■用語 新生児低血糖症 [用語(し)]
新生児の血液中の糖分が少なくなっている状態
新生児低血糖症とは、生まれたばかりの新生児の血液に含まれる糖分が少なくなっていて特有の症状が現れる状態。
新生児に低血糖が認められても、すぐに正常な血糖値に回復することが多いのですが、中には低血糖の状態が続いてしまうケースもあります。血液に含まれる糖分は人間の脳の働きを支える重要なエネルギー源であるため、低血糖の状態が続いてしまうと、脳に悪影響を与えて神経系の後遺症を引き起こす可能性があります。
胎児は低血糖にならないように、母親の胎内にいる時から胎盤を通して糖分を摂取し、出生後には母乳やミルクから糖分を得て、正常な血糖値を保っていきます。
生まれたばかりの新生児は、それまで胎盤を通じて行われていた栄養供給が止まり、母乳かミルクを飲むまでは栄養を摂取できなくなります。胎盤を通じて得ていた糖分の摂取も一時的に途切れてしまうため、新生児が低血糖になるのは生理的なものだといえます。一般的に、新生児の血糖値は生まれた後に急速に下がり、1〜2時間後には最も低くなります。
出生直後に血糖値が下がっても、ほとんどの新生児は体内の仕組みのお陰で、徐々に血糖値は上昇していきます。しかし、中には血糖値が正常に上がらず、低血糖の治療が必要になる場合もあります。
新生児の低血糖を引き起こす原因はさまざまで、主にインスリンの過剰分泌がある場合と、ない場合に分けられます。
インスリンは膵臓(すいぞう)のランゲルハンス島にあるベータ細胞から分泌されるホルモンで、骨格筋や肝臓、組織において血液から細胞内への糖分の吸収を促し、エネルギーを作ったり蓄えたりする働きを持つほか、血糖値を上昇しすぎないよう調節する役割も持っています。このインスリンが過剰に分泌されていたり、成長ホルモンなど血糖値を上昇させるホルモンが欠乏していたりすると、低血糖を引き起こします。
例えば、妊娠中の母親が糖尿病にかかっていた場合、胎盤を通して通常より多くのブドウ糖が胎児に送られるため、血糖値を下げる働きを持つインスリンの分泌量も増えています。出生直後には、胎盤によるブドウ糖の供給は止まっても、インスリンは分泌され続けるために血糖値が下がり、新生児に低血糖の症状が現れることになります。
インスリンの過剰分泌がない場合も、早産児や低出生体重児で、肝臓や筋肉に蓄えているグリコーゲンの量が少ないと、一時的に低下した血糖値を上げることができず、低血糖を引き起こしやすくなります。このほか、感染症も新生児の低血糖を引き起こす原因と考えられています。
新生児の低血糖が軽症であれば、目立った症状が現れないことが多いのですが、重症の場合は、元気がなく母乳を飲まない、ボーッとして意識レベルが低い、けいれんに似た動きをする、無呼吸になる、顔色が悪く青白くなっていたりチアノーゼが起きている、汗をたくさんかき呼吸が荒くなる、などの症状が現れることがあります。
新生児低血糖症の検査と診断と治療
小児科の医師による診断は、血糖値を調べる血液検査を行うのが一般的です。低血糖とともに起きやすい電解質異常を調べる検査を行うこともあります。
小児科の医師によなどる治療は、無症状の場合には、できるだけ速やかに母親の直接授乳、ないしミルクによる栄養供給を開始します。
経口摂取が困難な場合や、授乳などを行ったにもかかわらず低血糖が改善しない場合、症状のある場合、無症状でも血糖値が20~25㎎/dl未満の場合は、基本的にブドウ糖を点滴で投与します。点滴だけでは症状が改善しない場合は、ステロイド剤の投与や血糖を上昇させるホルモン、またはインスリンの働きを抑える薬を使うことがあります。
また、低血糖を引きこしている原因についても調べ、原因となっている疾患がわかれば、その治療も同時に行います。
血糖値と体調が落ち着いてきたら、母親の直接授乳などを増量し、糖分を供給していきます。血糖値が安定し、点滴の必要がなくなるまでは、入院の上で治療を行います。
新生児低血糖症は、早期に適切な治療が行われた場合には予後は良好なのですが、発見が遅くなって治療が遅れてしまうと、低血糖の状態が長く続き、脳に何らかの障害を残す恐れがあります。特に早産児や低出生体重児で産まれ、新生児仮死があった場合は、様子を注意深く観察する必要があります。
新生児低血糖症とは、生まれたばかりの新生児の血液に含まれる糖分が少なくなっていて特有の症状が現れる状態。
新生児に低血糖が認められても、すぐに正常な血糖値に回復することが多いのですが、中には低血糖の状態が続いてしまうケースもあります。血液に含まれる糖分は人間の脳の働きを支える重要なエネルギー源であるため、低血糖の状態が続いてしまうと、脳に悪影響を与えて神経系の後遺症を引き起こす可能性があります。
胎児は低血糖にならないように、母親の胎内にいる時から胎盤を通して糖分を摂取し、出生後には母乳やミルクから糖分を得て、正常な血糖値を保っていきます。
生まれたばかりの新生児は、それまで胎盤を通じて行われていた栄養供給が止まり、母乳かミルクを飲むまでは栄養を摂取できなくなります。胎盤を通じて得ていた糖分の摂取も一時的に途切れてしまうため、新生児が低血糖になるのは生理的なものだといえます。一般的に、新生児の血糖値は生まれた後に急速に下がり、1〜2時間後には最も低くなります。
出生直後に血糖値が下がっても、ほとんどの新生児は体内の仕組みのお陰で、徐々に血糖値は上昇していきます。しかし、中には血糖値が正常に上がらず、低血糖の治療が必要になる場合もあります。
新生児の低血糖を引き起こす原因はさまざまで、主にインスリンの過剰分泌がある場合と、ない場合に分けられます。
インスリンは膵臓(すいぞう)のランゲルハンス島にあるベータ細胞から分泌されるホルモンで、骨格筋や肝臓、組織において血液から細胞内への糖分の吸収を促し、エネルギーを作ったり蓄えたりする働きを持つほか、血糖値を上昇しすぎないよう調節する役割も持っています。このインスリンが過剰に分泌されていたり、成長ホルモンなど血糖値を上昇させるホルモンが欠乏していたりすると、低血糖を引き起こします。
例えば、妊娠中の母親が糖尿病にかかっていた場合、胎盤を通して通常より多くのブドウ糖が胎児に送られるため、血糖値を下げる働きを持つインスリンの分泌量も増えています。出生直後には、胎盤によるブドウ糖の供給は止まっても、インスリンは分泌され続けるために血糖値が下がり、新生児に低血糖の症状が現れることになります。
インスリンの過剰分泌がない場合も、早産児や低出生体重児で、肝臓や筋肉に蓄えているグリコーゲンの量が少ないと、一時的に低下した血糖値を上げることができず、低血糖を引き起こしやすくなります。このほか、感染症も新生児の低血糖を引き起こす原因と考えられています。
新生児の低血糖が軽症であれば、目立った症状が現れないことが多いのですが、重症の場合は、元気がなく母乳を飲まない、ボーッとして意識レベルが低い、けいれんに似た動きをする、無呼吸になる、顔色が悪く青白くなっていたりチアノーゼが起きている、汗をたくさんかき呼吸が荒くなる、などの症状が現れることがあります。
新生児低血糖症の検査と診断と治療
小児科の医師による診断は、血糖値を調べる血液検査を行うのが一般的です。低血糖とともに起きやすい電解質異常を調べる検査を行うこともあります。
小児科の医師によなどる治療は、無症状の場合には、できるだけ速やかに母親の直接授乳、ないしミルクによる栄養供給を開始します。
経口摂取が困難な場合や、授乳などを行ったにもかかわらず低血糖が改善しない場合、症状のある場合、無症状でも血糖値が20~25㎎/dl未満の場合は、基本的にブドウ糖を点滴で投与します。点滴だけでは症状が改善しない場合は、ステロイド剤の投与や血糖を上昇させるホルモン、またはインスリンの働きを抑える薬を使うことがあります。
また、低血糖を引きこしている原因についても調べ、原因となっている疾患がわかれば、その治療も同時に行います。
血糖値と体調が落ち着いてきたら、母親の直接授乳などを増量し、糖分を供給していきます。血糖値が安定し、点滴の必要がなくなるまでは、入院の上で治療を行います。
新生児低血糖症は、早期に適切な治療が行われた場合には予後は良好なのですが、発見が遅くなって治療が遅れてしまうと、低血糖の状態が長く続き、脳に何らかの障害を残す恐れがあります。特に早産児や低出生体重児で産まれ、新生児仮死があった場合は、様子を注意深く観察する必要があります。
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■用語 徐脈頻脈症候群 [用語(し)]
頻脈と徐脈が交互にみられ、動悸やめまいなどの症状が出る疾患
徐脈頻脈症候群とは、脈が速くなったり、脈が遅くなったりを繰り返し、それに応じて動悸(どうき)やめまいなどの症状が出る疾患。洞不全(どうふぜん)症候群の一つのタイプです。
右心房の上部にあって、心臓が鼓動するリズムを作っている洞結節と右心房の機能低下に加え、心房細動や心房粗動、発作性上室性頻拍などの脈が速くなる頻脈性不整脈が出現し、右心房が自発的に興奮して、その刺激が洞結節に進入することで、洞結節の自発的興奮を一時的に強く抑えてしまうため、頻脈が自然停止した直後に、洞結節が高度の洞停止を生じ、脈が遅くなる徐脈を起こします。
出現する頻脈性不整脈の90%以上は、心房細動が占めます。洞不全症候群では、心房自体の機能低下もあるため、心房性頻脈が発生しやすくなります。そのほかの頻脈性不整脈としては、心房粗動、発作性上室性頻拍があります。いずれにしろ、頻脈性不整脈が自然停止した後に、洞停止が続いてしまいます。
典型的には、まず先行する動悸が生じ、それが止まったと思ったら、続いてめまい、意識障害、眼前暗黒感、顔面蒼白(そうはく)、けいれんなどの脳の虚血症状を自覚します。洞停止が長引けば、心停止または徐脈に伴って脳への血液の供給が急激に減少したり停止して、失神、呼吸困難、呼吸停止が起こります。
夜間睡眠中に脳虚血症状が現れる場合は無症状で経過することもありますが、日中に現れる脳虚血症状により転倒した場合には時に、重大な頭部外傷をもたらす危険もあり、心停止から拍動が回復しない場合は突然死することもあります。
徐脈頻脈症候群の原因として最も多いのは、加齢による洞結節または周辺の右心房筋の線維化による伝導障害です。そのほかに、心筋梗塞(こうそく)や冠状動脈硬化などの虚血性心疾患、高血圧症、先天性心疾患、心筋症、心筋炎などが原因になりますが、慢性腎機能障害による電解質異常や甲状腺(こうじょうせん)疾患によって起こることもあります。
また、洞結節の刺激の発生数を低下させる迷走神経の緊張高進、高カリウム血症のほか、高血圧治療薬や虚血性心疾患治療薬、抗不整脈薬、精神疾患治療薬などの薬剤投与によって引き起こされる場合もあります。
脳虚血症状などが長引く場合、繰り返すような場合には、循環器専門医の診察を受けてください。
徐脈頻脈症候群の検査と診断と治療
循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による診断では、24時間ホルター心電図による検査を行います。心房細動などの頻脈性不整脈が先行し、それが停止した時に洞停止が記録でき、その時に脳の虚血症状があれば診断が確定されます。
循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科の医師による治療では、頻脈の発生を予防する薬剤の投与により、洞停止時間が以前にも増して延長する可能性があります。一方、徐脈の治療のための脈拍を速くする薬剤の投与により、頻脈時の脈拍数が以前より増加する可能性があります。
このジレンマのため、薬剤による治療はうまくいかないことが多いので、症状が強ければ徐脈治療のために恒久型ペースメーカーを植え込んだ後で、頻脈治療を行います。
恒久型ペースメーカーは、徐脈が現れた時のみ電気刺激を出して心臓を刺激することにより心拍数を正常にし、高度な徐脈、心停止による失神などを予防します。手術で、ライターほどの大きさの恒久型ペースメーカーを鎖骨の下に植え込み、脈の状態は心臓の中に留置したリード線を通して察知します。
一般的な徐脈頻脈症候群の予防には、高血圧や心筋虚血も原因になり得るので、日ごろから血圧、コレステロール、血糖値の管理をしっかり行い、喫煙や過度の飲酒を控えることが大切です。規則正しい生活とバランスのとれた食事を心掛け、ストレスの低減、睡眠不足を避けることも大切です。
また、加齢による洞結節や右心房筋の機能低下も原因の一つとして考えられているため、定期的な健康診断を受診し、疾患の早期発見、治療を行うことが大切です。
徐脈頻脈症候群とは、脈が速くなったり、脈が遅くなったりを繰り返し、それに応じて動悸(どうき)やめまいなどの症状が出る疾患。洞不全(どうふぜん)症候群の一つのタイプです。
右心房の上部にあって、心臓が鼓動するリズムを作っている洞結節と右心房の機能低下に加え、心房細動や心房粗動、発作性上室性頻拍などの脈が速くなる頻脈性不整脈が出現し、右心房が自発的に興奮して、その刺激が洞結節に進入することで、洞結節の自発的興奮を一時的に強く抑えてしまうため、頻脈が自然停止した直後に、洞結節が高度の洞停止を生じ、脈が遅くなる徐脈を起こします。
出現する頻脈性不整脈の90%以上は、心房細動が占めます。洞不全症候群では、心房自体の機能低下もあるため、心房性頻脈が発生しやすくなります。そのほかの頻脈性不整脈としては、心房粗動、発作性上室性頻拍があります。いずれにしろ、頻脈性不整脈が自然停止した後に、洞停止が続いてしまいます。
典型的には、まず先行する動悸が生じ、それが止まったと思ったら、続いてめまい、意識障害、眼前暗黒感、顔面蒼白(そうはく)、けいれんなどの脳の虚血症状を自覚します。洞停止が長引けば、心停止または徐脈に伴って脳への血液の供給が急激に減少したり停止して、失神、呼吸困難、呼吸停止が起こります。
夜間睡眠中に脳虚血症状が現れる場合は無症状で経過することもありますが、日中に現れる脳虚血症状により転倒した場合には時に、重大な頭部外傷をもたらす危険もあり、心停止から拍動が回復しない場合は突然死することもあります。
徐脈頻脈症候群の原因として最も多いのは、加齢による洞結節または周辺の右心房筋の線維化による伝導障害です。そのほかに、心筋梗塞(こうそく)や冠状動脈硬化などの虚血性心疾患、高血圧症、先天性心疾患、心筋症、心筋炎などが原因になりますが、慢性腎機能障害による電解質異常や甲状腺(こうじょうせん)疾患によって起こることもあります。
また、洞結節の刺激の発生数を低下させる迷走神経の緊張高進、高カリウム血症のほか、高血圧治療薬や虚血性心疾患治療薬、抗不整脈薬、精神疾患治療薬などの薬剤投与によって引き起こされる場合もあります。
脳虚血症状などが長引く場合、繰り返すような場合には、循環器専門医の診察を受けてください。
徐脈頻脈症候群の検査と診断と治療
循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による診断では、24時間ホルター心電図による検査を行います。心房細動などの頻脈性不整脈が先行し、それが停止した時に洞停止が記録でき、その時に脳の虚血症状があれば診断が確定されます。
循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科の医師による治療では、頻脈の発生を予防する薬剤の投与により、洞停止時間が以前にも増して延長する可能性があります。一方、徐脈の治療のための脈拍を速くする薬剤の投与により、頻脈時の脈拍数が以前より増加する可能性があります。
このジレンマのため、薬剤による治療はうまくいかないことが多いので、症状が強ければ徐脈治療のために恒久型ペースメーカーを植え込んだ後で、頻脈治療を行います。
恒久型ペースメーカーは、徐脈が現れた時のみ電気刺激を出して心臓を刺激することにより心拍数を正常にし、高度な徐脈、心停止による失神などを予防します。手術で、ライターほどの大きさの恒久型ペースメーカーを鎖骨の下に植え込み、脈の状態は心臓の中に留置したリード線を通して察知します。
一般的な徐脈頻脈症候群の予防には、高血圧や心筋虚血も原因になり得るので、日ごろから血圧、コレステロール、血糖値の管理をしっかり行い、喫煙や過度の飲酒を控えることが大切です。規則正しい生活とバランスのとれた食事を心掛け、ストレスの低減、睡眠不足を避けることも大切です。
また、加齢による洞結節や右心房筋の機能低下も原因の一つとして考えられているため、定期的な健康診断を受診し、疾患の早期発見、治療を行うことが大切です。
■用語 心室早期興奮症候群 [用語(し)]
発作があると危険な頻脈性の不整脈
心室早期興奮症候群とは、脈拍が速くなる頻脈性の不整脈を生じる疾患の一つ。副伝導路症候群、ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群、WPW症候群とも呼ばれます。
不整脈とは、一定間隔で行われている心臓の拍動のリズムに、何らかの原因によって乱れが生じる疾患です。
血管系統の中心器官である心臓には、4つの部屋があります。上側の右心房と左心房が、血液を受け入れる部屋です。下側の右心室と左心室が、血液を送り出す部屋です。4つの部屋がリズミカルに収縮することで、筋肉でできている心臓は絶え間なく全身に血液を送り出すことができるのです。このリズムを作っているのが心臓の上部にある洞結節(どうけっせつ)と呼ばれる部分で、1分間に60~80回の電気刺激を発生させて、心臓を規則正しく収縮させています。この電気刺激が正常に働かなくことによって、拍動のリズムが乱れる不整脈が生じます。
心室早期興奮症候群の多くの原因としては、ケント(Kent)束と呼ばれるバイパス(副伝導路)が存在することによって、電気信号の旋回(空回り、リエントリー)が起こることが挙げられます。通常は洞結節から発した電気信号は心房を経由して心室へと伝達されますが、この疾患では信号が通常のルートのほかケント束を経由する2つのバイパスを伝わるため、発作が起きるとより早期に心室の興奮を生じ、拍動のリズムを乱してしまいます。発作時の脈拍が240回以上にも達する場合もあり、救急隊員が驚くことがあります。
しかし、バイパスがあっても症状が出る人は一部で、多くは健康診断などで発見されるまで、自覚症状がないため気付かずにいます。多くは放置しても自然に治まりますが、長時間続く場合は投薬により抑えます。
従来は危険性のそれほどない一種の先天性疾患として高血圧、高脂血症、肥満、喫煙等の生活習慣をコントロールすることで改善されることがあるとだけされてきましたが、1980年代からの研究により、心房細動から心室細動に移行したケースがあることが判明し、危険な不整脈であると位置付けられたため、突然、脈拍が速くなる頻脈性の不整脈発作がみられた場合は即座に循環器科、内科循環器科、内科などの医師に診察してもらう必要があります。
心室早期興奮症候群の検査と診断と治療
循環器科、内科循環器科、内科などの医師による診断では、心電図検査で特異的な波形を示す心室早期興奮症候群が見付かり、危険度の高いタイプかどうかもわかります。
循環器科、内科循環器科、内科などの医師による治療では、動悸(どうき)がない場合、処置は必要ありません。脈拍数が150回以上で、突然始まって突然止まる動悸、あるいは全く不規則に脈が打つ動悸がある危険度の高い場合は、不整脈を抑える薬を飲み続けて発作を抑えます。
カテーテル焼灼(しょうしゃく)法(カテーテルアブレーション)といって、鼠径(そけい)部などから管を挿入し、バイパス部分を焼いてしまう根治療法も行われています。
危険グループでなければ、経過をみていけばいいのですが、禁煙と肥満解消を心掛け、食事などによる高血圧や高脂血症の予防と改善が大切です。過激な運動、過労や睡眠不足、不摂生、強いストレスなどは不整脈発作の引き金になるので注意します。
心室早期興奮症候群とは、脈拍が速くなる頻脈性の不整脈を生じる疾患の一つ。副伝導路症候群、ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群、WPW症候群とも呼ばれます。
不整脈とは、一定間隔で行われている心臓の拍動のリズムに、何らかの原因によって乱れが生じる疾患です。
血管系統の中心器官である心臓には、4つの部屋があります。上側の右心房と左心房が、血液を受け入れる部屋です。下側の右心室と左心室が、血液を送り出す部屋です。4つの部屋がリズミカルに収縮することで、筋肉でできている心臓は絶え間なく全身に血液を送り出すことができるのです。このリズムを作っているのが心臓の上部にある洞結節(どうけっせつ)と呼ばれる部分で、1分間に60~80回の電気刺激を発生させて、心臓を規則正しく収縮させています。この電気刺激が正常に働かなくことによって、拍動のリズムが乱れる不整脈が生じます。
心室早期興奮症候群の多くの原因としては、ケント(Kent)束と呼ばれるバイパス(副伝導路)が存在することによって、電気信号の旋回(空回り、リエントリー)が起こることが挙げられます。通常は洞結節から発した電気信号は心房を経由して心室へと伝達されますが、この疾患では信号が通常のルートのほかケント束を経由する2つのバイパスを伝わるため、発作が起きるとより早期に心室の興奮を生じ、拍動のリズムを乱してしまいます。発作時の脈拍が240回以上にも達する場合もあり、救急隊員が驚くことがあります。
しかし、バイパスがあっても症状が出る人は一部で、多くは健康診断などで発見されるまで、自覚症状がないため気付かずにいます。多くは放置しても自然に治まりますが、長時間続く場合は投薬により抑えます。
従来は危険性のそれほどない一種の先天性疾患として高血圧、高脂血症、肥満、喫煙等の生活習慣をコントロールすることで改善されることがあるとだけされてきましたが、1980年代からの研究により、心房細動から心室細動に移行したケースがあることが判明し、危険な不整脈であると位置付けられたため、突然、脈拍が速くなる頻脈性の不整脈発作がみられた場合は即座に循環器科、内科循環器科、内科などの医師に診察してもらう必要があります。
心室早期興奮症候群の検査と診断と治療
循環器科、内科循環器科、内科などの医師による診断では、心電図検査で特異的な波形を示す心室早期興奮症候群が見付かり、危険度の高いタイプかどうかもわかります。
循環器科、内科循環器科、内科などの医師による治療では、動悸(どうき)がない場合、処置は必要ありません。脈拍数が150回以上で、突然始まって突然止まる動悸、あるいは全く不規則に脈が打つ動悸がある危険度の高い場合は、不整脈を抑える薬を飲み続けて発作を抑えます。
カテーテル焼灼(しょうしゃく)法(カテーテルアブレーション)といって、鼠径(そけい)部などから管を挿入し、バイパス部分を焼いてしまう根治療法も行われています。
危険グループでなければ、経過をみていけばいいのですが、禁煙と肥満解消を心掛け、食事などによる高血圧や高脂血症の予防と改善が大切です。過激な運動、過労や睡眠不足、不摂生、強いストレスなどは不整脈発作の引き金になるので注意します。
タグ:神経循環無力症 心室頻拍 原発性心筋症 洞不全症候群 心室早期興奮症候群 用語 用語(し) 用語(さ行) 健康創造塾 大動脈炎症候群 大動脈縮窄症 大動脈瘤 高安病 多血症(赤血球増加症) 多発性血管脂肪腫 多発性脳梗塞 致死性不整脈 肺性心 肺高血圧症 バージャー病 脳貧血 脳動静脈奇形 脳梗塞 妊娠高血圧症候群 二次性貧血 二次性脂質異常症 二次性赤血球増加症 二次性高血圧 Ⅱb型高リポ蛋白血症 Ⅱa型高リポ蛋白血症 内頸動脈狭窄症 特発性脱疽 特発性心筋症 動脈硬化 動脈管開存症 鉄欠乏性貧血 低βリポ蛋白血症 低中性脂肪血症 低脂血症 低血圧症 低LDLコレステロール血症 低HDLコレステロール血症 心室細動 心臓神経症 心臓ぜんそく 心内膜炎 先天性心臓病 ブルガダ症候群 WPW症候群 洞性頻脈 心筋炎 心室性期外収縮
■用語 上室性期外収縮 [用語(し)]
心房内と房室接合部付近に電気刺激が発生して、早期に心臓が収縮する不整脈
上室性期外収縮とは、心臓内部の上半分である心房内および房室接合部付近に電気刺激が発生し、右心房付近にある洞結節(どうけっせつ)から発生する本来の電気刺激によるよりも早い時点で、心臓が収縮する不整脈。PSVC(premature supraventricular contraction)とも呼ばれます。
通常は発生しない電気刺激が房室接合部より上位で発生した場合は、心房性期外収縮(APC:atrial premature contraction、PAC :premature atrial contraction)、心房と心臓内部の下半分である心室の境界部にあって、房室結節と房室束(ヒス束)からなる房室接合部付近で発生した場合は、房室接合部性期外収縮(PJC:premature junctional contraction)と区別されますが、両者の判別が容易でない場合は、上室性期外収縮と呼ばれます。
上室性期外収縮は健康な人にも高頻度でみられる有り触れた不整脈で、年齢を重ねていくにつれてみられる頻度も一段と高くなっていきます。
健康な人における発生誘因として、疲労、緊張、ストレス、運動、睡眠不足、喫煙、カフェイン、飲酒、栄養ドリンク、季節の変わり目などが挙げられます。心疾患や肺疾患のある人では発生頻度が高く、カフェインを含むコーヒーの摂取や、飲酒で引き起こされ、悪化することがあります。
上室性期外収縮が起きても無症状であることがほとんどなのですが、軽い一過性の動悸(どうき)を自覚して、心臓がドキンとしたり、心臓が一時止まったように感じたりすることもあります。
あるいは、脈が不規則になり、「トン、トン、トン」と規則正しく打っている脈の中に時々「トトン」と早く打つ脈が現れたり、急に心臓の1拍動が欠け、1秒飛んで2秒後に拍動するといったリズムの乱れを自覚することもあります。のどや胸に不快感を感じたり、きわめて短い胸痛を感じる人もいます。
まれに上室性期外収縮が連続して起こった時は、耐えがたい動悸を感じたり、一時的に血圧が下がるために、めまいや失神といった症状が現れることもあります。この場合は、心房細動などの危険な不整脈へと移行することがあるので注意が必要です。
心房細動では、1分間当たり400~600回も心房が不規則に動きます。心房内の血液の流れは悪くなり、意識の消失や心機能の低下、血栓を生じて脳梗塞(こうそく)を招くこともあります。
健康診断などの検査で上室性期外収縮を指摘されたり、自分で脈をとった時に脈が飛ぶなどして上室性期外収縮だと感じたりした場合は、1日に起こる回数や頻度などを確認してみるといいでしょう。頻繁に起こるような場合は、医療機関で検査を受けて確認してみるといいでしょう。
上室性期外収縮の検査と診断と治療
内科、循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による診断では、心電図検査が基本となります。
一般的に通常の検査は限られた時間の中で情報を集めますが、詳しく検査する場合はホルター心電計を利用します。これは胸に電極をつけて24時間にわたる心電図を記録する携帯式の小型の装置で、運動中や食事中、就寝中などでの上室性期外収縮の出現頻度と出現形態を確認できます。
また、基礎心疾患の有無や運動前後での上室性期外収縮の出現頻度をみる目的で、心臓超音波検査や運動負荷心電図を行います。
正常な心臓における心電図の波形はP波という小さな波から始まり、とがって大きな波のQRS波、なだらかな波のT波、最後に小さい波のU波が見られ、これが繰り返されていきますが、上室性期外収縮の心電図上では、正常と異なる波形のP波が早期に出現し、そのP波は異所性のP波です。P波に続くQRS波は、正常な波形で出現します。
また、異所性のP波の波形により、電気刺激の発生部位が1つの単源性か、発生部位が複数ある多源性かを区別します。
内科、循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による治療では、症状がなく上室性期外収縮が単発で発生する場合は、特に処置を行わず経過を観察します。
しかし、症状がなくても原因となる疾患がある場合や、検査の結果で心房細動などの危険な不整脈に移行する可能性がある場合、ナトリウムチャネル遮断薬などの抗不整脈薬の投与による治療を行うことになります。
症状が強く期外収縮が連続して発生する場合は、まず抗不安薬を投与します。それでも症状がある場合には、β(ベータ)遮断薬などの抗不整脈薬を使うことになります。薬物治療を行う場合には、副作用のリスクを考慮して、十分に検討した上で慎重に行います。
運動をすると上室性期外収縮が頻発する場合には、期外収縮の連続による頻脈(頻拍)や持続性の頻脈が生じる可能性があるので、運動を控えるよう制限を設けます。逆に、運動によって上室性期外収縮がなくなる場合には、運動制限を設ける必要はありません。
一般的な上室性期外収縮の予防には、規則正しい生活とバランスのとれた食事を心掛け、ストレスの低減、睡眠不足を避けることなどが大切です。喫煙や過度の飲酒も控えます。
上室性期外収縮とは、心臓内部の上半分である心房内および房室接合部付近に電気刺激が発生し、右心房付近にある洞結節(どうけっせつ)から発生する本来の電気刺激によるよりも早い時点で、心臓が収縮する不整脈。PSVC(premature supraventricular contraction)とも呼ばれます。
通常は発生しない電気刺激が房室接合部より上位で発生した場合は、心房性期外収縮(APC:atrial premature contraction、PAC :premature atrial contraction)、心房と心臓内部の下半分である心室の境界部にあって、房室結節と房室束(ヒス束)からなる房室接合部付近で発生した場合は、房室接合部性期外収縮(PJC:premature junctional contraction)と区別されますが、両者の判別が容易でない場合は、上室性期外収縮と呼ばれます。
上室性期外収縮は健康な人にも高頻度でみられる有り触れた不整脈で、年齢を重ねていくにつれてみられる頻度も一段と高くなっていきます。
健康な人における発生誘因として、疲労、緊張、ストレス、運動、睡眠不足、喫煙、カフェイン、飲酒、栄養ドリンク、季節の変わり目などが挙げられます。心疾患や肺疾患のある人では発生頻度が高く、カフェインを含むコーヒーの摂取や、飲酒で引き起こされ、悪化することがあります。
上室性期外収縮が起きても無症状であることがほとんどなのですが、軽い一過性の動悸(どうき)を自覚して、心臓がドキンとしたり、心臓が一時止まったように感じたりすることもあります。
あるいは、脈が不規則になり、「トン、トン、トン」と規則正しく打っている脈の中に時々「トトン」と早く打つ脈が現れたり、急に心臓の1拍動が欠け、1秒飛んで2秒後に拍動するといったリズムの乱れを自覚することもあります。のどや胸に不快感を感じたり、きわめて短い胸痛を感じる人もいます。
まれに上室性期外収縮が連続して起こった時は、耐えがたい動悸を感じたり、一時的に血圧が下がるために、めまいや失神といった症状が現れることもあります。この場合は、心房細動などの危険な不整脈へと移行することがあるので注意が必要です。
心房細動では、1分間当たり400~600回も心房が不規則に動きます。心房内の血液の流れは悪くなり、意識の消失や心機能の低下、血栓を生じて脳梗塞(こうそく)を招くこともあります。
健康診断などの検査で上室性期外収縮を指摘されたり、自分で脈をとった時に脈が飛ぶなどして上室性期外収縮だと感じたりした場合は、1日に起こる回数や頻度などを確認してみるといいでしょう。頻繁に起こるような場合は、医療機関で検査を受けて確認してみるといいでしょう。
上室性期外収縮の検査と診断と治療
内科、循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による診断では、心電図検査が基本となります。
一般的に通常の検査は限られた時間の中で情報を集めますが、詳しく検査する場合はホルター心電計を利用します。これは胸に電極をつけて24時間にわたる心電図を記録する携帯式の小型の装置で、運動中や食事中、就寝中などでの上室性期外収縮の出現頻度と出現形態を確認できます。
また、基礎心疾患の有無や運動前後での上室性期外収縮の出現頻度をみる目的で、心臓超音波検査や運動負荷心電図を行います。
正常な心臓における心電図の波形はP波という小さな波から始まり、とがって大きな波のQRS波、なだらかな波のT波、最後に小さい波のU波が見られ、これが繰り返されていきますが、上室性期外収縮の心電図上では、正常と異なる波形のP波が早期に出現し、そのP波は異所性のP波です。P波に続くQRS波は、正常な波形で出現します。
また、異所性のP波の波形により、電気刺激の発生部位が1つの単源性か、発生部位が複数ある多源性かを区別します。
内科、循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による治療では、症状がなく上室性期外収縮が単発で発生する場合は、特に処置を行わず経過を観察します。
しかし、症状がなくても原因となる疾患がある場合や、検査の結果で心房細動などの危険な不整脈に移行する可能性がある場合、ナトリウムチャネル遮断薬などの抗不整脈薬の投与による治療を行うことになります。
症状が強く期外収縮が連続して発生する場合は、まず抗不安薬を投与します。それでも症状がある場合には、β(ベータ)遮断薬などの抗不整脈薬を使うことになります。薬物治療を行う場合には、副作用のリスクを考慮して、十分に検討した上で慎重に行います。
運動をすると上室性期外収縮が頻発する場合には、期外収縮の連続による頻脈(頻拍)や持続性の頻脈が生じる可能性があるので、運動を控えるよう制限を設けます。逆に、運動によって上室性期外収縮がなくなる場合には、運動制限を設ける必要はありません。
一般的な上室性期外収縮の予防には、規則正しい生活とバランスのとれた食事を心掛け、ストレスの低減、睡眠不足を避けることなどが大切です。喫煙や過度の飲酒も控えます。
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