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■京大病院、異なる血液型で生体肺移植 10歳代女性に世界初、経過良好 [健康ダイジェスト]

 京都大医学部付属病院は12日、10歳代の女性患者に対し、血液型が異なる父親の肺の一部を移植する手術を実施したと発表しました。血液型が適合しないケースの生体移植は肝臓や腎臓ではすでに実施されているものの、肺では世界初。女性は11日に退院し、経過は良好といいます。
 臓器提供者(ドナー)と患者の血液型の組み合わせによっては移植後、免疫による拒絶反応で臓器が機能しなくなるため、免疫抑制剤を使うなど特別な治療が必要。血液型不適合の生体移植が肺でも可能になり、治療の幅が広がる可能性があります。
 女性は関東在住で、幼少期に白血病となり、骨髄移植後に閉塞(へいそく)性細気管支炎を発症し、昨年9月から人工呼吸器が必要になるほど悪化していました。このため、京大病院は緊急性が高いと判断し、生体移植に踏み切りました。女性の場合、その体格から2人の臓器提供者が必要となったため、両親の肺の一部をそれぞれ提供してもらう必要がありました。
 両親はいずれも40歳代で、母親は女性と同じO型でしたが、父親はB型。女性には事前に免疫抑制剤を投与し、免疫を担う抗体が移植された肺を攻撃しないようにしました。さらに、血中の抗体を取り除く措置もしました。
 移植は2月16日に実施。手術後、肺に拒絶反応とみられる影が検査で確認されたものの、ステロイドによる治療で回復しました。人工呼吸器は不要となり、自力で歩けるようになったといいます。両親の経過も良好で、すでに社会復帰したといいます。
 肺は構成する細胞の種類が多いことなどから他の臓器より拒絶反応が起きやすいほか、外気を取り入れるため感染症を起こしやすいとされ、血液型不適合のケースで生体移植は行われていませんでした。
 執刀した伊達洋至教授(呼吸器外科)は、「拒絶反応の兆候もあり、慎重に管理しないといけないと感じた。血液型不適合の生体肺移植は他に方法がない場合にのみ行う手術だと考えている」と話しました。宮本享病院長は、「リスクはあるが、移植医療の新しい扉を開けられると考え、推進した」と述べました。
 日本移植学会や京大病院によると、国内でこれまでに実施された970例以上の肺移植のうち、約7割が脳死移植。ただ、移植を受けるまでの待機時間が平均870日間と長期化しており、待機中の死亡率は4割を超えるといいます。
 同学会の江川裕人理事長は、「肺で血液型不適合生体移植の成功例が積み重なると、保険適用という道が開ける。間に合わずに亡くなる患者が減ることを期待できる」と評価しました。
 女性の両親は京大病院を通じて、「再び自力で呼吸し、歩くことができるまでに回復したことへの感謝を、娘も改めて認識した様子です」とコメントを発表しました。

 2022年4月12日(火)




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