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■iPS細胞から肝臓、マウス体内で機能 横浜市立大  [健康ダイジェスト]

 さまざまな組織になる人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から、大きさが5ミリほどの肝臓を作り出し、肝不全のマウスに移植して治療することに横浜市立大学の研究グループが成功しました。人のiPS細胞から人の臓器ができたのは初めて。
 この研究を行ったのは、横浜市立大学の谷口英樹教授らの研究グループ。人のiPS細胞を肝臓の元になる前駆細胞に変化させた後、血管を作る血管内皮細胞と、細胞同士をつなぐ接着剤役の間葉系細胞を加えてシャーレの中で培養しました。すると、48時間程度で3種類の細胞が自然にボール状に集まり、大きさが5ミリほどの小型の肝臓できました。
 そして、肝不全のマウスに移植したところ、蛋白質の合成や薬物の代謝など、本物の肝臓と同じ働きを持っていることが確認され、30パーセントほどしかなかったマウスの生存率が90パーセントにまで改善したということです。
 この小型の肝臓を複数個作り、移植すれば、人でも治療が可能になるということで、研究グループでは、実際の患者で安全性や効果を確かめる臨床研究を7年以内に始めたいとしています。
 谷口教授は、「大きな臓器を作るのは難しいが、発想を変えて、小さい均質なものを多数作って移植する方法を考えた。小型の肝臓を量産する技術を開発できれば、臓器移植に代わる新たな治療法の開発につながる可能性があり、研究を加速したい」と話しています。
 横浜市立大学のグループが行った今回の研究は、iPS細胞などを使った再生医療の実現を支援する国の事業に選ばれていて、最長10年間に年間1億円程度の支援が行われることになっています。
 実用化の課題となるのは、小型の肝臓を量産する技術の開発です。実際の患者で治療効果を出すためには、この小型の肝臓を患者の肝臓のおよそ30パーセントに当たる分量を作り出し、移植することが必要です。そのためには、これまでの数百から数千倍の数の細胞が必要で、研究グループでは今後細胞を効率的に作り出す技術を開発し、7年以内に臨床研究を始めたいとしています。

 2013年7月5日(金)




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