■用語 転移性眼内炎 [用語(て)]
体のほかの部位に感染していた細菌や真菌が目の中に転移して、炎症を引き起こす眼病
転移性眼内炎とは、目以外の体の部位に感染していた細菌や真菌(カビなど)が血流に乗って目に波及し、炎症を引き起こす眼病。内因性眼内炎とも呼ばれます。
転移性眼内炎のほとんどは、糖尿病を患っている、抗がん剤投与を受けている、肝臓や心臓に感染症を起こしている、体が弱り免疫力が落ちている、血管内カテーテル(栄養のチューブ)が挿入されているなどで起こります。
症状としては、 ひどい目の痛み、明るい光の非常なまぶしさ、充血、目やに、急な視力低下、視力の部分的な欠損があり、視力の完全な欠損によって失明を起こすこともあります。
真菌による転移性眼内炎の場合は、目の症状が出る前に発熱することが多く認められます。発熱のほかに全身症状が出ることもあります。続いて1週間前後で、目の前に蚊など小さい物が飛んでいるように見える飛蚊(ひぶん)症や、視界に霧がかかっているように見える霧視などの症状が出ます。
症状が出たら、早めに眼科を受診します。真菌によるものは、飛蚊症が出た時期に眼科的な検査を行い適切な薬剤を使用すると、ほとんどのケースで治癒します。
しかし、細菌によるものは数時間から数日の単位で、真菌によるものは数日から数週間の単位で進行し、重症になった場合は、最大限の治療を施しても目を救えないこともあります。
転移性眼内炎の検査と診断と治療
眼科の医師による診断では、眼球の検査の前に、問診で全身的な要因の有無や、血管内カテーテルの使用有無、発熱の有無を確認します。
続いて、目の表面を拡大して見る細隙灯(さいげきとう)顕微鏡を用いて眼球を丹念に調べます。さらに、分泌液の培養検査を行います。場合によっては、抗体検査やDNA検査も行います。
分泌液の培養検査では、眼球内の前方にある液体である房水や、眼球後部の内部にあるゼリー状の組織である硝子体(しょうしたい)から採取し、感染の原因菌を早急に特定するとともに、どの薬剤が最も有効かを調べます。
眼科の医師による治療では通常、視力を守るために、抗菌剤または抗真菌剤による治療を直ちに開始します。極端な場合、数時間の遅れが、回復不可能な視力の低下につながることがあります。
眼内炎の原因であると判明した菌に応じて、抗菌剤や抗真菌剤の選択を調整することがあります。抗菌剤や抗真菌剤は、眼内注射、あるいは静脈内注射、または経口で投与します。
抗菌剤や抗真菌剤を眼内に注射した後、数日間にわたって痛みを和らげるコルチコステロイド剤を経口で投与することもあります。感染を食い止める確率を上げるため、眼球内部の感染組織を取り除く手術を行うこともあります。
転移性眼内炎とは、目以外の体の部位に感染していた細菌や真菌(カビなど)が血流に乗って目に波及し、炎症を引き起こす眼病。内因性眼内炎とも呼ばれます。
転移性眼内炎のほとんどは、糖尿病を患っている、抗がん剤投与を受けている、肝臓や心臓に感染症を起こしている、体が弱り免疫力が落ちている、血管内カテーテル(栄養のチューブ)が挿入されているなどで起こります。
症状としては、 ひどい目の痛み、明るい光の非常なまぶしさ、充血、目やに、急な視力低下、視力の部分的な欠損があり、視力の完全な欠損によって失明を起こすこともあります。
真菌による転移性眼内炎の場合は、目の症状が出る前に発熱することが多く認められます。発熱のほかに全身症状が出ることもあります。続いて1週間前後で、目の前に蚊など小さい物が飛んでいるように見える飛蚊(ひぶん)症や、視界に霧がかかっているように見える霧視などの症状が出ます。
症状が出たら、早めに眼科を受診します。真菌によるものは、飛蚊症が出た時期に眼科的な検査を行い適切な薬剤を使用すると、ほとんどのケースで治癒します。
しかし、細菌によるものは数時間から数日の単位で、真菌によるものは数日から数週間の単位で進行し、重症になった場合は、最大限の治療を施しても目を救えないこともあります。
転移性眼内炎の検査と診断と治療
眼科の医師による診断では、眼球の検査の前に、問診で全身的な要因の有無や、血管内カテーテルの使用有無、発熱の有無を確認します。
続いて、目の表面を拡大して見る細隙灯(さいげきとう)顕微鏡を用いて眼球を丹念に調べます。さらに、分泌液の培養検査を行います。場合によっては、抗体検査やDNA検査も行います。
分泌液の培養検査では、眼球内の前方にある液体である房水や、眼球後部の内部にあるゼリー状の組織である硝子体(しょうしたい)から採取し、感染の原因菌を早急に特定するとともに、どの薬剤が最も有効かを調べます。
眼科の医師による治療では通常、視力を守るために、抗菌剤または抗真菌剤による治療を直ちに開始します。極端な場合、数時間の遅れが、回復不可能な視力の低下につながることがあります。
眼内炎の原因であると判明した菌に応じて、抗菌剤や抗真菌剤の選択を調整することがあります。抗菌剤や抗真菌剤は、眼内注射、あるいは静脈内注射、または経口で投与します。
抗菌剤や抗真菌剤を眼内に注射した後、数日間にわたって痛みを和らげるコルチコステロイド剤を経口で投与することもあります。感染を食い止める確率を上げるため、眼球内部の感染組織を取り除く手術を行うこともあります。
タグ:疲れ目 外因性眼内炎 角膜実質炎 感染性結膜炎 ウイルス性結膜炎 網膜硝子体出血(眼底出血) 眼精疲労 眼内炎 細菌性眼内炎 内因性眼内炎 角膜真菌症 仮面ぶどう膜炎 角膜炎 細菌性角膜炎 結膜結石 オカルト黄斑ジストロフィー 杆体錐体ジストロフィー 家族性角膜変性 一過性黒内障 先天性黄斑変性症 角膜ジストロフィー 眼瞼縁炎(ただれ目) 網膜色素変性症 飛蚊症 視力障害 ぶどう膜炎 白内障 転移性眼内炎 用語 用語(て) 用語(た行) 健康創造塾 突き目(匐行性角膜潰瘍) 角膜変性 強膜炎、上強膜炎 虹彩炎(虹彩毛様体炎) 硝子体混濁 うっ血乳頭 視神経委縮 先天性緑内障(牛眼) 蜂巣炎(眼窩蜂窩織炎) 雪眼炎(雪目) 緑内障発作(急性閉塞隅角緑内障) 慢性閉塞隅角緑内障 開放隅角緑内障 正常眼圧緑内障 続発性緑内障 レーベル病
■用語 テニスレッグ [用語(て)]
テニスをする人などに、ふくらはぎの腓腹筋の肉離れが起こる障害
テニスレッグとは、ふくらはぎの筋肉の1つである腓腹(ひふく)筋が肉離れを起こす障害。テニスをする人に起こりやすいことから、この呼称が付けられました。
ふくらはぎは、ヒラメ筋と腓腹筋で構成され、一般にはこの筋肉群を下腿(かたい)三角筋と呼んでいます。そのうち、膝(ひざ)の少し上の部分の大腿骨からかかとまでの間に大きく伸びている腓腹筋は、すねの部分の骨と足の骨をつないでいるヒラメ筋を覆う場所に位置しています。ヒラメ筋と腓腹筋の下端は合わさって、アキレス腱となっています。
構造上、腓腹筋は肉離れを起こしやすいのですが、これにテニスなどの運動中に強い張力が加わることで、筋肉の繊維や膜が伸ばされて損傷や断裂が生じるのです。つまり、原因は限界以上の張力が腓腹筋に掛かってしまうことです。
特に、コートを前後左右に激しく動くテニスでは、突発的な方向転換で地面をけり、足首に力を入れて強く踏み込む動作や、サーブのような足関節を背屈させて前方に重心を移動させる動作で、瞬間的に強い張力が掛かるため、腓腹筋の肉離れを起こしやすいといわれています。
ほかにも、急なダッシュやジャンプなどの動作が必要になる短距離走やハードル、バスケットボール、サッカーなどでも、テニスレッグを起こす可能性があります。運動不足の人では、日常的な動作で起こす可能性もあります。
ふくらはぎの内側の腓腹筋の一部に肉離れを起こすことが一番多く、中にはアキレス腱の断裂を伴うことがあります。
テニスレッグを起こした際の主な症状は、急激に起こる痛みです。太ももなどほかの部位の肉離れと同様、非常に強い痛みが伴うために、運動の継続はもちろん、歩くことさえ難しくなります。
ようやく歩くことはできたとしても、ふくらはぎに負荷が掛かった途端に激しい痛みを感じることが多く、症状が重い場合には松葉杖(づえ)などが必要になってきます。
テニスをする人に注意が必要なのは、加齢とともにテニスレッグのリスクが高くなることで、多くは中高年にみられます。若いころと同じ感覚でふくらはぎに負荷をかけると、たちまち症状に見舞われるケースもあります。
テニスレッグは復帰に時間がかかる障害なので、なるべく早期に整形外科を受診して治療を受け、復帰に向けたリハビリに多くの時間が割けるようにするのがポイントです。
テニスレッグの検査と診断と治療
整形外科の医師による診断では、受傷時の状況と症状から、テニスレッグを疑います。腓腹筋の損傷や筋膜の断裂の確定診断には、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査や超音波(エコー)検査が有効です。
整形外科の医師による治療では、原則、保存療法で対処しますが、どの部位の肉離れでも発生時にはアイシングと圧迫が必要になります。その上で圧迫のためのテーピング固定や弾性包帯での固定を行い、筋肉の繊維が修復するのを待ちます。
損傷の大きさにもよりますが、1~2週間程度は固定します。痛みが取れ始めたら、ストレッチで筋肉を動かしていき、筋肉の柔軟性を取り戻します。
部分断裂(筋損傷、筋膜断裂)のほとんどの症例は1カ月程度で治りますが、完全断裂(筋断裂)では長期に及んだり、手術を行って筋肉を縫い合せることもあります。
テニスレッグの予防には、筋肉を柔軟にするストレッチが大変有効です。ウオーミングアップ時だけでなく、クールダウン(クーリングダウン)の時も行うことで、より高い効果が期待できます。寒い日や筋肉が疲労している時などは、特に注意が必要です。
テニスレッグとは、ふくらはぎの筋肉の1つである腓腹(ひふく)筋が肉離れを起こす障害。テニスをする人に起こりやすいことから、この呼称が付けられました。
ふくらはぎは、ヒラメ筋と腓腹筋で構成され、一般にはこの筋肉群を下腿(かたい)三角筋と呼んでいます。そのうち、膝(ひざ)の少し上の部分の大腿骨からかかとまでの間に大きく伸びている腓腹筋は、すねの部分の骨と足の骨をつないでいるヒラメ筋を覆う場所に位置しています。ヒラメ筋と腓腹筋の下端は合わさって、アキレス腱となっています。
構造上、腓腹筋は肉離れを起こしやすいのですが、これにテニスなどの運動中に強い張力が加わることで、筋肉の繊維や膜が伸ばされて損傷や断裂が生じるのです。つまり、原因は限界以上の張力が腓腹筋に掛かってしまうことです。
特に、コートを前後左右に激しく動くテニスでは、突発的な方向転換で地面をけり、足首に力を入れて強く踏み込む動作や、サーブのような足関節を背屈させて前方に重心を移動させる動作で、瞬間的に強い張力が掛かるため、腓腹筋の肉離れを起こしやすいといわれています。
ほかにも、急なダッシュやジャンプなどの動作が必要になる短距離走やハードル、バスケットボール、サッカーなどでも、テニスレッグを起こす可能性があります。運動不足の人では、日常的な動作で起こす可能性もあります。
ふくらはぎの内側の腓腹筋の一部に肉離れを起こすことが一番多く、中にはアキレス腱の断裂を伴うことがあります。
テニスレッグを起こした際の主な症状は、急激に起こる痛みです。太ももなどほかの部位の肉離れと同様、非常に強い痛みが伴うために、運動の継続はもちろん、歩くことさえ難しくなります。
ようやく歩くことはできたとしても、ふくらはぎに負荷が掛かった途端に激しい痛みを感じることが多く、症状が重い場合には松葉杖(づえ)などが必要になってきます。
テニスをする人に注意が必要なのは、加齢とともにテニスレッグのリスクが高くなることで、多くは中高年にみられます。若いころと同じ感覚でふくらはぎに負荷をかけると、たちまち症状に見舞われるケースもあります。
テニスレッグは復帰に時間がかかる障害なので、なるべく早期に整形外科を受診して治療を受け、復帰に向けたリハビリに多くの時間が割けるようにするのがポイントです。
テニスレッグの検査と診断と治療
整形外科の医師による診断では、受傷時の状況と症状から、テニスレッグを疑います。腓腹筋の損傷や筋膜の断裂の確定診断には、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査や超音波(エコー)検査が有効です。
整形外科の医師による治療では、原則、保存療法で対処しますが、どの部位の肉離れでも発生時にはアイシングと圧迫が必要になります。その上で圧迫のためのテーピング固定や弾性包帯での固定を行い、筋肉の繊維が修復するのを待ちます。
損傷の大きさにもよりますが、1~2週間程度は固定します。痛みが取れ始めたら、ストレッチで筋肉を動かしていき、筋肉の柔軟性を取り戻します。
部分断裂(筋損傷、筋膜断裂)のほとんどの症例は1カ月程度で治りますが、完全断裂(筋断裂)では長期に及んだり、手術を行って筋肉を縫い合せることもあります。
テニスレッグの予防には、筋肉を柔軟にするストレッチが大変有効です。ウオーミングアップ時だけでなく、クールダウン(クーリングダウン)の時も行うことで、より高い効果が期待できます。寒い日や筋肉が疲労している時などは、特に注意が必要です。
■用語 デング熱 [用語(て)]
蚊が媒介するデングウイルスによる感染症で、熱帯や亜熱帯の地域で主に流行
デング熱とは、ネッタイシマカやヒトスジシマカなどの蚊によって媒介されるデングウイルスの感染症。インフルエンザのように人から人には感染しません。
非致死性の一過性熱性疾患であるデング熱と、重症型のデング出血熱の二つの病状があります。デングウイルスは、日本脳炎ウイルスと同じフラビウイルス科に属し、1型、2型、3型、4型の4種の血清型が存在します。
デング熱は、デングウイルスを持った蚊に刺されることで感染、発症します。例えば1型の血清型のデングウイルスに感染した場合、1型に対しては終生、免疫を獲得するとされます。しかし、ほかの血清型に対する交差防御免疫は数カ月で消失し、その後は2型、3型、4型のデングウイルスに感染し得ます。この再感染時に、重症型のデング出血熱になる確率が高くなるとされています。
デングウイルスの感染症が主にみられるのは、媒介するネッタイシマカやヒトスジシマカの存在する熱帯や亜熱帯の地域、特に東南アジア、南アジア、中南米、カリブ海諸国ですが、アフリカ、オーストラリア、中国、台湾、日本においても発生しています。
日本国内にはデングウイルスは常在しておらず、海外でデング熱に感染して、帰国後に発症する人が年間200人ほど報告され、2013年にはこれまでで最も多い249人の発症者が確認されていました。
しかし、2014年1月に日本を旅行したドイツ人の女性が帰国後にデング熱を発症し、8月下旬には、およそ70年ぶりに日本人女性が国内感染でデング熱を発症したのを皮切りに、10月初旬には155人が発症しています。
全世界では、年間約1億人がデング熱を発症し、約25万人がデング出血熱を発症すると推定されています。
蚊に刺されてデングウイルスに感染後、2~15 日、多くは3~7日の潜伏期間をへて、突然の高熱で発症します。頭痛、目の奥の痛み、腰痛、筋肉痛、関節痛が主な症状として現れます。発熱は、2〜7日間持続します。
さらに、食欲不振、腹痛、吐き気、嘔吐(おうと)、脱力感、全身倦怠(けんたい)感も現れることがあります。全身のリンパ節のはれもみられます。また、発熱してから3〜5日目に胸、背中、顔面、腕、脚に発疹(はっしん)が出ることもあります。
これらの症状は約1週間で消え、通常は後遺症を残すことなく回復します。
デングウイルスに感染後、デング熱とほぼ同様に発症して経過した人の一部は、熱が平熱に戻るころに突然に、血液中の液体成分である血漿(けっしょう)が血管から漏れ出したり、出血の症状が現れたりするデング出血熱となることがあります。
血漿の漏れ出しは、胸水あるいは腹水として現れます。出血は、比較的軽い点状出血、鼻出血、血便、重篤な吐血、下血と多様です。血漿の漏れ出しが進行すると、ショック症状を起こし、デングショック症候群となることがあります。
デング出血熱を起こして適切な治療が行われないと、死亡することがあります。
蚊に刺されて3~7日程度で高熱などの症状が出た場合には、内科や感染症科を受診する必要があります。
デング熱の検査と診断と治療
内科、感染症科の医師による診断では、血液検査を行い、血液からデングウイルスやその遺伝子を検出すること、あるいは特異的な抗体を検出することで確定します。血液所見では、発症後数日で末梢(まっしょう)血の血小板減少、白血球減少がみられます。
デングウイルスには1〜4型の4つの型がありますが、どの型のウイルスでも同様の症状が起こるので、症状から感染したウイルスの型は特定できません。
また、発疹を有するウイルス性疾患である麻疹、風疹、チクングニア、エンテロウイルス感染症や、チフス、マラリア、猩紅(しょうこう)熱、A型肝炎、レプトスピラ症などとの鑑別を行います。デング熱でも時に呼吸器症状がみられることがあり、呼吸器感染症との鑑別を行う必要が生じることもあります。
内科、感染症科の医師による治療では、デング熱に有効な抗ウイルス薬やワクチンがないため、対症療法を中心に行います。
通常のデング熱の場合には、輸液による水分補給や鎮痛解熱剤の投与を行います。ただし、血小板の機能を低下させ、出血傾向を助長する可能性があるため、鎮痛解熱剤としてアスピリンやロキソニンなどを投与してはいけないことになっており、アセトアミノフェンを投与します。
デング出血熱の場合には、血漿漏出による循環血液量の減少、血液濃縮を輸液によって補います。輸液剤としては生理食塩水、乳酸加リンゲル液などのほかに、新鮮凍結血漿などが必要となることもあり、時には酸素投与なども行います。血小板減少が著しい場合には、血小板輸血も考慮します。
デング熱の予防に関しては、デングウイルスを媒介するヒトスジシマカに刺されない工夫が重要です。ヒトスジシマカは、秋田県および岩手県以南の日本のほとんどの地域に生息し、その活動時期は5月中旬から10月下旬なので、茂みのある公園や庭の木陰、竹林の周辺、墓地では、長袖のシャツを着たり、靴下を履いたりするなど、なるべく皮膚の露出を減らすことが有効なほか、虫よけスプレーなどを使うことも効果的です。
デングウイルスを持ったヒトスジシマカも、10月下旬以降には死にます。卵を産みますが、デングウイルスが受け継がれることはほとんどありません。
デング熱とは、ネッタイシマカやヒトスジシマカなどの蚊によって媒介されるデングウイルスの感染症。インフルエンザのように人から人には感染しません。
非致死性の一過性熱性疾患であるデング熱と、重症型のデング出血熱の二つの病状があります。デングウイルスは、日本脳炎ウイルスと同じフラビウイルス科に属し、1型、2型、3型、4型の4種の血清型が存在します。
デング熱は、デングウイルスを持った蚊に刺されることで感染、発症します。例えば1型の血清型のデングウイルスに感染した場合、1型に対しては終生、免疫を獲得するとされます。しかし、ほかの血清型に対する交差防御免疫は数カ月で消失し、その後は2型、3型、4型のデングウイルスに感染し得ます。この再感染時に、重症型のデング出血熱になる確率が高くなるとされています。
デングウイルスの感染症が主にみられるのは、媒介するネッタイシマカやヒトスジシマカの存在する熱帯や亜熱帯の地域、特に東南アジア、南アジア、中南米、カリブ海諸国ですが、アフリカ、オーストラリア、中国、台湾、日本においても発生しています。
日本国内にはデングウイルスは常在しておらず、海外でデング熱に感染して、帰国後に発症する人が年間200人ほど報告され、2013年にはこれまでで最も多い249人の発症者が確認されていました。
しかし、2014年1月に日本を旅行したドイツ人の女性が帰国後にデング熱を発症し、8月下旬には、およそ70年ぶりに日本人女性が国内感染でデング熱を発症したのを皮切りに、10月初旬には155人が発症しています。
全世界では、年間約1億人がデング熱を発症し、約25万人がデング出血熱を発症すると推定されています。
蚊に刺されてデングウイルスに感染後、2~15 日、多くは3~7日の潜伏期間をへて、突然の高熱で発症します。頭痛、目の奥の痛み、腰痛、筋肉痛、関節痛が主な症状として現れます。発熱は、2〜7日間持続します。
さらに、食欲不振、腹痛、吐き気、嘔吐(おうと)、脱力感、全身倦怠(けんたい)感も現れることがあります。全身のリンパ節のはれもみられます。また、発熱してから3〜5日目に胸、背中、顔面、腕、脚に発疹(はっしん)が出ることもあります。
これらの症状は約1週間で消え、通常は後遺症を残すことなく回復します。
デングウイルスに感染後、デング熱とほぼ同様に発症して経過した人の一部は、熱が平熱に戻るころに突然に、血液中の液体成分である血漿(けっしょう)が血管から漏れ出したり、出血の症状が現れたりするデング出血熱となることがあります。
血漿の漏れ出しは、胸水あるいは腹水として現れます。出血は、比較的軽い点状出血、鼻出血、血便、重篤な吐血、下血と多様です。血漿の漏れ出しが進行すると、ショック症状を起こし、デングショック症候群となることがあります。
デング出血熱を起こして適切な治療が行われないと、死亡することがあります。
蚊に刺されて3~7日程度で高熱などの症状が出た場合には、内科や感染症科を受診する必要があります。
デング熱の検査と診断と治療
内科、感染症科の医師による診断では、血液検査を行い、血液からデングウイルスやその遺伝子を検出すること、あるいは特異的な抗体を検出することで確定します。血液所見では、発症後数日で末梢(まっしょう)血の血小板減少、白血球減少がみられます。
デングウイルスには1〜4型の4つの型がありますが、どの型のウイルスでも同様の症状が起こるので、症状から感染したウイルスの型は特定できません。
また、発疹を有するウイルス性疾患である麻疹、風疹、チクングニア、エンテロウイルス感染症や、チフス、マラリア、猩紅(しょうこう)熱、A型肝炎、レプトスピラ症などとの鑑別を行います。デング熱でも時に呼吸器症状がみられることがあり、呼吸器感染症との鑑別を行う必要が生じることもあります。
内科、感染症科の医師による治療では、デング熱に有効な抗ウイルス薬やワクチンがないため、対症療法を中心に行います。
通常のデング熱の場合には、輸液による水分補給や鎮痛解熱剤の投与を行います。ただし、血小板の機能を低下させ、出血傾向を助長する可能性があるため、鎮痛解熱剤としてアスピリンやロキソニンなどを投与してはいけないことになっており、アセトアミノフェンを投与します。
デング出血熱の場合には、血漿漏出による循環血液量の減少、血液濃縮を輸液によって補います。輸液剤としては生理食塩水、乳酸加リンゲル液などのほかに、新鮮凍結血漿などが必要となることもあり、時には酸素投与なども行います。血小板減少が著しい場合には、血小板輸血も考慮します。
デング熱の予防に関しては、デングウイルスを媒介するヒトスジシマカに刺されない工夫が重要です。ヒトスジシマカは、秋田県および岩手県以南の日本のほとんどの地域に生息し、その活動時期は5月中旬から10月下旬なので、茂みのある公園や庭の木陰、竹林の周辺、墓地では、長袖のシャツを着たり、靴下を履いたりするなど、なるべく皮膚の露出を減らすことが有効なほか、虫よけスプレーなどを使うことも効果的です。
デングウイルスを持ったヒトスジシマカも、10月下旬以降には死にます。卵を産みますが、デングウイルスが受け継がれることはほとんどありません。
タグ:用語(て) デング熱 ひょうそ 皮膚カンジダ症 ベーチェット病 皮膚掻痒症 水虫(足白癬) 白癬(はくせん) 脱毛、薄毛 カポジ肉腫 乾癬(かんせん) 疥癬(かいせん) 結節性紅斑 白なまず(白斑) 黒なまず(癜風) 脂漏性皮膚炎 ふけ症 たこ、魚の目 しみ(肝斑) そばかす(雀卵斑) 酒さ様皮膚炎(口囲皮膚炎) 掌蹠膿疱症 蜂窩織炎、丹毒 爪甲横溝 爪甲軟化症 白皮症 白板症 乾皮症 陥入爪 あせも(汗疹) とびひ(伝染性膿痂疹) ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSS症候群) シラミ症 色素性母斑 リール黒皮症 ボーエン病 ページェット病 日光角化症(老人性角化腫) 虫刺症(虫刺され) 赤あざ(血管腫) 足白癬(水虫) 頭部白癬(しらくも) 白子症(白皮症) 日本紅斑熱 マラセチア毛包炎 ツツガムシ病 扁平母斑 ベッカー母斑 重症熱性血小板減少症候群(SFTS) 薮チフス
■用語 デュプレー病 [用語(て)]
石灰化したカルシウムが肩腱板内に沈着することで炎症が生じ、肩の痛みが起こる疾患
デュプレー病とは、石灰化したカルシウムが肩腱板(かたけんばん)内に沈着することにより炎症が生じ、肩の痛みが起こる疾患。石灰沈着性腱板炎、肩石灰沈着性腱炎、石灰沈着性腱炎、石灰性腱炎とも呼ばれます。
デュプレー病という疾患名は、最初に報告したフランス人のデュプレーにちなみます。
肩腱板は肩関節で上腕を保持している筋肉と腱の複合体であり、肩関節は肩甲骨と上腕骨で構成される関節です。
デュプレー病は、40歳代から60歳代の女性に多く発症します。肩を強く打つなどの思い当たる切っ掛けもなく、片側の肩の激しい痛みを夜間などに突然、覚えます。急激に痛みが増してきて、睡眠が妨げられるほどになります。また、肩の痛みのため可動域の制限がみられ、肩の挙上ができなくなります。
強い症状が発症後1~4週みられる急性型、中等度の症状が1~6カ月続く亜急性型、運動時痛などが6カ月以上続く慢性型があります。慢性型では、急性期の激痛が消失した後にも肩関節の硬さが残って、関節の可動域の低下を起こし、肩関節周囲炎(五十肩)と同じような状態になります。
石灰化したカルシウムはリン酸カルシウムの結晶で、その肩腱板内への沈着は、肩腱板の加齢による変性と、女性ホルモンの分泌減少の影響によって起こると考えられています。
体内のカルシウムは腸で吸収されて、骨を丈夫にするために使われ、不要な分のカルシウムは尿とともに排出されて、常に一定量が体内に残るようにバランスがとられています。しかし、女性では30歳代をピークに、徐々に骨量が落ちてきます。女性ホルモンの分泌減少に伴って、破骨細胞の働きが増し、骨の代謝のバランスが崩れて、骨からたくさんのカルシウムが血中に放出される結果です。
その放出されたカルシウムの多くは尿とともに体外に放出されますが、一部は腱や靭帯(じんたい)、血管壁に沈着していくことになります。腱の中に沈着する石灰化したカルシウムに対して、体は異物と認識して反応するために炎症が生じ、痛みが起こることになります。
石灰化したカルシウムは当初、濃厚なミルク状で、時がたつにつれ、練り歯磨き状、石膏(せっこう)状へと硬く変化していきます。石灰化したカルシウムがどんどんたまって、膨らんでくると、痛みが増してきます。そして、肩腱板から関節の周囲にある滑液包内に、石灰化したカルシウムが漏れ出す時に激痛となります。
デュプレー病の検査と診断と治療
整形外科の医師による診断では、肩の圧痛の部位や肩関節の動きの状態などを調べ、肩関節周囲炎(五十肩)の症状とよく似ているため、X線(レントゲン)撮影によって肩腱板部分に石灰化したカルシウムの沈着を確認することによって、デュプレー病(石灰沈着性腱板炎)と確定します。
石灰沈着の位置や大きさを調べるために、CT(コンピューター断層撮影)検査や超音波検査なども行います。肩腱板断裂の合併を調べるために、MRI(磁気共鳴画像)検査も行います。
整形外科の医師による治療では、急性例では、激痛を早く取るために、肩腱板に注射針を刺して沈着した石灰化部分を破り、ミルク状の石灰を吸引する方法がよく行われています。三角巾、アームスリング(腕つり)などで安静を図り、消炎鎮痛剤の内服、水溶性副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド剤)と局所麻酔剤の滑液包内注射などが有効です。
一般に行われている治療法ではありませんが、胃潰瘍(かいよう)治療薬のシメチジンに、石灰を吸収し痛みを軽減する作用があるともされています。
ほとんどの場合、保存療法で軽快します。時間がたつとともに、滑液包内に漏れ出た石灰を自然に修復しようとする体の反応により、石灰化部分が小さくなってきます。このころには肩も動かせるようになり、日常でも支障のない程度まで回復します。しかし、完全に石灰化部分が修復されるまでには、2~3カ月かかります。
亜急性型、慢性型では、石灰沈着が石膏状に固くなり、時々強い痛みが再発することもあります。硬く膨らんだ石灰化部分が肩の運動時に周囲と接触し、炎症が消失せず痛みが続くこともあります。痛みが強く、肩の運動に支障がある場合、関節鏡視下による手術で石灰化部分を摘出することもあります。確実に摘出されると治療効果は速やかに認められ、ほとんどの場合1〜2週間以内に肩の挙上が可能となります。
肩の痛みが取れたら、ホットパック、入浴などによる温熱療法や、拘縮を予防したり筋肉を強化する運動療法などのリハビリを行います。
デュプレー病とは、石灰化したカルシウムが肩腱板(かたけんばん)内に沈着することにより炎症が生じ、肩の痛みが起こる疾患。石灰沈着性腱板炎、肩石灰沈着性腱炎、石灰沈着性腱炎、石灰性腱炎とも呼ばれます。
デュプレー病という疾患名は、最初に報告したフランス人のデュプレーにちなみます。
肩腱板は肩関節で上腕を保持している筋肉と腱の複合体であり、肩関節は肩甲骨と上腕骨で構成される関節です。
デュプレー病は、40歳代から60歳代の女性に多く発症します。肩を強く打つなどの思い当たる切っ掛けもなく、片側の肩の激しい痛みを夜間などに突然、覚えます。急激に痛みが増してきて、睡眠が妨げられるほどになります。また、肩の痛みのため可動域の制限がみられ、肩の挙上ができなくなります。
強い症状が発症後1~4週みられる急性型、中等度の症状が1~6カ月続く亜急性型、運動時痛などが6カ月以上続く慢性型があります。慢性型では、急性期の激痛が消失した後にも肩関節の硬さが残って、関節の可動域の低下を起こし、肩関節周囲炎(五十肩)と同じような状態になります。
石灰化したカルシウムはリン酸カルシウムの結晶で、その肩腱板内への沈着は、肩腱板の加齢による変性と、女性ホルモンの分泌減少の影響によって起こると考えられています。
体内のカルシウムは腸で吸収されて、骨を丈夫にするために使われ、不要な分のカルシウムは尿とともに排出されて、常に一定量が体内に残るようにバランスがとられています。しかし、女性では30歳代をピークに、徐々に骨量が落ちてきます。女性ホルモンの分泌減少に伴って、破骨細胞の働きが増し、骨の代謝のバランスが崩れて、骨からたくさんのカルシウムが血中に放出される結果です。
その放出されたカルシウムの多くは尿とともに体外に放出されますが、一部は腱や靭帯(じんたい)、血管壁に沈着していくことになります。腱の中に沈着する石灰化したカルシウムに対して、体は異物と認識して反応するために炎症が生じ、痛みが起こることになります。
石灰化したカルシウムは当初、濃厚なミルク状で、時がたつにつれ、練り歯磨き状、石膏(せっこう)状へと硬く変化していきます。石灰化したカルシウムがどんどんたまって、膨らんでくると、痛みが増してきます。そして、肩腱板から関節の周囲にある滑液包内に、石灰化したカルシウムが漏れ出す時に激痛となります。
デュプレー病の検査と診断と治療
整形外科の医師による診断では、肩の圧痛の部位や肩関節の動きの状態などを調べ、肩関節周囲炎(五十肩)の症状とよく似ているため、X線(レントゲン)撮影によって肩腱板部分に石灰化したカルシウムの沈着を確認することによって、デュプレー病(石灰沈着性腱板炎)と確定します。
石灰沈着の位置や大きさを調べるために、CT(コンピューター断層撮影)検査や超音波検査なども行います。肩腱板断裂の合併を調べるために、MRI(磁気共鳴画像)検査も行います。
整形外科の医師による治療では、急性例では、激痛を早く取るために、肩腱板に注射針を刺して沈着した石灰化部分を破り、ミルク状の石灰を吸引する方法がよく行われています。三角巾、アームスリング(腕つり)などで安静を図り、消炎鎮痛剤の内服、水溶性副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド剤)と局所麻酔剤の滑液包内注射などが有効です。
一般に行われている治療法ではありませんが、胃潰瘍(かいよう)治療薬のシメチジンに、石灰を吸収し痛みを軽減する作用があるともされています。
ほとんどの場合、保存療法で軽快します。時間がたつとともに、滑液包内に漏れ出た石灰を自然に修復しようとする体の反応により、石灰化部分が小さくなってきます。このころには肩も動かせるようになり、日常でも支障のない程度まで回復します。しかし、完全に石灰化部分が修復されるまでには、2~3カ月かかります。
亜急性型、慢性型では、石灰沈着が石膏状に固くなり、時々強い痛みが再発することもあります。硬く膨らんだ石灰化部分が肩の運動時に周囲と接触し、炎症が消失せず痛みが続くこともあります。痛みが強く、肩の運動に支障がある場合、関節鏡視下による手術で石灰化部分を摘出することもあります。確実に摘出されると治療効果は速やかに認められ、ほとんどの場合1〜2週間以内に肩の挙上が可能となります。
肩の痛みが取れたら、ホットパック、入浴などによる温熱療法や、拘縮を予防したり筋肉を強化する運動療法などのリハビリを行います。
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