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■よく寝る子は脳の海馬もよく育つ 東北大チームが解明 [健康ダイジェスト]

 睡眠時間の長い子供は短い子供に比べて、記憶や感情をつかさどる脳の部位「海馬」の体積が大きいとする研究結果を東北大学の研究チームがまとめ、子供のころの睡眠時間と脳の発達にかかわりがあることを示す成果として注目されています。
 研究を行ったのは、東北大加齢医学研究所の滝靖之教授らの研究チーム。研究成果は18日、名古屋市で開かれた日本神経科学大会で発表されました。
 研究チームは2008年からの4年間で、宮城県内の5歳から18歳までの健康な子供290人を対象に、MRI(磁気共鳴画像)を使って脳の詳細な画像を撮影し、海馬の体積を調べました。
 その上で、平日の睡眠時間のデータを併せて分析したところ、睡眠時間が長いほど海馬の体積は大きくなり、睡眠時間が6時間の子供に比べて、10時間の子供の海馬は1割程度大きくなっていました。また、睡眠時間が5、6時間の子供に比べて、8、9時間の子供のほうが海馬が大きい傾向があることがわかりました。
 研究チームによると、健康な子供を対象に睡眠時間と海馬の大きさに関係があることを確認したのは、世界で初めてだということです。
 海馬は大人になっても脳神経細胞が新たに生み出されますが、うつ病や心的外傷後ストレス障害(PTSD)の患者、高齢のアルツハイマー病患者では縮小している場合があります。滝教授は、「海馬の大きさの違いは記憶や認知機能などにも影響する可能性がある。子供のころから睡眠をしっかり取る生活習慣をつけ、海馬を大きくしておくことが、生涯にわたって健康な脳を保つ上で重要であることを示しているのではないか」と話しています。
 滝教授は東日本大震災の後、宮城県内の被災者の健康状況も調査しており、ストレスで海馬の成長に影響が出た子供がいたとみられますが、「今後1日8時間程度眠れば回復するのではないか」と話しています。 
 海馬は大脳辺縁系の古皮質に属し、脳の中にあって唯一、細胞分裂を繰り返す神経細胞が集まる器官。脳の記憶や空間学習能力に関与しており、日常的な出来事や学習して覚えた情報は海馬の中で一度ファイルされて整理整頓され、その後、大脳皮質にためられていくといわれています。海馬が働かなくなると、昔のことは覚えていても、新しいことはすぐに忘れてしまいます。
 また、海馬は壊れやすい性質を持っており、酸素不足で脳がダメージを受けると最初に死んでいくといわれています。強いストレスや恐怖にさらされた際にも、壊れて委縮してしまう性質があります。

 2012年9月20日(木)




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