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■画像診断のがん疑いを見落とし、患者2人死亡 千葉大学医学部付属病院 [健康ダイジェスト]

 千葉大学医学部附属病院(千葉市中央区)は8日、9人の患者についてがんなどの疑いがあったにもかかわらず、主治医がコンピューター断層撮影装置(CT)検査の結果を見落とすなどしていたことを明らかにしました。その結果、診断が遅れ、4人の治療に影響が出て、このうち2人はがんで死亡したということで、病院は遺族などに謝罪しました。
 千葉大学医学部附属病院によりますと、2013年以降、30歳代から80歳代の男女9人の患者について、主治医がCT検査に関する結果報告書を見落とすなどしていたことがわかり、最も長い人では4年ほど診断が遅れたということです。
 その結果、4人については治療を進める上で影響が出て、このうち60歳代の女性と70歳代の男性の2人が昨年、腎臓や肺のがんで死亡したということです。
 60歳代の女性は2013年6月、腸疾患の経過観察のためCT検査を受けました。放射線診断専門医は腎がんの可能性を指摘する報告書を作ったものの、主治医は報告書を十分に確認せず診断されませんでした。4年4カ月後の昨年10月、体調を崩して受けたCT検査で腎がんが進行しているのが見付かりましたが、手遅れの段階で12月に死亡しました。
 70歳代の男性は、2016年1月のCT検査で肺がんの可能性が指摘されたものの、主治医が見落とし、翌2017年4月に肺がんと診断。6月に死亡しました。
 50歳代と60歳代の男性も、肺がんと膵(すい)がんを見落とされ、1年1カ月と5カ月遅れで診断されました。病院によると、見落とされなければ他の治療を受けられた可能性がありました。残り5人はがんの診断が2カ月~1年遅れましたが、病院は「治療結果に影響はなかった」としています。
 これについて大学が設置した外部の調査委員会は、CT検査などの画像診断の結果を受けた医師が自分の専門領域だけに注目してしまうと、それ以外の病気について見落としが生じやすく、そのことを警告する仕組みもなかったと指摘しています。
 このため病院は、画像診断の専門医を増やすことや、主治医との情報共有を図ること、主治医が検査結果を患者や家族と一緒に確認することなどを盛り込んだ再発防止策をまとめました。
 千葉大学医学部附属病院の山本修一病院長は記者会見し「患者や遺族の方々に多大な迷惑をかけた上、地域の皆さんの信頼を損なう結果にもなり、誠に申し訳ありません」と述べて謝罪しました。
  医療事故の分析などを行っている「日本医療機能評価機構」によりますと、画像診断についての報告書を主治医などが十分確認せず、病気を見逃して治療が遅れたケースは2012年から2017年末までに64件が報告されています。
 評価機構は2012年、放射線科の専門医から提出されたがんなどの疑いについての画像診断の報告書を、担当の医師が見落としたケースがあったとして医療安全情報を発表し、確認の徹底を呼び掛けました。
 しかし、東京慈恵会医科大学附属病院で70歳代の男性が肺がんの疑いがあると診断されたにもかかわらず、1年以上治療が行われずに死亡したことが昨年明らかになるなど、その後も同じような問題が相次ぎました。
 このため評価機構は今年5月、改めて医療安全情報を発表し、それぞれの医療機関で画像診断の結果をしっかり確認した上で、患者や家族にも説明を行えるような手順を整えておくことを呼び掛けていました。
 厚生労働省も昨年11月、医療機関に対し検査結果の確認の徹底を呼び掛けていました。

 2018年6月10日(日)

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