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■用語 心室頻拍 [用語(し)]

[バー]心室の一部から連続して起こる電気刺激によって頻脈が現れる病態
 心室頻拍とは、心室内で電気刺激が連続して発生したり、電気刺激が回る回路ができたりすることによって、心臓の拍動が異常に速くなる頻脈を起こす不整脈の一種。
 正常な心臓では、右心房付近にある洞結節(どうけっせつ)から1分間に60~100回の電気刺激が発生して、心臓内部の上半分である右心房、左心房、心臓内部の下半分である右心室、左心室を規則正しく収縮させることで拍動を起こし、心臓は絶え間なく全身に血液を送り出しています。
 驚いた時などには一時的に拍動数は跳ね上がりますが、高くても1分間に140〜160回くらいの数値からゆっくりと下がっていき、正常値に収まっていくのが普通の状態です。
 心室頻拍は、1分間当たりの拍動が100~250回という非常に速い発作性の頻脈を示します。
 発作性の頻脈の持続時間が30秒以内か否かで、非持続性心室頻拍と持続性心室頻拍とに分類されます。もともと心臓に疾患がなく、30秒以内に自然停止する非持続性心室頻拍なら、心配ないこともあります。
 しかし、心臓に疾患があったり、30秒以上持続する場合は、頻脈が遅ければ症状が少ないこともある一方で、頻脈が速いと送り出される血液量が少なくなって血圧の低下を招き、さまざまな症状が現れます。また、心室頻拍からさらに悪性度が高く、1分間当たりの拍動が300~600回と極端に速くなる心室細動に移行することもあります。
 心室頻拍には、もともと心臓疾患があって起こる場合と、心臓にはっきりした疾患がなくても起こる場合とがあります。心室頻拍を引き起こす可能性のある代表的な心臓病としては、心筋梗塞(こうそく)、拡張型心筋症、催不整脈性右室心筋症、QT延長症候群(家族性突然死症候群)、心臓サルコイドーシスなどがあります。一方、はっきりした心臓の疾患がないのに起こる心室頻拍のことを、特に特発(突発)性心室頻拍といいます。
 心室の筋肉が変性し、異常に速い電気刺激が連続して発生するようになったり、心室の筋肉内に電気刺激が比較的大きく旋回する異常な電気回路ができたりすることが、心室頻拍が起こる仕組みです。
 非持続性心室頻拍の代表的な症状は、脈が飛ぶような感じや、脈が早いタイミングで打つような感じなどです。持続性心室頻拍では、心臓がドキドキする動悸(どうき)感などの症状を自覚します。動悸は突然始まり、停止する時も突然なことが特徴です。動悸とともに、胸痛や胸部不快感を感じることもあります。
 持続性心室頻拍で頻脈が速いと、送り出される血液量が少なくなって血圧が低下するため、めまい、ふらつき、失神などの脳虚血症状が現れます。極端に血圧が低下するとショックの状態に陥り、心臓突然死に至る確率が高くなるので、救急外来を受診し、緊急の治療を受けるべきです。
 心室頻拍は命にかかわるものなので、まずは毎年の健康診断をきちんと受けること、そして健康診断の心電図などで、無症状あるいは軽度の症状の非持続性心室頻拍を指摘されたり、胸の自覚症状があった際には、悪性度の判定のため専門医の診察を受けることが勧められます。
[バー]心室頻拍の検査と診断と治療
 循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による診断では、定期的に心電図をとって経過を観察するだけでよい心室頻拍から、厳重な緊急治療を要する心室頻拍まで幅広いので、検査によってその悪性度を特定し、治療の必要性を決定します。
 普通の心電図検査を中心に、胸部X線検査、血液検査、さらにホルター心電図、運動負荷検査、心臓超音波検査などを行い、場合によっては心臓カテーテル検査や心臓電気生理学検査を行います。
 ホルター心電図は、携帯式の小型の心電計を付けたまま帰宅してもらい、体を動かしている時や、寝ている時に心電図がどう変化するかをみる検査。長時間の記録ができ、不整脈の数がどれくらいあるか、危険な不整脈はないか、症状との関係はどうか、心臓疾患は出ていないかなどがわかります。とりわけ、日中に発作が起こりにくい不整脈を発見するのに効果を発揮します。
 運動負荷検査は、階段を上り下りしたり、ベルトの上を歩いたり、自転車をこいでもらったりする検査。運動によって不整脈がどのように変わるか、心臓疾患が出るかどうかをチェックします。
 心臓超音波検査は、心臓の形態や動きをみるもので、心臓に疾患があるかどうかが診断できます。
 循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による内科治療では、自然停止しない持続性心室頻拍に対して、抗不整脈薬という拍動を正常化する働きのある薬を中心に行います。ただし、不整脈そのものを緩和、停止、予防する抗不整脈薬での治療は、症状を悪化させたり、別の不整脈を誘発したりする場合があり、慎重を要する治療法であるといえます。
 抗不整脈薬のほかに、抗血栓薬など不整脈の合併症を予防する薬なども用います。
 循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による外科治療では、自然停止しない持続性心室頻拍や、原因となるはっきりした心臓疾患のない特発(突発)性心室頻拍に対して、体内に挿入したカテーテル(細い管)の先端から高周波を流し、心臓の過電流になっている部位を焼灼(しょうしゃく)して正常化する、カテーテル・アブレーション法(経皮的カテーテル心筋焼灼術)という新しい治療法を行います。この治療法は、心臓の電位を測って映像化する技術が確立したことで実現しました。
 薬物療法に応じず、血行動態の急激な悪化を伴う持続性心室頻拍に対しては、直流通電(DCショック)を行います。また、慢性的に重症心室頻拍の危険が持続する症状に対しては、植え込み型除細動器(ICD)の埋め込み手術も考慮されます。植え込み型除細動器は、致命的な不整脈が起きても、それを自動的に感知して止めてしまう装置です。
 原因となる心臓疾患がある場合は、それに対する根本的な治療も行います。
 一般的な心室頻拍の予防には、規則正しい生活とバランスのとれた食事を心掛け、ストレスの低減、睡眠不足を避けることなどが大切です。喫煙や過度の飲酒も控えます。

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■用語 心室性期外収縮 [用語(し)]

[バー]心室で発生した異常な電気刺激によって、心臓が早期に収縮する不整脈
 心室性期外収縮とは、心室内で発生した異常な電気刺激によって心臓が本来の拍動のリズムを外れて、不規則に少し早く収縮する不整脈の一つ。
 不整脈は、一定間隔で行われている心臓の拍動のリズムに、何らかの原因によって乱れが生じる疾患の総称。この不整脈は、脈が正常よりも速くなり、1分間当たりの心拍数が100回を大きく上回る症状をみせる頻脈性不整脈、脈が正常よりも遅くなり、1分間当たりの心拍数が60回未満まで下回る症状をみせる徐脈性不整脈、そして、普段規則正しく打っている脈が不規則なリズムになる期外収縮の3つに分類されます。
 期外収縮は、不整脈の中で一番多く起こります。健康な人でもみられ、年齢を重ねていくにつれてみられる頻度も高くなっていきます。
 脈が不規則になり、「トン、トン、トン」と規則正しく打っている脈の中に時々「トトン」と早く打つ脈が現れたり、急に心臓の1拍動が欠け、1秒飛んで2秒後に拍動するといったリズムの乱れを伴います。心室性期外収縮と、より良性の心房(上室)性期外収縮に分かれますが、いずれの場合も心臓がドキンとしたり、心臓が一時止まったように感じたりします。
 心臓は全身に血液を送り出すために、規則正しいリズムで収縮と拡張を繰り返しています。心臓の右心房にある洞結節(どうけっせつ)という部位で電気刺激が発生し、電気刺激は房室結節を通って心室へと伝えられます。期外収縮は洞結節以外の部位で電気刺激が発生し、心臓に伝えられるものです。心臓内部の上半分である心房で電気刺激が発生した場合が心房(上室)性期外収縮、心臓内部の下半分である心室で電気刺激が発生した場合が心室性期外収縮に相当します。
 通常の洞結節から発生する電気刺激よりも、早いタイミングで心臓に伝えられるため、脈をとった時に「早いタイミングで打つ」、「リズムが不規則になる」、「脈拍として触れることができず、脈が一拍飛ぶ」ように感じます。胸の違和感や痛み、喉(のど)の詰まった感じなどの症状が出ることもあります。
 心室内での電気刺激は、心室内の筋肉が興奮を始めて収縮しやすい状況にある時に発生しやすく、具体的には血液の中のカリウムの濃度が低くなりすぎている状況や、興奮してアドレナリンが活発に分泌されている状況、また、興奮の一番始めに働くイオンチャネルのナトリウムチャネルの興奮性が高まっている状況が考えられます。
 心室性期外収縮は健康な人でも自分の年齢数くらいは認めることがあり、何の症状もなく生活している人が大半ですが、命の危険にかかわる心臓の疾患の前兆として発生している場合もあります。突然死の原因にもなる心筋梗塞(こうそく)や、心機能の低下を来すこともある心筋症、心臓に負担がかかる弁膜症などです。
 心室性期外収縮の回数があまりにも多く、連続して発生すると、血圧の低下や動悸(どうき)、めまいなどが生じることもあります。この場合は、心房細動、心室頻拍、心室細動などの危険な不整脈へと移行することがあるので注意が必要です。
 健康診断などの検査で心室性期外収縮を指摘されたり、自分で脈をとった時に脈が飛ぶなどして心室性期外収縮だと感じたりした場合は、1日に起こる回数や頻度などを確認してみるといいでしょう。頻繁に起こるような場合は、医療機関で検査を受けて確認してみるといいでしょう。
[バー]心室性期外収縮の検査と診断と治療
 内科、循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による診断では、心電図検査が基本となります。
 一般的に通常の検査は限られた時間の中で情報を集めますが、詳しく検査する場合はホルター心電計を利用します。これは胸に電極をつけて24時間にわたる心電図を記録する携帯式の小型の装置で、運動中や食事中、就寝中などでの心室性期外収縮の出現頻度と出現形態を確認できます。
 また、基礎心疾患の有無や運動前後での心室性期外収縮の出現頻度をみる目的で、心臓超音波検査や運動負荷心電図などを行います。
 内科、循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による治療では、健常な人でも自分の年齢数くらいは心室性期外収縮が現れてもおかしくないので、単発で無症状であれば、日常生活に制限を設けません。定期的な心電図検査を行い、期外収縮の出現頻度が変わっていないか、ほかの不整脈を伴っていないか経過観察します。
 動悸などの症状が強い時には、まず抗不安薬を投与します。それでも症状がある場合には、ナトリウムチャネル遮断薬や、アドレナリンを阻害するβ(ベータ)遮断薬などの抗不整脈薬を使うことになります。薬物治療を行う場合には、副作用のリスクを考慮して、十分に検討した上で慎重に行います。
 運動をすると心室性期外収縮が頻発する場合には、期外収縮の連続による頻脈(頻拍)や持続性の頻脈が生じる可能性があるので、運動を控えるよう制限を設けます。逆に、運動によって心室性期外収縮がなくなる場合には、運動制限を設ける必要はありません。
 心室性期外収縮自体の予後は、良好です。しかし、心室性期外収縮が引き金になって致死的な頻脈が生じることがあります。このような場合は治療が必要で、鼠径(そけい)部などから挿入した細いカテーテルにより、心臓の心室性期外収縮の原因組織を高周波電流で焼灼(しょうしゃく)するカテーテルアブレーション(経皮的カテーテル心筋焼灼術)を行うことがあります。
 一般的な心室性期外収縮の予防には、規則正しい生活とバランスのとれた食事を心掛け、ストレスの低減、睡眠不足を避けることなどが大切です。喫煙や過度の飲酒も控えます。

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■用語 心房期外収縮 [用語(し)]

[バー]心房内に電気刺激が発生して早期に心臓が収縮する不整脈
 心房期外収縮とは、心臓内部の上半分である心房内および房室接合部付近に電気刺激が発生し、右心房付近にある洞結節(どうけっせつ)から発生する本来の電気刺激によるよりも早い時点で、心臓が収縮する不整脈。
 APC(atrial premature contraction)とも、PAC (premature atrial contraction)とも呼ばれます。
 通常は発生しない電気刺激が房室接合部より上位で発生した場合は心房性期外収縮、房室接合部付近で発生した場合は房室接合部性期外収縮(PJC:premature junctional contraction)と区別されますが、両者の判別が容易でない場合は、上室性期外収縮(PSVC:premature supraventricular contraction)と呼ばれます。
 心房期外収縮は健康な人にも高頻度でみられる有り触れた不整脈で、年齢を重ねていくにつれてみられる頻度も一段と高くなっていきます。
 健康な人における発生誘因として、疲労、緊張、ストレス、運動、睡眠不足、喫煙、カフェイン、飲酒、栄養ドリンク、季節の変わり目などが挙げられます。心疾患や肺疾患のある人では発生頻度が高く、カフェインを含むコーヒーの摂取や、飲酒で引き起こされ、悪化することがあります。
 心房期外収縮が起きても無症状であることがほとんどなのですが、軽い一過性の動悸(どうき)を自覚して、心臓がドキンとしたり、心臓が一時止まったように感じたりすることもあります。
 あるいは、脈が不規則になり、「トン、トン、トン」と規則正しく打っている脈の中に時々「トトン」と早く打つ脈が現れたり、急に心臓の1拍動が欠け、1秒飛んで2秒後に拍動するといったリズムの乱れを自覚することもあります。のどや胸に不快感を感じたり、きわめて短い胸痛を感じる人もいます。
 まれに心房期外収縮が連続して起こった時は、耐えがたい動悸を感じたり、一時的に血圧が下がるために、めまいや失神といった症状が現れることもあります。この場合は、心房細動などの危険な不整脈へと移行することがあるので注意が必要です。
 心房細動では、1分間当たり400~600回も心房が不規則に動きます。心房内の血液の流れは悪くなり、意識の消失や心機能の低下、血栓を生じて脳梗塞(こうそく)を招くこともあります。
 健康診断などの検査で心房期外収縮を指摘されたり、自分で脈をとった時に脈が飛ぶなどして心房期外収縮だと感じたりした場合は、1日に起こる回数や頻度などを確認してみるといいでしょう。頻繁に起こるような場合は、医療機関で検査を受けて確認してみるといいでしょう。
[バー]心房期外収縮の検査と診断と治療
 内科、循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による診断では、心電図検査が基本となります。
 一般的に通常の検査は限られた時間の中で情報を集めますが、詳しく検査する場合はホルター心電計を利用します。これは胸に電極をつけて24時間にわたる心電図を記録する携帯式の小型の装置で、運動中や食事中、就寝中などでの心房期外収縮の出現頻度と出現形態を確認できます。
 また、基礎心疾患の有無や運動前後での心房期外収縮の出現頻度をみる目的で、心臓超音波検査や運動負荷心電図を行います。
 正常な心臓における心電図の波形はP波という小さな波から始まり、とがって大きな波のQRS波、なだらかな波のT波、最後に小さい波のU波が見られ、これが繰り返されていきますが、心房期外収縮の心電図上では、正常と異なる波形のP波が早期に出現し、そのP波は異所性のP波です。P波に続くQRS波は、正常な波形で出現します。
 また、異所性のP波の波形により、電気刺激の発生部位が1つの単源性か、発生部位が複数ある多源性かを区別します。
 内科、循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による治療では、症状がなく心房期外収縮が単発で発生する場合は、特に処置を行わず経過を観察します。
 しかし、症状がなくても原因となる疾患がある場合や、検査の結果で心房細動などの危険な不整脈に移行する可能性がある場合は、ナトリウムチャネル遮断薬などの抗不整脈薬の投与による治療を行うことになります。
 症状が強く期外収縮が連続して発生する場合は、まず抗不安薬を投与します。それでも症状がある場合には、β(ベータ)遮断薬などの抗不整脈薬を使うことになります。薬物治療を行う場合には、副作用のリスクを考慮して、十分に検討した上で慎重に行います。
 運動をすると心房期外収縮が頻発する場合には、期外収縮の連続による頻脈(頻拍)や持続性の頻脈が生じる可能性があるので、運動を控えるよう制限を設けます。逆に、運動によって心房期外収縮がなくなる場合には、運動制限を設ける必要はありません。
 一般的な心房期外収縮の予防には、規則正しい生活とバランスのとれた食事を心掛け、ストレスの低減、睡眠不足を避けることなどが大切です。喫煙や過度の飲酒も控えます。

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■用語 心房頻拍 [用語(し)]

[ゴルフ]心房内の規則的な電気刺激により、心臓の拍動が1分間に140~200回に増える頻拍
 心房頻拍とは、心臓内部の上半分である心房内に異常興奮部位が存在することで、心臓の拍動が1分間に140~200回へと突然増える頻拍。AT(atrial tachycardia)とも呼ばれます。
 正常な心臓では、右心房付近にある洞結節(どうけっせつ)から1分間に60~80回の電気刺激が発生して、心臓内部の上半分である右心房、左心房、心臓内部の下半分である右心室、左心室を規則正しく収縮させることで拍動を起こし、心臓は絶え間なく全身に血液を送り出しています。
 心房頻拍は、洞結節からの電気刺激ではなく、心房内の異常な心筋細胞から極端に速い頻度で電気刺激が発生してしまうことで起こります。
 頻拍が発生する起源により、異所性心房頻拍、リエントリー(再侵入)性心房頻拍(心房内リエントリー性頻拍、マクロ・リエントリー性心房頻拍)などに分類されます。
 異所性心房頻拍は、比較的狭い異常な心筋細胞が心房内に発生することが原因となるため、起源は多彩です。好発部位は、右心房では分界稜(りょう)、上大静脈、冠静脈洞、左心房では肺静脈入口部周囲。比較的若い人に多くみられます。
 一方、リエントリー性心房頻拍は、洞結節の周囲や、心臓の外科手術で切開した跡の周囲などに、電気的刺激が比較的大きく旋回することが原因となります。
 心房頻拍のほとんどは一過性で、特に心配はいりませんが、突然に拍動が速くなり、突然に元に戻るのが特徴です。頻脈発作の持続時間は数秒から数時間までとさまざまで、起こる回数もまちまちです。
 頻脈発作の持続時間が短い非持続性心房頻拍の場合は、胸がドキドキする感じがするくらいですが、頻脈発作が長く続く持続性心房頻拍の場合や、拍動が1分間に200回くらいになる場合は、強い動悸(どうき)や息切れといった自覚症状を感じることがあります。胸の違和感、不快感を覚えることもあります。
 また、一過性の非持続性心房頻拍でない場合は、心不全を合併するもの、脳梗塞(そくせん)を引き起こすものもあり、心房の拍動が1分間に300回以上と速くなったり、拍動のリズムが不規則になったりする心房細動に移行することもあります。
 心房頻拍は特に原因となる疾患がなくても起こることもある一方で、慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)がある人、肺や食道の手術を受けた人、狭心症や心筋梗塞を起こしたことがある人などは特にリスクが高くなります。
[ゴルフ]心房頻拍の検査と診断と治療
 循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による診断では、心臓の電気的活動を体表面から波形として記録する心電図検査を中心に行います。心電図における真っすぐの基線である等電位線があり、心房の興奮頻度が1分間に140~200回のものを心房頻拍と見なします。
 心臓の拍動数が1分間に100回を超えるような持続性心房頻拍が認められた場合には、胸部X線検査や心臓超音波(エコー)検査を行い、心不全の有無を確認します。発作時の心電図がない場合は、携帯式で小型のホルター心電計を付けたまま帰宅してもらい、長時間の心電図で診断することもあります。
 異所性心房頻拍とリエントリー性心房頻拍の鑑別には、アデノシン三リン酸(ATP)の投与が有用で、異所性心房頻拍では頻拍が停止することが多いのに対して、リエントリー性心房頻拍では心室の興奮が通常より遅れたり、欠落する房室ブロックが生じるものの頻拍自体が停止することはありません。
 循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による治療では、症状が強い場合、β(ベータ)遮断薬やナトリウムチャネル遮断薬などによる薬物治療を行います。
 効果がない場合や、薬が使えない場合には、極端に速い頻度で電気刺激を発生させている異常興奮部位を探し、足の付け根などからカテーテルと呼ばれる電極を心臓内に挿入し、高周波で焼灼(しょうしゃく)するカテーテルアブレーションという手術を行います。一度焼灼された組織は瘢痕(はんこん)化し電気が流れなくなりますので、頻拍は起こらなくなります。

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