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■医療用ES細胞を国内で初めて作製 京大、7月にも提供開始へ [健康ダイジェスト]

 人の受精卵から作る万能細胞の1つであるES細胞(胚性幹細胞)について、京都大学ウイルス・再生医科学研究所の末盛博文准教授らの研究チームが医療に使用できる品質の細胞を国内で初めて作製し、今年の夏以降、医療機関で再生医療の臨床研究などに役立てられるということです。
 人のES細胞は、京大が2003年、国内で初めて作製に成功していましたが、受精卵の一部を壊して作ることから倫理的な課題があるとされ、国は使途を基礎研究に限定。実際の治療には使えませんでした。
 一方、海外ではES細胞による目の難病治療などで臨床応用が進んだことから、国は2014年、基礎研究用のES細胞より安全性を高めた医療用ES細胞の作製を認める新指針を策定。これを受けて末盛准教授らの研究チームが昨年6月、文部科学、厚生労働両省から作製の承認を受けていました。
 研究チームは、京都市の足立病院(畑山博院長)から不妊治療で使われなくなった十数個の受精卵を譲り受けて、管理された学内の施設でES細胞の作製を進めていました。そして今月7日、医療に使用できる品質のES細胞の作製に国内で初めて成功したということです。
 2003年当時は細胞の増殖を助けるため、牛の血清を加え、マウスの細胞と一緒に培養していましたが、今回は、こうした動物由来の成分を使わず培養に成功し、人に移植する場合の安全性がより高くなりました。
 この医療用ES細胞は今後増殖させて備蓄し、今年7月ごろから医療機関に提供できるということで、再生医療の臨床研究などに役立てられるということです。
 医療用のES細胞は、京大以外にも国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)が作製の承認を取得。同センターでは4月から、重い肝臓病の赤子にES細胞から作った肝細胞を移植する臨床研究(治験)の計画を進めています。
 再生医療への応用では、国内ではすでにiPS細胞(人工多能性幹細胞)が臨床研究に使われていますが、海外ではES細胞による目の難病や脊髄損傷の治療などでの臨床研究も盛んに進められていて、国内で人に使えるES細胞の必要性が指摘されていました。
 記者会見した末盛准教授は、「我々のES細胞を提供することで、国内でのES細胞の臨床研究や治験を増やし、iPS細胞と一緒に再生医療全体を発展させたい」と話しています。

 2018年5月22日(火)

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