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■旧優生保護法下の強制不妊手術訴訟、救済立法の義務なし 国が仙台地裁に書面提出 [健康ダイジェスト]

 旧優生保護法(1948~1996年)に基づき、15歳で不妊手術を強制された知的障害のある宮城県の60歳代女性が国に1100万円の損害賠償を求めた訴訟で、国側が原告側の求める救済立法について、国と国会には「立法の義務はない」などと全面的に対決する内容の準備書面を仙台地裁に提出したことが明らかになりました。
 行政の不法行為で生じた個人の損害を賠償する「国家賠償法で救済は担保されていた」とし、原告側が主張する旧優生保護法の違憲性についての言及はありませんでした。
 訴えによると、60歳代女性は15歳時に「遺伝性精神薄弱」を理由に不妊手術を受け、30歳前に手術が原因とみられる卵巣膿腫で右卵巣を摘出しました。女性の弁護団は準備書面について、「(障害などで)声を上げられなかった被害者に国家賠償法訴訟を起こせばよかったといっているに等しい」と批判。一方、国会では超党派の国会議員らが被害者救済を図る法制化への動きを進めており、国側の立法義務の否定は波紋を呼びそうです。
 国は裁判所と原告側に対して、6日付で準備書面を提出。原告側弁護団によると、国は準備書面の中で、1996年に「障害者差別」を理由に母体保護法に改正されたこと、手術当事者に対する「救済制度」が存在せず国も実態調査をしてこなかったことなどの事実関係は認めました。しかし、法律の違憲性や違法行為から20年で賠償請求権が消滅する民法規定の「除斥期間」については、見解が盛り込まれませんでした。
 法改正後も当事者の救済を怠ってきたと原告側が主張する「国と国会の不作為」を巡っては、行政の不法行為に対する賠償制度として「1947年(昭和22年)に施行された国家賠償法が存在する」と反論。個々人の被害については救済措置が図られていると主張しました。その上で、国会による救済制度の立法化は「国会議員の立法裁量に委ねられるべきで、法的義務ではない」とし、国も「法律上の職務義務を負っていたということは困難」と否定しました。
 また、坂口力厚生労働相(当時)が2004年の国会答弁で、不妊手術を強いられた障害者らへの対応について「今後考えていきたい」と述べたことについて、原告側の「(答弁以降に)適切な措置を取る義務があった」とする主張に対し、国側はここでも「国家賠償法の存在」を理由に退けました。
 国側は3月28日にあった第1回口頭弁論で原告の請求を棄却するよう求めましたが、国会で被害者救済の議論が進んでいることなどを踏まえ、詳しい主張は保留していました。第2回弁論は6月13日午後1時半、仙台地裁で開かれます。  

 2018年6月9日(土)

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