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■子宮頸がん、HPVワクチンでリスク6割低下 スウェーデンで167万人調査 [健康ダイジェスト]

 子宮頸(けい)がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を予防するHPVワクチンついて、スウェーデンのカロリンスカ研究所などは、同国内の女性167万人で、ワクチンを接種した人はしない人に比べ子宮頸がんのリスクが6割以上下がるとする研究成果を発表しました。論文が、1日発行のアメリカの医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に掲載されました。
 HPVは、感染してもほとんどが2年以内に自然に消失します。ごく一部で持続的に感染し、数年から十数年かけてがんになる前段階をへて子宮頸がんになります。
 研究では、2006年から2017年までに10~30歳になる同国内に住む女性167万人余りについて、人口登録と予防接種登録などからHPVワクチン接種歴を調査。がん登録から、病歴を調べました。HPVの4種類の遺伝子型に対応したワクチンを少なくとも1回接種していれば、ワクチンを受けたと見なしました。
 その結果、期間中にワクチンを受けた女性は約52万8000人、ワクチンを受けなかった女性約115万人で、そのうち接種した19人と、接種しなかった538人が、子宮頸がんと診断されていました。10万人当たりの発症率は接種した女性で47人、接種していない人では94人。
 居住地や母親のがん発症歴など子宮頸がんの発症に関連するとされる特徴を加味して調整すると、接種した人全体の子宮頸がんの発症リスクは、接種していない人に比べて0・37倍に低下していました。17歳以前に接種した人では、発症リスクは0・12倍に下がっていました。
 研究チームは、「接種によりウイルス感染やがんの前段階のリスクが減ることはわかっていたが、今回子宮頸がんのリスクが減ることも明らかになった。より若い年齢で接種すると効果は高い」とまとめています。
 慶応大学医学部の青木大輔教授(産婦人科)は、「これだけ大規模で直接的に、ワクチンが子宮頸がんのリスクを低下させるという結果を示した研究は初めてではないか。17歳より前に接種するとより効果があると考えられる。北欧では、ワクチン接種やがん発症を登録して追跡できるシステムが整備され、国の医療政策をデータで検証できる。日本もそうしたシステムが必要」と話しています。
 国内ではHPVワクチンは2013年4月に定期接種が開始されたものの、接種後に長期的な痛みやしびれなどを訴える声があり、厚生労働省は同年6月に積極的勧奨を中止しました。

 2020年10月6日(火)

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