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■遺伝性乳がんの発症傾向をデータベース化 研究組織が発足へ [健康ダイジェスト]

 遺伝的に乳がんや卵巣がんになりやすい女性のデータベースを作って、患者特有のがんや遺伝子の特徴を調べるプロジェクトが始まります。発症リスクの高い人を明らかにして、がんの早期発見や治療法の確立につなげます。
 データベース作りには、昭和大、慶応大、がん研有明病院などの医師ら約300人が参加する見込みで、27日に研究組織を発足させ、患者ごとに、がんや遺伝子変異の特徴、治療後の経過、再発率など50項目以上のデータを入力して分析します。
 日本人の女性は生涯で16人に1人が乳がんを発症し、年間に約6万人が診断されます。乳がんの5〜10パーセントは遺伝的な影響が強く、家族性のがんと考えられています。家族性は若いころに発症しやすく、卵巣がんも発症する場合が多くなっています。患者の多くに、BRCA1またはBRCA2という遺伝子の変異がみられます。
 この2つの遺伝子のどちらかに、生まれ付き病的変異があると、乳がんや卵巣がんを発症するリスクが高くなるため、遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)と診断されます。また、病的変異のある遺伝子は、親から子へ50パーセントの確率で受け継がれ、家族(血縁者)の中に乳がんや卵巣がんを発症した人が複数みられることがあります。
 2つの遺伝子の変異があると将来、4〜9割が乳がんに、2〜6割が卵巣がんになるという欧米のデータもあります。日本人患者特有の遺伝子の特徴がある可能性も指摘されていますが、詳しい実態はわかっていません。
 日本人患者の傾向が詳しくわかれば、遺伝子検査や検診で早期発見しやすくなるほか、発症前に乳房を全摘したり、卵巣を切除したりする予防的手術も治療の選択肢にできるといいます。すでに一部の医療施設では、予防的切除も行っています。
 ただし、課題も残ります。BRCA1またはBRCA2の変異は遺伝子検査でわかりますが、検査は公的医療保険が使えず、二十数万円の自己負担が必要。5年前に検査が始まって以来、検査を受けた人は約500人にとどまっています。
 遺伝子の変異があった場合、乳がんは早期発見が可能で、いくつか治療の選択肢がありますが、卵巣がんは自覚症状が出にくく、治療が難しい例が少なくありません。3カ月~半年おきに検診を受けるほか、がんのリスクを減らすことを目指して、健康な卵巣を手術で切除することも選択肢の一つになります。国内でも一部の医療施設でこの手術を行っていますが、公的医療保険が適用されず、80万~100万円近くの自己負担が必要です。

 2012年10月22日(月)




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