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■訪日客の医療費不払い、500万円超すケースも 医療機関の3割が不払いを経験 [健康ダイジェスト]

 訪日外国人観光客(インバウンド)が年々増える中、急に病気になった外国人が病院などで治療を受けた後に医療費を支払わないケースが多発していることが明らかになりました。厚生労働省の調査によると、外国人患者を受け入れたことのある医療機関のうち、3割が医療費の不払いの経験がありました。
 政府は訪日客の急増で医療機関に生じる想定外の負担を懸念し、5月にも総合対策をまとめます。
 厚労省が3761の医療機関を対象に2016年に実施した調査によると、回答があった1710医療機関のうち、約6割で外国人が入院し、約8割が外来で訪れました。
 外国人患者を受け入れたことのある1378機関のうち、35%が1年間に医療費の不払いを経験しました。厚労省が実施した調査は日本に住む外国人患者も含みますが、政府関係者は「言語などが不慣れですぐに帰国する訪日客に関するトラブルが多い」としています。
 例えば、訪日客が多く訪れる沖縄県。同県の医師会による2017年の調査では、回答した19病院の約3割で医療費の不払いがありました。中でも、脳梗塞や急性大動脈解離などの事例で260万〜500万円超に上るケースもみられました。
 医療費の不払いの一因は、旅行保険に加入する外国人が少ないこと。欧州などでは保険加入をビザ取得の条件にする国も多いものの、日本は事実上未対応。自己負担が膨らんで支払えず、病院が泣き寝入りせざるを得なくなります。
 病院側の受け入れの問題もあります。どんな医療を施すか事前に相談しなかったため、高額な治療費の請求段階で反発して支払わないケースも少なくないといいます。現金しか受け付けない病院で、外国人患者の決済手段がなく結果的に不払いになってしまうこともあります。
 長期治療が必要になったり亡くなったりすると、さらに難しくなります。母国に搬送する場合、医療機関の負担が一層重くなりかねないからで、病院が多額の費用や手続きを負担するケースが多いといいます。  
 訪日客を対象にした観光庁による2013年の調査では、4%が旅行中にけがや病気をし、うち4割が病院に行きました。ただ、全体の約3割が旅行保険に未加入でした。未加入で治療を受ければ、保険で補償されず、医療費が高額になるものの、旅費を抑えたいという考えが優先されているようです。
 2017年の訪日客数は最高の2869万人。政府は東京オリンピック・パラリンピックが開かれる2020年に4000万人を目標に掲げるものの、国際医療福祉大学大学院の岡村世里奈准教授は「外国人の医療を巡る問題への対処は道半ばだ。自治体など関係者全体で取り組む必要がある」と指摘しています。
 政府は4月、内閣官房に医療費不払い問題に関する作業部会を立ち上げ、厚労省、外務省、観光庁などが連携して対策を作ります。在外公館が旅行客向けに保険加入を推奨し、旅行会社には保険付きのプランの充実を求めます。電子マネーやクレジットカードなどでの支払いが可能な病院を増やすため、導入補助の制度なども整備する考え。厚労省は外国語による疾病ごとの治療・価格メニューを作り、事前同意してもらえるようにします。
 ただし、対策が厳しくなりすぎれば、訪日客の増加にブレーキがかかりかねません。政府内にビザ取得の際の保険加入の義務化を求める声もある一方、慎重論が根強くあります。外国人観光客受け入れ促進と、受け入れ側のトラブル回避との両立が難しい政策課題になりつつあります。

 2018年3月28日(水)

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