■用語 ストレートネック [用語(す)]
首の骨である頸椎が真っすぐな状態に近くなり、肩凝りや手のしびれが起こる障害
ストレートネックとは、首の骨である頸椎(けいつい)が真っすぐな状態に近くなり、肩凝りや手のしびれなどが起きる障害。
通常、頸椎は前に向かって軟らかに湾曲している前湾構造をしており、これにより頭の重さを分散させ、体全体のバランスを取っています。しかし、パソコンや携帯電話、スマートフォンを使うなどで前かがみになって、うつむく姿勢を続けていると、頸椎が頭の重さを支えられなくなるために、生理的に正常な前湾構造が失われてゆがみ、真っすぐな状態に近くなるストレートネックとなります。
生理的に正常な頸椎の前湾角度は30~40度であるのに対して、ストレートネックになった頸椎の前湾角度は30度以下を示します。
ストレートネックになると、歩行などの緩やかな動作を行う際にも、分散しない頭の重さが常時、首回りの筋肉に加わることになります。この負担が長期間にわたって継続すると、首回りの筋肉や神経を徐々に圧迫し、血流も悪くなって、肩凝りや手のしびれが起きることがあります。
パソコンや携帯電話、スマートフォンの普及と比例して発症するケースが多くなっている点も、ストレートネックの大きな特徴であり、仕事中に限らず休憩中や移動中も画面を見詰める20~40歳代の働き盛りに多く、特に女性は男性の2倍ほど多いといわれています。女性は首が細いため、筋肉の疲労が蓄積しやすいのが原因と見なされます。
ストレートネックの症状としては、肩凝り、手のしびれ、頭痛、めまいのほか、首の痛み、首の傾き、首の動かしにくさ、上方の向きにくさ、寝違い、枕の不一致、吐き気、自律神経失調症などがあります。
また、ストレートネックが引き金となって、頸椎の椎間板の一部が後方へずれて神経を圧迫する頸椎椎間板ヘルニアや、頸椎の椎間板と椎骨の変性によって脊髄や神経根が圧迫される頸椎症が起きることもあります。
ただし、一時的に症状が改善したように感じられるケースや、症状が度々治まるケースもあることから、症状が慢性化しない限りストレートネックを見極めることが難しい面もあります。
ストレートネックの検査と診断と治療
整形外科の医師による診断では、X線(レントゲン)検査を行い、頸椎の形状を確認します。頸椎の前湾の角度が少なく、生理的に正常な前湾の角度の欠如が確認された場合は、ストレートネックと確定されます。
確定された場合は、さらにMRI(磁気共鳴画像撮影)検査を行って、症状の進行状況を確認します。また、ストレートネックが要因となって頸椎に負担がかかり、合併する可能性を持つ頸椎椎間板ヘルニアや頸椎症などの有無も確認します。
整形外科の医師による治療では、前かがみになって、うつむくという不適当な姿勢を長時間継続することが大きな要素を占める障害のため、姿勢を改め、スマートフォンの画面を見詰め続けたりする悪い習慣を避けることが根本となります。
根本を解決しない限り、どのような治療を行っても再発の危険性がぬぐえないためで、実際、ストレートネックを発症した人の半数以上が再発を経験しています。
具体的には、パソコンを使って長時間のデスクワークをする人の場合は、画面を視線の高さに合わせるようにし、負担のかかる前かがみの姿勢が続かないようにしていきます。また、一定時間おきにストレッチを行い、頸部周囲の筋肉の緊張を和らげるようにしていきます。
重症ではない限り、姿勢に気を付けストレッチを行うことで十分改善できます。
継続的な負担から頸部に炎症を起こし、痛みが強い場合は、非ステロイド性消炎鎮痛剤や筋弛緩(きんしかん)剤を用いて治療します。局所の安静のために、頸椎固定用のカラー(えり巻き式補装具)を首に装着することもあります。
ストレートネック対策の矯正枕(まくら)もあり、睡眠時を利用して、首に当たる部位の枕の高さを調節することによって、首に正常な湾曲を強要させて矯正していきます。背筋を強制的に伸ばす働きを持つ姿勢矯正ベルトもあります。
そのほかの理学療法としては、外部から温めることによって血行を促進し筋肉の凝りや痛みを軽減するホットパックなどの温熱療法、首の牽引(けんいん)と休止を繰り返すことによって首の痛みや手のしびれを緩和する頸椎牽引療法、低周波治療、レーザー治療などがあります。
ストレートネックとは、首の骨である頸椎(けいつい)が真っすぐな状態に近くなり、肩凝りや手のしびれなどが起きる障害。
通常、頸椎は前に向かって軟らかに湾曲している前湾構造をしており、これにより頭の重さを分散させ、体全体のバランスを取っています。しかし、パソコンや携帯電話、スマートフォンを使うなどで前かがみになって、うつむく姿勢を続けていると、頸椎が頭の重さを支えられなくなるために、生理的に正常な前湾構造が失われてゆがみ、真っすぐな状態に近くなるストレートネックとなります。
生理的に正常な頸椎の前湾角度は30~40度であるのに対して、ストレートネックになった頸椎の前湾角度は30度以下を示します。
ストレートネックになると、歩行などの緩やかな動作を行う際にも、分散しない頭の重さが常時、首回りの筋肉に加わることになります。この負担が長期間にわたって継続すると、首回りの筋肉や神経を徐々に圧迫し、血流も悪くなって、肩凝りや手のしびれが起きることがあります。
パソコンや携帯電話、スマートフォンの普及と比例して発症するケースが多くなっている点も、ストレートネックの大きな特徴であり、仕事中に限らず休憩中や移動中も画面を見詰める20~40歳代の働き盛りに多く、特に女性は男性の2倍ほど多いといわれています。女性は首が細いため、筋肉の疲労が蓄積しやすいのが原因と見なされます。
ストレートネックの症状としては、肩凝り、手のしびれ、頭痛、めまいのほか、首の痛み、首の傾き、首の動かしにくさ、上方の向きにくさ、寝違い、枕の不一致、吐き気、自律神経失調症などがあります。
また、ストレートネックが引き金となって、頸椎の椎間板の一部が後方へずれて神経を圧迫する頸椎椎間板ヘルニアや、頸椎の椎間板と椎骨の変性によって脊髄や神経根が圧迫される頸椎症が起きることもあります。
ただし、一時的に症状が改善したように感じられるケースや、症状が度々治まるケースもあることから、症状が慢性化しない限りストレートネックを見極めることが難しい面もあります。
ストレートネックの検査と診断と治療
整形外科の医師による診断では、X線(レントゲン)検査を行い、頸椎の形状を確認します。頸椎の前湾の角度が少なく、生理的に正常な前湾の角度の欠如が確認された場合は、ストレートネックと確定されます。
確定された場合は、さらにMRI(磁気共鳴画像撮影)検査を行って、症状の進行状況を確認します。また、ストレートネックが要因となって頸椎に負担がかかり、合併する可能性を持つ頸椎椎間板ヘルニアや頸椎症などの有無も確認します。
整形外科の医師による治療では、前かがみになって、うつむくという不適当な姿勢を長時間継続することが大きな要素を占める障害のため、姿勢を改め、スマートフォンの画面を見詰め続けたりする悪い習慣を避けることが根本となります。
根本を解決しない限り、どのような治療を行っても再発の危険性がぬぐえないためで、実際、ストレートネックを発症した人の半数以上が再発を経験しています。
具体的には、パソコンを使って長時間のデスクワークをする人の場合は、画面を視線の高さに合わせるようにし、負担のかかる前かがみの姿勢が続かないようにしていきます。また、一定時間おきにストレッチを行い、頸部周囲の筋肉の緊張を和らげるようにしていきます。
重症ではない限り、姿勢に気を付けストレッチを行うことで十分改善できます。
継続的な負担から頸部に炎症を起こし、痛みが強い場合は、非ステロイド性消炎鎮痛剤や筋弛緩(きんしかん)剤を用いて治療します。局所の安静のために、頸椎固定用のカラー(えり巻き式補装具)を首に装着することもあります。
ストレートネック対策の矯正枕(まくら)もあり、睡眠時を利用して、首に当たる部位の枕の高さを調節することによって、首に正常な湾曲を強要させて矯正していきます。背筋を強制的に伸ばす働きを持つ姿勢矯正ベルトもあります。
そのほかの理学療法としては、外部から温めることによって血行を促進し筋肉の凝りや痛みを軽減するホットパックなどの温熱療法、首の牽引(けんいん)と休止を繰り返すことによって首の痛みや手のしびれを緩和する頸椎牽引療法、低周波治療、レーザー治療などがあります。
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■用語 スーパー男性症候群 [用語(す)]
男性だけにみられる性染色体異常で、背が高く、言語発達の遅れがみられたりする疾患
スーパー男性症候群とは、染色体異常のうちの性染色体異常の疾患で、男性にだけ起こる先天的な疾患群。XYY症候群、スーパー男性、超男性、Y過剰男性とも呼ばれます。
染色体は、体を作るすべての細胞の内部にあり、2つに分かれる細胞分裂の一定の時期のみ、色素で染めると棒状の形で確認できます。染色体には、22対の常染色体と2対の性染色体とがあります。父親から22本の常染色体と1本の性染色体、母親から同じく22本の常染色体と1本の性染色体を受け継いで、全部で46対の染色体を持つことになります。
性染色体にはXとYという2つの種類があり、Xを2本持つ場合は女性に、XとYを1本ずつ持つ場合は男性になります。染色体は女性だと46XX、男性だと46XYということになります。
スーパー男性症候群の男性の場合は、性染色体がXYYと1本多く、47XYYということになります。性染色体が3本ある異常で、性染色体トリソミーにも該当します。トリソミーとは、3本という意味です。
47XYYの完全型のほか、性染色体異常の細胞と通常の細胞が混在する47XYY/46XYのモザイク型もありますが、大半が完全型です。
スーパー男性症候群の男性は、約1000人に1人の割合で生まれるといわれます。
正確な原因は不明ですが、減数分裂の際に2対の染色体が分裂し損なってYが1つ多い卵子もしくは精子を作り出す、もしくは減数分裂後の受精段階で、胎児の前身の胎芽の細胞分裂でYが1つ多くなることで起こるとされます。
スーパー男性症候群の男性は身長が高くなるのが特徴といわれ、出生時の身長は平均的なので、思春期に急速に伸びると考えられます。これは、Y染色体にあって身長を高くするSHOX (身長伸長蛋白〔たんぱく〕質)遺伝子が二重に働き、身長伸長蛋白質が多く作られるためと考えられます。
知能指数がほかの家族よりやや低い傾向があり、軽い言語発達の遅れがみられたりします。軽度の行動障害、多動性、注意欠陥障害、および学習障害を来すこともあります。
男性ホルモンの一種であるテストステロンのレベルは、先天的にも後天的にも一般の男性と同じ値で、精子の造成機能にやや難があり精子の数が少ないものの、子供を作ることは可能です。
スーパー男性症候群の男性のほとんどは、原則として知能と生殖能力は正常で、一般の人と変わりはありません。障害が全くないこともあり、本人も家族も気が付かないまま通常に学校を卒業し、通常に就職し、通常に結婚して、一生を通じて全く気が付かないこともあります。性染色体は1本多いトリソミーになっても不活性化し、症状が軽くなるためです。
一説によると、スーパー男性症候群の男性は男性としての特徴が極端に出て、背が高くて、攻撃的、または活動的な性格になりやすく、この性格が良い方向に向かえば成功者になる確率が高くなる一方、悪い方に向かえば犯罪に結び付くこともあるとされています。この説に対しては、現在では否定的な意見が多いようです。
1960年代のアメリカでは、1966年にシカゴの看護婦寮に押し入り8人の女性を殺害した事件など、いくつかの殺人事件の犯人が47XYYの染色体構成を持つ男性だったという報告があり、注目を集めました。
このため、要注意の染色体異常であるというイメージが広まり、47XYY型の男性に対する偏見、差別が生まれました。しかし、現在では、検査ミスであったと判明し、スーパー男性症候群の男性と犯罪との関連性は否定されています。
スーパー男性症候群の男性のほとんどは、普通に日常生活を送っていますので、治療の必要はありません。
スーパー男性症候群とは、染色体異常のうちの性染色体異常の疾患で、男性にだけ起こる先天的な疾患群。XYY症候群、スーパー男性、超男性、Y過剰男性とも呼ばれます。
染色体は、体を作るすべての細胞の内部にあり、2つに分かれる細胞分裂の一定の時期のみ、色素で染めると棒状の形で確認できます。染色体には、22対の常染色体と2対の性染色体とがあります。父親から22本の常染色体と1本の性染色体、母親から同じく22本の常染色体と1本の性染色体を受け継いで、全部で46対の染色体を持つことになります。
性染色体にはXとYという2つの種類があり、Xを2本持つ場合は女性に、XとYを1本ずつ持つ場合は男性になります。染色体は女性だと46XX、男性だと46XYということになります。
スーパー男性症候群の男性の場合は、性染色体がXYYと1本多く、47XYYということになります。性染色体が3本ある異常で、性染色体トリソミーにも該当します。トリソミーとは、3本という意味です。
47XYYの完全型のほか、性染色体異常の細胞と通常の細胞が混在する47XYY/46XYのモザイク型もありますが、大半が完全型です。
スーパー男性症候群の男性は、約1000人に1人の割合で生まれるといわれます。
正確な原因は不明ですが、減数分裂の際に2対の染色体が分裂し損なってYが1つ多い卵子もしくは精子を作り出す、もしくは減数分裂後の受精段階で、胎児の前身の胎芽の細胞分裂でYが1つ多くなることで起こるとされます。
スーパー男性症候群の男性は身長が高くなるのが特徴といわれ、出生時の身長は平均的なので、思春期に急速に伸びると考えられます。これは、Y染色体にあって身長を高くするSHOX (身長伸長蛋白〔たんぱく〕質)遺伝子が二重に働き、身長伸長蛋白質が多く作られるためと考えられます。
知能指数がほかの家族よりやや低い傾向があり、軽い言語発達の遅れがみられたりします。軽度の行動障害、多動性、注意欠陥障害、および学習障害を来すこともあります。
男性ホルモンの一種であるテストステロンのレベルは、先天的にも後天的にも一般の男性と同じ値で、精子の造成機能にやや難があり精子の数が少ないものの、子供を作ることは可能です。
スーパー男性症候群の男性のほとんどは、原則として知能と生殖能力は正常で、一般の人と変わりはありません。障害が全くないこともあり、本人も家族も気が付かないまま通常に学校を卒業し、通常に就職し、通常に結婚して、一生を通じて全く気が付かないこともあります。性染色体は1本多いトリソミーになっても不活性化し、症状が軽くなるためです。
一説によると、スーパー男性症候群の男性は男性としての特徴が極端に出て、背が高くて、攻撃的、または活動的な性格になりやすく、この性格が良い方向に向かえば成功者になる確率が高くなる一方、悪い方に向かえば犯罪に結び付くこともあるとされています。この説に対しては、現在では否定的な意見が多いようです。
1960年代のアメリカでは、1966年にシカゴの看護婦寮に押し入り8人の女性を殺害した事件など、いくつかの殺人事件の犯人が47XYYの染色体構成を持つ男性だったという報告があり、注目を集めました。
このため、要注意の染色体異常であるというイメージが広まり、47XYY型の男性に対する偏見、差別が生まれました。しかし、現在では、検査ミスであったと判明し、スーパー男性症候群の男性と犯罪との関連性は否定されています。
スーパー男性症候群の男性のほとんどは、普通に日常生活を送っていますので、治療の必要はありません。
タグ:レジューン症候群 常染色体部分モノソミー クリグラー・ナジャール症候群 体質性黄疸 新生児仮死 血液型不適合妊娠 先天性ビリルビン代謝異常症 母子血液型不適合妊娠 先天性甲状腺機能低下症(クレチン症) クレチン症(先天性甲状腺機能低下症) XO症候群 XXX症候群 新生児肺炎 胎便吸引症候群 XYY症候群 新生児呼吸窮迫症候群 クラインフェルター症候群 新生児溶血性黄疸 性染色体トリソミー トリプルX症候群 スーパー女性症候群 新生児黄疸 スーパー男性症候群 新生児テタニー ターナー症候群 新生児メレナ 性染色体異常 臍肉芽腫 先天性風疹症候群 臍帯ヘルニア 臍炎 性染色体モノソミー 5pモノソミー 臍ヘルニア 軟骨無形成症 シモンズ病 巨人症 内分泌科 猫鳴き症候群 用語(す) ウォルフ・ヒルシュホーン症候群 4pモノソミー ヌーナン症候群 常染色体トリソミー パトー症候群 13トリソミー症候群 出べそ 下垂体前葉機能低下症 風疹(三日ばしか) アペール症候群 下垂体性小人症
■用語 スーパー女性症候群 [用語(す)]
女性だけにみられる性染色体異常で、言葉の障害や運動機能の遅れがみられる疾患
スーパー女性症候群とは、染色体異常のうちの性染色体異常の疾患で、女性にだけ起こる先天的な疾患群。XXX症候群、トリプルX症候群、スーパー女性、超女性とも呼ばれます。
染色体は、体を作るすべての細胞の内部にあり、2つに分かれる細胞分裂の一定の時期のみ、色素で染めると棒状の形で確認できます。染色体には22対の常染色体と2対の性染色体とがあります。父親から22本の常染色体と1本の性染色体、母親から同じく22本の常染色体と1本の性染色体を受け継いで、全部で46対の染色体を持つことになります。
性染色体にはXとYという2つの種類があり、Xを2本持つ場合は女性に、XとYを1本ずつ持つ場合は男性になります。染色体は女性だと46XX、男性だと46XYということになります。
スーパー女性症候群の女性の場合は、性染色体がXXXと1本多く、女性約1000人に1人の割合で生まれるといわれます。
正確な原因は不明ですが、減数分裂の際に2対の染色体が分裂し損なってXが1つ多い卵子もしくは精子を作り出す、もしくは減数分裂後の受精段階で、胎児の前身の胎芽の細胞分裂でXが1つ多くなることで起こるとされます。母親の高齢出産で、スーパー女性症候群の新生児女児が生まれる頻度が高いともいわれています。
このスーパー女性症候群は、パトリシア・ジェイコブズらがイギリスのスコットランドで、染色体構成47XXXを持つ2人の女性を見付け、1961年に最初に報告しました。
染色体構成47XXXを持つ新生児女児のほとんどは、スーパー女性症候群の症状をいくつかしか持っていないか、全く持っていません。
新生児女児のほとんどは、身体的には誕生時から正常に発育します。ただし、誕生時の平均体重値は、正常な染色体を持つ女児よりわずかに低くなっています。8歳までは、正常な染色体を持つ女児よりやや身長の伸びが速く、最終的に2、3cm高くなり、高身長で手足の長い細身の体形になる人が多いとされます。
ほとんどは、性関連と性ホルモン条件に関して、正常な染色体を持つ女児と違いはありません。外陰部や卵巣、子宮、膣(ちつ)に異常はなく、一般的な胸部、体毛の成長、そして第二次性徴も普通に現れます。妊娠、出産も可能で、その子供の大部分は正常な染色体を持って生まれます。
染色体構成47XXXを持つ女児のほとんどは、通常の知能、もしくは低くても通常の範囲の知能を持っています。しかし、その多くは、言葉の障害や学習障害を持ち、運動機能や感情の発達の遅れがみられます。数は少ないものの、軽い知的障害を持っていることもあります。
なお、スーパー女性症候群の症状の現れ方は人によって大きく異なり、筋緊張低下によって上まぶたにしわが寄ったり、小指が短く内側に曲がった斜指症がみられることがあります。中には、発作や、腎臓(じんぞう)を含む泌尿生殖器の奇形など、より深刻な状態がみられることもあります。
普通、スーパー女性症候群のほとんどは、治療の必要はありません。
スーパー女性症候群とは、染色体異常のうちの性染色体異常の疾患で、女性にだけ起こる先天的な疾患群。XXX症候群、トリプルX症候群、スーパー女性、超女性とも呼ばれます。
染色体は、体を作るすべての細胞の内部にあり、2つに分かれる細胞分裂の一定の時期のみ、色素で染めると棒状の形で確認できます。染色体には22対の常染色体と2対の性染色体とがあります。父親から22本の常染色体と1本の性染色体、母親から同じく22本の常染色体と1本の性染色体を受け継いで、全部で46対の染色体を持つことになります。
性染色体にはXとYという2つの種類があり、Xを2本持つ場合は女性に、XとYを1本ずつ持つ場合は男性になります。染色体は女性だと46XX、男性だと46XYということになります。
スーパー女性症候群の女性の場合は、性染色体がXXXと1本多く、女性約1000人に1人の割合で生まれるといわれます。
正確な原因は不明ですが、減数分裂の際に2対の染色体が分裂し損なってXが1つ多い卵子もしくは精子を作り出す、もしくは減数分裂後の受精段階で、胎児の前身の胎芽の細胞分裂でXが1つ多くなることで起こるとされます。母親の高齢出産で、スーパー女性症候群の新生児女児が生まれる頻度が高いともいわれています。
このスーパー女性症候群は、パトリシア・ジェイコブズらがイギリスのスコットランドで、染色体構成47XXXを持つ2人の女性を見付け、1961年に最初に報告しました。
染色体構成47XXXを持つ新生児女児のほとんどは、スーパー女性症候群の症状をいくつかしか持っていないか、全く持っていません。
新生児女児のほとんどは、身体的には誕生時から正常に発育します。ただし、誕生時の平均体重値は、正常な染色体を持つ女児よりわずかに低くなっています。8歳までは、正常な染色体を持つ女児よりやや身長の伸びが速く、最終的に2、3cm高くなり、高身長で手足の長い細身の体形になる人が多いとされます。
ほとんどは、性関連と性ホルモン条件に関して、正常な染色体を持つ女児と違いはありません。外陰部や卵巣、子宮、膣(ちつ)に異常はなく、一般的な胸部、体毛の成長、そして第二次性徴も普通に現れます。妊娠、出産も可能で、その子供の大部分は正常な染色体を持って生まれます。
染色体構成47XXXを持つ女児のほとんどは、通常の知能、もしくは低くても通常の範囲の知能を持っています。しかし、その多くは、言葉の障害や学習障害を持ち、運動機能や感情の発達の遅れがみられます。数は少ないものの、軽い知的障害を持っていることもあります。
なお、スーパー女性症候群の症状の現れ方は人によって大きく異なり、筋緊張低下によって上まぶたにしわが寄ったり、小指が短く内側に曲がった斜指症がみられることがあります。中には、発作や、腎臓(じんぞう)を含む泌尿生殖器の奇形など、より深刻な状態がみられることもあります。
普通、スーパー女性症候群のほとんどは、治療の必要はありません。
タグ:用語(す) スーパー女性症候群 スーパー男性症候群 新生児仮死 臍ヘルニア 内分泌科 ヌーナン症候群 血液型不適合妊娠 ターナー症候群 先天性甲状腺機能低下症(クレチン症) クレチン症(先天性甲状腺機能低下症) クラインフェルター症候群 臍炎 臍帯ヘルニア 臍肉芽腫 新生児メレナ 新生児テタニー 性染色体異常 巨人症 軟骨無形成症 シモンズ病 先天性風疹症候群 新生児黄疸 XO症候群 XXX症候群 XYY症候群 性染色体トリソミー 性染色体モノソミー トリプルX症候群 5pモノソミー 猫鳴き症候群 4pモノソミー ウォルフ・ヒルシュホーン症候群 レジューン症候群 常染色体部分モノソミー 体質性黄疸 クリグラー・ナジャール症候群 新生児溶血性黄疸 先天性ビリルビン代謝異常症 母子血液型不適合妊娠 新生児呼吸窮迫症候群 胎便吸引症候群 新生児肺炎 13トリソミー症候群 パトー症候群 常染色体トリソミー 出べそ 下垂体前葉機能低下症 風疹(三日ばしか) アペール症候群 下垂体性小人症
■用語 スーパー便秘 [用語(す)]
直腸がポケット状に膨らんだり、肛門周辺の筋肉の機能が悪化することが原因で起こる便秘
スーパー便秘とは、直腸がポケット状に膨らんだり、肛門(こうもん)周辺の筋肉の機能が悪化することが原因で起こる便秘。
便は肛門近くまできていて便意があるにもかかわず、腹部に力を入れて息んでもなかなか排便できないタイプの便秘で、普通の便秘の原因となる大腸の運動能力には問題はなく、便の最終的な通り道である直腸に問題があるために起こります。
そのため便秘を治すために食物繊維や水分を多量に補給したり、便秘薬を飲んでも解消されず、逆に便がたまって悪化させることになります。
このスーパー便秘は、直腸瘤(りゅう)とアニスムスが原因で起こります。
まず、直腸瘤は、直腸と膣(ちつ)の間にある直腸膣隔壁が弱って、排便しようと息んだ際に直腸の前側が膣の中に向かってポケット状に膨らむ状態。直腸膣壁弛緩(しかん)症、直腸ポケットとも呼ばれます。
隣り合わせにある直腸と腟の間にある直腸膣隔壁が弱くなったために起こる現象で、直腸そのものの疾患ではありません。
直腸瘤は、婦人科医の間では以前から知られていましたが、息んでも出にくいタイプの便秘の原因として、最近では大腸肛門病の専門医にも注目されています。
ごくまれに男性にも直腸瘤がみられますが、ある程度の大きさの直腸瘤は、女性に限られます。また、比較的中高年の女性に多くみられますが、小さな直腸瘤は無症状の若い女性にもまれにみられます。
直腸と腟の間にある結合組織や筋膜からなる直腸膣隔壁が弱くなる原因としては、加齢、出産、習慣的な息みなどが考えられています。女性ホルモンの低下が、結合組織のもとであるコラーゲンの脆弱(ぜいじゃく)化に影響するという説もあります。
息んでも便が出にくいといった排便困難が主な症状で、そのほかに残便感、腟の違和感、会陰(えいん)部の重苦しさといった症状が現れます。
排便困難は、便が直腸瘤に入り込むために起こり、入り込んだ便はどんどん水分を奪われて硬くなり、ますます排出しにくい状態になります。指で会陰を押さえたり、腟の中に指を入れて押さえると、排便しやすくなります。
直腸瘤がある人の多くは、肛門括約筋の強さは正常ですが、中には肛門括約筋が弱いため便失禁を伴う場合もあります。
排便時の出血や、肛門の外に直腸の粘膜や筋層が飛び出すのは直腸瘤の症状ではなく、痔核(じかく、いぼ痔)などの肛門疾患を伴う場合にみられます。
次に、アニスムスは、肛門周辺の筋肉の機能が悪化し、排便時にうまくコントロールできないために便秘が起こる状態。骨盤底筋協調運動障害、協調障害性排便障害とも呼ばれます。
正常な排便ならば、便意の起きたタイミングで洋風便座に座れば、特に息む必要もなくスムーズに便が出ます。少し便が出にくい際は腹部に力を入れて息めば、肛門周辺の筋肉である骨盤底筋や肛門括約筋はリラックスしている状態なので協調して緩み、肛門が開いて便が出てきます。
この排便に際して息めば息むほど、骨盤の底にあって下腹部の臓器を支えている骨盤底筋や、普段は収縮し排便時に広がる肛門括約筋、肛門括約筋の一つである恥骨直腸筋が緊張して収縮し、肛門が閉じるために排便が困難になるのが、アニスムスです。
骨盤底筋は排便に際して緩むことで、直腸と肛門を真っすぐにつなげる役割を持ち、その作用で便をスムーズに送り出すことが可能になっています。この骨盤底筋の機能が悪化して、排便時に緩まずに緊張した状態が続くと、便の通り道ができなくなり、排便が困難な状態になります。
便意はあるのに、便がなかなか出ず、残便感もあります。便秘薬を飲むと、一転して下痢をします。これは大腸の運動能力には問題がないため、正常な大腸が便秘薬で刺激されて、動きが活発になりすぎるためです。
また、便秘を治すために食物繊維や水分をいくら補給しても、便の通り道がなくては腸内にたまる一方で、便秘を逆に悪化させることになります。
アニスムスは、女性に多いものの男性にも起こります。無意識の内に習慣化していることが多く、自分では気付きにくい症状です。
便がなかなか出ないために、むやみやたらに息むと肛門が閉じてしまうので逆効果。便秘が長く続くと、大腸に便が滞りガスがたまることによる腹部膨満感、腹部不快感、食欲の低下などの症状がみられます。
また、腸内細菌のバランスが崩れ、腐敗便がたまると、肌のトラブルや大腸がんの発生の引き金になることもあります。
スーパー便秘の検査と診断と治療
婦人科、産婦人科、あるいは肛門科の医師によるスーパー便秘の1つである直腸瘤の診断では、直腸の指診で腟の後壁の膨らみを調べます。肛門から指を入れて直腸の前側を膣方向に押すと、膣の後壁がポケット状に飛び出してくるので、それだけでほとんど直腸瘤の見当がつきます。
直腸瘤の大きさをより客観的に調べるためには、造影剤を混ぜた模擬便を直腸に入れて、排便時の直腸の形や動きをX線透視下で観察する排便造影検査(デフェコグラフィー)を行います。
さらに状況に応じて、大腸内視鏡検査、肛門内圧検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査を行うことがあります。
婦人科、産婦人科、あるいは肛門科の医師による治療では、軽度の場合、緩下剤や食物繊維の作用を持つ薬、座薬を用いて便通をコントロールする方法を取ります。
それでも排便困難が解消せず、腟の中に指を入れて息むと便が出やすいという重度の場合、手術を考慮します。手術は腟と直腸の間の組織を縫い合わせて直腸瘤の前に堅い壁を作ることで、強く息んでも直腸が膣側に飛び出さないようにするもので、肛門から行う方法と腟から行う方法があります。
肛門科、あるいは婦人科、産婦人科の医師によるスーパー便秘の1つであるアニスムスの診断では、肛門から指を入れる直腸の指診で、息む動作を行った時に肛門が緩まずに肛門括約筋と恥骨直腸筋が収縮するのを確認できれば、ほぼ診断可能です。
より客観的に調べるためには、造影剤を混ぜた模擬便を直腸に入れて、排便時の直腸の形や動きをX線透視下で調べる排便造影検査(デフェコグラフィー)や、小さな錠剤のようなX線マーカーを服用して大腸における通過時間を調べる検査を行います。排便造影検査では、息んだ際に直腸から肛門に連なる直腸肛門角の角度が緩まず、鋭角になるのがわかります。
また、肛門内圧検査(マノメトリー検査)を行うことがあります。肛門管に圧力を感知するカテーテルを入れて、息んだ際や肛門を締めた際の圧力の変化を測定します。アニスムスの人は、排便しようとする時に骨盤底筋が緊張し、緩めるところを逆に力が入ってしまうため、圧力のかかり方を測定することで確認できます。正常な人ならば、息んでも骨盤底筋は緩んだ状態で、ほとんど力は入りません。
さらに状況に応じて、大腸内視鏡検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査を行うことがあります。
肛門科、あるいは婦人科、産婦人科の医師による診断では、排便時の姿勢や息み方を正して骨盤底筋を矯正する指導をしたり、座薬などを用いて治療します。
まずは、和風便所を使い、しゃがんだ排便姿勢をとることが、直腸肛門角が開くために推奨されます。
より一般的な洋風便所で骨盤底筋を矯正する手順は、1)排便時には上体を前傾させて両ひじを太ももの上に置く(前傾姿勢になると直腸肛門角が開いて便がスムーズに直腸へ送られるため)、2)かかとをおよそ20度上げる(腹筋の力を腸にかけやすくなるため)、3)息む時は、腰に手を当ててせきをした時に動く筋肉である腹筋だけに力を入れる(肩や背中に力を入れて全身で踏ん張らないようにするため)。
トイレに行った時に、この手順を繰り返すようにすることで、骨盤底筋の機能を回復させることができます。
正しい排便姿勢や息み方を身に着けるために、バイオフィードバック療法(直腸肛門機能回復訓練)を行うこともあります。これは肛門筋電計という圧力センサーを肛門管から差し入れて、息んだ時の肛門括約筋や恥骨直腸筋の動きを、医師と一緒にモニターで視覚情報として確認し、排便時に緩めるべき肛門周辺の筋肉を無意識に締めないで腹圧をかける感覚をつかみます。
次に、直腸内に入れたバルーン(風船)を50ccほどの空気や水で膨らませて便に見立て、そのバルーンを排出する訓練を行います。水を入れるとバルーンの重みや形状が便に似てくるため、便意を感じる、我慢する、便を出すという排便に関係する筋肉の正常な協調運動を実践的に練習できることになります。
スーパー便秘とは、直腸がポケット状に膨らんだり、肛門(こうもん)周辺の筋肉の機能が悪化することが原因で起こる便秘。
便は肛門近くまできていて便意があるにもかかわず、腹部に力を入れて息んでもなかなか排便できないタイプの便秘で、普通の便秘の原因となる大腸の運動能力には問題はなく、便の最終的な通り道である直腸に問題があるために起こります。
そのため便秘を治すために食物繊維や水分を多量に補給したり、便秘薬を飲んでも解消されず、逆に便がたまって悪化させることになります。
このスーパー便秘は、直腸瘤(りゅう)とアニスムスが原因で起こります。
まず、直腸瘤は、直腸と膣(ちつ)の間にある直腸膣隔壁が弱って、排便しようと息んだ際に直腸の前側が膣の中に向かってポケット状に膨らむ状態。直腸膣壁弛緩(しかん)症、直腸ポケットとも呼ばれます。
隣り合わせにある直腸と腟の間にある直腸膣隔壁が弱くなったために起こる現象で、直腸そのものの疾患ではありません。
直腸瘤は、婦人科医の間では以前から知られていましたが、息んでも出にくいタイプの便秘の原因として、最近では大腸肛門病の専門医にも注目されています。
ごくまれに男性にも直腸瘤がみられますが、ある程度の大きさの直腸瘤は、女性に限られます。また、比較的中高年の女性に多くみられますが、小さな直腸瘤は無症状の若い女性にもまれにみられます。
直腸と腟の間にある結合組織や筋膜からなる直腸膣隔壁が弱くなる原因としては、加齢、出産、習慣的な息みなどが考えられています。女性ホルモンの低下が、結合組織のもとであるコラーゲンの脆弱(ぜいじゃく)化に影響するという説もあります。
息んでも便が出にくいといった排便困難が主な症状で、そのほかに残便感、腟の違和感、会陰(えいん)部の重苦しさといった症状が現れます。
排便困難は、便が直腸瘤に入り込むために起こり、入り込んだ便はどんどん水分を奪われて硬くなり、ますます排出しにくい状態になります。指で会陰を押さえたり、腟の中に指を入れて押さえると、排便しやすくなります。
直腸瘤がある人の多くは、肛門括約筋の強さは正常ですが、中には肛門括約筋が弱いため便失禁を伴う場合もあります。
排便時の出血や、肛門の外に直腸の粘膜や筋層が飛び出すのは直腸瘤の症状ではなく、痔核(じかく、いぼ痔)などの肛門疾患を伴う場合にみられます。
次に、アニスムスは、肛門周辺の筋肉の機能が悪化し、排便時にうまくコントロールできないために便秘が起こる状態。骨盤底筋協調運動障害、協調障害性排便障害とも呼ばれます。
正常な排便ならば、便意の起きたタイミングで洋風便座に座れば、特に息む必要もなくスムーズに便が出ます。少し便が出にくい際は腹部に力を入れて息めば、肛門周辺の筋肉である骨盤底筋や肛門括約筋はリラックスしている状態なので協調して緩み、肛門が開いて便が出てきます。
この排便に際して息めば息むほど、骨盤の底にあって下腹部の臓器を支えている骨盤底筋や、普段は収縮し排便時に広がる肛門括約筋、肛門括約筋の一つである恥骨直腸筋が緊張して収縮し、肛門が閉じるために排便が困難になるのが、アニスムスです。
骨盤底筋は排便に際して緩むことで、直腸と肛門を真っすぐにつなげる役割を持ち、その作用で便をスムーズに送り出すことが可能になっています。この骨盤底筋の機能が悪化して、排便時に緩まずに緊張した状態が続くと、便の通り道ができなくなり、排便が困難な状態になります。
便意はあるのに、便がなかなか出ず、残便感もあります。便秘薬を飲むと、一転して下痢をします。これは大腸の運動能力には問題がないため、正常な大腸が便秘薬で刺激されて、動きが活発になりすぎるためです。
また、便秘を治すために食物繊維や水分をいくら補給しても、便の通り道がなくては腸内にたまる一方で、便秘を逆に悪化させることになります。
アニスムスは、女性に多いものの男性にも起こります。無意識の内に習慣化していることが多く、自分では気付きにくい症状です。
便がなかなか出ないために、むやみやたらに息むと肛門が閉じてしまうので逆効果。便秘が長く続くと、大腸に便が滞りガスがたまることによる腹部膨満感、腹部不快感、食欲の低下などの症状がみられます。
また、腸内細菌のバランスが崩れ、腐敗便がたまると、肌のトラブルや大腸がんの発生の引き金になることもあります。
スーパー便秘の検査と診断と治療
婦人科、産婦人科、あるいは肛門科の医師によるスーパー便秘の1つである直腸瘤の診断では、直腸の指診で腟の後壁の膨らみを調べます。肛門から指を入れて直腸の前側を膣方向に押すと、膣の後壁がポケット状に飛び出してくるので、それだけでほとんど直腸瘤の見当がつきます。
直腸瘤の大きさをより客観的に調べるためには、造影剤を混ぜた模擬便を直腸に入れて、排便時の直腸の形や動きをX線透視下で観察する排便造影検査(デフェコグラフィー)を行います。
さらに状況に応じて、大腸内視鏡検査、肛門内圧検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査を行うことがあります。
婦人科、産婦人科、あるいは肛門科の医師による治療では、軽度の場合、緩下剤や食物繊維の作用を持つ薬、座薬を用いて便通をコントロールする方法を取ります。
それでも排便困難が解消せず、腟の中に指を入れて息むと便が出やすいという重度の場合、手術を考慮します。手術は腟と直腸の間の組織を縫い合わせて直腸瘤の前に堅い壁を作ることで、強く息んでも直腸が膣側に飛び出さないようにするもので、肛門から行う方法と腟から行う方法があります。
肛門科、あるいは婦人科、産婦人科の医師によるスーパー便秘の1つであるアニスムスの診断では、肛門から指を入れる直腸の指診で、息む動作を行った時に肛門が緩まずに肛門括約筋と恥骨直腸筋が収縮するのを確認できれば、ほぼ診断可能です。
より客観的に調べるためには、造影剤を混ぜた模擬便を直腸に入れて、排便時の直腸の形や動きをX線透視下で調べる排便造影検査(デフェコグラフィー)や、小さな錠剤のようなX線マーカーを服用して大腸における通過時間を調べる検査を行います。排便造影検査では、息んだ際に直腸から肛門に連なる直腸肛門角の角度が緩まず、鋭角になるのがわかります。
また、肛門内圧検査(マノメトリー検査)を行うことがあります。肛門管に圧力を感知するカテーテルを入れて、息んだ際や肛門を締めた際の圧力の変化を測定します。アニスムスの人は、排便しようとする時に骨盤底筋が緊張し、緩めるところを逆に力が入ってしまうため、圧力のかかり方を測定することで確認できます。正常な人ならば、息んでも骨盤底筋は緩んだ状態で、ほとんど力は入りません。
さらに状況に応じて、大腸内視鏡検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査を行うことがあります。
肛門科、あるいは婦人科、産婦人科の医師による診断では、排便時の姿勢や息み方を正して骨盤底筋を矯正する指導をしたり、座薬などを用いて治療します。
まずは、和風便所を使い、しゃがんだ排便姿勢をとることが、直腸肛門角が開くために推奨されます。
より一般的な洋風便所で骨盤底筋を矯正する手順は、1)排便時には上体を前傾させて両ひじを太ももの上に置く(前傾姿勢になると直腸肛門角が開いて便がスムーズに直腸へ送られるため)、2)かかとをおよそ20度上げる(腹筋の力を腸にかけやすくなるため)、3)息む時は、腰に手を当ててせきをした時に動く筋肉である腹筋だけに力を入れる(肩や背中に力を入れて全身で踏ん張らないようにするため)。
トイレに行った時に、この手順を繰り返すようにすることで、骨盤底筋の機能を回復させることができます。
正しい排便姿勢や息み方を身に着けるために、バイオフィードバック療法(直腸肛門機能回復訓練)を行うこともあります。これは肛門筋電計という圧力センサーを肛門管から差し入れて、息んだ時の肛門括約筋や恥骨直腸筋の動きを、医師と一緒にモニターで視覚情報として確認し、排便時に緩めるべき肛門周辺の筋肉を無意識に締めないで腹圧をかける感覚をつかみます。
次に、直腸内に入れたバルーン(風船)を50ccほどの空気や水で膨らませて便に見立て、そのバルーンを排出する訓練を行います。水を入れるとバルーンの重みや形状が便に似てくるため、便意を感じる、我慢する、便を出すという排便に関係する筋肉の正常な協調運動を実践的に練習できることになります。
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