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■地球温暖化の原因は人間の活動と初めて断定、国連IPCCが報告書 [健康ダイジェスト]

2040年までに50%超の確率で地球の平均気温1・5度上昇
 世界各国の政府から推薦された科学者でつくる国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は、地球温暖化に関する報告書を8年ぶりに公表しました。
 地球温暖化が進めば熱波や豪雨といった「極端現象」の頻度や強さが増すとして、温室効果ガスの排出を削減するよう警鐘を鳴らしています。
 IPCCは、7月26日からオンラインで開かれた会合で、最新の研究成果に基づく地球温暖化の現状や予測についての報告書をまとめ、日本時間の8月9日午後に公表しました。
 2015年に採択された2020年以降の地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」では、世界の平均気温の上昇を産業革命前の1850年から1900年の平均気温に比べ1・5度に抑えるよう努力することなどが目標に掲げられていますが、今回の報告書では、昨年までの10年間の世界の平均気温がすでに1・09度、上昇したとしています。
 その上で、2050年ごろに世界全体の温室効果ガスの排出量が実質的にゼロになるペースで削減できた場合でも、2040年までに気温の上昇が1・5度に達する可能性が50%を超え、2050年前後には1・5度の閾値(いきち)を突破すると予測しています。
 そして、温暖化が進むほど、世界各地で熱波や豪雨、干ばつ、海面上昇といった「極端現象」の頻度や強さが増すと指摘しました。
 50年に一度の高い気温が観測される頻度は、産業革命前の19世紀後半と比べると、現在は4・8倍となっており、平均気温が1・5度上昇した場合は8・6倍に、2度上昇した場合は13・9倍になると試算しています。
 また、10年に一度の大雨の頻度は、現在は1・3倍となっていますが、平均気温が1・5度上昇した場合は1・5倍に、2度上昇した場合は1・7倍になると試算しています。
 IPCCの地球温暖化に関する報告書は、数年かけて作成され195カ国の承認を得たもので、国際的な温暖化対策に大きな影響力があり、今年11月にイギリスのグラスゴーで開かれる予定の「気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)」の議論への影響が注目されます。
 IPCCとして初めて地球温暖化の原因が人間の活動によるものと断定したことも、今回の報告書の大きな特徴です。
 1988年に設立されたIPCCは、1990年に最初の報告書を公表してから、人間活動が及ぼす温暖化への影響についての表現を徐々に強め、8年前の第5次の報告書では「温暖化の主な要因は、人間の影響の可能性が極めて高い」としていました。
 今回の報告書ではさらに踏み込んで、「人間の影響が大気、海洋および陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない」と記し、初めて断定する表現となりました。
 その理由については、産業革命以降に観測された急激な気温の上昇が、過去2000年以上の間で例がない水準であり、過去10万年で最も地球が温暖だったころの気温の推定値を超えていることや、人間の活動と自然の影響を両方とも考慮して試算した気温の推定値とおおよそ一致していることなどが挙げられています。
 報告書はまた、たとえ1・5度の目標が奇跡的に達成できたとしても、熱波や豪雨、干ばつ、海面上昇などの異常気象が「観測史上類を見ない」規模で起きる恐れがあるとも結論付けています。
 もう一つの迫り来る脅威は「転換点」。気温上昇により、地球の気候システムが不可逆的に変化する目に見えない境界線のことを指します。
 海面を12メートル上昇させる氷床の崩壊や、大気中の2倍の炭素を含有する永久凍土層の融解、アマゾン熱帯雨林のサバンナ化など、将来起こり得る大災害を「無視することはできない」と報告書は警告しています。
 一方、二酸化炭素(CO2)を吸収することで人類の気候変動との闘いを支援してくれている森林や土壌、海洋は、「戦闘疲労」といえる状態になりつつあります。
 これらの自然は、1960年前後から絶えることなく、人類が排出した全CO2量の56%を吸収してきました。しかし、IPCCによると自然界の炭素吸収能力は限界に達しつつあ
り、自然が吸収できる人由来のCO2の割合は、2100年以降は減少するとみられます。
 今年も、世界各地で記録的な暑さや洪水などの被害が相次いでいて、中には気候変動の影響が指摘されるケースもあります。
 今年6月、カナダやアメリカの西部の広い範囲で記録的な暑さとなり、カナダ西部、ブリティッシュ・コロンビア州のリットンでは49・6度と、カナダの観測史上最も高い気温を記録して、大規模な山火事が発生し、州内では暑さが原因で亡くなる人も相次ぎました。
 この熱波についてイギリスなどの研究機関や気象当局の専門家でつくるチームは、分析の結果「温暖化がなければ事実上、起き得なかった」と指摘しました。
 また、7月、大雨による影響でドイツやベルギー、オランダなどで洪水が相次ぎ、気候変動が影響しているとして、危機感が強まっています。8月には、ギリシャで大規模な山火事が相次ぎ、中国南西部などで豪雨や土石流、洪水被害が発生しました。 
日本の気候の将来予測は猛暑日、非常に激しい雨、猛烈な台風の増加
 温室効果ガスの排出量が世界で5番目に多い日本は、欧米各国の対策が進む中、昨年から、排出削減に向けた新たな目標を表明してきました。
 昨年10月には、2050年までに国内の温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」の実現を目標に掲げました。そして、今年4月、2030年度の温室効果ガスの排出量を、2013年度と比べて46%削減する目標も表明しました。
 さらに今年7月には、この目標の実現に向け、2030年度の電源構成について再生可能エネルギーの割合を現状の2倍の水準の「36%から38%」とし、二酸化炭素を排出する火力は現状の75%から41%に大幅に減らす方針も明らかにしました。
 しかし、山がちで森林が多い日本では、再生可能エネルギーの発電に適した土地が少なく、各地で建設に反対する声も上がるなど、目標達成には課題も多くあります。
 地球温暖化による日本の気象の変化について、気象庁と文部科学省は今世紀末を対象に予測を行い、昨年12月に公表しています。
 想定は2つで、パリ協定の目標を達成し、世界全体の気温上昇が今世紀末に、産業革命前と比べて2度前後に抑えられた場合と、追加的な対策をとらず、4度前後上昇した場合です。
 まずは暑さで、35度以上の猛暑日は世界全体の気温上昇が2度前後に抑えられたとしても、全国平均で約2・8日増えるとされています。
 また、4度前後上昇した想定では、猛暑日が全国の平均で、半月以上に当たる約19・1日増加すると予測されています。
 なお、昨年までの30年間で、全国13地点の年間の平均日数は約2・5日。
 雨の量もさらに増える見込みで、20世紀末と今世紀末とを比べると、1時間に50ミリ以上の「非常に激しい雨」が降る頻度は、2度前後上昇の想定では全国平均で約1・6倍に増え、4度前後上昇の想定では約2・3倍にまで増えるということです。
 1日の降水量が200ミリ以上と大雨になる日数も、2度前後上昇の想定では約1・5倍に増え、4度前後上昇の想定では約2・3倍に増えるとされています。
 また、台風については、大気中の水蒸気量が増えるため、4度前後上昇の想定では、猛烈な台風ができる頻度が増えるとされています。
 日本沿岸の平均の海面水位は、2度前後上昇の想定では約0・39メートル、4度上昇では約0・71メートルそれぞれ上昇すると予測され、高潮や高波による浸水被害のリスクが高まる恐れがあります。
 台風の専門家は、こうした海面水温の上昇で、台風が勢力の強いまま上陸するリスクが高まると指摘しています。

 2021年8月16日(月)




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