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■移植せずに心筋を再生へ 慶大チーム、マウスで成功 [健康ダイジェスト]

 心筋梗塞を起こしたマウスの心臓に特定の遺伝子を注射し、心筋細胞の一部を再生させることに慶応大学の研究チームが成功しました。心筋梗塞を始めとする心臓疾患に対する新たな治療法につながる可能性があるとみられています。
 慶応大学循環器内科の研究チームは、人工的に心筋梗塞を起こしたマウス10匹の心臓に、これまでの研究で皮膚の細胞を心筋細胞に変化させることを突き止めた3つの遺伝子を注射しました。その結果、2週間後には心筋梗塞で動かなくなった部分の1パーセント程度で、心筋細胞が再生していることを確認したということです。
 心臓の血管が詰まる心筋梗塞になると、血液が流れなくなった心臓の一部が壊死(えし)して皮膚の細胞に似た線維芽(せんいが)細胞に置き換わりますが、この線維芽細胞が3つの遺伝子の働きによって心筋細胞に変化したと考えられるということです。
 海外でも報告例がありますが、慶応大の研究チームは、3つの遺伝子を同時に細胞に入れる工夫をし、心筋に変える効率を高めました。さらに効率よく心筋を再生させることができれば、心筋梗塞などの心臓疾患の新たな治療法につながるとしています。
 研究チームの家田真樹特任講師は、「これまで培養皿の中でしかできなかったことが体の中でもできた意義は大きい。今後、ヒトの細胞でも同じような実験を行い、安全性を高めて新たな治療の実現につなげたい」と話しています。
 皮膚の細胞などからiPS(人工多能性幹)細胞を作り、それをさらに心筋細胞にして移植する研究が進められています。しかし、移植した細胞の一部しか働かず、がん化の恐れがあるなどの課題があります。そうした課題を克服するために、研究チームはiPS細胞を介さずに直接、目的の細胞に変える方法を開発しました。
 この研究は科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業・チーム型研究(CREST)の一環として行われたもので、研究結果は29日、米国科学雑誌「サーキュレーション・リサーチ」のオンライン版に公開されました。

 2012年8月30日(木)




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