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■臍帯血バンク5社、契約終了後も2100人分廃棄せず 厚労省の調査で判明 [健康ダイジェスト]

 東京都や大阪府などのクリニックで他人の臍帯血(さいたいけつ)を使った再生医療が無届けで行われていた事件で、臍帯血を保管する民間バンク5社に、バンクと預けた人との契約終了後も廃棄されずに流用可能な臍帯血が計約2100人分保管されていることが12日、厚生労働省が実施した調査結果を公表して明らかになりました。
 事件では、8年前に破産した茨城県の民間バンクに残った臍帯血が売買され、効果が未確立のがん治療や美容目的で移植されました。再発防止のため厚労省は近く、契約終了や経営破綻時には、臍帯血の返還か廃棄を原則とする通知を民間バンクに出す方針。
 加藤勝信厚生労働大臣は12日の閣議後会見で、「対応可能な措置を速やかにとり、再生医療の信頼回復に努めたい」と述べました。民間バンクの臍帯血の取り扱いに関する法規制などについては、「これからの議論の推移による」として、当面は見送る考えを示しました。
 民間バンクは、提供者や家族が将来治療に使うため、新生児のへその緒などに含まれる臍帯血を有償で預かる事業。善意の提供で白血病などの治療に役立てるため、厚生労働大臣の許可を得た公的バンクとは異なります。
 厚労省の調査では、存在が確認できた民間バンク7社のうち6社から、保管件数や契約内容、管理体制などについて回答を得ました。
 6社のうち1社は保管業務をしておらず、約160人分の臍帯血を第三者に引き渡したと回答。関係者によると、これらの臍帯血が無届け移植の事件に使われたと見なされます。
 残る5社で計約4万5800人分が保管され、このうち廃棄されず流用可能な臍帯血が計約2100人分ありました。契約者の意思が確認できなかったり、廃棄に伴い凍結保存用タンクを開くと他の臍帯血の品質に影響が出ることを懸念したりしたためとみられます。病気治療のために使われたのは18人分。
 厚労省は今後、民間バンクに業務内容の届け出を求め、臍帯血の保管状況などを厚労省のウェブサイトで公開する方針。再生医療の専門家らで構成する委員会を新設し、対策の有効性を検証するといいます。
 東京都港区にある民間の臍帯血バンク「ステムセル研究所」は1990年の設立後、臍帯血を預けたいという依頼が年々増えており、現在は4万1720人分を保管しています。
 臍帯血は子供を出産した病院で採取された後、48時間以内に臍帯血バンクに持ち込まれます。必要な幹細胞を分離する作業を行った上で凍結保存用タンクに入れ、液体窒素でマイナス190度まで冷やし、保管します。料金は、分離作業が14万円、検査費が3万円、初期登録費が2万円、それに保管料は年間で5000円となっています。
 このバンクでは、臍帯血の利用はあくまでも本人やその家族に限り、第三者への提供は行っていないということです。保管する臍帯血が実際に白血病や脳神経障害などの治療目的で本人や家族に移植されたケースは、これまでに12件あったということです。
 一方で、このバンクでは依頼者との契約が切れた1941人分の臍帯血を廃棄せずに保管していました。これについてバンクでは契約終了後に再度、依頼者から問い合わせがあった場合に備えて一定期間、保管するようにしていると説明しています。
 ステムセル研究所の清水崇文社長は、「臍帯血は子供が生まれた時にしか採取できない貴重なものなので、猶予期間を設けた上で廃棄することにしていたが、厚生労働省の求めに従って、廃棄を進めていきたい」と話しています。
 がんの治療に詳しい日本医科大学武蔵小杉病院の勝俣範之医師は、「臍帯血は白血病などに使うもので、それ以外のがん治療や美容では、医学的な効果が立証されていない。それを第三者に投与することは拒絶反応や感染症を引き起こすリスクもあり、危険な医療行為だ」と指摘しています。その上で、がん患者などに対して、「患者からすると何かよい治療があれば受けたいと思ってしまうが、効果が立証されていないものは怪しいと思って、慎重に考えてほしい」と話しています。

 2017年9月13日(水)

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