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■慶応大、健康長寿者からiPS細胞 アルツハイマー病早期診断に光 [健康ダイジェスト]

 健康で長生きした105歳以上の「健康長寿者」の死後の皮膚から、体のあらゆる組織や臓器になるとされる人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作ることに、慶応大の鈴木則宏教授(神経内科)らの研究チームが成功しました。
 病気にならない「正常細胞」の指標として利用でき、アルツハイマー病などの早期診断に役立つといいます。米科学誌プロスワンに26日、発表しました。
 死者からiPS細胞を作製した例は海外で報告されていますが、日本では初めて。長寿者の生前に家族から同意を得た上で、学内倫理委員会の承認を得て実施しました。
 アルツハイマー病やパーキンソン病は、患者の神経細胞を研究に使えないことが診断や治療法開発の壁になっています。iPS細胞で患者由来の神経細胞が作製可能になりましたが、異常を詳しく調べるには、生涯に渡って健康だった人の細胞と比較する必要がありました。
 研究チームは皮膚細胞が人の死後も2日ほど生き続け、培養・増殖できることに着目。重い病気をせず極めて健康に老後を過ごし、105歳以上で死亡した2人の皮膚細胞を死後に採取。特定の遺伝子を加えて、病気の性質を持たない正常なiPS細胞を作り、神経細胞に分化させました。
 これをアルツハイマー病患者のiPS細胞から作った神経細胞と比較した結果、患者由来の細胞は正常細胞と比べ、脳にみられる異常なタンパク質「ベータアミロイド」が2倍近くあることが判明。パーキンソン病患者でも同様に、異常なタンパク質「アルファシヌクレイン」が2倍近くあることが判明しました。
 異常なタンパク質は高齢になってからではなく、生まれた時から作られている可能性が高いことを示す成果で、発症前の早期診断が期待されます。
 研究チームの伊東大介専任講師は、「正常なiPS細胞は高齢者に多いがんや糖尿病、心臓病などの研究でも役立つ。死後の組織採取は病理解剖で普通に行われており、倫理的な問題はない」と話しています。

 2012年7月26日(木)




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