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■病気 椎間板変性症、変形性脊椎症 [高齢者の病気]

[クリスマス]長年の使用による椎間板の変性と変形
 椎間板(ついかんばん)変性症とは、椎骨をつないでいる椎間板に老化など何らかの変性が生じ、組織の構造や成分が変化したために起こってくる疾患。軟骨である椎間板が変性すると、次第に厚さが薄くなり、椎間が狭くなります。
 壮年期から老年期によくみられ、無症状のこともありますが、体を動かすと腰痛が起こることがあります。
 椎間板変性症が進むと、椎間板のクッション性が少なくなり、椎間板に接する椎体と椎体がぶつかりやすくなります。同時に、靭帯(じんたい)の変化も加わった結果、骨のふちに骨棘(こっきょく)という、とげができてきます。これはちょうど、長く使った金づちのように、椎体の周辺に骨の突起物ができた状態で、骨の輪郭がでこぼこした感じになります。そして、とげが神経を刺激したり、圧迫したりすることで、痛みが引き起こされます。これが変形性脊椎(せきつい)症です。
 変形性脊椎症は、高齢者や重労働者に多くみられる疾患で、長年の過度の使用による組織の変化を基盤にして起こります。高齢者では程度は違いますが、ほとんどの人に症状がみられるので、加齢に伴う生理的な変形ともいえます。若い頃に重労働や激しいスポーツを行ってきた人では、40歳以降に発症する場合が多く、頸椎(けいつい)や腰椎に起きやすくなります。
 脊椎の変形が長期間に渡って、徐々に進行する場合は、痛みなどの自覚症状を伴わないことが少なくありません。比較的急速に進行する場合には、症状も強く、体を動かすと痛んだり、押すと痛みが起こることがあります。
 変形が発生する場所によって、痛みを感じる場所が違います。頸椎に発生した場合は、自覚症状がない時もありますが、多くは脊髄圧迫による手足のしびれ、肩凝りを感じたり、首の後ろに痛みを感じます。頸髄が圧迫されると、手足のしびれを感じたり、細かい字を書いたりボタンをかけるなどの軽作業が困難になったり、けいれんして歩きにくくなったりします。腰椎に発生した場合は、腰痛はもちろんのこと、下肢のしびれがあります。腰を曲げたり、反らしたりすると痛み、足に力が入らなくなることもあります。
 変形性脊椎症に加えて、脊髄や馬尾(ばび)神経が収まっている脊柱管が狭くなる脊柱管狭窄(きょうさく)症や、椎間板ヘルニアなどを引き起こすと、症状はさらに悪化します。
[クリスマス]椎間板変性症、変形性脊椎症の検査と診断と治療
 椎間板変性症、変形性脊椎症は主に老化によるもので、でき上がった変形を元に戻すことは困難なため、治療は対症療法になります。安静にした上で、薬物療法、温熱療法、牽引(けんいん)療法、体操療法などの治療法を行い、それらで症状が改善されない場合や、神経がまひしたりした場合は手術療法が行われることもあります。
 しびれや痛みがある場合は、まず局所の安静を保つことが大切で、しばらく床に就いているとか、コルセットを着用します。症状が薄れてきたら、温熱療法や頸椎牽引(けんいん)、骨盤牽引も有効です。強い痛みに対しては、消炎鎮痛剤、筋弛緩(しかん)剤などの薬剤を使用したり、ビタミン剤を補助的に使用します。注射しやすい場所ならば、ステロイド剤と局所麻酔剤とを注射するのも効果的です。
 症状が軽症であれば、できるだけ体を動かして、体を軟らかくするようにします。多少痛いからといって安静にしすぎると、背骨を支える筋肉や靭帯(じんたい)が少しずつ弱くなるために腰痛が出るなど、かえって症状が悪化したりする場合がありますので注意が必要です。コルセットなどを着用して負担を少なくする方法もありますが、日常あまり使いすぎると筋肉が弱ってしまいますので、最小限に抑える必要があります。
 軽い体操、ウオーキング、水中ウオーキングなどの運動をしたり、風呂に入って体を温めた後ストレッチをすることで、周りの筋肉の緊張や、こわばりがとれます。重い物を持つなど、無理な姿勢や動作は避けます。

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■病気 成人T細胞白血病(ATL) [高齢者の病気]

[クリスマス]ウイルスに感染して発症する白血病
 成人T細胞白血病(Adult T-cell Leukemia:ATL)とは、レトロウイルス、腫瘍(しゅよう)ウイルスであるヒトTリンパ球向性ウイルス1型(Human T Lymphotropic Virus type 1:HTLVー1)の感染により発症する腫瘍性疾患。
 悪性リンパ腫の一種ですが、大部分が白血病化するために、成人T細胞白血病と呼ばれたり、成人T細胞白血病リンパ腫(Adult T-cell Leukemia Lymphoma:ATLL)と呼ばれたりします。1976年に、京都大学の高月医師、内山医師らによって初めて報告、命名された疾患です。
 この成人T細胞白血病(ATL)の発症は、ヒトTリンパ球向性ウイルス1型(HTLVー1)を体の中に持っているキャリアの分布と一致することが知られています。キャリアは、日本では120万人、世界では1000~2000万人いると推定されています。
 日本では、従来から九州、沖縄など西南日本に多くみられますが、近年は関東、中部、近畿で増え、全国的にキャリアと発症者が存在しています。世界的には、カリブ海沿岸諸国、南アメリカ、アフリカ、南インド、イラン内陸部などにキャリアと発症者の集積が確認されています。それらの地域からの移民を介して、ヨーロッパ諸国、アメリカ合衆国などでも、キャリアと発症者の存在が報告されています。
 ヒトTリンパ球向性ウイルス1型の感染経路としては、母乳を介する母子間垂直感染と、輸血、性交渉による水平感染が知られていて、出産時や母胎内での感染もあります。輸血では、感染リンパ球を含んだ輸血により感染し、血漿(けっしょう)成分輸血、血液製剤では感染しません。なお、日本では現在、献血に際して抗体スクリーニングが行われており、輸血後の発症はなくなりました。性交渉による感染に対しても、成人T細胞白血病を発症することは極めてまれであるため、今のところ特別な対策は立てられていません。
 ほとんどが母乳感染により、乳幼児の感染者が40~60年の潜伏期を経て、成人T細胞白血病を発症します。日本で発症するのはヒトTリンパ球向性ウイルス1型のキャリア1万人について年間6〜7人あまり、発症の割合は3〜5パーセントほど。40歳以上の人がほとんどで、60~70歳に最も多く発症します。
 リンパ球はリンパ系組織、血液、骨髄の中にあり、細菌やウイルスなどの感染と戦っていますが、機能の違いからT細胞、B細胞、ナチュラルキラ-細胞(NK細胞)に分けられます。成人T細胞白血病では、T細胞が悪性化して、リンパ節や血液の中で異常に増加し、骨髄や肝臓、脾臓、消化管、肺など全身の臓器に広がっていきます。末梢(まっしょう)血液中に出現する場合、特徴的な花びらのような形状をした核を有し、花細胞と呼ばれています。
 症状としては、首、わきの下、足の付け根など全身のリンパ節がはれたり、肝臓や脾臓の腫大、皮膚紅斑(こうはん)や皮下腫瘤(しゅりゅう)などの皮膚病変、下痢や腹痛などの消化器症状がしばしばみられます。病勢の悪化によって、血液中のカルシウム値が上昇して高カルシウム血症になると、全身倦怠(けんたい)感、便秘、意識障害などを起こします。
 悪性化したリンパ球が骨髄に広がった場合には、正常な赤血球や血小板が作られなくなります。このために動悸(どうき)、息切れなどの貧血の症状や、鼻血、歯肉出血などの出血症状がみられることがありますが、他の白血病と違ってあまり多くありません。悪性化したリンパ球が中枢神経と呼ばれる脊髄(せきずい)や脳に広がると、頭痛や吐き気が認められることもあります。
 また、免疫担当細胞として重要なT細胞ががん化して、強い免疫不全を示すため、感染症にかかりやすくなり、真菌、原虫、寄生虫、ウイルスなどによる日和見感染症を高頻度に合併します。
[クリスマス]成人T細胞白血病の検査と診断と治療
 成人T細胞白血病は、ウイルス感染症、カビによる感染症、カリニ原虫による肺炎、糞線虫(ふんせんちゅう)症といった寄生虫感染症など、健康な人にはほとんどみられない日和見感染症が起こりやすいことで知られています。疲れやすい、熱が続く、リンパ節がはれる、皮疹(ひしん)が塗り薬でよくならないなどの症状が続く場合は、血液内科の専門医のいる病院を受診して検査を受けるようにします。
 血液の悪性腫瘍が疑われた場合、まず血液細胞の数や内容を調べる血液検査が行われます。成人T細胞白血病では、花びらのような形をした核を持つ異常なリンパ球の出現が特徴的です。また、血液検査では、ヒトTリンパ球向性ウイルス1型に感染して抗体があるかどうかも調べます。リンパ節がはれている場合には、リンパ節生検が行われ、局所麻酔による小切開でリンパ節を取り出し、顕微鏡で悪性細胞の有無を調べます。最終的に成人T細胞白血病の診断を確定するためには、血液やリンパ節の悪性細胞の中に入り込んだウイルス遺伝子の検査が行われる場合もあります。
 成人T細胞白血病と診断された後、疾患の広がりを調べるために全身の検査が行われます。目に見えない腹部や骨盤部のリンパ節がはれてないか、肝臓や脾臓に広がっていないかを調べるために、腹部CTや腹部超音波検査が行われます。胃や十二指腸に広がっていないかどうかを調べるためには、胃内視鏡検査やX線検査が必要です。肺に広がっていないかどうかを調べるためには、胸部X線検査や胸部CTが行われます。
 骨髄に広がっていないかどうか調べるためには、骨髄穿刺(さくし)も行われます。骨髄穿刺は、局所麻酔後、胸骨または腰の骨に細い針を刺して骨髄液を吸引し、顕微鏡で観察します。その他、中枢神経である脳や脊髄への広がりを調べるために、局所麻酔後に腰の部分の背骨の間から針を刺して少量の脳脊髄液を採取する場合もあります。
 成人T細胞白血病は多彩な症状、臨床経過をとることで知られていますが、一般には急性型、リンパ腫型、慢性型、くすぶり型、急性転化型の5つの病型に分類されています。
 急性型は、血液中に花びらの形をした核を持つ異常リンパ球が出現し、急速に増えていくものです。リンパ節のはれや、皮疹、肝臓や脾臓の腫大を伴うことも多くみられ、消化管や肺に異常なリンパ球が広がる場合もあります。感染症や血液中のカルシウム値の上昇がみられることもあり、抗がん剤による早急な治療を必要とします。
 リンパ腫型は、悪性化したリンパ球が主にリンパ節で増殖し、血液中に異常細胞が認められない型です。急性型と同様に急速に症状が出現するために、早急に抗がん剤による治療を開始する必要があります。
 慢性型は、血液中の白血球数が増加し、多数の異常リンパ球が出現しますが、その増殖は速くなく、症状をほとんど伴いません。無治療で経過を観察することが、一般的に行われています。
 くすぶり型は、白血球数は正常でありながら、血液中に異常リンパ球が存在する型で、皮疹を伴うことがあります。多くの場合、無治療で長期間変わらず経過することが多いため、数カ月に1回程度の外来受診で経過観察が行われます。
 急性転化型は、慢性型やくすぶり型から、急性型やリンパ腫型へ病状が進む場合をいいます。この場合には、急性型やリンパ腫型と同様に、早急に治療を開始する必要があります。
 成人T細胞白血病の治療として一般に行われているのは、抗がん剤を用いた化学療法です。抗がん剤は静脈注射や飲み薬などいろいろな種類があり、血管の流れによって全身に運ばれて悪性化したリンパ球を殺すため、全身療法といわれています。また、髄腔内注射といって、腰の正中部より細い針で抗がん剤を髄液内に入れます。
 成人T細胞白血病に対する抗がん剤は、通常、非ホジキンリンパ腫に有効な抗がん剤が用いられます。これらの抗がん剤の併用療法によって、30~70パーセントの場合で悪性細胞がかなり減少して、検査値異常が改善した状態が得られますが、最終的な治癒が期待できるのは残念ながらごく一部にとどまっています。
 成人T細胞白血病の細胞には、抗がん剤が最初から効きにくかったり、途中から効きにくくなったりする性質があり、化学療法にしばしば抵抗性を示すからです。また、見掛け上症状がよくなったとしても、再発率は非常に高いことが知られています。
 このように治療が難しい疾患ですが、よりよい治療法を開発するために臨床試験が行われています。研究段階の治療法の中で、現在最も期待されているのは同種造血幹細胞移植。化学療法により疾患がある程度コントロールされている、感染症を合併していない、全身状態がよい、50歳以下である、白血球の型が合っているドナーがいるなどの条件を満たす場合は、検討する価値のある治療法です。
 また、ミニ移植といって、造血幹細胞移植の前の処置を軽くすることにより、50歳以上の高齢者にも適用可能な同種造血幹細胞移植法も検討されています。

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■病気 脊髄小脳変性症 [高齢者の病気]

[クリスマス]運動失調を主要な症状とする神経変性疾患の総称
 脊髄(せきずい)小脳変性症とは、小脳および脳幹から脊髄にかけての神経細胞が遺伝的な変性や、老化などによって進行性に侵され、歩行や手足の運動ができにくくなる疾患の総称。現在、厚生労働省の特定疾患(難病)の一つで、医療費の公費負担が受けられます。
 脊髄小脳変性症は総称であって、多数の病型に分類されていて、孤発性(非遺伝性)のものと遺伝性のものに大別されます。
 孤発性のものには、オリーブ橋(きょう)小脳委縮症(OPCA)、皮質性小脳委縮症(LCCA)があります。 遺伝性のものには、脊髄小脳失調症1型(SCA1)、脊髄小脳失調症2型(SCA2)、脊髄小脳失調症3型(SCA3、マシャド・ジョセフ病)、脊髄小脳失調症4型(SCA4)、脊髄小脳失調症5型(SCA5)、脊髄小脳失調症6型(SCA6)、脊髄小脳失調症7型(SCA7)、歯状核赤核淡蒼球〔しじょうせきかくたんそうきゅう〕ルイ体委縮症(DRPLA)、フリードライヒ失調症、遺伝性痙(けい)性まひなどがあります。また、遺伝性のものは、優性遺伝と劣性遺伝、性染色体性に分かれます。
 それぞれ遺伝型式、発病年齢、臨床症状に違いがありますが、同一の病型でも発症年齢が早いか遅いかによって症状に差があり、症状のみから病型を決めるのは難しいといえます。
 脊髄小脳変性症の厳密な意味での頻度は、知られていません。推定では、10万人に対して5~10人程度と考えられます。人種、性別、職業による発症の差は、認められていません。遺伝性以外の原因は、不明です。主に中年以降に発症するケースが多く見受けられますが、若年期に発症することもあります。
 主な症状は、運動失調です。歩行時にふらつく、手がうまく使えない、話す時に舌がもつれるなどの症状が起きます。これらの症状が非常にゆっくりと進行していくのが特徴で、10年、20年単位で進行します。
 運動失調以外にも、さまざまな症状を来します。主要なものは、自律神経症状としての起立性低血圧、発汗障害、排尿障害などのほか、錐体(すいたい)路症状として下肢の突っ張り、末梢(まっしょう)神経障害、筋の委縮などです。
 なお、小脳、脳幹、脊髄にかけての神経細胞は破壊されますが、大脳部分は破壊されません。そのため、アルツハイマー病などとは異なり、発症者は自分の体の運動機能が徐々に衰退していくことを、はっきりと認識できます。
[クリスマス]脊髄小脳変性症の検査と診断と治療
 特に有効な薬も、治療法も見いだされていません。専ら対症療法ということになります。
 運動失調に対しては、甲状腺(せん)刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)および関連の薬が有効です。また、自律神経障害に対しては、多くの対症療法が工夫されており、起立性低血圧に対しては、ジヒドロエルゴタミン、ドプスなどが使用されます。排尿障害に対してはα交感神経遮断剤が使用されます。また、下肢の突っ張りなどに対しては抗痙縮剤が使われます。また、パーキンソン症状に対しては抗パーキンソン剤が使用されます。
 いずれの病型も慢性進行性の疾患で、数年ないし数十年に渡って進行し、最後には全く歩行不能となりますが、絶えずリハビリを行って、神経の機能をうまく働かせることが必要です。

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■病気 水晶体嚢性緑内障 [高齢者の病気]

[クリスマス]高齢者に多くみられる続発性緑内障の一つ
 水晶体嚢性(のうせい)緑内障とは、偽落屑(ぎらくせつ)症候群の目であることが原因となって、眼圧が上昇するタイプの続発性緑内障。眼圧が上昇することによって視神経が侵され、視野が狭くなったり欠けたりします。
 偽落屑症候群は70歳以上に約5パーセントみられ、その約半数に水晶体嚢性緑内障がみられます。偽落屑症候群は、片目ないし両目の水晶体の前嚢、虹彩(こうさい)、隅角(ぐうかく)などに、フケのような白い物質である偽落屑が粉状から膜状に沈着している状態で、この偽落屑が線維柱帯という、眼内液である房水(ぼうすい)の排出路に詰まることで、房水が流出しにくくなって眼圧が上昇します。偽落屑の本体は、不明です。
 偽落屑症候群の眼球では、瞳孔(どうこう)の縁が白く見え、そうでない眼球よりも緑内障、白内障になりやすい性質があります。また、水晶体を回りから支えているチン小帯という多数の細い線維が弱くなることが多く、白内障手術の際にチン小帯断裂という合併症を起こしやすくなります。
[クリスマス]水晶体嚢性緑内障の検査と診断と治療
 偽落屑症候群だけでは何の自覚症状もなく視力も視野も正常ですので、他の疾患でたまたま眼科を受診した時や、人間ドックの眼科検診で発見されます。偽落屑症候群といわれても治療の必要はありませんが、眼科医の指示通りに定期検査を受け、水晶体嚢性緑内障の合併を早期に発見することが大切です。
 眼科の医師による水晶体嚢性緑内障の検査では、30〜40mmHgの高めの眼圧上昇と、水晶体、虹彩、隅角などにフケ状の偽落屑が沈着しているのを認めます。
 治療としては、眼圧を下降させるために薬物療法、レーザー治療、手術療法を適宜行います。薬剤としては、局所に投与する点眼剤(縮瞳剤)や全身に作用する炭素脱水酵素阻害剤やグリセリンを用い、房水圧の抑制によって眼圧を下げます。
 主に点眼剤でコントロールできなくなった水晶体嚢性緑内障に対しては、レーザー治療のレーザー線維柱帯形成術が行われ、隅角の先にある線維柱帯にアルゴンレーザーを照射し、熱凝固により房水流出抵抗を減少させ、眼圧下降を図ります。

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