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■熟成肉の衛生管理、事業者ごとにばらつき 東京都が初の実態調査 [健康ダイジェスト]

 主に牛肉の赤みを低温状態で一定期間寝かせてうまみを引き出す「熟成肉」について、東京都が初めて衛生管理の実態調査を行ったところ、事業者ごとに熟成期間や処理の仕方に大きなばらつきがあることがわかり、飲食店や消費者に対し、注意喚起を強化していくことになりました。
 熟成肉は飲食店などで人気が高まり、取り扱いが急増している一方で、品質や衛生管理についての国の基準がないことから、製造する業者や飲食店は独自のルールを設けるなどして安全を確保しなければなりません。
 こうした現状を踏まえ、東京都が昨年度、都内11の飲食店や販売店、食肉処理業者を対象に初めて衛生管理の実態調査を行いました。その結果、肉の熟成期間は14日から100日と大きなばらつきがあったほか、熟成後、カビが付着しているために取り除く肉の表面の厚さも事業者ごとに異なり、目視で確認しながら行うなど経験に基づいて作っていることがわかったということです。
 また、聞き取り調査では、熟成の失敗で肉を腐らせた経験や、熟成肉を生で食べられるという誤った認識を持っている事業者もいたということです。さらに、2つの事業者からは、熟成後の肉から食中毒を引き起こす恐れがある「リステリア菌」や「黄色ブドウ球菌」が検出されたほか、取り除いた肉からは腐敗の目安となる窒素の量が多く検出されたということです。
 東京都によりますと、熟成肉による健康被害の情報は、これまでのところ寄せられていないということですが、生肉と同じように十分な加熱が必要だとしています。
 東京都は調査を行った事業者に対し、熟成肉を保管する冷蔵庫の開け閉めによる温度変化を少なくして低温管理を徹底することや、変質した部分を適切に取り除くよう指導するとともに、ほかの飲食店や消費者に対しても情報提供を強化するなどして対策を検討することにしています。
 5年前から熟成肉を製造している東京都品川区の食肉の卸業者は、品質や衛生管理についての国の基準がない中で、独自のルールを作りました。肉を熟成させる冷蔵庫は温度を1度から3度ほど、湿度を75%から85%ほどに保っているほか、肉が腐らないように10台以上の扇風機で強い風を当てて乾燥させ、40日ほどかけて製造しています。
 また、熟成後に肉の表面に付着したカビを取り除くトリミングでは、包丁の刃を入れるたびにアルコールで除菌しているほか、肉を裏返す場合は、まな板も交換しています。さらに、安全性を科学的に証明することができない現状を受けて、週に1回、専用の検査キットで大腸菌などの食中毒菌が付着していないか独自に調べているほか、月に1回は、外部の検査機関にも依頼して検査しているといいます。
 昨年6月に、熟成肉ブームの発祥とされるアメリカ・ニューヨークから日本に進出した東京都港区のステーキ店でも、調理の直前に専用の熟成庫から肉を取り出し、扉の開け閉めによる温度変化に気を付けているほか、子供や高齢者などにステーキを提供する際は、中まで十分に火を通すことを勧めるなどの配慮をしているということです。
 今回の実態調査について、熟成肉に詳しい農畜産物の流通コンサルタントの山本謙治さんは、「国内で熟成肉がブームになり5、6年がたち定着しつつあるが、こういう作り方をすると確実に熟成肉になるという科学的な証拠がないため、まずは国が調査や実験をすべきだ。その上で、こういう作り方でなければ熟成肉といえないなど何らかの基準を作り、正しい熟成肉文化が広がることが望ましい」と指摘しています。
 さらに消費者に対しては、「食肉の取り扱いは一歩間違えると食中毒になりかねない。家庭で熟成に挑戦したいという人もいるが、カットされた肉は腐敗が進みやすいため、家庭で買うようなブロック肉やスライス肉は熟成に向かず、家庭で作ることはやめてほしい。また、酸っぱい臭いがする場合は、熟成肉として不適切なことが多いので、香りにも注意してほしい」と呼び掛けています。

 2018年3月22日(木)

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