■病気 自律神経失調症 [病気(さ行)]
自律神経とは?
「頭痛がする」「体がだるくて、つらい」「動悸が激しい」など、いろいろな症状があるのに、病院で検査をしても何も異常がない――。
こんな時、医師から「自律神経失調症」と診断されることがあります。自律神経のバランスが失調し、調整機能が働いていない状態のことをいいますが、では、自律神経とはどういうものなのでしょうか。
【体性神経と自律神経】
私たちの身体の隅々まで張り巡らされている神経には、大きく分けて脳と脊髄からなる中枢神経と、中枢神経から出ている末梢神経に分けられます。末梢神経には、「体性神経」と「自律神経」の二つがあります。
身体機能の調整
○体性神経
体性神経は、体表でキャッチした「熱い」「痛い」などの知覚を脳に伝えたり、口や手足などの体の各部分を自分の意思で動かす働きをしています。会話をする、食べる、走るなどは、体性神経によるものです。
○自律神経
自律神経は自分の意思とは無関係に、体表や身体の内部の刺激に反応して身体の機能を調整する働きをしています。走ると“ハ~ハ~”と激しく息をして心臓がドキドキとするのは、自律神経によって呼吸や心臓の動きが速くなったためです。
バランスの失調
自律神経の交感神経と副交感神経という、まったく正反対の働きをする二つの神経は、意思とは関係なく自動的に働いて体の環境を調整していますが、外部の環境や精神的な刺激によってバランスを崩すことがあります。
自律神経のバランスが崩れることによって、いろいろな症状が現われる要因として、次のことが考えられます。まず、自律神経を支配しているのは視床下部で、これは本能や感情をつかさどる大脳辺縁系に支配されています。そこで、外部の環境や精神的な刺激などによって、本能や感情を抑制してしまうことは、視床下部を通じ自律神経へと影響を及ぼすためです。自律神経の交感神経や副交感神経が正常に働かず、どちらかが強く働きすぎたり、弱くなったりすると、体の各器官に症状が現われるようになるのです。
病名ではなく診断名
ここで注意しなければならないのは、「自律神経失調症」とは「頭痛がする」「だるくて辛い」「動悸が激しい」などいろいろな症状があるのに病院で検査をしても何も異常がない場合につけられる<診断名>で、<病名>ではありません。さまざまな要因によって、体を自動的に調節している自律神経のバランスが崩れた状態を指しているのが、<診断名>です。
つまり、原因となる問題を解決していけば、体に現われていた症状が次第になくなっていくのも、自律神経失調症の特徴です。
どんな症状が現れるのか?
症状には、現れ方の強弱や期間など個人差があり、さまざまですが、主な症状を挙げます。
【全身的な症状】
自律神経を支配している視床下部の変調によって、全身的な症状が現れます。例えば、「体がだるい」「疲れがとれない」「眠れない」「食欲がない」など。
【体の各器官に現れる症状】
頭痛、頭が重い、動悸、胸が苦しい、めまい、立ちくらみ、のぼせ、冷え、吐き気、胃もたれ、便秘、下痢など、さまざまです。
自律神経失調症を防ぐには?
自律神経失調症から身を守るには、第一に自律神経が失調状態にならないようにストレスを避ける、あるいは解消することです。そのためには、不規則な生活を改めたり、ストレスを解消するための休養を十分にとったり、リラックスできるようなストレス解消法を持つことです。
【生活のリズムを夜型から朝型へ変える】
自律神経の二つの神経は、一日の中で働く時間帯がだいたい決まっています。交感神経は体を活発に動かすときに働く「活動型・アクセル型神経」で、おもに日中働きます。一方、副交感神経は体を休めて体力を回復させるときに働く「休息型・ブレーキ型神経」で、おもに夜間働きます。
生活リズムが夜型になっている人は、副交感神経が働くことで体力を回復させる時間帯に交感神経が働いている状態です。体が求めているリズムに逆らうことは、さまざまな症状が現われる原因です。就寝する時間を少しずつ早めて、朝起きることを心がけてリズムを正常に戻すようにしましょう。
【栄養バランスと時間帯を考えた食事をとる】
精神と肉体が健康的であるには、まずは食事が大切です。空腹を満たすためだけに、ファストフードや菓子・清涼飲料水ばかりを摂っていては、体を維持する栄養バランスが保てません。外食が多くなりがちな人は、品数の多い定食にしたり野菜類をとるなど、自分なりの工夫をしたいものです。
また、食事をとる時間帯についても、寝る前に食べることは胃に負担をかけて翌朝の調子を崩すことになりかねません。夕食はなるべく早めにとることを心がけましょう。空腹が強いときは温めたミルクなどをとることもよいでしょう。
【ストレスをためない方法を見付ける】
仕事や人間関係などでストレスがたまるのは、避けようもありません。でも、そのストレスが少しでも小さくなるような自分なりの方法を見付けることが、「ストレス解消法」です。
好きな音楽を聴く、本やマンガを読む、散歩をする、気の合った仲間とおしゃべりをする、スポーツをする……、いろいろな方法があります。どれか一つだけに絞らず、「今日は音楽を聴く気分」「今は体を動かそう」など、その時々の気分や体調に合わせて柔軟な姿勢で自分の体や心を「お疲れさま」と、いたわりほぐすようにしたいものです。
【専門家にかかる】
つらい症状があってもどこも異常が見付からない……、そんな状態は周囲の人になかなか理解されず、「怠けている」とか「気にしすぎだ」ととらえられてしまうことが少なくありません。
また、頭痛や胃痛などその症状に合わせて専門の科をアチコチ巡るが、原因がわからない――ということを繰り返す「ドクターショッピング」も、見受けられます。
そこで、自律神経失調症のようなストレスによる体の変化を診療するには、心療内科の医師や心理療法士などのカウンセラーにかかることをお勧めします。つらい症状の背景にある心理的、社会的ストレスを解消する方法を探ったり、薬剤などで症状を軽減するなどの対症療法を行うことができます。
詳しい病気の解説は四百四病の事典(http://ksjuku.com/jiten.html)へどうぞ
「頭痛がする」「体がだるくて、つらい」「動悸が激しい」など、いろいろな症状があるのに、病院で検査をしても何も異常がない――。
こんな時、医師から「自律神経失調症」と診断されることがあります。自律神経のバランスが失調し、調整機能が働いていない状態のことをいいますが、では、自律神経とはどういうものなのでしょうか。
【体性神経と自律神経】
私たちの身体の隅々まで張り巡らされている神経には、大きく分けて脳と脊髄からなる中枢神経と、中枢神経から出ている末梢神経に分けられます。末梢神経には、「体性神経」と「自律神経」の二つがあります。
身体機能の調整
○体性神経
体性神経は、体表でキャッチした「熱い」「痛い」などの知覚を脳に伝えたり、口や手足などの体の各部分を自分の意思で動かす働きをしています。会話をする、食べる、走るなどは、体性神経によるものです。
○自律神経
自律神経は自分の意思とは無関係に、体表や身体の内部の刺激に反応して身体の機能を調整する働きをしています。走ると“ハ~ハ~”と激しく息をして心臓がドキドキとするのは、自律神経によって呼吸や心臓の動きが速くなったためです。
バランスの失調
自律神経の交感神経と副交感神経という、まったく正反対の働きをする二つの神経は、意思とは関係なく自動的に働いて体の環境を調整していますが、外部の環境や精神的な刺激によってバランスを崩すことがあります。
自律神経のバランスが崩れることによって、いろいろな症状が現われる要因として、次のことが考えられます。まず、自律神経を支配しているのは視床下部で、これは本能や感情をつかさどる大脳辺縁系に支配されています。そこで、外部の環境や精神的な刺激などによって、本能や感情を抑制してしまうことは、視床下部を通じ自律神経へと影響を及ぼすためです。自律神経の交感神経や副交感神経が正常に働かず、どちらかが強く働きすぎたり、弱くなったりすると、体の各器官に症状が現われるようになるのです。
病名ではなく診断名
ここで注意しなければならないのは、「自律神経失調症」とは「頭痛がする」「だるくて辛い」「動悸が激しい」などいろいろな症状があるのに病院で検査をしても何も異常がない場合につけられる<診断名>で、<病名>ではありません。さまざまな要因によって、体を自動的に調節している自律神経のバランスが崩れた状態を指しているのが、<診断名>です。
つまり、原因となる問題を解決していけば、体に現われていた症状が次第になくなっていくのも、自律神経失調症の特徴です。
どんな症状が現れるのか?
症状には、現れ方の強弱や期間など個人差があり、さまざまですが、主な症状を挙げます。
【全身的な症状】
自律神経を支配している視床下部の変調によって、全身的な症状が現れます。例えば、「体がだるい」「疲れがとれない」「眠れない」「食欲がない」など。
【体の各器官に現れる症状】
頭痛、頭が重い、動悸、胸が苦しい、めまい、立ちくらみ、のぼせ、冷え、吐き気、胃もたれ、便秘、下痢など、さまざまです。
自律神経失調症を防ぐには?
自律神経失調症から身を守るには、第一に自律神経が失調状態にならないようにストレスを避ける、あるいは解消することです。そのためには、不規則な生活を改めたり、ストレスを解消するための休養を十分にとったり、リラックスできるようなストレス解消法を持つことです。
【生活のリズムを夜型から朝型へ変える】
自律神経の二つの神経は、一日の中で働く時間帯がだいたい決まっています。交感神経は体を活発に動かすときに働く「活動型・アクセル型神経」で、おもに日中働きます。一方、副交感神経は体を休めて体力を回復させるときに働く「休息型・ブレーキ型神経」で、おもに夜間働きます。
生活リズムが夜型になっている人は、副交感神経が働くことで体力を回復させる時間帯に交感神経が働いている状態です。体が求めているリズムに逆らうことは、さまざまな症状が現われる原因です。就寝する時間を少しずつ早めて、朝起きることを心がけてリズムを正常に戻すようにしましょう。
【栄養バランスと時間帯を考えた食事をとる】
精神と肉体が健康的であるには、まずは食事が大切です。空腹を満たすためだけに、ファストフードや菓子・清涼飲料水ばかりを摂っていては、体を維持する栄養バランスが保てません。外食が多くなりがちな人は、品数の多い定食にしたり野菜類をとるなど、自分なりの工夫をしたいものです。
また、食事をとる時間帯についても、寝る前に食べることは胃に負担をかけて翌朝の調子を崩すことになりかねません。夕食はなるべく早めにとることを心がけましょう。空腹が強いときは温めたミルクなどをとることもよいでしょう。
【ストレスをためない方法を見付ける】
仕事や人間関係などでストレスがたまるのは、避けようもありません。でも、そのストレスが少しでも小さくなるような自分なりの方法を見付けることが、「ストレス解消法」です。
好きな音楽を聴く、本やマンガを読む、散歩をする、気の合った仲間とおしゃべりをする、スポーツをする……、いろいろな方法があります。どれか一つだけに絞らず、「今日は音楽を聴く気分」「今は体を動かそう」など、その時々の気分や体調に合わせて柔軟な姿勢で自分の体や心を「お疲れさま」と、いたわりほぐすようにしたいものです。
【専門家にかかる】
つらい症状があってもどこも異常が見付からない……、そんな状態は周囲の人になかなか理解されず、「怠けている」とか「気にしすぎだ」ととらえられてしまうことが少なくありません。
また、頭痛や胃痛などその症状に合わせて専門の科をアチコチ巡るが、原因がわからない――ということを繰り返す「ドクターショッピング」も、見受けられます。
そこで、自律神経失調症のようなストレスによる体の変化を診療するには、心療内科の医師や心理療法士などのカウンセラーにかかることをお勧めします。つらい症状の背景にある心理的、社会的ストレスを解消する方法を探ったり、薬剤などで症状を軽減するなどの対症療法を行うことができます。
詳しい病気の解説は四百四病の事典(http://ksjuku.com/jiten.html)へどうぞ
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