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■用語 大腿骨頭すべり症 [用語(た)]

[足]成長期の子供にみられ、大腿骨の股関節に近い大腿骨頭の骨端線が本体部分からずれる疾患
 大腿骨頭(だいたいこっとう)すべり症とは、成長期の子供の成長軟骨に障害が起き、大腿骨の股(こ)関節に近い大腿骨頭の骨端線が本体部分の骨幹部からずれる疾患。
 太ももの大きな太い骨である大腿骨が骨盤と股関節をつくる部分を大腿骨頭といい、子供では大腿骨頭のすぐ下に、膨張することで骨が大きくなる成長軟骨の部分である骨端線(成長軟骨肥大細胞層)があります。
 骨端線の部分は、骨の成長が終了すると均一で強固な骨になりますが、成長が終了する直前には逆に軟骨層の部分が薄くなっていて、外力に弱いため、骨頭に無理な力がかかると、その部分で後下方にずれてしまい、大腿骨頭すべり症を起こします。
 10歳から16歳の成長が盛んな思春期の男子に多くみられ、とりわけ肥満型の男子に多くみられます。原因の1つに成長ホルモンや性ホルモン、副腎(ふくじん)皮質ホルモンなどの異常があるといわれ、ホルモンバランスが悪い肥満傾向の男子では、骨端線の成長の終了が遅れ、強度が弱い時期が長引くために、多くみられることになります。
 外傷を切っ掛けにして、突然、強い股関節の痛みが起こり、歩けなくなる急性型と、日常動作や比較的軽微な外力によって、徐々に股関節の痛みが強くなって、脚を引きずって歩く慢性型があります。発症時期がはっきりせず、慢性の経過をたどる慢性型のほうが、多くみられます。
 大腿骨頭すべり症を起こすと、股関節の近くの骨端線がずれて変形するため、股関節の痛みや動きの異常、歩行の障害が現れます。左右両側の下肢に症状が現れることもあります。
 慢性の経過をたどる慢性型では、痛みが著しくないことが多く、医師の診断および治療が難しいなどの特徴を持っています。長い期間、正確な診断がつかない場合もありますが、大腿骨頭すべり症は適切に治療しなければ、成人してから変形性股関節症を引き起こす恐れがあります。
 日常での歩行や、階段の上り下りでも股関節が痛ければ、整形外科を受診することが必要です。
[足]大腿骨頭すべり症の検査と診断と治療
 整形外科の医師による診断では、X線(レントゲン)検査を行って骨頭が後下方へずれているのを確認し、CT(コンピュータ断層撮影)検査を行ってずれの程度を調べます。
 整形外科の医師による治療は、急性型と慢性型で異なります。
 急性型では、股関節の痛みが強いので比較的診断がつきやすく、診断がつき次第入院になります。急性に生じたずれは、手術で骨に鋼線を通して牽引(けんいん)し、大腿骨頭の骨端線のずれをゆっくり整復するか、麻酔をかけた上で手でゆっくりと骨端線のずれを整復します。
 骨端線のずれを戻した後に、再びずれを生じないように骨端線を貫くようにねじ釘(くぎ)で固定して、骨の成長が終了した後に釘抜きを行います。
 一方、慢性型では、長い経過をたどって大腿骨頭の骨端線のずれが生じており、痛みは激しくないので、診断が難しいことがあります。また、時間がたっていると、骨端線のずれを戻す整復は困難です。無理な整復を試み、骨端線の軟骨細胞を痛めると、長期的に股関節の変形や痛みを生じることがあるためです。
 骨端線のずれが軽い場合には、そのままの位置で骨頭と骨幹部をねじ釘で固定します。大腿骨には傾きを復元しようとする働きがあり、やがてバランスが取れるようになります。骨端線の変形が著しい場合には、手術で骨切り術を行い、変形により股関節の動きの異常が出ないように整復し、金属で固定します。




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■用語 大腿骨骨幹部疲労骨折 [用語(た)]

[足]正常な大腿骨骨幹部に骨折を起こさない程度の負荷が、ランニングで繰り返し加わった場合に生じる骨折
 大腿骨(だいたいこつ)骨幹部疲労骨折とは、太ももの骨である大腿骨の骨幹部に、正常な状態では骨折を起こさない程度の負荷が、ランニング中心のスポーツ活動で繰り返し加わった場合に生じる骨折。
 骨折は、骨が壊れることを意味し、ヒビも骨折ですし、骨の一部分が欠けたり、へこんだ場合も骨折です。正常な骨では、かなり大きな負荷がかからないと骨折しませんが、正常な骨に小さい負荷がかかる場合でも、同じ部位に繰り返し長期間かかり続けて、骨にヒビが入る微細な骨折を生じたり、ヒビが進んで完全な骨折に至る状態が疲労骨折です。
 疲労骨折のほとんどは、スポーツ活動で激しいトレーニングをしている運動部の学生や社会人に生じます。陸上、サッカー、野球、バスケットボールなどあらゆるスポーツ活動で発生する可能性があり、それぞれのスポーツ活動ごとに疲労骨折を生じやすい部位があります。
 下肢の中で最も太く、股(こ)関節から膝(しつ)関節に至る長い骨である大腿骨のうち、中央部にある骨幹部に疲労骨折を生じるスポーツ活動としては、まず陸上のマラソン、長距離走が挙げられ、そのほかのスポーツ活動でも、走り込みを続けることで生じます。
 長時間のランニングによって、過度の体重の荷重が上方から繰り返し加わったり、地面をける際に生ずる突き上げが下方から繰り返し加わったり、大腿四頭筋、ハムストリング、内転筋などの大きな筋群による張力が繰り返し加わることによって、大腿骨骨幹部の構造的な弱点といえる部位に疲労骨折が発生します。
 大腿骨骨幹部は大腿骨の中央部にあって、皮質骨で囲まれている海綿骨と骨髄からなる円筒形のほぼ真っすぐか、軽く湾曲している部分で、股関節に近い上方部分、中間部分、膝関節に近い下方部分の3つに区切ると、中間部分と膝関節に近い下方部分に多く起こります。また、骨幹部の内側に起こることが特徴で、これは内転筋(内もも)による牽引(けんいん)張力のためだと考えられています。  
 大腿骨骨幹部疲労骨折を生じても、一般の外傷性骨折のように皮下出血や著しい腫脹(しゅちょう)を伴うことはありませんが、骨折部位は軽度の腫脹を伴い、内側を手や指で押さえると痛みを生じます。
 股関節に近い上方部分の骨幹部の疲労骨折では、股関節や鼠径(そけい)部に痛みを生じることもあります。中間部分や、膝関節に近い下方部分の骨幹部の疲労骨折では、膝関節に痛みを生じることもあります。
 痛みは、ランニングの開始時に強く出て、運動途中は痛みが軽くなります。運動終了時から終了後にかけて、痛みが強くなります。運動を休んでいる間は、痛みはほとんど出現しません。
 骨折部の悪化とともに、ランニング時の痛みが強くなり、通常の歩行に際しても痛みが出るようになることもあります。
 短期的に集中的なランニングを行った時に、大腿骨骨幹部疲労骨折が生じることが多いのも特徴です。競技者の要因としては、筋力不足、筋力のアンバランス、走る姿勢や走法のアンバランス、O脚やX脚や外反足などの下肢の構造的アンバランス、体の柔軟性不足などが考えられ、環境の要因としては、オーバートレーニング、競技者の体力や技術に合わないトレーニング、不適切なシューズ、練習場が硬すぎたり軟らかすぎるなどが考えられます。
 症状が時としてわかりにくいことがあるのも大腿骨骨幹部疲労骨折の特徴で、痛みのある部位が漠然としていることが多いともされています。これは、骨の感覚神経系の同一感覚領域(スクレロトーム)において放散痛や関連痛が起こり、手や指で押さえると痛みを生じる圧痛部位と一致しないこともあるためです。
 明らかな外傷がなく、ランニング中心のスポーツ活動時に大腿部の中央部などに痛みを感じる場合は、大腿骨骨幹部疲労骨折が疑われます。整形外科を受診することが勧められます。
[足]大腿骨骨幹部疲労骨折の検査と診断と治療
 整形外科の医師による診断では、骨の痛みがある部位と症状、スポーツ活動の種類などから判断します。
 骨折の初期の段階では、X線(レントゲン)検査を行ってもほとんど異常を示さず判断が難しいこともありますが、骨折後2、3週間程度で骨膜反応という骨折の修復により、皮質骨に局所的腫脹や軟骨が生じることで異常がわかります。骨シンチグラフィー検査やMRI(磁気共鳴画像撮影)検査、CT(コンピュータ断層撮影)検査を行うと、骨折の初期の段階の病変でも判断することが可能です。
 骨折の初期の段階で診断を確定できない場合に、痛みを誘発して再現するテストを行って、骨折の可能性を検査することもあります。大腿骨骨幹部の疲労骨折では、片脚ジャンプで股関節周辺や膝関節周辺に痛みが誘発されます。そのほか、股関節を内側にひねると痛みが誘発されたり、股関節の可動域の制限が生ずることもあります。
 すでに骨折部が悪化して骨の破壊が進んでいれば、X線(レントゲン)検査でも明らかな骨のヒビや骨の離断像が映り出されます。
 整形外科の医師による治療では、骨折部に負担のかかるランニングなどのスポーツ活動を休止し、必要に応じて固定を行い、骨の癒合を図ります。一般には、4〜8週間の固定が必要となることが多く、激しい負荷のかかる競技者の場合には、12〜16週間の固定による安静が必要となることも珍しくありません。
 固定による安静期間の後に、徐々にリハビリを開始します。まずは、日常生活だけのリハビリを行い、続いて、痛みが生じない範囲に制限してスポーツ活動を再開します。疲労骨折の場合、同じ部位が再骨折する可能性が高いため、慎重に運動を再開する必要があります。
 転位のある骨折の場合や、骨の完全離断のある場合は、手術が必要となることがあります。手術では、骨のずれを元に戻して骨折部をネジ、あるいはプレートとネジ、さらに骨の中に入れた金属のくぎとネジを組み合わせたものなどで固定します。また、手術後のリハビリが最低6カ月間必要となります。
 再発予防としては、疲労骨折が発生した要因を検討し、通常のトレーニングが過度にならないようにしたり、運動前後にストレッチを行ったりして、普段からコンディションの調整をすることも大切です。

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■用語 大腿骨頸部疲労骨折 [用語(た)]

[ダイヤ]正常な大腿骨頸部に骨折を起こさない程度の負荷が、ランニングで繰り返し加わった場合に生じる骨折
 大腿骨頸部(だいたいこつけいぶ)疲労骨折とは、太ももの骨である大腿骨の頸部に、正常な状態では骨折を起こさない程度の負荷が、ランニング中心のスポーツ活動で繰り返し加わった場合に生じる骨折。
 骨折は、骨が壊れることを意味し、ヒビも骨折ですし、骨の一部分が欠けたり、へこんだ場合も骨折です。正常な骨では、かなり大きな負荷がかからないと骨折しませんが、正常な骨に小さい負荷がかかる場合でも、同じ部位に繰り返し長期間かかり続けて、骨にヒビが入る微細な骨折を生じたり、ヒビが進んで完全な骨折に至る状態が疲労骨折です。
 疲労骨折のほとんどは、スポーツ活動で激しいトレーニングをしている運動部の学生や社会人に生じます。陸上、サッカー、野球、バスケットボールなどあらゆるスポーツ活動で発生する可能性があり、それぞれのスポーツ活動ごとに疲労骨折を生じやすい部位があります。
 下肢の中で最も太く、股(こ)関節から膝(しつ)関節に至る長い骨である大腿骨のうち、付け根に近い部位の頸部に疲労骨折を生じるスポーツ活動としては、まず陸上のマラソン、長距離走が挙げられ、そのほかのスポーツ活動でも、走り込みを続けることで生じます。
 長時間のランニングによって、股関節を介した体重の荷重が上方から繰り返し加わることにより、大腿骨頸部の上部、あるいは下部に疲労骨折が発生します。
 大腿骨頸部の上部に疲労骨折が発生するタイプは、伸張型と呼ばれ、張力が加わることで発生し、体重の荷重がかかるベクトルが骨折部を開こうとする方向へ働くため、離解して骨折が転位することがあります。
 大腿骨頸部の下部に疲労骨折が発生するタイプは、圧迫型と呼ばれ、圧迫力が加わることで発生し、骨折が転位する可能性はほとんどありません。
 この大腿骨頸部疲労骨折は、ランニング中心のスポーツ活動をしている女性にとりわけ多くみられるのが特徴です。過度のダイエットを行ったり、ホルモンのバランスが崩れることにより、骨の脆弱(ぜいじゃく)化が起こりやすいために、女性に多いと考えられています。
 大腿骨頸部疲労骨折を生じても、一般の外傷性骨折のように皮下出血や著しい腫脹(しゅちょう)を伴うことはありませんが、骨折部は軽度の腫脹を伴い、股関節周辺に痛みを生じます。
 痛みは、ランニングの開始時に強く出て、運動途中は痛みが軽くなります。運動終了時から終了後にかけて、痛みが強くなります。運動を休んでいる間は、痛みはほとんど出現しません。
 骨折部の悪化とともに、ランニング時の痛みが強くなり、通常の歩行に際しても痛みが出るようになることもあります。また、大腿部や膝(ひざ)などに痛みを感じることもあります。
 短期的に集中的なランニングを行った時に、大腿骨頸部疲労骨折が生じることが多いのも特徴です。競技者の要因としては、筋力不足、筋力のアンバランス、走る姿勢や走法のアンバランス、O脚やX脚や外反足などの下肢の構造的アンバランス、体の柔軟性不足などが考えられ、環境の要因としては、オーバートレーニング、競技者の体力や技術に合わないトレーニング、不適切なシューズ、練習場が硬すぎたり軟らかすぎるなどが考えられます。
 明らかな外傷がなく、ランニング中心のスポーツ活動時に股関節周辺の痛みを感じる場合は、疲労骨折が疑われます。整形外科を受診することが勧められます。
[ハート]大腿骨頸部疲労骨折の検査と診断と治療
 整形外科の医師による診断では、骨の痛みがある部位と症状、スポーツ活動の種類などから判断します。
 骨折の初期の段階では、X線(レントゲン)検査を行ってもほとんど異常を示さず判断が難しいこともありますが、骨折後1カ月程度で骨膜反応という骨折の修復により異常がわかります。骨シンチグラフィー検査やMRI(磁気共鳴画像撮影)検査、CT(コンピュータ断層撮影)検査を行うと、骨折の初期の段階の病変でも判断することが可能です。
 骨折の初期の段階で診断を確定できない場合に、痛みを誘発して再現するテストを行って、骨折の可能性を検査することもあります。大腿骨頸部の骨折では、片脚ジャンプで股関節周辺に痛みが誘発されます。そのほか、股関節を内側にひねると痛みを誘発されたり、股関節の可動域の制限を生ずることもあります。
 整形外科の医師による治療では、骨折部に負担のかかるランニングなどのスポーツ活動を休止し、必要に応じて固定を行い、骨の癒合を図ります。一般には、4〜8週間の固定が必要となることが多く、激しい負荷のかかる競技者の場合には、12〜16週間の固定による安静が必要となることも珍しくありません。
 固定による安静期間の後に、徐々にリハビリを開始します。まずは、日常生活だけのリハビリを行い、続いて、痛みが生じない範囲に制限してスポーツ活動を再開します。疲労骨折の場合、同じ部位が再骨折する可能性が高いため、慎重に運動を再開する必要があります。
 転位のある骨折の場合や、大腿骨頸部の上部に骨折のある場合は、手術が必要となることがあります。また、手術後のリハビリが最低6カ月間必要となります。
 再発予防としては、疲労骨折が発生した要因を検討し、通常のトレーニングが過度にならないようにしたり、運動前後にストレッチを行ったりして、普段からコンディションの調整をすることも大切です。




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■用語 大腿骨疲労骨折 [用語(た)]

[ダイヤ]正常な大腿骨に骨折を起こさない程度の負荷が、ランニングで繰り返し加わった場合に生じる骨折
 大腿骨(だいたいこつ)疲労骨折とは、太ももの骨である大腿骨に、正常な状態では骨折を起こさない程度の負荷が、ランニング中心のスポーツ活動で繰り返し加わった場合に生じる骨折。
 骨折は、骨が壊れることを意味し、ヒビも骨折ですし、骨の一部分が欠けたり、へこんだ場合も骨折です。正常な骨では、かなり大きな負荷がかからないと骨折しませんが、正常な骨に小さい負荷がかかる場合でも、同じ部位に繰り返し長期間かかり続けて、骨にヒビが入る微細な骨折を生じたり、ヒビが進んで完全な骨折に至る状態が疲労骨折です。
 疲労骨折のほとんどは、スポーツ活動で激しいトレーニングをしている運動部の学生や社会人に生じます。陸上、サッカー、野球、バスケットボールなどあらゆるスポーツ活動で発生する可能性があり、それぞれのスポーツ活動ごとに疲労骨折を生じやすい部位があります。
 下肢の中で最も太い大腿骨に疲労骨折を生じるスポーツ活動としては、まず陸上のマラソン、長距離走が挙げられ、そのほかのスポーツ活動でも、走り込みを続けることで生じます。
 長時間のランニングによって、過度の体重の荷重が上方から繰り返し加わったり、地面をける際に生ずる突き上げが下方から繰り返し加わったり、大腿四頭筋、ハムストリング、内転筋などの大きな筋群による張力が繰り返し加わることによって、股(こ)関節から膝(しつ)関節に至る長い骨である大腿骨の付け根の頸部(けいぶ)から、骨幹部、膝に近い顆上部(かじょう)まで、骨の構造的な弱点といえる部位にまさまざまな疲労骨折が発生します。
 頸部の疲労骨折は、股関節を介した体重の荷重による衝撃のため生じます。外側に張力、内側に圧縮力が加わる繰り返される負荷により、頸部を内反させる力が強く作用すると、外側からヒビが入ります。さらに、内反力が加わると、離解して転位します。
 骨幹部の疲労骨折は、内側に生じます。これは内転筋による牽引(けんいん)張力のためだと考えられています。顆上部の疲労骨折は、内転筋やふくらはぎ後面の腓腹(ひふく)筋などの牽引張力が作用して発生します。
 大腿骨疲労骨折を生じても、一般の外傷性骨折のように皮下出血や著しい腫脹(しゅちょう)を伴うことはありませんが、骨折部位は軽度の腫脹を伴い、押さえると痛みを生じます。骨幹部の疲労骨折、顆上部の疲労骨折では、その大半が膝の痛みを生じます。
 痛みは、ランニングの開始時に強く出て、運動途中は痛みが軽くなります。運動終了時から終了後にかけて、痛みが強くなります。運動を休んでいる間は、痛みはほとんど出現しません。
 短期的に集中的なランニングを行った時に、大腿骨疲労骨折が生じることが多いのも特徴です。競技者の要因としては、筋力不足、筋力のアンバランス、走る姿勢や走法のアンバランス、O脚やX脚や外反足などの下肢の構造的アンバランス、体の柔軟性不足などが考えられ、環境の要因としては、オーバートレーニング、競技者の体力や技術に合わないトレーニング、不適切なシューズ、練習場が硬すぎたり軟らかすぎるなどが考えられます。
 症状が時としてわかりにくいことがあるのも大腿骨疲労骨折の特徴で、痛みのある部位が漠然としていることが多いともされています。
 明らかな外傷がなく、ランニング中心のスポーツ活動時に大腿部の痛みを感じる場合は、疲労骨折が疑われます。整形外科を受診することが勧められます。
[ハート]大腿骨疲労骨折の検査と診断と治療
 整形外科の医師による診断では、骨の痛みがある部位と症状、スポーツ活動の種類などから判断します。
 骨折の初期の段階では、X線(レントゲン)検査を行ってもほとんど異常を示さず判断が難しいこともありますが、骨折後1カ月程度で骨膜反応という骨折の修復により異常がわかります。骨シンチグラフィー検査やMRI(磁気共鳴画像撮影)検査、CT(コンピュータ断層撮影)検査を行うと、骨折の初期の段階の病変でも判断することが可能です。
 骨折の初期の段階で診断を確定できない場合に、痛みを誘発して再現するテストを行って、骨折の可能性を検査することもあります。
 頸部の骨折では、片脚ジャンプで痛みが誘発されます。骨幹部の骨折では、大腿骨の下に堅い支点となるような物を入れて、大腿骨をしならせるような状態にすると、痛みが誘発されます。顆上部の骨折では、抵抗をかけて膝を屈曲させると痛みが誘発されます。
 整形外科の医師による治療では、骨折部に負担のかかるランニングなどのスポーツ活動を休止し、必要に応じて固定を行います。一般には、4〜8週間の固定が必要となることが多く、激しい負荷のかかる競技者の場合には、12〜16週間の固定による安静が必要となることも珍しくありません。
 固定による安静期間の後に、徐々にリハビリを開始します。まずは、日常生活だけのリハビリを行い、続いて、痛みが生じない範囲に制限してスポーツ活動を再開します。疲労骨折の場合、同じ部位が再骨折する可能性が高いため、慎重に運動を再開する必要があります。
 転位のある骨折の場合や、頸部の外側骨折の場合は、手術が必要となることがあります。また、手術後のリハビリが最低6カ月間必要となります。
 再発予防としては、疲労骨折が発生した要因を検討し、通常のトレーニングが過度にならないようにしたり、運動前後にストレッチを行ったりして、普段からコンディションの調整をすることも大切です。




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