SSブログ

■理研が対コロナの「ファクターX」一部解明 日本人の6割が持つ免疫タイプか [健康ダイジェスト]

 日本人の新型コロナウイルス患者の重症者や死亡者が欧米人に比べて、非常に少ない理由として存在が指摘されてきた謎の要因「ファクターX」について、理化学研究所は8日、「日本人に多い特定の免疫タイプが要因の一部だと解明した」と発表しました。
 感染した細胞を免疫細胞の一つであるキラーT細胞が破壊する仕組みも判明。仕組みを応用すれば、新たな脅威となっている変異型「オミクロン型」にも有効なワクチンの開発につながりそうだとしています。
 新型コロナのウイルスが細胞に感染すると、免疫の作用で細胞の表面に、ウイルスが侵入したことを示す抗原となるペプチドという物質が現れます。これにキラーT細胞が刺激されて増殖し、感染細胞を破壊して重症化を防ぎます。免疫のタイプは多数あって現れるペプチドの種類が異なり、反応するキラーT細胞も異なります。反応しない場合もあります。
 理研の研究チームは、日本人の約6割が持っているものの、欧米人は1~2割しか持たない「A24」という免疫タイプに着目。このタイプの細胞が新型コロナに感染した際、細胞表面にどのような種類のペプチドが現れ、それらにキラーT細胞が反応するか分析しました。
 その結果、「QYI」というペプチドが現れ、キラーT細胞が効率的に反応することが判明。同じ免疫タイプで新型コロナ未感染の人の細胞を採取してQYIを投与すると、83・3%でキラーT細胞が反応し増殖しました。
 また、新型コロナ由来のQYIペプチドは、風邪の原因となる他の4つの季節性コロナウイルスに由来するペプチドのアミノ酸配列と高い相同性を持つこともわかりました。これは、季節性コロナウイルスに感染した経験がある人は、新型コロナウイルスにも抵抗性を示す交差反応をする可能性を示しています。過去に季節性コロナウイルスに感染した人が新型コロナウイルスに感染すると、季節性コロナに感染した細胞を破壊した記憶を持つキラーT細胞が速やかに増え、新型コロナに感染した感染細胞を破壊しているということです。
 これらから、日本人の新型コロナ感染者に重症者や死亡者が少ないファクターXは、この免疫タイプの多さが要因の一部だと結論付けました。
 この仕組みを利用しQYIをワクチンとして投与すれば、重症化を抑止できる可能性があります。また、既存のワクチンとは働きが異なるため、研究チームではオミクロン型にも有効ではないかとみています。
 理研の藤井真一郎チームリーダーは、「A24がファクターXの候補と考えられ、治療薬の開発などにつながるかもしれない。さらに研究を進めたい」と話しています。
 研究成果は、イギリスの科学誌「コミュニケーションズ・バイオロジー」に掲載されました。

 2021年12月11日(土)




nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:健康

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。