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■耐性菌で年間医療費1900億円増、死亡14000人増 厚労省が全国調査 [健康ダイジェスト]

 抗菌薬(抗生物質)が効きにくい耐性菌の「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)」による影響で、年間の医療費が約1900億円、患者の死亡が1万4000人増えているとの推計結果を、厚生労働省研究班がまとめました。耐性菌による全国規模の影響がまとまるのは、初めて。
 MRSAは国内で見付かる耐性菌の95パーセントを占め、ほかにバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)や多剤耐性緑膿(りょくのう)菌(MDRP)などがあります。
 研究班では、研究に協力した国内約1100の急性期病院の診療データから、2013年度に肺炎を起こして受診した18歳以上の約8万8000人を調べました。
 MRSAに感染していた634人(0・7パーセント)を一般の細菌感染による肺炎患者と比べると、死亡率が1・9倍高く、入院期間も1・4倍長くなりました。医療費も1・7倍となり、うち抗菌薬代だけで3・8倍多く必要になることが判明しました。
 髄膜炎や敗血症などを含めると、全国約1500の急性期病院では、MRSA感染の影響で入院医療費が約1900億円(3・5パーセント)増加し、患者の死亡が約1万4000人(3・1パーセント)増えているとの推計結果が出ました。
 代表研究者の今中雄一・京都大教授は、「国内でも耐性菌による社会的負担がすでに相当大きいことがわかった。手間はかかるが適正に抗菌薬(抗生物質)を使うなどし、耐性菌を増やさない努力が必要だ」と話しています。
 耐性菌の問題は5月の伊勢志摩サミットでも議題となり、既存の抗菌薬では治療効果のない感染症が世界的に増加する一方、新たな抗菌薬の開発は減少傾向にあり、このままでは感染症の治療法がなくなる危険性があるとして、対策が話し合われました。
 日本は今年4月、抗菌薬の使用量を2020年までに2013年比で3分の2に減らす計画を掲げました。黄色ブドウ球菌の耐性率は2014年で、50パーセント程度と先進国の中では高く、2020年に20パーセント以下にすることを目標にしています。

 2016年6月27日(月)

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