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■ES細胞から下垂体の形成に世界で初めて成功 理研・名古屋大 [健康ダイジェスト]

 さまざまな組織の細胞になることができる胚(はい)性幹細胞(ES細胞)から、立体的な下垂体を作ることに、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)と名古屋大の研究チームがマウスを使って成功したと発表しました。
 再生医療の臨床応用に近付く成果で、10日付の英科学誌ネイチャー電子版に掲載されました。
 下垂体は脳の一部の間脳に接し、副腎皮質刺激ホルモンや成長ホルモン、甲状腺刺激ホルモンなど生命の維持や成長に必要な多様なホルモンを放出する内分泌の中枢器官で、人間では直径1センチ程度。視床下部など2つの組織が相互に作用して発生に必要な環境ができるため、ES細胞などの幹細胞で作ることは困難でした。
 理研発生・再生科学総合研究センターの笹井芳樹グループディレクターは、「複数組織の働きで形成される臓器を作ったのは世界で初めて」としています。
 研究チームは、マウスのES細胞1万個を容器内に浮かべて培養し、形成を誘導するために間脳の物質に似た化合物を加えました。すると脳の一部の視床下部と口腔外胚葉という2つの組織の塊が形成され、組織の相互作用により約20日間で下垂体が形成されました。
 その後、ES細胞から作った下垂体を、下垂体をあらかじめ除去したマウスに移植。ホルモン調節が正常に作用することを確かめました。
 下垂体を除去したマウスは活動が落ち、8週間後までにすべて死んだのに対し、下垂体を移植したマウスは元気さを取り戻し、85パーセントが生き残りました。
 今後、ホルモン分泌が低下する疾病などに応用が期待できるといいます。理研の笹井グループディレクターは、「同様の培養方法で、肺や腸管など、より複雑な器官をES細胞から作り出すことも可能であると示した」と話しています。

 2011年11月11日(金)




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