとみられ、WHOは多剤耐性の病原体への対策強化を目指します。
 感染拡大の一因は抗生物質の乱用とされ、WHOは加盟国に管理の徹底を呼び掛けています。また、新規の抗生物質の開発に多額の費用が掛かることから、世界的な製薬会社でも開発に力を入れていない問題点も指摘し、官民挙げての対策の必要性を訴えています。
 多剤耐性菌とは、ある抗生物質に抵抗力を持ち、その抗生物質が効かない耐性菌のうち、ほとんどの抗生物質が効かない多剤耐性の細菌のこと。近年になって発見され、新型耐性菌、スーパー細菌、スーパー耐性菌とも呼ばれています。
 この多剤耐性菌としては、アシネトバクター菌、緑膿菌、NDM1(ニューデリー・メタロ・βラクタマーゼ1)という酵素の遺伝子を獲得した大腸菌や肺炎桿菌が確認されています。
 アシネトバクター菌は2000年ごろから欧米で広がり始め、日本国内では2009年から2010年にかけて福岡大病院や愛知医科大病院、東京都の帝京大病院などで院内感染と死亡例の報告が連続して出ています。
 緑膿菌でも、院内感染と死亡例の報告が出ており、2010年9月から10月にかけて帝京大病院、同じく東京都の健康長寿医療センター、三重県の県立総合医療センターで、死亡者が出ています。
 NDM1を備えた多剤耐性菌はインド、パキスタンで発生した後、両国や欧米諸国を中心に感染者が180人にまで広がり、ベルギーで最初とみられる死者も確認されたことが、2010年の夏に報じられました。欧米諸国の感染者は、医療費の安いインド、パキスタンで美容整形手術などを受けていました。日本でも2010年の夏、すでに感染者がいたことが判明しました。
 多剤耐性菌が生まれた第一の原因は、抗生物質の多用にあり、特にインドやパキスタンでは普通の風邪やインフルエンザでも使うためと見なされています。もう一つの原因は、使用する抗生物質が不適切なことで、一般に比較的高級な第3世代セフェムやカルバペネム系の抗生物質を用いることで生じると見なされています。

 2011年4月7日(木)




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