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■国内初、胎児の心臓病手術に成功 母子ともに経過良好 [健康ダイジェスト]

 国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)は、重い先天性の心臓病「重症大動脈弁狭窄(きょうさく)症」と診断された25週の赤ちゃんの手術を母親の胎内で行い、成功したと発表しました。欧米では実績があるものの、国内では初めて。赤ちゃんは無事に生まれ、母子ともに経過は良好といいます。
 この病気は、全身に血液を送り出すポンプの役割がある左心室の出口にある弁の間隔が狭く、血液が流れにくくなる生まれ付きの疾患。生まれてくる赤ちゃん1万人に約3~4人の割合で発症するといいます。
 重症の場合、左心室が正常に育たず、出生直後に心不全を起こして命を落とす恐れがあるほか、左心室が小さくなって使えなくなることもあります。胎児の段階で治療できれば心臓の正常な発育を促し、生後も左右の心室で血液を循環できるようになると期待されています。
 同センターは2019年から臨床試験として今回の手術を準備。7月、超音波で胎児の様子を観察しながら、胎児の心臓にカテーテルを入れて大動脈弁に至らせ、先端のバルーンを膨らませて弁を広げる「大動脈弁形成術」を、妊娠25週の母親のおなかの中の赤ちゃんに実施しました。左心室の発育が促され、赤ちゃんは帝王切開で無事に生まれたといいます。経過は良好で、血液が正常に循環するか観察を続けます。
 同センターによると、先行する欧米での手術の成功確率は約70~90%で、そのうち左心室の機能が回復し、全身の血液を循環できるようになるのは約30~50%といいます。
 臨床研究は2025年までに計5例を目標としています。同センターの左合治彦副院長は、「重篤な先天性心疾患に対して、胎内で治療できる可能性を示した意義は大きい。今後も安全性や有効性を評価し、胎児の病気で悩んでいる人の希望となる治療法を確立していきたい」と話している。
 胎児治療は、生まれた後の治療では手遅れになり得る病気を薬や手術で治すものですが、対象の病気は限られています。ただ、生まれる前に病気を見付ける検査の技術が近年向上し、治療の選択肢が増えることに期待が高まっています。

 2021年12月15日(水)




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