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■弱酸性の液体に浸すだけで「万能細胞」作成に成功 理化学研究所 [健康ダイジェスト]

 理化学研究所などの研究チームは、体の細胞を弱酸性の液体に30分間ほど浸すだけで、体のさまざまな組織になる「新万能細胞」を作り出すことにマウスの実験で成功したと発表しました。
 いったん役割が定まった体の細胞が、この程度の刺激で万能細胞に変わることはあり得ないとされていた生命科学の常識を覆す画期的な成果として、29日、英科学誌ネイチャー電子版のトップ記事として掲載されるなど注目を集めています。
 神戸市にある理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの小保方(おぼかた)晴子研究ユニットリーダー(30歳)などの研究チームは、生後1週間のマウスの脾臓(ひぞう)から取り出した白血球の一種のリンパ球を紅茶程度の弱酸性の液体に30分ほど浸し、その後、培養したところ、さまざまな種類の細胞に変化する能力を維持する遺伝子が活性化することを突き止めました。
 そして、この細胞をマウスの体内に入れると、実際に皮膚や筋肉などのさまざまな細胞に変化するのを確認できたということで、「刺激を与えることでさまざまな細胞になる能力を獲得した」ことを意味する英語の頭文字から「STAP(スタップ)細胞」と名付けました。
 こうした能力を持つ細胞は、皮膚などの細胞に複数の遺伝子を入れて作るiPS細胞(人工多能性幹細胞)などが知られています。今回のSTAP細胞は、外部からの刺激というより簡単な方法で短時間に作れるものとして注目されています。
 研究チームによりますと、iPS細胞は作り出すのに2週間から3週間かかりますが、STAP細胞は1週間ほどでできるということです。加えて、iPS細胞のように遺伝子を入れる操作が必要ない上、外部からの刺激という細胞を取り巻く環境を少し厳しくするだけで効率よく作り出せるため、今後、さまざまな研究者が参入して研究の進展が期待できるということです。
 小保方ユニットリーダーは、「iPS細胞などと違い、周りの環境を変えて刺激を与えるだけで細胞が変化するという革新的な技術で、再生医療や免疫の研究などに貢献できるのではないか」と話しています。
 研究チームは今後、ヒトの細胞でも同じことができるか、研究を進めることにしています。
 今回の研究成果について、京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥教授は、「興味深い研究で、細胞の初期化を理解する上で重要な成果である。医学応用の観点からiPS様細胞の新しい樹立法とも捉えることができ、人間でも同様の方法でできた場合、従来の方法とさまざまな観点から比較検討する必要がある。今後、人間で成果を得られることを期待している」というコメントを出しました。
 iPS細胞などを使った研究を行っている慶応大学医学部の岡野栄之教授は、「体のさまざまな組織に変化する細胞を作り出すのに遺伝子の導入や薬剤を使わずに成功したのはこれが初めてだ。しかもしっかりした手法で証明している点は高く評価できる。遺伝子の導入やクローン技術に続く、第3の方法として発展する可能性が期待でき、画期的だ」と語っています。

 2014年1月30日(木) 

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