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■長寿世界一の日本に警鐘 英医学誌、喫煙・高血圧・自殺を懸念 [健康ダイジェスト]

 世界的に知られる英医学誌ランセットは9月1日、日本の「国民皆保険制度」達成から50年を記念する日本特集号を発刊しました。
 国内で「医療崩壊」が叫ばれる中、低水準の医療費で世界一の長寿を達成した日本の医療制度を高く評価する内容。その一方で、急速な高齢化や財政難、改革の先送り、男性の喫煙率の高さや自殺の増加などから、長寿国の地位の持続性が危ぶまれているとも指摘しています。
 同誌は日本の教訓を世界各国の保健医療政策に生かす狙いで特集を作り、渋谷健司東京大教授、武見敬三日本国際交流センターシニアフェローら日米欧などの専門家66人が協力しました。
 2008年時点で国内総生産(GDP)比の医療費は、経済協力開発機構(OECD)加盟国中20位と低水準でありながら、良好な健康状態を達成したと指摘。世界に教訓を提供できるとしています。
 また、日本が長寿世界一になった理由について、1950年以降、病気別の死亡率の国際比較などで分析しました。50~60年代前半には感染症対策、60年代後半からは減塩や降圧薬の普及による脳卒中死亡率の低下が貢献したとしています。
 その上で、東日本大震災で医療分野の人材不足など現行制度の課題が浮き彫りになり、「低い経済成長と不安定な政治状況が構造改革を困難にしている」と分析。国から都道府県への権限移譲、保健・医療分野での国際交流の活発化など4つの改革を提案しました。
 今の日本での死亡の危険因子は、喫煙と高血圧と自殺と指摘。全成人が禁煙すれば平均寿命は男性が1・8年、女性は0・6年延び、血圧を下げれば男女とも0・9年延びると推定しています。だが、現状は対策が不十分としています。
 日本の自殺率は人口10万人当たり24・4人(2009年)で、米国の11・0人(05年)などに比べて高くなっています。自殺者数は3万1690人(2010年)で前年より減ったものの、13年連続して3万人を超えています。若い世代の自殺者数が増える傾向にあり、人口10万人当たりの自殺者数は、20~24歳が1998年の16人から09年に22人まで増加。25~29歳も19人から24人まで増えています。50歳代と60歳代が98年以降は減少傾向にあるのと対照的。
 ランセット誌のコメント欄でクリストファー・マレー米ワシントン大教授は、日本の経済停滞、政治の混乱、高齢化、たばこ規制の不十分さを指摘し、「対策をとらなければ世界での平均寿命の順位が落ちていくかもしれない」と警鐘を鳴らしています。

 2011年9月1日(木)




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