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■難病ALS、進行抑えるタンパク質特定 新薬の開発に期待 [健康ダイジェスト]

 岐阜薬科大学薬効解析学研究室の原英彰教授らの研究グループは、タンパク質の一種「膜貫通糖タンパク質nmb(GPNMB)」に、筋肉の委縮で全身の運動まひを起こす難病「筋委縮性側索硬化症(ALS)」の進行を遅らせる効果があることを突き止めました。
 岐阜薬科大学、名古屋大学など6大学を含む8つの研究グループの共同研究として、13日付の英国科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」の電子版で発表しました。
 GPNMBがどのようにALSの症状に作用するかは解明されていないものの、作用のメカニズムの研究が進めば、GPNMBを使った新薬の開発なども期待されます。
 研究グループによると、ALSのおよそ1割にみられる遺伝性のALSを人工的に発症させたマウスと正常なマウスを比較したところ、ALSのマウスのGPNMB量が増加していることを発見。
 GPNMBがALSの症状にどのような作用をしているのか調べるため、GPNMBをALSのマウスに過剰に発現させると、1~2週間の延命効果がありました。人間に換算すると、10カ月程度の延命効果といいます。
 さらに、患者などの協力を得て調べたところ、GPNMBは遺伝性ではないALSの患者では健康な人に比べて量が2倍に増えていたということです。研究グループでは、GPNMBが運動神経の細胞の破壊を防ぐために増え、ALSの進行を遅らせる役割を果たしていると結論付けています。
 原教授は、「このGPNMBの研究を進めればALSの治療薬の開発につながることが期待できる。さらに、現在1年間もかかるALSの診断が、患者のGPNMBが増加することを応用すれば早くできるようになる」と説明しています。
 研究の中心的な役割を果たした同研究室の大学院生田中彦孝さんは、「今回の発見がALS治療に少しでも役立てばうれしい」と話していました。
 筋委縮性側索硬化症(ALS)は、運動神経の細胞が選択的に障害を受けることで、思考能力が保たれたまま全身の筋肉が徐々に動かなくなる神経難病。国内の患者はおよそ8500人と見なされ、年間で10万人に1~2人が発症するとされています。
 ALS患者のおよそ1割を占める遺伝性のALSは、SOD1遺伝子の変異が原因の一つとされていますが、明確な病因は解明されておらず、有効な治療法も見付かっていません。

 2012年8月13日(月)




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