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■京大、iPS細胞から心臓組織シート 世界初、血管細胞含め作製に成功 [健康ダイジェスト]

 京都大iPS細胞研究所の山下潤教授らのチームは、世界で初めて人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製した心筋や血管の細胞によるシート状の心臓組織を心筋梗塞のラットに移植し、心臓機能を改善させることに成功しました。
 チームによると、iPS細胞を血管の細胞を含む実物に近い構造の心臓組織に一体的に変化させ、シートにしたのは世界初。重症の心不全など心臓病患者に対する再生医療につながる可能性があります。
 英オンライン科学誌のサイエンティフィック・リポーツに、10月22日付で掲載されました。
 山下教授らは、人の皮膚から作ったiPS細胞に4種類のタンパク質などを段階的に加えることで、心臓を構成する筋肉や血管の細胞に分化させる手法を開発。これらの細胞を特殊な容器で培養し、シート状の組織を作製しました。
 これを3層に重ね、計約200万個の細胞からなる直径約1センチの心臓組織シートを心筋梗塞のラットに移植。約1カ月間にわたって観察したところ、心臓の収縮が回復したほか、新しい血管が形成されるなど、心臓の機能が改善したことが確認できました。がん化もみられませんでした。
 山下教授は、「移植した心臓組織シートから血管の形成を促す物質が分泌されたことが、心機能の回復につながったのではないか」と説明。この物質は心筋だけの状態ではあまり出ませんが、シートに血管の細胞が含まれることで分泌が増えたと考えられるといいます。
 ただ、あくまで今回の研究はラットによる実験。今後、より人に近いサイズのブタなどを使って有効性の確認を進めるほか、がん化を含めた安全性を入念に検証する必要があり、臨床応用までには長い道のりがあります。
 山下教授は、「この成果がそのまま治療に使えるわけではなく、まだまだこれからだ。今回は移植した心筋の細胞をかなり心臓に定着させることができたので、将来的に重い心不全の治療につながるのではないか」と話しています。
 最終的には心臓組織シートを製品化して、全国どこの病院でも使えるようにするのが目標といいます。

 2014年10月31日(金)




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