■病気 腸チフス、パラチフス [病気(た行)]
チフス菌、パラチフスA菌の経口感染により、腸に潰瘍が発生
腸チフス、パラチフスとは、チフス菌、パラチフスA菌が口に入ることにより引き起こされる細菌感染症。パラチフスB菌とC菌によるものは、サルモネラ腸炎として扱われます。
腸チフス、パラチフスは世界各国でみられますが、特に衛生状態の悪い発展途上国で多くみられます。近年の日本では激減しており、90パーセントは海外での感染によるものです。 輸入食品を介して感染する危険もあり、感染症法では国内でも監視が必要な2類感染症に指定されています。
生ガキ、冷ややっこなど汚染された生の食品や、水などを摂取することによって経口感染し、食器についた少量の菌によって感染することもあります。潜伏期間は1〜3週間で、腸のリンパ組織を侵し、潰瘍(かいよう)を作る一方で、血流に乗って菌が全身に広がり菌血症の症状を起こします。
症状は頭痛、全身倦怠(けんたい)感で始まり、熱が次第に高くなり、1〜2週間後には最高に達して40度前後の高熱が続きます。発症1週間目ごろには皮膚にバラ色の発疹(はっしん)が現れます。舌が乾燥し、厚い煤(すす)色の苔(こけ)がつきます。下痢、嘔吐(おうと)の症状が現れることは、あまり多くはありません。
3週目には熱が下がり出し、食欲が出るころに、腸出血や腸穿孔(せんこう)を起こすことがあり、危険です。4週目には解熱して、回復に向かいます。
一般に、チフス菌による腸チフスより、パラチフスA菌によるパラチフスは軽い経過をとります。
腸チフス、パラチフスの検査と診断と治療
国内ではまれな疾患ですが、原因不明の発熱が続く場合には忘れてはならないものです。発展途上国など海外の旅行先から帰国して発熱が続く場合には、2類感染症につき、一定の病院を受診して検査を受けます。
医師による診断は、血液、便などからのチフス菌、パラチフスA菌の検出により確定します。菌の検出には少なくとも2〜3日はかかり、診断が確定したら、医師は保健所に届け出ます。
発症2週間以内では、白血球数は正常か増加する例が多く、AST(GOT)、ALT(GPT)などの肝酵素が初期から上昇します。海外渡航歴がある場合には、マラリア、デング熱、A型肝炎などとの区別が必要です。
腸チフス、パラチフスの治療は、症状がある場合は原則として入院の上、食事と安静と抗菌剤で行われます。小腸に潰瘍ができるので、下痢はなくても消化のよい食事を取り、安静を守ります。熱がなくなれば退院することは可能ですが、解熱後1週間くらいは腸出血の危険があるので、安静が必要です。
腸チフス、パラチフスに効果のある抗菌剤は限られています。クロラムフェニコール、アンピシリンまたはアモキシシリン、ST合剤が特効薬でしたが、現在は耐性菌や副作用などのために、ニューキノロン系薬剤が主に使われています。しかし、近年はそれに対しても耐性菌が出てきました。
5〜6日で解熱しますが、服薬期間は2週間が原則。きちんと治療をしても菌が残ることがあるので、治療が終わってから確認の検査が行われます。きちんと除菌をしておかないと、生涯に渡って保菌者になる可能性があります。
予防は飲食物に注意し、手洗いを励行することです。感染は発症者の便に汚染された食べ物や手指を介して広がりますので、発症者自身が手洗いを励行すれば、他人への感染を予防できます。排泄(はいせつ)の介助を必要とする子供や高齢者の場合には、介助者が手洗いを励行します。
また、感染の恐れのある海外の旅行先では、加熱した食べ物や煮沸した水を取るようにします。不衛生な飲食店や屋台での飲食は、避けるようにします。
なお、日本では腸チフスのワクチンは承認されていません。一部の医療機関では、外国から輸入したワクチンを使った予防接種を行っています。この腸チフスのワクチンは、パラチフスに対する予防効果はありません。
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腸チフス、パラチフスは世界各国でみられますが、特に衛生状態の悪い発展途上国で多くみられます。近年の日本では激減しており、90パーセントは海外での感染によるものです。 輸入食品を介して感染する危険もあり、感染症法では国内でも監視が必要な2類感染症に指定されています。
生ガキ、冷ややっこなど汚染された生の食品や、水などを摂取することによって経口感染し、食器についた少量の菌によって感染することもあります。潜伏期間は1〜3週間で、腸のリンパ組織を侵し、潰瘍(かいよう)を作る一方で、血流に乗って菌が全身に広がり菌血症の症状を起こします。
症状は頭痛、全身倦怠(けんたい)感で始まり、熱が次第に高くなり、1〜2週間後には最高に達して40度前後の高熱が続きます。発症1週間目ごろには皮膚にバラ色の発疹(はっしん)が現れます。舌が乾燥し、厚い煤(すす)色の苔(こけ)がつきます。下痢、嘔吐(おうと)の症状が現れることは、あまり多くはありません。
3週目には熱が下がり出し、食欲が出るころに、腸出血や腸穿孔(せんこう)を起こすことがあり、危険です。4週目には解熱して、回復に向かいます。
一般に、チフス菌による腸チフスより、パラチフスA菌によるパラチフスは軽い経過をとります。
腸チフス、パラチフスの検査と診断と治療
国内ではまれな疾患ですが、原因不明の発熱が続く場合には忘れてはならないものです。発展途上国など海外の旅行先から帰国して発熱が続く場合には、2類感染症につき、一定の病院を受診して検査を受けます。
医師による診断は、血液、便などからのチフス菌、パラチフスA菌の検出により確定します。菌の検出には少なくとも2〜3日はかかり、診断が確定したら、医師は保健所に届け出ます。
発症2週間以内では、白血球数は正常か増加する例が多く、AST(GOT)、ALT(GPT)などの肝酵素が初期から上昇します。海外渡航歴がある場合には、マラリア、デング熱、A型肝炎などとの区別が必要です。
腸チフス、パラチフスの治療は、症状がある場合は原則として入院の上、食事と安静と抗菌剤で行われます。小腸に潰瘍ができるので、下痢はなくても消化のよい食事を取り、安静を守ります。熱がなくなれば退院することは可能ですが、解熱後1週間くらいは腸出血の危険があるので、安静が必要です。
腸チフス、パラチフスに効果のある抗菌剤は限られています。クロラムフェニコール、アンピシリンまたはアモキシシリン、ST合剤が特効薬でしたが、現在は耐性菌や副作用などのために、ニューキノロン系薬剤が主に使われています。しかし、近年はそれに対しても耐性菌が出てきました。
5〜6日で解熱しますが、服薬期間は2週間が原則。きちんと治療をしても菌が残ることがあるので、治療が終わってから確認の検査が行われます。きちんと除菌をしておかないと、生涯に渡って保菌者になる可能性があります。
予防は飲食物に注意し、手洗いを励行することです。感染は発症者の便に汚染された食べ物や手指を介して広がりますので、発症者自身が手洗いを励行すれば、他人への感染を予防できます。排泄(はいせつ)の介助を必要とする子供や高齢者の場合には、介助者が手洗いを励行します。
また、感染の恐れのある海外の旅行先では、加熱した食べ物や煮沸した水を取るようにします。不衛生な飲食店や屋台での飲食は、避けるようにします。
なお、日本では腸チフスのワクチンは承認されていません。一部の医療機関では、外国から輸入したワクチンを使った予防接種を行っています。この腸チフスのワクチンは、パラチフスに対する予防効果はありません。
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■病気 腸管癒着症 [病気(た行)]
腸管に癒着が起こり、便通異常などが生じる疾患
腸管癒着症とは、腸管に炎症が起こって外傷や損傷ができ、その傷が治る過程で腸管が癒着し、腸の通過能力に支障が出てしまう疾患。
腸管と腸管において癒着が起こったり、腸管と腹膜などの隣接組織で癒着が起こったりします。癒着の原因となる外傷や損傷の元となるのは、外科手術によるものが最も多く、虫垂炎、胃潰瘍(かいよう)、十二指腸潰瘍、胃がん、胆石などの手術で発生することがあります。
虫垂炎を手術せずに治療した場合、いわゆる散らし場合でも虫垂周囲に癒着が起こることもあります。女性では、帝王切開や子宮筋腫(きんしゅ)などの外科手術によっても、癒着が起こることがあります。
腸管癒着症では、便通異常のほか腹痛、腹鳴、腹部膨満感、食欲不振、吐き気、不眠、倦怠(けんたい)感などの症状が現れます。腹痛の程度は激しい腹痛から鈍痛までさまざまで、最も激しいものは腸閉塞(へいそく)によって生じます。
腸が完全に詰まらないまでも、癒着した部分で腸が引っ張られたり、腸の内容物の流れが滞ったり、腸の内容物を肛門(こうもん)側へ送る蠕動(ぜんどう)運動がうまく伝達されなかったりして、腹痛が生じます。
自律神経の問題に影響が出る場合は、癒着が原因ではなく、手術による精神的なストレスが元となっています。
外科手術を行った後は、傷の自然治癒力によって症状が軽減されていきます。通常は特に治療を受ける必要はなく、症状を和らげるために、腸に刺激を与えない消化のよい食事を心掛けたり、便秘をしないように気を付けることで対処します。
しかし、症状が突然悪化した場合は、まず腸閉塞が疑われ、癒着がひどい場合は再手術が必要になることもあります。
腸管癒着症の検査と診断と治療
腹痛、便通異常などの症状のある時は、一度は医療機関を受診し、原因が何かを検査します。とりわけ、腹部の外科手術をしたことがない人に腹痛などが現れた場合は、受診して検査するべきです。
医師による診断は、発症者の自覚症状から行います。CTや超音波検査で、腸管癒着の程度や場所がわかることもあるものの、詳細までは判断できません。
腸管癒着症と同様に軽い腹痛や腹部の違和感で発症する疾患として、胃がん、大腸がん、肝臓疾患などの重い疾患もあるため、それらと鑑別する検査が必要なこともあります。
特殊な治療はなく、食事内容を工夫したり、便秘に気を付けたり、適度な運動を心掛けるなど生活習慣上の注意が中心になります。便秘時に症状が強い時には、消化剤や下剤、場合によって漢方薬を処方することもあります。
激しい腹痛など症状がひどい時には、早急な開腹手術が必要になることもあります。しかし、特に癒着性の腸閉塞では、何回も開腹するとかえって癒着が強くなり、再発の原因になりかねませんので、診断を確実にして、手術をするかしないかを慎重に決めます。
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腸管癒着症とは、腸管に炎症が起こって外傷や損傷ができ、その傷が治る過程で腸管が癒着し、腸の通過能力に支障が出てしまう疾患。
腸管と腸管において癒着が起こったり、腸管と腹膜などの隣接組織で癒着が起こったりします。癒着の原因となる外傷や損傷の元となるのは、外科手術によるものが最も多く、虫垂炎、胃潰瘍(かいよう)、十二指腸潰瘍、胃がん、胆石などの手術で発生することがあります。
虫垂炎を手術せずに治療した場合、いわゆる散らし場合でも虫垂周囲に癒着が起こることもあります。女性では、帝王切開や子宮筋腫(きんしゅ)などの外科手術によっても、癒着が起こることがあります。
腸管癒着症では、便通異常のほか腹痛、腹鳴、腹部膨満感、食欲不振、吐き気、不眠、倦怠(けんたい)感などの症状が現れます。腹痛の程度は激しい腹痛から鈍痛までさまざまで、最も激しいものは腸閉塞(へいそく)によって生じます。
腸が完全に詰まらないまでも、癒着した部分で腸が引っ張られたり、腸の内容物の流れが滞ったり、腸の内容物を肛門(こうもん)側へ送る蠕動(ぜんどう)運動がうまく伝達されなかったりして、腹痛が生じます。
自律神経の問題に影響が出る場合は、癒着が原因ではなく、手術による精神的なストレスが元となっています。
外科手術を行った後は、傷の自然治癒力によって症状が軽減されていきます。通常は特に治療を受ける必要はなく、症状を和らげるために、腸に刺激を与えない消化のよい食事を心掛けたり、便秘をしないように気を付けることで対処します。
しかし、症状が突然悪化した場合は、まず腸閉塞が疑われ、癒着がひどい場合は再手術が必要になることもあります。
腸管癒着症の検査と診断と治療
腹痛、便通異常などの症状のある時は、一度は医療機関を受診し、原因が何かを検査します。とりわけ、腹部の外科手術をしたことがない人に腹痛などが現れた場合は、受診して検査するべきです。
医師による診断は、発症者の自覚症状から行います。CTや超音波検査で、腸管癒着の程度や場所がわかることもあるものの、詳細までは判断できません。
腸管癒着症と同様に軽い腹痛や腹部の違和感で発症する疾患として、胃がん、大腸がん、肝臓疾患などの重い疾患もあるため、それらと鑑別する検査が必要なこともあります。
特殊な治療はなく、食事内容を工夫したり、便秘に気を付けたり、適度な運動を心掛けるなど生活習慣上の注意が中心になります。便秘時に症状が強い時には、消化剤や下剤、場合によって漢方薬を処方することもあります。
激しい腹痛など症状がひどい時には、早急な開腹手術が必要になることもあります。しかし、特に癒着性の腸閉塞では、何回も開腹するとかえって癒着が強くなり、再発の原因になりかねませんので、診断を確実にして、手術をするかしないかを慎重に決めます。
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■病気 腸重積症 [病気(た行)]
上方の腸管が下方の腸管の中に入り込んだ状態で、腸閉塞の一種
腸重積(じゅうせき)症とは、上方の腸管が下方の腸管の中に入り込んだ状態。腸閉塞(へいそく)の一種で、腸の内容物が通過できなくなります。
年齢的には、10歳未満の子供、特に1歳以下の乳児に多くみられます。成人の場合には、腸のポリープが先導となって引き込まれるような形で、腸重積を起こします。早く診断して処置をしないと、生命に危険の及ぶ疾患です。
よく起こるのは、小腸の最後の部分である回盲部が上行結腸の中に入り込むケースで、腸管が二重、または三重になることがあります。乳児の小腸と上行結腸は腸間膜による固定が弱くて、動きやすいため、回盲部が上行結腸の中に入り込みやすくなります。下方の小腸の中へ上方の小腸が入り込んだりもします。
いったん上行結腸へ回盲部が入り込んで、その先端に腫瘤(しゅりゅう)のようなものができると、回盲部には大腸から小腸へ内容物が逆流しないように弁があるので、その回盲弁に腫瘤が引っ掛かって抜けなくなります。入り込んだ小腸はどんどん、肛門(こうもん)のほうへ進入していきます。
狭い腸の中に入り込んだ小腸は、上を覆っている大腸によって締め付けられ、血液がうまく流れなくなり、長い時間そのままにしておくと、血液がこない組織は生命力を失う壊死(えし)に至ります。
発症は急で、突然に乳児の顔色が青白くなり、腹痛のために、脚を腹につけるような格好で激しく泣き叫んで、嘔吐(おうと)します。この腹痛の発作は数分で収まりますが、また繰り返します。
嘔吐が続くと脱水症状を来し、重なっている部分の腸管が炎症を起こして出血し、粘液の混ざった血液が自然に下血として排出されたり、浣腸(かんちょう)をすると血便が出てきたりします。
腹部を触ると、右上腹部からへその上部あたりに、ソーセージ状の腫瘤を触れることがあります。最悪のケースでは、腸管が破れて腹膜炎を起こし、命にかかわることがあります。
腸重積症の検査と診断と治療
乳児などに腸重積症の症状が重なって現れ、続くようなら、小児科を受診します。夜間なら救急外来を受診します。
医師による診断は、症状、経過のほかに、右上腹部を押すと痛みのある腫瘤を触れること、超音波検査で特徴的な所見を示すこと、肛門からカテーテルを入れて造影剤を注入し、X線撮影する注腸造影などで行います。
発症後12時間以内で全身状態が比較的よい場合は、診断を兼ねて注腸造影を行って、圧力を加えることにより整復を試みます。X線透視下で造影剤、あるいは空気を用いた整復が一般的ですが、現在では超音波下で整復を行う医療機関もあります。
整復が成功した場合でも、再発が起こらないかどうか入院して経過を観察します。再発の半数は、初回整復後5日以内にみられます。
発症から長時間経過している場合、腸閉塞が高度である場合、全身状態が著しく悪く注腸造影で整復できない場合、すでに腹膜炎を合併している場合は、開腹手術が必要になります。
なお、乳児が一度、腸重積を起こしたら、腸の固定がよくなる2歳ごろまで、再発に絶えず注意を払う必要があります。
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腸重積(じゅうせき)症とは、上方の腸管が下方の腸管の中に入り込んだ状態。腸閉塞(へいそく)の一種で、腸の内容物が通過できなくなります。
年齢的には、10歳未満の子供、特に1歳以下の乳児に多くみられます。成人の場合には、腸のポリープが先導となって引き込まれるような形で、腸重積を起こします。早く診断して処置をしないと、生命に危険の及ぶ疾患です。
よく起こるのは、小腸の最後の部分である回盲部が上行結腸の中に入り込むケースで、腸管が二重、または三重になることがあります。乳児の小腸と上行結腸は腸間膜による固定が弱くて、動きやすいため、回盲部が上行結腸の中に入り込みやすくなります。下方の小腸の中へ上方の小腸が入り込んだりもします。
いったん上行結腸へ回盲部が入り込んで、その先端に腫瘤(しゅりゅう)のようなものができると、回盲部には大腸から小腸へ内容物が逆流しないように弁があるので、その回盲弁に腫瘤が引っ掛かって抜けなくなります。入り込んだ小腸はどんどん、肛門(こうもん)のほうへ進入していきます。
狭い腸の中に入り込んだ小腸は、上を覆っている大腸によって締め付けられ、血液がうまく流れなくなり、長い時間そのままにしておくと、血液がこない組織は生命力を失う壊死(えし)に至ります。
発症は急で、突然に乳児の顔色が青白くなり、腹痛のために、脚を腹につけるような格好で激しく泣き叫んで、嘔吐(おうと)します。この腹痛の発作は数分で収まりますが、また繰り返します。
嘔吐が続くと脱水症状を来し、重なっている部分の腸管が炎症を起こして出血し、粘液の混ざった血液が自然に下血として排出されたり、浣腸(かんちょう)をすると血便が出てきたりします。
腹部を触ると、右上腹部からへその上部あたりに、ソーセージ状の腫瘤を触れることがあります。最悪のケースでは、腸管が破れて腹膜炎を起こし、命にかかわることがあります。
腸重積症の検査と診断と治療
乳児などに腸重積症の症状が重なって現れ、続くようなら、小児科を受診します。夜間なら救急外来を受診します。
医師による診断は、症状、経過のほかに、右上腹部を押すと痛みのある腫瘤を触れること、超音波検査で特徴的な所見を示すこと、肛門からカテーテルを入れて造影剤を注入し、X線撮影する注腸造影などで行います。
発症後12時間以内で全身状態が比較的よい場合は、診断を兼ねて注腸造影を行って、圧力を加えることにより整復を試みます。X線透視下で造影剤、あるいは空気を用いた整復が一般的ですが、現在では超音波下で整復を行う医療機関もあります。
整復が成功した場合でも、再発が起こらないかどうか入院して経過を観察します。再発の半数は、初回整復後5日以内にみられます。
発症から長時間経過している場合、腸閉塞が高度である場合、全身状態が著しく悪く注腸造影で整復できない場合、すでに腹膜炎を合併している場合は、開腹手術が必要になります。
なお、乳児が一度、腸重積を起こしたら、腸の固定がよくなる2歳ごろまで、再発に絶えず注意を払う必要があります。
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タグ:食道、胃腸、肛門の病気 腸重積症 病気 健康創造塾 子供の病気 病気(た行) 食道がん 急性虫垂炎 直腸ポリープ 直腸炎(潰瘍性大腸炎直腸炎型) 胃がん 胃粘膜下腫瘍 潰瘍 大腸がん 虫垂炎 クローン病 偽膜性腸炎 臍ヘルニア 赤痢 胃食道逆流症 胃炎 胸焼け 胃潰瘍 食中毒 過敏性腸症候群 十二指腸潰瘍 逆流性食道炎 スキルス胃がん 潰瘍性大腸炎 感染性胃腸炎 幽門狭窄 臍炎 胃切除後障害 胃神経症(神経性胃炎) マロリー・ワイス症候群 低酸症 急性胃炎 機能性胃腸症(機能性ディスペプシア) 食道静脈瘤 食道憩室 大腸憩室 食道異物 食道神経症(ヒステリー球) 急性出血性腸炎 薬剤性大腸炎 蛋白漏出性胃腸症 慢性胃炎 急性腸炎 急性大腸炎 アメーバ赤痢 慢性腹膜炎 ロタウイルス腸炎 食道炎 急性腹膜炎 胃の不快症状 慢性腸炎 吸収不良症候群 腸結核 胃アトニー 胃酸過多症 急性食道炎 胃ポリープ 直腸脱 毛巣瘻 腸閉塞(イレウス) 鼠径ヘルニア(脱腸) 横隔膜ヘルニア 乳糖不耐症 縦隔炎 臍帯ヘルニア 臍肉芽腫 腹壁ヘルニア 嵌頓ヘルニア 脱腸(鼠径ヘルニア) 移動性過S状結腸症 腸捻転 ヒスタミン食中毒
■病気 腸捻転 [病気(た行)]
腸管が回転して、ねじれ、内容物の通過障害などを起こす状態
腸捻転(ねんてん)とは、腸管が腸間膜または腸管自体の長軸を軸として、ねじれている状態。腸軸捻とも呼ばれます。
潰瘍(かいよう)性大腸炎や腸チフスなどの炎症性の疾患や手術後の癒着、ヘルニアや腸重積症によって起こることが多く、高齢者では腫瘍(しゅよう)などによって腸管が狭くなって起こります。
腸はふだん、腹膜や腸間膜によって固定され、生理的運動の範囲を超えないようになっていますが、この固定されている部分が弛緩(しかん)していたり、腸管の長さが異常に長くなった時に回転し、ねじれて、腸捻転を生じます。腸間膜の主幹動脈の閉塞による虚血に加えて、腸が詰まり、腸の内容物が通らなくなるなど腸閉塞と同じ症状がみられます。
捻転する器官としてはS状結腸が最も多く、小腸、盲腸の順となっています。ごくまれに、腸以外の胃あるいは胆嚢(たんのう)の捻転が生じることもあります。
S状結腸の捻転は、中高年の便秘がちな人に多くみられます。普通、自然なαループを描いてねじれますが、逆にねじれた場合は逆αループといい、糞便が直腸に行く前に交差する個所が腸管内にできてしまい、ひどい便秘になります。S状結腸が異常に長い場合、ループコースターのように二回転することもあります。
ループが完全に360度回ってしまうと、風船のように根元が縛られてS状結腸が袋状になり、便が全く通らなくなります。袋状のS状結腸にガスがたまるために腹部が張り、急に激しい腹痛が起こって、糞便(ふんべん)状の嘔吐(おうと)物を出すこともあります。一般に腹痛が持続し、全身状態が急に悪化します。
小腸の捻転の多くは、小腸の一部が炎症やがん、あるいは手術後の癒着などにより固定された場合に、癒着部分を中心に回転することで生じます。急激な嘔吐、持続する腹痛などが症状です。
盲腸の捻転は、移動性盲腸の症例として生じ、腹部手術を受けたことがある人、床に長期間ふせっている人、慢性の便秘がある人、妊娠している人などにみられます。
腸捻転の検査と診断と治療
腸捻転の症状によっては、急いで適切な処置を受けないと危険なケースがありますので、消化器科、外科を受診します。
S状結腸の捻転の場合、大腸内視鏡で検査後に抜去する際、逆αループなどを解除し、整復すると、簡単に便秘が治ります。S状結腸が袋状になった場合も、大腸内視鏡で捻転部よりも上側の腸管内の貯留物を吸引してガスを抜き、ねじれを解除することで、整復できます。
大腸内視鏡による整復率が高率である反面、再発率も高率であるため、肛門(こうもん)から挿入したチューブを24時間留置し、腸内容物を持続的に体外へ除去することもあります。
小腸の捻転の場合、大半は緊急手術により捻転した腸管を元に戻します。腸管がすでに壊死に陥っている時には、その部分を切除します。
盲腸の捻転の多くは、腸閉塞の手術中に発見され、虚血がなければ捻転の解除のみが行われます。捻転の再発が認められるため、盲腸の切除を行うこともあります。
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腸捻転(ねんてん)とは、腸管が腸間膜または腸管自体の長軸を軸として、ねじれている状態。腸軸捻とも呼ばれます。
潰瘍(かいよう)性大腸炎や腸チフスなどの炎症性の疾患や手術後の癒着、ヘルニアや腸重積症によって起こることが多く、高齢者では腫瘍(しゅよう)などによって腸管が狭くなって起こります。
腸はふだん、腹膜や腸間膜によって固定され、生理的運動の範囲を超えないようになっていますが、この固定されている部分が弛緩(しかん)していたり、腸管の長さが異常に長くなった時に回転し、ねじれて、腸捻転を生じます。腸間膜の主幹動脈の閉塞による虚血に加えて、腸が詰まり、腸の内容物が通らなくなるなど腸閉塞と同じ症状がみられます。
捻転する器官としてはS状結腸が最も多く、小腸、盲腸の順となっています。ごくまれに、腸以外の胃あるいは胆嚢(たんのう)の捻転が生じることもあります。
S状結腸の捻転は、中高年の便秘がちな人に多くみられます。普通、自然なαループを描いてねじれますが、逆にねじれた場合は逆αループといい、糞便が直腸に行く前に交差する個所が腸管内にできてしまい、ひどい便秘になります。S状結腸が異常に長い場合、ループコースターのように二回転することもあります。
ループが完全に360度回ってしまうと、風船のように根元が縛られてS状結腸が袋状になり、便が全く通らなくなります。袋状のS状結腸にガスがたまるために腹部が張り、急に激しい腹痛が起こって、糞便(ふんべん)状の嘔吐(おうと)物を出すこともあります。一般に腹痛が持続し、全身状態が急に悪化します。
小腸の捻転の多くは、小腸の一部が炎症やがん、あるいは手術後の癒着などにより固定された場合に、癒着部分を中心に回転することで生じます。急激な嘔吐、持続する腹痛などが症状です。
盲腸の捻転は、移動性盲腸の症例として生じ、腹部手術を受けたことがある人、床に長期間ふせっている人、慢性の便秘がある人、妊娠している人などにみられます。
腸捻転の検査と診断と治療
腸捻転の症状によっては、急いで適切な処置を受けないと危険なケースがありますので、消化器科、外科を受診します。
S状結腸の捻転の場合、大腸内視鏡で検査後に抜去する際、逆αループなどを解除し、整復すると、簡単に便秘が治ります。S状結腸が袋状になった場合も、大腸内視鏡で捻転部よりも上側の腸管内の貯留物を吸引してガスを抜き、ねじれを解除することで、整復できます。
大腸内視鏡による整復率が高率である反面、再発率も高率であるため、肛門(こうもん)から挿入したチューブを24時間留置し、腸内容物を持続的に体外へ除去することもあります。
小腸の捻転の場合、大半は緊急手術により捻転した腸管を元に戻します。腸管がすでに壊死に陥っている時には、その部分を切除します。
盲腸の捻転の多くは、腸閉塞の手術中に発見され、虚血がなければ捻転の解除のみが行われます。捻転の再発が認められるため、盲腸の切除を行うこともあります。
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