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■ナイジェリアでポリオ新規患者2人が発生 WHOが発表、根絶認定遠ざかる [健康ダイジェスト]

 世界保健機関(WHO)は11日、アフリカ西部のナイジェリア政府より、同国で2014年以来の再発となるポリオ(小児まひ)の新規患者が2人発生したとの報告を受けた、と発表しました。
 WHOは声明で、ナイジェリア北東部ボルノ州に住む2人の子供が、ポリオによるまひ症状を発症した、と述べています。
 この新規患者の発生は、7月に国内ポリオ患者がゼロになってから丸2年を迎えたばかりだったナイジェリアにとって、大きな後退となります。そのままゼロが続けば、2017年7月にポリオウイルス根絶の認定を受ける見込みでした。
 WHOアフリカ地域事務局のマチディソ・モエティ局長は、「現在の最優先事項は、感染発生地域周辺の子供全員に、速やかに予防接種を受けさせることだ」と述べました。
 イスラム原理主義国家の樹立を目指す過激派組織「ボコ・ハラム」との紛争で荒廃したボルノ州では、これまで予防接種の実施が困難でした。さらに、ボルノ州は現在、食糧危機に直面しており、国連児童基金(ユニセフ)は7月、約5万人に上るナイジェリアの子供が餓死の危機にさらされていると警告していました。
 ユニセフ・ナイジェリア事務所の広報担当官は、「ナイジェリア北東部で野生株ポリオウイルスの発生が確認されたことは、紛争によって荒廃したボルノ州の子供たちが直面している緊急事態を浮き彫りにしている。同州の子供たちはすでに、危険なほど高い水準の栄養不良に直面している」と指摘しました。
 ナイジェリアでは、ワクチンの安全性に対する親たちの懸念を受け、2003年に一部の北部州がワクチン接種を禁止して以降、ポリオウイルスを封じ込るための懸命の取り組みが続けられていました。
 WHOによると、感染力が高いウイルス感染症のポリオは、主に低年齢の子供が発症し、永久的なまひを引き起こす恐れがあります。治療法はなく、予防接種で防ぐことしかできないといいます。
 ポリオは、世界の多くの国で根絶されたものの、ナイジェリア、それにパキスタン、アフガニスタンの3カ国が流行国リストに入っています。パキスタンとアフガニスタンでは、イスラム過激派などによってワクチン接種が妨害されるケースもあって患者の発生が続いており、WHOはポリオの世界的な根絶に向けて努力を続ける必要があるとしています。
 日本では、1960年(昭和35年)に、ポリオ患者の数が5000人を超え、かつてない大流行となりましたが、生ポリオワクチンの導入により流行は収まりました。1980年(昭和55年)の1件を最後に現在まで、ワクチンによらない野生株ポリオウイルスによる新たな患者は出ていません。

 2016年8月12日(金)

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