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■画像診断報告書の放置など5年で30件 大病院で医療ミスが相次ぐ [健康ダイジェスト]

 医療事故の情報を収集している「日本医療機能評価機構」(東京都千代田区)が、がんの疑いなどが記された画像診断報告書の放置や確認不足に関する事案を調べた結果、2011年~2015年の5年間に全国の医療機関から30件の報告があったことが1月31日、明らかになりました。
 同じ日には、東京慈恵会医科大学付属病院(東京都港区)で、肺がんの疑いがあると指摘された男性(72歳)の画像診断報告書を主治医が確認せず、約1年間放置された事案が判明。相次ぐ医療ミスの背景には、検査技術の発達に伴う情報量増加や電子カルテの導入、医師の専門分野の細分化が影響しているとの指摘もあります。
 男性は肺がんの治療を受けられないまま、昨年12月に容体が悪化して入院。がんは進行して手術や抗がん剤治療できない状態となり、現在も重篤な状態が続いています。慈恵医大病院は医療ミスを認めて、男性側に謝罪しました。
 男性の長男(30歳)は、「1年前であれば父は手術を受けていた。再発防止に向け病院全体で取り組んでほしい」と話しています。慈恵医大病院側は、「今回の事実を大変遺憾に思います。現在、全力で対応し治療に当たっております。改善策を検討し、再発防止に努めたいと思います」としています。
 男性側や慈恵医大病院の説明資料によると、男性は肝臓に持病があり、慈恵医大病院の消化器肝臓内科で治療を続けていました。2015年10月下旬、消化管出血で救急外来を受診し、胸部と腹部のCT(コンピューター断層撮影)検査を受けました。画像を読影した放射線科医は、肺がんの疑いがあると画像診断報告書に記載。救急外来で当直していた医師も、報告書を確認していました。
 しかし、入院後に担当となった消化器肝臓内科の主治医は、CT画像や画像診断報告書を確認しませんでした。当直医から主治医への口頭での引き継ぎもなかったといいます。
 男性は2015年11月上旬に退院。2016年10月中旬に男性が再入院した際、改めてCT検査を受け、肺に異常な影があるのが確認されました。
 検査で異常が見付かりながらも、結果が患者に伝えられずに適切な治療を受けられなかった例は、過去にも度々起きています。
 名古屋大学医学部付属病院(名古屋市)は2016年12月、肺がんの疑いがあると指摘された検査結果を主治医が確認しなかったため、80歳代の女性が3年にわたって放置され、死亡したと発表しました。
 名古屋大病院は2016年9月にも、肺の画像診断で肺がんを見付けたとの情報が担当医に伝わらず、50歳代の男性患者が約2年後に死亡したと発表したばかり。2008年にも、口腔(こうくう)がんの疑いがあると診断した30歳代患者を約3年間放置していたことを公表しています。
 相次ぐ伝達ミスに、名古屋大病院は院内で患者の情報を共有できるようなシステムの導入など再発防止策を検討中。しかし、患者の病歴などの情報は慎重に扱われるもので、多数での共有は難しいといいます。
 医療事故に詳しい「医療過誤原告の会」(東京都東村山市)の宮脇正和会長は、「今回、慈恵医大病院は自ら見落としがあったことを患者に説明し、謝罪したが、同様のミスは全国の大病院で起きているだろう」として、「伝達ミスを防ぐには、個人の頑張りでは限界がある。大学病院など大規模な病院がシステムの改善など再発防止策を共有していくことが必要だ」と語っています。

 2017年2月1日(水)

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