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■日本は間もなく、重老齢社会に突入へ 75歳以上が高齢者の半数以上に [健康ダイジェスト]

 日本の高齢化が間もなく、新たな局面に入ります。75歳以上の後期高齢者が65歳~74歳の前期高齢者を3月1日にも上回り、高齢者全体の半数を超えます。
 寝たきりや認知症など身体的な衰えが強まりがちな後期高齢者が急増する「重老齢社会」の到来で、定年退職後も元気なアクティブシニアが活躍する構図は次第に薄まり、高齢者をどう支えるのかがより深刻に問われる時代が来ます。
 総務省の人口推計によると、2月1日時点で75歳以上は1764万人、65歳~74歳は1766万人。寿命が延びていることから、後期高齢者は平均月3万人ペースで増加しており、早ければ近く発表される3月1日時点の人口推計で前期高齢者を上回る可能性があります。今後、75歳以上はどんどん増え、高齢者に占める割合は上がっていきます。
 政府は、人口に占める65歳以上の割合を「高齢化率」として算出しています。1947年~1949年生まれの「団塊の世代」が2012年に65歳に到達し始めてから高齢化率は急速に上がり、2017年時点では27%になりました。
 世界保健機関(WHO)などの定義では7%超の「高齢化社会」、14%超の「高齢社会」を上回り、21%超の「超高齢社会」と位置付けられます。
 ただ今の日本では、医療の発展などにより65歳を超えても元気な高齢者は多くいます。豊富な資産を持ち、積極的に旅行に出掛けたり趣味に打ち込んだりするアクティブシニアは、むしろ個人消費のけん引役にもなっていました。個人消費の約半分は、60歳以上の高齢者が占めます。
 そのような状況も、後期高齢者が中心になる重老齢社会の到来で変わりかねません。
 まず大きく変わるのが介護で、前期高齢者で要介護認定されている人は3%ですが、後期高齢者になると23%に跳ね上がります。65歳以上の高齢者が同じく65歳以上の高齢者を介護する「老々介護」は、75歳以上になると在宅介護の3割を占めるようになります。
 特に首都圏で、介護の問題は今後深刻になります。東京都は今後5年ごとに20万~30万人という急ピッチで、後期高齢者が増えていきます。東京都は昨年「超高齢社会における東京のあり方懇談会」を発足し、老々介護や空き家問題などの議論を始めています。
 認知症の高齢者も急増します。内閣府のデータによると、2012年は65歳以上の認知症患者数が462万人で約7人に1人でしたが、2025年には730万人で約5人に1人に増えるとされ、労働力が減る中、介護の負担が重くなるばかりか、金の流れに大きな影響を与えます。「日銀でも年金基金でもなく、認知症の人が有価証券の最大の保有者になる可能性がある」と、みずほ総合研究所の高田創チーフエコノミストは気をもんでいます。
 厚生労働省が補助する研究によると、認知症の人は60歳代後半で約2%、70歳代前半で約5%なのに対し、70歳代後半になると約10%に急増します。株式などの有価証券の多くは70歳以上が保有しており、持ち主が認知症などになれば運用が凍結される可能性が高くなります。
 2035年には最大150兆円の有価証券を認知症の高齢者が保有すると高田チーフエコノミストは試算し、「生きたお金が回らなくなれば金融面からの成長が止まる」と懸念しています。
 財政の持続性などを研究する慶応義塾大学の小林慶一郎教授は、「これからは高齢者を支える負担が増す『重老齢社会』といえる局面に入る。金融や働き方、財政などさまざまな分野で社会課題からイノベーションを生み出す工夫が要る」と指摘しています。

 2018年3月19日(月)

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