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■乳幼児のRSウイルス感染に注意 今年は7月から入院者が増加 [健康ダイジェスト]

 2歳までに乳幼児のほとんどが感染するとされ、例年は秋から春にかけて流行するRSウイルス感染症が、今年は7月から増えています。ただ、インフルエンザなどに比べて認知度は低く、予防するためにも、専門家は認知度の向上を課題に挙げています。
 昭和大学医学部小児科の水野克己准教授によると、今年は7、8月にRSウイルス感染症で入院する乳幼児が非常に増えているといいます。RSウイルス感染症は秋から冬にかけての長い期間に渡って流行し、12~1月がピークとされてきました。昨年までは、7、8月にRSウイルスに感染した乳幼児はそれほど多くなかったといいます。
 RSウイルスは呼吸器合胞体ウイルスともいわれ、風邪の原因となる一般的なウイルスの一つ。乳幼児が最も感染しやすいウイルスで、1歳の誕生日までに70パーセントの乳児が初感染し、2歳までにはほとんどの乳幼児が感染するとされます。通常、健康な乳幼児が感染した場合、38~39度程度の発熱、鼻水、せきなどの症状が出て、多くは8~15日ぐらいで治まります。発熱症状がないこともあります。
 このRSウイルスについて、水野准教授は「以前に比べると増えたが、10人のお母さんに話して1人ぐらいが知っている程度です」と認知度の低さを懸念しています。
 事実、医薬品大手のアボットジャパン(東京都港区)が7月に実施した調査によると、妊娠8カ月以上の妊婦でRSウイルス感染症がどのような病気かを知っていたのはわずか2・4パーセント、名前は聞いたことがあるのは27・1パーセントで、7割は名前すら知りませんでした。2歳未満の乳幼児を持つ母親でも同様で、どのような病気かを知っているのは3割以下。インフルエンザについては妊婦の83・7パーセント、母親の91・2パーセントがどのような病気かを知っており、大きく差が開いています。
 こうした現状について、水野准教授は「RSウイルスは1カ月未満の子供でもかかる。妊婦さんが知っておかなければいけないウイルス感染症の一番はRSウイルスです」と警鐘を鳴らしています。
 RSウイルス感染症は、なぜ乳幼児にとって危険なのか。RSウイルスは何度も感染し、悪化すると肺炎などを起こし、最悪の場合は死に至ることもあるからです。特に重症化しやすいのは、生後6カ月以内の乳児や早産児、慢性肺疾患や先天性心疾患などの基礎疾患を持っている乳幼児とされます。
 幼い頃にRSウイルス感染症が重症化し、肺などの下気道感染症になった場合は、将来的な不安もあるといいます。「長期に渡って、呼吸時にゼーゼーというような音がする喘鳴(ぜんめい)、ぜんそくになるリスクが高くなる。小さい時にRSウイルス感染症が重症化しないようにすることが大事だ」と、水野准教授は話しています。
 ただ、RSウイルスは一度感染しても持続的な免疫ができにくく、予防ワクチンや特効薬もないのが現状。このため、RSウイルスに感染しないよう、手洗い・うがいを徹底し、接触感染を防ぐため流行期に子供が集まる場所になるべく行かないなど、ふだんの生活で対策を取ることが重要になります。
 また、母乳で育てることや、妊娠中は魚・キノコなどに多く含まれるビタミンDを積極的に摂取することも有効です。
 重症化を防ぐ手段としては「シナジス」と呼ばれる抗体製剤の投与がありますが、100ミリグラムで約15万円と費用が高いのがネック。ただ、29~35週の早産で6カ月以下の新生児や乳児などは健康保険が適用され、重症化のリスクが高い早産児には投与が勧められます。

 2011年9月2日(金)




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