■用語 ウェルニッケ・コルサコフ症候群 [用語(あ行)]
ビタミンB1の欠乏のために、脳の働きに障害が起きる疾患
ウェルニッケ・コルサコフ症候群とは、ビタミンB1(チアミン)の欠乏のために、アルコール依存症の人や栄養不良の人に発症する中枢神経疾患。
急性期のものをウェルニッケ脳症、慢性期(後遺症)のものをコルサコフ症候群と呼びます。ウェルニッケ脳症は眼球運動障害や運動失調を伴い、慢性化すると健忘症を主症状とするコルサコフ症候群に移行します。
はっきりしたウェルニッケ脳症がなくても、コルサコフ症候群にかかる場合もありますが、コルサコフ症候群にかかっている人の約80パーセントに、ウェルニッケ脳症も起きています。また、ウェルニッケ・コルサコフ症候群は、ビタミンB1の欠乏がなくても、外傷、脳卒中、腫瘍(しゅよう)、脳の感染症などによって側頭葉が損傷した場合にも起こります。
ウェルニッケ脳症は体内の炭水化物の代謝に必要なビタミンB1の欠乏のみでも発症するものの、アルコール依存症の人や長期間のアルコール多飲者などに多く起こるため、アルコールも複合的に影響して発症すると考えられてれています。大量のアルコールの摂取によってビタミンB1の腸管からの吸収が障害され、さらにアルコールを多飲する人は食事を摂取しない飲み方をする人が多いためです。
飢餓による栄養障害は現在では非常に少なくなりましたが、インスタント食品の偏食による栄養の偏りや、摂食障害、妊娠悪阻(つわり)などもビタミンB1の欠乏を招いて、ウェルニッケ脳症を発症する要因になります。
脳内の非常に特異的な場所である乳頭体(にゅうとうたい)、中脳水道周囲灰白質、視床下部、視床内側部、小脳虫部などが、病変の好発部位となります。
従って、症状も特徴的であり、急性期には眼球運動障害、運動失調、意識障害の3主要症状が現れます。
眼球運動障害は、外直筋(がいちょくきん)まひのために眼球が一点を見詰めたまま動かなくなることが多く、瞳孔(どうこう)の異常などを起こす内眼筋まひはまれです。回復してくると、眼球が自動的に一方向に素早く動いてからゆっくりと元の位置に戻る水平眼振が起こり、物が2つに見える複視やめまい感が自覚されます。
運動失調としては、小脳の働きが悪くなるために、立ったり座ったりした時に体がふらついて倒れたり、歩行がおぼつかなかったり、手足を思うように動かせなくなるといった症状が急性に起こります。
意識障害としては、無欲、注意力散漫、すぐに眠ってしまう傾眠といった軽い意識障害から昏睡まで、さまざまな程度に起こります。思考や行動が乱れる錯乱、意識混濁に加えて幻覚や錯覚がみられるせん妄が、前面に出ることもあります。
慢性期になると、健忘症を主症状とするコルサコフ症候群に移行します。出来事を覚える記銘力の障害や、覚えた出来事をずっと保持しておく記憶力の障害、場所や時間や人物がわからなくなる見当識(けんとうしき)障害、記憶の不確かな部分を作話で補おうとする「コルサコフ作り話」をしたりします。
短期間の記憶は保たれ、社交的な付き合いや論理的な会話はできます。理解力や計算などの能力は、比較的保たれます。
長期間のアルコール多飲者が、通常の酔っ払った状態とは異なる意識状態の異変を感じたら、ウェルニッケ・コルサコフ症候群を疑うことが重要で、早急に救急患者として医療機関を受診することが大切です。
放置すると意識障害がさらに進行して、昏睡状態を引き起こし、ひいては死に至るケースもあり、仮に回復しても重度の健忘や運動失調といった後遺症を招くことが多くなります。
ウェルニッケ・コルサコフ症候群の検査と診断と治療
内科、神経内科の医師による診断では、症状と中枢神経所見からウェルニッケ・コルサコフ症候群を疑い、ビタミンB1(チアミン)不足になり得る栄養不良状態が存在したかどうかを問診し、MRI(磁気共鳴画像)検査で視床や中脳水道周囲などに病変部位が認められれば、確定できます。
ただし、軽いものでは病変部位が認められないこともあります。血中のビタミンB1濃度の測定も行います。
また、ウェルニッケ・コルサコフ症候群では意識障害が特徴であるため、頭部外傷、薬物、脳症、髄膜炎、脳炎などに起因する意識障害と識別します。
内科、神経内科の医師による治療は、ビタミンB1濃度の測定の血液検査は結果が出るまで時間がかかるため、通常は結果が出る前に開始し、早急にビタミンB1を投与します。
ウェルニッケ脳症の典型的な3主要症状が現れた時には、治療を行っても後遺症であるコルサコフ症候群を残すことが多いため、できる限り早期に診断し、早期に治療を開始することが極めて重要です。
一般的には、数日間ビタミンB1を1日1000ミリグラムほど静脈注射し、その後は150ミリグラムほど経口投与で補充します。
ビタミンB1を静脈注射すると、意識障害や眼球運動障害は迅速に改善します。しかし、運動失調や記憶障害などの改善は単純ではなく、回復の度合は症状の現れた期間が長引くほど悪化します。
長期間のアルコール多飲者やアルコール依存症の人に発症者が多いので、アルコール依存に対するリハビリテーションや、末梢(まっしょう)神経障害を併発して手足のしびれが起こり、特に夜間に強いビリビリとした痛みが多いことがあるので、そのリハビリテーションが必要となることもあります。
長期的な断酒や健康的な食生活によって、ウェルニッケ・コルサコフ症候群が次第に治っていくことがあります。しかし、側頭葉の損傷が原因の場合には、回復は遅く、完治はしません。
ウェルニッケ・コルサコフ症候群とは、ビタミンB1(チアミン)の欠乏のために、アルコール依存症の人や栄養不良の人に発症する中枢神経疾患。
急性期のものをウェルニッケ脳症、慢性期(後遺症)のものをコルサコフ症候群と呼びます。ウェルニッケ脳症は眼球運動障害や運動失調を伴い、慢性化すると健忘症を主症状とするコルサコフ症候群に移行します。
はっきりしたウェルニッケ脳症がなくても、コルサコフ症候群にかかる場合もありますが、コルサコフ症候群にかかっている人の約80パーセントに、ウェルニッケ脳症も起きています。また、ウェルニッケ・コルサコフ症候群は、ビタミンB1の欠乏がなくても、外傷、脳卒中、腫瘍(しゅよう)、脳の感染症などによって側頭葉が損傷した場合にも起こります。
ウェルニッケ脳症は体内の炭水化物の代謝に必要なビタミンB1の欠乏のみでも発症するものの、アルコール依存症の人や長期間のアルコール多飲者などに多く起こるため、アルコールも複合的に影響して発症すると考えられてれています。大量のアルコールの摂取によってビタミンB1の腸管からの吸収が障害され、さらにアルコールを多飲する人は食事を摂取しない飲み方をする人が多いためです。
飢餓による栄養障害は現在では非常に少なくなりましたが、インスタント食品の偏食による栄養の偏りや、摂食障害、妊娠悪阻(つわり)などもビタミンB1の欠乏を招いて、ウェルニッケ脳症を発症する要因になります。
脳内の非常に特異的な場所である乳頭体(にゅうとうたい)、中脳水道周囲灰白質、視床下部、視床内側部、小脳虫部などが、病変の好発部位となります。
従って、症状も特徴的であり、急性期には眼球運動障害、運動失調、意識障害の3主要症状が現れます。
眼球運動障害は、外直筋(がいちょくきん)まひのために眼球が一点を見詰めたまま動かなくなることが多く、瞳孔(どうこう)の異常などを起こす内眼筋まひはまれです。回復してくると、眼球が自動的に一方向に素早く動いてからゆっくりと元の位置に戻る水平眼振が起こり、物が2つに見える複視やめまい感が自覚されます。
運動失調としては、小脳の働きが悪くなるために、立ったり座ったりした時に体がふらついて倒れたり、歩行がおぼつかなかったり、手足を思うように動かせなくなるといった症状が急性に起こります。
意識障害としては、無欲、注意力散漫、すぐに眠ってしまう傾眠といった軽い意識障害から昏睡まで、さまざまな程度に起こります。思考や行動が乱れる錯乱、意識混濁に加えて幻覚や錯覚がみられるせん妄が、前面に出ることもあります。
慢性期になると、健忘症を主症状とするコルサコフ症候群に移行します。出来事を覚える記銘力の障害や、覚えた出来事をずっと保持しておく記憶力の障害、場所や時間や人物がわからなくなる見当識(けんとうしき)障害、記憶の不確かな部分を作話で補おうとする「コルサコフ作り話」をしたりします。
短期間の記憶は保たれ、社交的な付き合いや論理的な会話はできます。理解力や計算などの能力は、比較的保たれます。
長期間のアルコール多飲者が、通常の酔っ払った状態とは異なる意識状態の異変を感じたら、ウェルニッケ・コルサコフ症候群を疑うことが重要で、早急に救急患者として医療機関を受診することが大切です。
放置すると意識障害がさらに進行して、昏睡状態を引き起こし、ひいては死に至るケースもあり、仮に回復しても重度の健忘や運動失調といった後遺症を招くことが多くなります。
ウェルニッケ・コルサコフ症候群の検査と診断と治療
内科、神経内科の医師による診断では、症状と中枢神経所見からウェルニッケ・コルサコフ症候群を疑い、ビタミンB1(チアミン)不足になり得る栄養不良状態が存在したかどうかを問診し、MRI(磁気共鳴画像)検査で視床や中脳水道周囲などに病変部位が認められれば、確定できます。
ただし、軽いものでは病変部位が認められないこともあります。血中のビタミンB1濃度の測定も行います。
また、ウェルニッケ・コルサコフ症候群では意識障害が特徴であるため、頭部外傷、薬物、脳症、髄膜炎、脳炎などに起因する意識障害と識別します。
内科、神経内科の医師による治療は、ビタミンB1濃度の測定の血液検査は結果が出るまで時間がかかるため、通常は結果が出る前に開始し、早急にビタミンB1を投与します。
ウェルニッケ脳症の典型的な3主要症状が現れた時には、治療を行っても後遺症であるコルサコフ症候群を残すことが多いため、できる限り早期に診断し、早期に治療を開始することが極めて重要です。
一般的には、数日間ビタミンB1を1日1000ミリグラムほど静脈注射し、その後は150ミリグラムほど経口投与で補充します。
ビタミンB1を静脈注射すると、意識障害や眼球運動障害は迅速に改善します。しかし、運動失調や記憶障害などの改善は単純ではなく、回復の度合は症状の現れた期間が長引くほど悪化します。
長期間のアルコール多飲者やアルコール依存症の人に発症者が多いので、アルコール依存に対するリハビリテーションや、末梢(まっしょう)神経障害を併発して手足のしびれが起こり、特に夜間に強いビリビリとした痛みが多いことがあるので、そのリハビリテーションが必要となることもあります。
長期的な断酒や健康的な食生活によって、ウェルニッケ・コルサコフ症候群が次第に治っていくことがあります。しかし、側頭葉の損傷が原因の場合には、回復は遅く、完治はしません。
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沒有醫生的處方
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